by virtue of
"by" の /aɪ/ は二重母音で、日本語の「ア」と「イ」を滑らかにつなげるイメージです。"virtue" の /ɜːr/ は、口を少し開き、舌を丸めるようにして出す音で、日本語の「アー」よりも喉の奥を使う感覚です。"of" の /əv/ は弱形になりやすく、軽く「アヴ」と発音されます。全体として、各単語の強勢(ストレス)を意識し、流れるように発音するとより自然になります。
おかげで
何かの性質や特性、資格などによって、ある結果や状態が生じることを表す。形式ばった表現で、原因や理由を説明する際に使われることが多い。「〜の美徳によって」「〜の資格において」といったニュアンスを含む。
She quickly made friends by virtue of her kind heart.
彼女は持ち前の優しい心のおかげで、すぐに友達ができました。
※ この例文は、人が持つ良い性質や特徴(この場合は「優しい心」)が原因で、良い結果(「友達ができた」)が生まれた状況を表しています。新しい環境でも、その人の魅力で周りの人が集まってくるような温かいシーンが思い浮かびますね。「by virtue of」は、「〜という良い特性によって」というニュアンスで使われます。
This new camera takes beautiful pictures by virtue of its advanced lens.
この新しいカメラは、その高性能レンズのおかげで、美しい写真を撮れます。
※ この例文では、モノが持つ優れた性能や特徴(この場合は「高性能レンズ」)が、良い結果(「美しい写真が撮れる」)につながったことを示しています。最新のカメラで撮った写真が期待以上に綺麗で、感動しているようなシーンを想像してください。このように、物事の特定の性質が原因で何かが起こる場合にも使えます。
She has the right to speak up by virtue of her position as team leader.
彼女はチームリーダーという立場のおかげで、意見を述べる権利があります。
※ 「by virtue of」は、ある地位や規則、法律などによって、特別な権利や権限が与えられる状況でもよく使われます。会議で、リーダーが自信を持って発言している場面を思い浮かべてみましょう。この例文では、「チームリーダーという立場」が、意見を述べる権利を生み出していることを表しています。少しフォーマルな響きがあります。
に基づいて
ある規則、法律、権限などによって、何かが許可されたり、正当化されたりすることを表す。フォーマルな文脈で使われることが多い。
He passed the difficult exam by virtue of his diligent study.
彼は、熱心な勉強のおかげで難しい試験に合格しました。
※ 夜遅くまでコツコツと勉強を続け、ついに難関試験に合格してホッと一息ついている学生の姿を想像してみてください。「by virtue of」は、何かを達成できた原因が、その人の努力や良い性質にあることを表します。ここでは「diligent study(熱心な勉強)」が合格の理由です。
This new smartphone takes great photos by virtue of its advanced camera.
この新しいスマートフォンは、高性能なカメラのおかげで素晴らしい写真を撮れます。
※ 誰かが買ったばかりの新しいスマートフォンで、美しい景色やおいしい料理の写真を撮り、その画質の良さに驚いている場面を思い浮かべてください。この文では、スマートフォンが「素晴らしい写真を撮れる」という機能が「advanced camera(高性能なカメラ)」という特性によって可能になっていることを示しています。
The principal can make important decisions by virtue of her authority.
校長先生は、その権限に基づいて重要な決定を下すことができます。
※ 学校で何か大きな問題が起きた時、校長先生が冷静に、そして毅然とした態度で解決策を示している場面を想像してみましょう。この文では、校長先生が「重要な決定を下せる」のは、「her authority(彼女の権限)」があるからだと説明しています。「by virtue of」は、このように「ある地位や立場、権限があるからこそ」何かができる、という状況にもよく使われます。
コロケーション
彼の地位のゆえに、役職上
※ 「地位や役職に伴う権限や責任」を理由とする場合に用いられます。単に「彼は~できる」と言うのではなく、「彼の立場だからこそ~できる/~しなければならない」というニュアンスを含みます。ビジネスシーンや公式な場面でよく使われ、個人の能力ではなく、組織における役割に根ざした行動であることを示唆します。例えば、'By virtue of his position as CEO, he has the authority to make important decisions.'(CEOという地位ゆえに、彼は重要な決定を下す権限を持つ)のように使います。類似表現に'in his capacity as'がありますが、'by virtue of his position'の方が、よりフォーマルで権威を強調する響きがあります。
勤勉さによって、努力の結果として
※ 「努力が報われた」というニュアンスを含み、ポジティブな結果が個人の勤勉さから直接生まれたことを強調します。しばしば、成功譚や教訓話の中で用いられ、努力の大切さを伝える役割を果たします。例えば、'He succeeded by virtue of hard work and dedication.'(彼は勤勉さと献身によって成功した)のように使われます。'thanks to hard work'も同様の意味で使えますが、'by virtue of'はより客観的で、原因と結果の関係を明確に示す印象を与えます。
~であることによって、~であるがゆえに
※ ある特性や属性を持つことが、特定の権利、能力、または義務を正当化する理由となることを示します。例えば、'By virtue of being a citizen, you have the right to vote.'(市民であることによって、あなたには投票する権利がある)のように使われます。この構文は、権利や義務の根拠を明確にする際に有効で、法律や規則の説明でよく見られます。類似表現に'because of being...'がありますが、'by virtue of being...'の方が、より形式的で、権利や義務の正当性を強調するニュアンスがあります。
固有の性質によって、本来備わっている特性から
※ 対象が持つ本質的な特性が、特定の機能や結果を生み出す根拠となることを示します。科学的な文脈や、物の性質を説明する際に用いられることが多いです。例えば、'Gold is valuable by virtue of its inherent properties such as rarity and resistance to corrosion.'(金は、希少性や腐食への耐性といった固有の性質によって価値がある)のように使われます。この表現は、外的な要因ではなく、対象そのものが持つ性質に焦点を当てる場合に適しています。類似表現に'due to its inherent properties'がありますが、'by virtue of its inherent properties'の方が、より客観的で、科学的な厳密さを含んだ印象を与えます。
条約によって、条約に基づいて
※ 国際法や政治の文脈で、条約が特定の権利、義務、または行動の法的根拠となることを示します。国家間の合意が、特定の状況や行動を正当化する際に用いられます。例えば、'The nation gained control of the territory by virtue of a treaty.'(その国は条約によってその領土の支配権を得た)のように使われます。この表現は、国際的な取り決めや合意の重要性を強調する際に有効です。類似表現に'under a treaty'がありますが、'by virtue of a treaty'の方が、条約が持つ法的効力をより強く示唆するニュアンスがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、ある理論や法則に基づいて議論を展開する際に用いられます。例えば、「その研究は、既存の理論的枠組みに基づいて(by virtue of)新たな解釈を提示している」のように使われます。文語的な表現であり、客観性と論理性を重視する文脈で頻繁に見られます。
ビジネス文書やプレゼンテーションなど、公式な場面で使われることがあります。例えば、「契約条件に基づいて(by virtue of)、今回のプロジェクトは承認されました」のように、決定の根拠を示す際に用いられます。日常的なビジネス会話ではあまり使われず、やや硬い印象を与える可能性があります。
日常会話で「by virtue of」が使われることは稀ですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで見かけることがあります。例えば、「彼の才能のおかげで(by virtue of)、彼は成功を収めた」のように、ある結果の原因や理由を説明する際に用いられます。ただし、より口語的な表現(例えば、because ofやthanks to)が好まれることが多いです。
関連語
類義語
- because of
「~のために」「~が原因で」という意味で、原因や理由を示す際に広く用いられます。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで、非常に汎用性の高い表現です。 【ニュアンスの違い】"by virtue of"よりも直接的で、より一般的な表現です。フォーマルな場面では"by virtue of"が好まれますが、"because of"はカジュアルな状況でも問題なく使用できます。感情的なニュアンスは特にありません。 【混同しやすい点】"by virtue of"が持つ「~の美徳によって」「~の力によって」というニュアンスが"because of"にはないため、良い結果やポジティブな理由を説明する場合には、"by virtue of"の方が適切であることがあります。
- due to
「~が原因で」「~のために」という意味で、原因や理由を示す際に使用されます。ややフォーマルな響きがあり、ビジネスや学術的な文脈でよく見られます。 【ニュアンスの違い】"by virtue of"よりも直接的な原因を示すことが多いです。"due to"は、しばしばネガティブな結果や予期せぬ事態の原因を示す際に用いられます。 【混同しやすい点】"due to"は文頭に置くことが避けられる傾向があります。文頭に置く場合は、"owing to"の方が適切です。また、"by virtue of"が持つポジティブなニュアンスは"due to"にはありません。
- on account of
「~のために」「~が理由で」という意味で、原因や理由を示す際に使用されます。やや古風で、フォーマルな響きがあります。 【ニュアンスの違い】"by virtue of"よりも直接的で、やや間接的な理由や原因を示すニュアンスがあります。日常会話ではあまり使われず、書き言葉でよく見られます。 【混同しやすい点】"on account of"は、しばしば長くて複雑な文の中で使用され、文全体の流れの中で理由を示す役割を果たします。"by virtue of"が持つ「美徳」や「力」といったニュアンスは含まれません。
- thanks to
「~のおかげで」という意味で、良い結果やポジティブな事態の原因を示す際に用いられます。感謝の気持ちが込められています。 【ニュアンスの違い】"by virtue of"と同様に、ポジティブな結果を示す際に使用できますが、"thanks to"はより直接的な感謝の気持ちを表します。フォーマルな場面では"by virtue of"が好まれます。 【混同しやすい点】"thanks to"は、皮肉を込めてネガティブな結果の原因を示すこともあります(例:Thanks to his carelessness, we missed the train)。"by virtue of"は通常、皮肉な意味では使用されません。
- in light of
「~を考慮して」「~に照らして」という意味で、ある事実や情報を考慮した上で判断や行動をする際に用いられます。フォーマルな文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】"by virtue of"とは異なり、直接的な原因を示すのではなく、判断や行動の根拠となる状況や情報を提示します。客観的な視点が含まれています。 【混同しやすい点】"in light of"は、しばしばevidence(証拠), research(研究), findings(調査結果)といった言葉と共に使用され、それらの情報に基づいて判断や行動をすることを強調します。"by virtue of"が持つ「美徳」や「力」といったニュアンスは含まれません。
- by dint of
「~の努力によって」「~の力によって」という意味で、努力や苦労の結果を強調する際に用いられます。やや古風で、文学的な文脈で見られることがあります。 【ニュアンスの違い】"by virtue of"と同様に、ポジティブな結果を示す際に使用できますが、"by dint of"は特に努力や苦労が伴った結果であることを強調します。 【混同しやすい点】"by dint of"は、しばしば「hard work(努力)」や「perseverance(忍耐)」といった言葉と共に使用され、成功に至るまでの困難な道のりを強調します。現代的なビジネスシーンではあまり使われません。
派生語
『美徳』『長所』を意味する名詞。『by virtue of』はこの名詞句であり、『〜の美徳によって』が原義。日常会話からフォーマルな文脈まで幅広く使われるが、特に道徳的な意味合いが強い。
『徳のある』『高潔な』を意味する形容詞。名詞『virtue』に形容詞化の接尾辞『-ous』が付いた形。人の性格や行いを評価する際に用いられ、ややフォーマルな印象を与える。例えば、『virtuous woman(貞淑な女性)』のように使われる。
『名人芸』『熟練』を意味する名詞。特に芸術やスポーツにおける高度な技術を指す。名詞『virtue』から派生し、『優れた能力』というニュアンスを持つ。音楽評論やスポーツ記事などで見られる。
反意語
『〜にもかかわらず』を意味する句。『by virtue of』が理由や原因を示すのに対し、『in spite of』は障害や困難を乗り越えて何かを達成した結果を示す。日常会話やビジネス文書で頻繁に使われ、対比構造を明確にする。
- regardless of
『〜に関わらず』を意味する句。『by virtue of』が特定の条件や性質によって何かが決まるのに対し、『regardless of』は何かの条件を考慮しないことを示す。契約書や規則の説明など、客観性や公平性が求められる文脈でよく使われる。
- because of
『〜のために』を意味する句。『by virtue of』と同様に理由を表すが、しばしばネガティブな結果や状況の原因を示す。『by virtue of』がポジティブな結果や能力による影響を示すのに対し、対照的である。
語源
"By virtue of"は、中英語の"by vertu of"に由来し、さらに古フランス語の"par vertu de"を起源とします。ここで、"virtue"はラテン語の"virtus"(力、美徳、優れた性質)から来ており、男性的な強さや勇気を意味していました。この"virtus"は"vir"(男)という単語と関連があります。つまり、元々は男性が持つべき優れた能力や道徳的な力を指していました。それが転じて、一般的な美徳や長所、そして物事が持つ効力や性質を意味するようになりました。"By virtue of"全体としては、「〜の力によって」「〜の美徳によって」という文字通りの意味から、「〜のおかげで」「〜に基づいて」という意味合いに発展しました。日本語で例えるなら、「武士道精神によって」が、時を経て「武士道精神に基づいて」という意味に変化したようなものです。
暗記法
「by virtue of」は、中世騎士道物語に香る、身分や血統を重んじる社会で生まれた言葉。貴族が「称号によって」領民を治めるように、人が生まれ持った権利や特権、道徳的正当性によって何かを成し遂げる様を表します。シェイクスピア作品にも見られ、運命や行動原理を語る格調高い響きは、現代でも公式な場で、歴史と文化を背景にした重みを伝えます。
混同しやすい単語
「by virtue of」と「by way of」はどちらも「~によって」という意味合いを持ちますが、「by virtue of」は「~のおかげで、~の力で」という原因や理由を強調するニュアンスがあるのに対し、「by way of」は「~を経由して、~として」という意味で、手段や方法を表します。前置詞句としての機能は共通していますが、意味の焦点が異なるため、文脈によって使い分ける必要があります。また、発音も似ているため、注意が必要です。
「virtue」と「virtual」はスペルが似ており、どちらも「virt-」という語幹を含みますが、意味は大きく異なります。「virtue」は「美徳、長所」という意味の名詞であるのに対し、「virtual」は「仮想の、実質上の」という意味の形容詞です。発音も異なり、「virtue」は/ˈvɜːrtʃuː/、「virtual」は/ˈvɜːrtʃuəl/です。スペルの類似性から意味を混同しないように注意が必要です。
「virtue」と「worthy」は、どちらも人の価値や資質に関連する単語ですが、「virtue」は内面的・道徳的な美徳を指すのに対し、「worthy」は「価値がある、ふさわしい」という意味の形容詞です。したがって、「by virtue of」は「~の美徳によって」ではなく、「~の価値によって」と誤解される可能性があります。発音もスペルも異なりますが、意味の関連性から混同されることがあります。
「by virtue of」の「by」は前置詞で、場所、時間、手段など様々な意味を持ちます。「by」単体では「~のそばに」「~によって」といった意味で使われますが、「by virtue of」という句全体で「~の力で、~のおかげで」という意味になるため、単独の「by」の意味に引きずられないように注意が必要です。特に、文脈によっては「by」の基本的な意味と「by virtue of」の意味が混同される可能性があります。
「by virtue of」の「of」は、所有、所属、関係などを表す一般的な前置詞です。「of」自体には「~の」という意味しかありませんが、「by virtue of」という句全体で意味を成します。「of」の一般的な用法から、「by virtue of」全体の意味を推測するのは困難であり、句として覚える必要があります。
「Furthermore」は「さらに」という意味の接続副詞で、意味も品詞も全く異なりますが、「virtue」の語尾の曖昧な母音と、語尾の 'more' の響きが似ているため、音声的に混同する可能性があります。文章中で耳にした際に、どちらの単語であるかを正確に聞き分ける必要があります。
誤用例
「by virtue of」は「〜のおかげで」「〜によって」という意味で、良い結果や望ましい状況の原因を示す際に使われます。この例文では、努力の結果が風邪を引くという望ましくない状況なので、「〜にもかかわらず」を意味する「despite」を使うのが適切です。日本人は「〜のおかげで」を安易に「by virtue of」に置き換えてしまいがちですが、文脈が重要です。日本語の「おかげで」は皮肉として使われることもありますが、英語の「by virtue of」にはそのようなニュアンスはありません。
「by virtue of」は能力や特性、制度などによって何かを達成したことを示す際に使われます。血縁関係そのものではなく、父親の持つコネクションや影響力によってCEOになったというニュアンスを伝える場合は、「connections」のような間接的な要因を示す必要があります。「by virtue of his father's influence」のように、父親の「影響力」を直接示すことも可能です。日本人は「〜のおかげで」を家族関係に安易に適用しがちですが、英語ではより間接的な表現や、その人が持つ具体的な能力や特性に焦点を当てます。また、このような状況では、皮肉や批判的なニュアンスが含まれる場合もあるため、注意が必要です。
「by virtue of」は、ややフォーマルで硬い表現であり、契約書や法律文書、あるいは格調高い文章で使われることが多いです。日常会話や一般的なビジネスシーンでは、より自然な「because of」を使う方が適切です。日本人は、フォーマルな表現を好んで使う傾向がありますが、英語では状況や相手によって適切な表現を選ぶことが重要です。また、「by virtue of」は、自分の能力を強調するニュアンスが強いため、謙遜を美徳とする日本の文化とは少し相容れない部分もあります。
文化的背景
「by virtue of」は、単に「〜のおかげで」という意味以上の、ある種の権利や特権、あるいは道徳的な正当性に基づいて何かを成し遂げる、またはそうみなされるというニュアンスを含んでいます。中世の騎士道物語や、貴族社会における身分や血統の重要性を背景に理解すると、この言葉の持つ特別な響きがより深く理解できます。
中世ヨーロッパ社会では、身分制度が厳格に定められており、貴族は生まれながらに特定の権利や義務を持っていました。「by virtue of」は、まさにこのような社会構造の中で、人がその身分や地位、あるいは神から与えられたとされる才能や徳によって、当然のように何かを享受したり、行動したりすることを正当化する際に用いられました。例えば、騎士が「by virtue of his courage(彼の勇気によって)」敵を打ち破る、あるいは領主が「by virtue of his title(彼の称号によって)」領民を統治するといった具合です。このフレーズは、単なる原因と結果の関係を示すだけでなく、その行動や結果が、その人の持つ内的な価値や社会的な地位に根ざしていることを強調します。
文学作品においても、「by virtue of」は登場人物の行動原理や運命を説明する上で重要な役割を果たします。例えば、シェイクスピアの作品では、登場人物が自身の行動を正当化したり、運命を受け入れたりする際に、このフレーズがしばしば用いられます。これは、当時の人々が、個人の行動や運命を、単なる偶然ではなく、より大きな秩序や運命の一部として捉えていたことを反映しています。また、寓話や道徳的な物語では、「by virtue of」は、善行や美徳が最終的に報われることを示すために用いられることがあります。例えば、「by virtue of her kindness(彼女の優しさによって)」貧しい少女が幸せになる、といった展開は、道徳的な教訓を伝える上で効果的です。
現代社会においても、「by virtue of」は、法律や契約、あるいは組織の規則など、正式な根拠に基づいて何かを主張する際に用いられます。ただし、その響きには、どこか古風で格式ばったニュアンスが残っており、日常会話で頻繁に使われる表現ではありません。むしろ、公式な文書や演説、あるいは文学的な表現において、その効果を発揮します。この言葉を使うことで、単なる事実の羅列ではなく、その背景にある歴史や文化的な意味合いを伝えることができるのです。それは、私たちが先祖から受け継いだ価値観や社会構造を、言葉を通して再確認する行為とも言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題
- 頻度と級・パート: 準1級以上で出題される可能性あり。1級で頻出
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容や、社会問題に関する議論など
- 学習者への注意点・アドバイス: フォーマルな表現なので、日常会話での使用は稀。類義語の"because of"との使い分けを意識。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め), Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的よく見られる。高スコアを目指す上で重要な語彙
- 文脈・例題の特徴: ビジネス文書、契約書、ニュース記事など
- 学習者への注意点・アドバイス: "due to"や"owing to"など、類似表現との区別を明確にする。文法構造を理解することが重要。
- 出題形式: リーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学などの学術的な文章
- 学習者への注意点・アドバイス: 複雑な文章構造の中で使われることが多いので、文脈全体を理解する必要がある。パラフレーズ問題で問われる可能性も高い。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出
- 文脈・例題の特徴: 評論、説明文、物語など幅広いジャンルで使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。直訳に頼らず、文章全体の流れを把握する練習が必要。