born
この単語の母音 /ɔː/ は、日本語の『オ』よりも口を大きく開け、喉の奥から出すような音です。意識的に口を縦に開け、舌を少し下げて発音すると近づきます。/r/ の音は舌を丸めるように意識しますが、日本語の『ラ』行のように舌を歯茎に当てないように注意しましょう。最後の /n/ は、口を閉じて鼻から息を出す鼻音です。
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生まれつきの
生まれながらに持っている性質や才能を指す。後天的な要素よりも、元々備わっているというニュアンスが強い。例:a born leader(生まれながらのリーダー)
When my little brother organizes games, everyone listens; he is a born leader.
僕の弟がゲームを企画すると、みんなが耳を傾けるんだ。彼は生まれつきのリーダーだよ。
※ この例文は、弟さんが自然と周りの人をまとめ、みんながその指示に従う様子を描いています。「born leader(生まれつきのリーダー)」は、その人が天性のリーダーシップを持っていることを表す、とても一般的な表現です。このように「be動詞 + a born + 名詞」の形で、「生まれつきの~だ」と、人の才能や特性を褒める際によく使われます。
Our new puppy jumped into the lake and swam easily; he's a born swimmer.
うちの新しい子犬が湖に飛び込んで、楽々と泳いだんだ。生まれつきの泳ぎ手だね!
※ この例文では、新しい子犬が初めての水場でも臆することなく、まるでずっと泳いできたかのようにスイスイと泳ぐ姿が目に浮かびます。動物の「生まれつきの能力」や「本能的な行動」を表すのにぴったりの使い方です。「born swimmer(生まれつきの泳ぎ手)」のように、動詞から派生した名詞(swimmer)と組み合わせて、「生まれつきその行動が得意な人や動物」を表現できます。
She always makes people laugh with her stories; she's a born storyteller.
彼女が話す物語はいつもみんなを笑わせるんだ。生まれつきの語り部だね。
※ この例文は、彼女が話すたびに周りの人が楽しそうに笑っている、温かい雰囲気を感じさせます。特定の役割や職業において、その人が「天性の才能」を持っていることを褒める際によく使われる表現です。「born storyteller(生まれつきの語り部)」のように、「born」は「生まれつきの才能や性質」を表す形容詞として、名詞の前に置かれ、その人の特別な能力を強調します。
生来の
ある特定の場所や環境で生まれたこと、または特定の状態にあることを強調する。例:a born Parisian(生粋のパリっ子)
I was born in this old house, and I still remember the big apple tree in the garden.
私はこの古い家で生まれました。庭にあった大きなリンゴの木もまだ覚えています。
※ この例文は、自分の生まれた場所について、懐かしさを込めて語る場面を描写しています。「born」は「生まれる」という意味で、通常「be動詞 + born」の形で使われます。過去に生まれた出来事を話すので、多くの場合「was born」や「were born」のように過去形になります。ここでは、具体的な場所や思い出と結びつけることで、単語が記憶に残りやすくなりますね。
Early this morning, a tiny lamb was born on our farm, and it quickly stood up.
今朝早く、私たちの農場で小さな子羊が生まれ、すぐに立ち上がりました。
※ この文は、農場で新しい命が誕生する感動的な瞬間を表しています。「born」は人間だけでなく、動物が生まれる際にも同じように使われます。生まれたばかりの子羊がすぐに立ち上がる様子は、生命の力強さを感じさせ、鮮やかな情景が目に浮かびますね。これも「be動詞 + born」の典型的な使い方です。
After many hours, a beautiful new song was born from the musician's heart.
何時間も経って、ミュージシャンの心の中から美しい新曲が生まれました。
※ 「born」は、新しいアイデアや作品、文化などが「生まれる」「誕生する」という比喩的な意味でも使われます。この例文では、ミュージシャンが苦労して新しい歌を創作する様子を描写しており、単なる事実だけでなく、創造的な努力や感情が伝わってきます。このように、目に見えないものが「生まれる」という文脈でも自然に使える便利な単語です。
生まれる
受動態 (be born) でのみ使用。文字通り誕生したという意味の他に、比喩的に新しいものが現れたり、始まったことを表す場合にも使われる。例:A new era was born.(新しい時代が幕を開けた)
I was born in a small town surrounded by green mountains.
私は緑の山々に囲まれた小さな町で生まれました。
※ これは、自分がどこで生まれたかを伝える最も自然で典型的な表現です。故郷の風景が目に浮かびますね。「be born」の形で「生まれる」という意味になります。
A cute baby panda was born at the zoo last month.
先月、かわいい赤ちゃんパンダが動物園で生まれました。
※ 動物が生まれたことを伝える時にも「be born」を使います。この文からは、動物園で生まれたばかりのパンダが、みんなに愛されている様子が伝わってきますね。ニュースなどでもよく聞く表現です。
My sister was so happy when her baby was born safely.
妹は、赤ちゃんが無事に生まれたとき、とても幸せそうでした。
※ 新しい命の誕生は、家族にとって特別な瞬間です。この文では、妹さんが赤ちゃんを無事に出産し、その喜びをかみしめている様子が伝わります。「safely(無事に)」のような副詞を添えることで、より具体的な状況を表現できます。
コロケーション
特権階級に生まれる、恵まれた環境に生まれる
※ 社会経済的に有利な立場に生まれたことを指します。単に裕福な家庭に生まれただけでなく、教育、コネクション、機会など、人生のスタート地点からアドバンテージを持っている状況を意味します。皮肉や羨望のニュアンスを込めて使われることもあります。例えば、政治家や有名企業の経営者の家系に生まれた人に対して使われます。構文は "be born into + 名詞" で、階級や身分を表す名詞がよく用いられます。
必要に迫られて生まれた、必要性から生まれた
※ 何かが緊急の必要性や困難な状況から生まれたことを表す、やや文学的な表現です。新しい発明やアイデア、戦略などが、既存の方法では対応できない問題に対処するために生まれた場合に用いられます。例えば、「この革新的な技術は、資源不足という必要に迫られて生まれた」のように使われます。構文は "be born of + 名詞" で、抽象的な名詞(necessity, crisis, desperationなど)が用いられます。
生まれながらのリーダー
※ カリスマ性、決断力、指導力など、リーダーシップに必要な資質を生まれつき備えている人を指します。後天的な努力だけでなく、天性の才能を持っているというニュアンスが強調されます。ビジネス、政治、スポーツなど、様々な分野でリーダーシップを発揮する人に使われます。例えば、「彼は生まれながらのリーダーシップでチームを成功に導いた」のように使われます。 "born" は形容詞として機能し、後に続く名詞を修飾します。
生まれ変わった、改心した(キリスト教の文脈で)
※ キリスト教の用語で、イエス・キリストを受け入れることで霊的に新しい人生を始めることを意味します。比喩的に、過去の悪行や過ちを悔い改め、新しい生き方を始めることを指す場合もあります。政治家や有名人が過去の過ちを謝罪し、イメージチェンジを図る際に使われることがあります。例えば、「彼は刑務所での経験を通して生まれ変わった」のように使われます。 "born again" は形容詞として用いられ、名詞(Christianなど)を修飾することがあります。
幸運の星の下に生まれる、生まれつき運が良い
※ 占星術的な考え方に基づき、生まれた時に幸運をもたらす星の影響を受けていると信じられていることを意味します。生まれつき恵まれた環境や才能を持っている人、あるいは人生で幸運に恵まれることが多い人を指します。例えば、「彼女はいつもタイミングが良いから、幸運の星の下に生まれたんだね」のように使われます。 "born under + a/the + 形容詞 + star" の形で、形容詞によって運の良さを具体的に表現することができます。
生年月日
※ 個人を特定するための基本的な情報の一つで、公的な書類や申請書などで頻繁に使用されます。口語的な表現ではなく、フォーマルな場面で用いられることが多いです。例えば、パスポートや運転免許証などの身分証明書に記載されています。 "date of birth" は名詞句として用いられ、"DOB" と略されることもあります。
死産
※ 妊娠期間中に胎児が死亡し、出産時に生存していない状態を指す医学用語です。感情的に非常にデリケートな話題であり、使用には注意が必要です。医療関係者や研究者が使用することが多いですが、一般の人が使用する際は、相手への配慮が求められます。 "stillborn" は形容詞として用いられ、"stillborn baby" のように名詞を修飾します。
使用シーン
学術論文や教科書で、「生まれる、生じる」といった意味で使われます。例えば、歴史学の研究で「~という概念が〇〇時代に生まれた」と記述したり、生物学で「~という特性を持って生まれた」と表現したりする際に用いられます。フォーマルな文体で、客観的な事実を述べる際に適しています。
ビジネスシーンでは、人の能力や特性について言及する際に、ややフォーマルな文脈で使われることがあります。例えば、人事評価において「彼は生まれつきのリーダーシップを持っている」と記述したり、市場分析で「新たなニーズが生まれた」と表現したりすることが考えられます。日常会話よりは、報告書やプレゼンテーション資料などで見かけることが多いでしょう。
日常会話では、「生まれた」という意味で頻繁に使われます。例えば、「私は〇〇で生まれました」と自己紹介したり、「息子が生まれました」と報告したりする際に用います。また、「生まれつき」という意味で、「彼女は生まれつきの才能を持っている」のように使うこともあります。ニュースや物語などでもよく見かける表現です。
関連語
類義語
- created
『創造された』という意味。芸術作品、アイデア、組織など、何かが新しく作り出された状況で使われる。ビジネス、芸術、科学など幅広い分野で使用。 【ニュアンスの違い】『born』は自然発生的な誕生を指すことが多いのに対し、『created』は意図的な創造行為を強調する。また、『born』は生命の誕生に限定されるが、『created』は無生物にも適用可能。 【混同しやすい点】『born』は受動態で使われることが多いが、『created』は能動態でも受動態でも使われる。また、『born』は人間や動物にしか使えないが、『created』は抽象的な概念にも使える。
- originated
『起源を持つ』という意味。アイデア、習慣、製品などがどこから始まったのかを示す際に使用される。歴史、文化、ビジネスの文脈でよく見られる。 【ニュアンスの違い】『born』が個体の誕生を指すのに対し、『originated』は物事の起源や発祥に焦点を当てる。また、『originated』は時間的な経過や発展の過程を含むことが多い。 【混同しやすい点】『born』は生物にしか使えないが、『originated』は無生物や抽象的な概念にも使える。『originated』は自動詞としても他動詞としても使用可能だが、受動態で使われることが多い。
- emerged
『出現した』『現れた』という意味。隠れていたものが表面に出てくる状況を表す。政治、社会、科学など、広範な分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『born』が生命の誕生を指すのに対し、『emerged』は存在していなかったものが現れるというニュアンスを持つ。また、『emerged』は徐々に現れる様子を表すことが多い。 【混同しやすい点】『born』は受動態で使われることが多いが、『emerged』は自動詞として使われる。主語は必ずしも具体的なものではなく、抽象的な概念も主語になりうる。
『発達した』『発展した』という意味。時間とともに成長・進化するプロセスを表す。技術、経済、個人の能力など、様々な対象に使用できる。 【ニュアンスの違い】『born』がある時点での誕生を指すのに対し、『developed』は継続的な成長や発展の過程を強調する。また、『developed』は意図的な努力や計画が含まれることが多い。 【混同しやすい点】『born』は生物にしか使えないが、『developed』は無生物や抽象的な概念にも使える。『developed』は自動詞としても他動詞としても使用可能。
- derived
『由来する』という意味。あるものが別のものから派生したり、影響を受けたりしていることを示す。語源、法律、科学の分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『born』が生命の誕生を指すのに対し、『derived』は抽象的な概念やアイデアがどこから来たのかを説明する際に使用される。また、『derived』は論理的なつながりや根拠を示すことが多い。 【混同しやすい点】『born』は生物にしか使えないが、『derived』は無生物や抽象的な概念にも使える。『derived』は通常、受動態で使用され、『from』を伴う。
- inaugurated
『開始された』『始まった』という意味。新しいプロジェクト、制度、時代などが公式に始まる状況を表す。政治、ビジネス、歴史の文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『born』が個人の誕生を指すのに対し、『inaugurated』はより大規模な、公式な開始を意味する。また、『inaugurated』は式典やイベントを伴うことが多い。 【混同しやすい点】『born』は生物にしか使えないが、『inaugurated』は無生物や抽象的な概念にも使える。『inaugurated』は他動詞として使用され、受動態でも能動態でも使われる。
派生語
『誕生』を意味する名詞。bornの動詞形であるbear(産む)から派生し、行為そのものではなく、結果としての『誕生』という状態を表す。日常会話から公的な文書まで幅広く使用される基本的な語彙。
『生まれたばかりの』という意味の形容詞。new(新しい)とbornの複合語で、生まれた直後の状態を強調する。主に赤ちゃんや動物など、生命が誕生したばかりの状況を表す際に用いられる。医学や育児関連の文脈で頻出。
- reborn
『生まれ変わった』『再生した』という意味の形容詞または過去分詞。接頭辞re-(再び)がbornに付くことで、物理的な誕生だけでなく、比喩的に精神的な再生や刷新を表す。宗教、自己啓発、ビジネスなど幅広い分野で使用され、ポジティブな変化や新たなスタートを意味する。
反意語
『死ぬ』という意味の動詞。bornが誕生という生命の始まりを表すのに対し、dieは生命の終焉を表す。日常会話から学術的な議論まで、あらゆる文脈で使用される基本的な語彙。比喩的に、物事の終焉や消滅を表すこともある。
『故人』『亡くなった』という意味の形容詞または名詞。dieの過去分詞形であり、よりフォーマルな場面や法的な文脈で使用されることが多い。例えば、死亡記事や遺産相続の手続きなどで用いられる。直接的な表現を避け、婉曲的に死を表現する際にも用いられる。
『絶滅した』という意味の形容詞。生命の系統が完全に途絶えた状態を表し、bornが生命の誕生や存在を示唆するのとは対照的である。主に生物学や環境科学の分野で使用され、特定の種や文化が地球上から姿を消した状況を指す。比喩的に、才能やアイデアが完全に失われた状態を表すこともある。
語源
"born"は、古英語の「boren」(生まれる、生じる、運ぶ)に由来します。これはさらに、ゲルマン祖語の「*beranan」(運ぶ、産む)に遡り、最終的にはインド・ヨーロッパ祖語の語根「*bher-」(運ぶ、産む)にたどり着きます。つまり、「born」の根底には「運ばれる」という概念があり、母親が子を「運び」、そして「産む」というイメージが込められています。日本語で例えるなら、「身ごもる」という言葉が近いかもしれません。この語根は、英語の「bear」(クマではなく、運ぶの意味)、「burden」(重荷)、「ferry」(渡し船)など、多くの単語と共通の祖先を持ちます。これらの単語が示すように、何かを支え、運び、生み出すという根本的な意味合いが「born」という単語にも息づいているのです。
暗記法
「born」は単なる誕生に留まらず、運命の始まりを告げる言葉。銀の匙をくわえて生まれる境遇もあれば、野性的な生き方を宿命づけられる場合も。才能もまた「born」で語られ、生まれ持った音楽家やリーダーが存在します。近年では「born this way」という表現が、自己肯定のメッセージとして多様性を象徴します。出自、運命、才能、自己肯定…「born」は、それら全てを内包する、文化的に重層的な言葉なのです。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特にアメリカ英語では 'born' と 'burn' の母音の違いが曖昧になることがあります。'burn' は『燃える』という意味の動詞であり、名詞としても使われます。'born' は受動態で使われることが多い形容詞的な用法であるため、文脈で判断することが重要です。発音記号を確認し、意識的に発音を区別する練習をしましょう。
'born' の過去分詞形であり、意味も近い(『運ばれた』、『耐えた』など)。ただし、'born' は『生まれる』という意味に限定されるのに対し、'borne' はより広い意味を持ちます。スペルが非常に似ているため、文脈と文法的な役割を理解することが不可欠です。例えば、『She was born in Japan.』と『The ship has borne many passengers.』のように使い分けます。
発音が似ており、特に語尾の子音がない場合('bon' のように聞こえる場合)は混同しやすいです。'bone' は『骨』という意味の名詞であり、意味は全く異なります。'born' は通常、受動態の文脈で使用されるため、文の構造を理解することで区別できます。'bone' は名詞として文の主語や目的語になることが多いです。
発音記号は異なりますが、日本語話者には母音の区別が難しく、'born' と 'barn' の区別があいまいになりがちです。'barn' は『納屋』という意味の名詞であり、意味は全く異なります。特に会話では、前後の文脈から判断することが重要です。'born' は人や動物が『生まれる』文脈で使われるのに対し、'barn' は農場に関連する文脈で使われます。
発音が似ており、特に早口で話される場合は聞き間違えやすい可能性があります。'porn' はポルノグラフィーの略であり、意味は全く異なります。フォーマルな会話ではまず出てこない単語ですが、映画やドラマなどでは耳にする機会があるかもしれません。文脈をよく聞き、間違えないように注意しましょう。
スペリングに共通する部分があり('b' + 母音 + 'm')、発音も若干似ているため、視覚的・聴覚的に混同しやすいかもしれません。'balm' は『鎮痛剤』や『香油』という意味の名詞であり、意味は全く異なります。'born' は通常、受動態の文脈で使用されるため、文の構造を理解することで区別できます。語源的には、'balm' は古代ギリシャ語に由来し、心地よい香りを持つ植物を指していました。
誤用例
多くの日本人が、受動態の動詞にedを付けてしまいがちです。これは、日本語の『〜される』という受動態の形に引きずられ、過去分詞形を意識しなくなるためです。'born' は 'bear'(産む)の過去分詞であり、それ自体が受動的な意味を含んでいるため、'borned' という形は文法的に誤りです。英語の受動態は、助動詞 + 過去分詞という基本構造を理解することが重要です。ちなみに、'bear'の過去形は'bore'です。
'born to be' は『〜として生まれてきた』という直訳的な意味合いが強く、運命的なニュアンスを強調しすぎる場合があります。英語では、より自然に『〜になる運命だった』という表現には 'destined to be' が適しています。'born to be' は、例えば、特定の才能を持って生まれたことを強調する場合(例:'She was born to be a singer.' 彼女は歌手になるべくして生まれた)には適切ですが、将来の職業や役割について述べる場合は 'destined to be' の方がより自然な響きになります。日本人が『〜になるために生まれてきた』という表現を安易に英語に直訳しようとする際に起こりやすい誤用です。
'born' は基本的に人や動物の誕生に使われます。アイデアや概念が生まれたことを表現する場合、'originate', 'stem', 'arise' などの動詞を使う方が適切です。日本語の『〜が生まれた』という表現をそのまま英語に当てはめようとすると、このような誤りが生じやすくなります。英語では、無生物の発生にはより抽象的な動詞を用いるのが一般的です。文化的な背景として、英語はより具体性と正確さを重視する傾向があり、抽象的な概念を表現する際には、その概念に特化した動詞を選ぶことが重要です。
文化的背景
「born」は単に誕生という事実を示すだけでなく、運命、才能、階級、そしてアイデンティティの始まりを告げる言葉として、文化的に深い意味合いを持ちます。人は何を持って生まれ、何者として生きていくのか、という根源的な問いと密接に結びついているのです。
「born」は、個人の出自や運命を語る上で重要な役割を果たします。例えば、「born with a silver spoon in one's mouth(銀の匙をくわえて生まれる)」という表現は、裕福な家庭に生まれた恵まれた境遇を指し示します。これは、社会階層が固定されていた時代背景を反映しており、生まれた場所や家柄がその後の人生を大きく左右することを暗示しています。また、「born to be wild(生まれながらの野性)」というフレーズは、自由奔放で既存の枠組みに囚われない生き方を象徴し、反体制的な精神やアウトローのイメージと結びついています。文学作品や映画では、主人公が自身の出自や運命に翻弄されながらも、自己を確立していく物語が数多く描かれており、「born」はそうした物語の出発点として重要な意味を持ちます。
さらに、「born」は才能や能力と結びつけて使われることもあります。「born musician(生まれながらの音楽家)」や「born leader(生まれながらのリーダー)」といった表現は、努力や学習だけでは得られない、天賦の才能を持つ人物を指します。これは、才能が遺伝的な要素によって決定されるという考え方に基づいている一方で、努力によって才能を開花させることの重要性も示唆しています。近年では、個人の多様性を尊重する考え方が広まり、「born this way(ありのままの自分で生まれてきた)」という表現が、性的マイノリティや障害を持つ人々を中心に、自己肯定のメッセージとして広く用いられています。この表現は、社会的な偏見や差別を乗り越え、自分らしさを大切にすることの重要性を訴えかけています。
このように、「born」は単なる誕生という事象を超えて、運命、才能、アイデンティティ、そして社会的な文脈と深く結びついた言葉です。私たちが「born」という言葉を使うとき、そこには、個人の出自や運命に対する期待、社会的な階層意識、そして自己肯定のメッセージが込められているのです。この言葉の背後にある文化的背景を理解することで、私たちは、より深く英語を理解し、人間や社会に対する洞察を深めることができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。特に長文読解でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 様々なトピックで出題されるが、伝記や歴史的な文脈で「~に生まれる」という意味で使用されることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 受動態の形(be born)で使われることがほとんど。「bear(産む)」との関連を理解しておく。派生語の「newborn(新生児)」も覚えておくと役立つ。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 比較的頻度は低いが、ビジネス関連の伝記や企業の歴史に関する文章で登場することがある。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの人物紹介や会社の沿革などで、「~の家に生まれる」「~の才能を持って生まれる」といった意味合いで使われることがある。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEICでは、直接的な語彙知識よりも、文脈から意味を推測する能力が重要。類義語の「originate(起源を持つ)」などとの区別を意識する。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻繁に登場。特に歴史、社会科学、生物学などの分野でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 特定の地域や時代、社会階層に「生まれる」という文脈や、抽象的な概念(例えば「~の必要性が生まれる」)に関連して使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEFLでは、文脈理解が非常に重要。「be born of/from」のような前置詞との組み合わせや、比喩的な用法を理解しておくことが大切。
- 出題形式: 長文読解、英作文
- 頻度と級・パート: 頻出単語。難関大学ほど、高度な文脈理解が求められる。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで登場。「~として生まれる」「~の環境に生まれる」など、多様な意味合いで使用される。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、文脈に応じた柔軟な解釈が必要。比喩表現や抽象的な意味合いでの使用例も学習しておく。英作文では正確な文法で使用できるように練習する。