tacit
第一音節にアクセントがあります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を少し大きく開けて発音します。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも曖昧で弱く、口をあまり開けずに発音するのがコツです。最後の 't' は破裂音なので、息をしっかり出すように意識しましょう。
暗黙の
言葉に出さずとも了解されている、あるいは当然のこととされている状態を表す。契約や合意、了解事項など、明示的な表現がなくても関係者の間で共通認識がある状況で使われる。
My brother and I had a tacit understanding not to tell Mom about the broken cookie jar.
私と兄は、割れたクッキージャーのことをお母さんに言わないという暗黙の了解がありました。
※ 子供の頃、何か秘密を共有するような、言葉にしない約束の場面です。お互いの目を見て「言わないでおこう」と通じ合ったような情景が目に浮かびます。「tacit understanding」は「暗黙の了解」という意味で非常によく使われる表現です。
His quiet nod was a tacit approval of my new idea in the meeting.
会議での彼の静かなうなずきは、私の新しいアイデアに対する暗黙の承認でした。
※ 会議で新しいアイデアを提案した際、相手が何も言わずに、ただ静かにうなずくことで同意を示してくれた場面です。言葉にしなくても、その仕草から相手の気持ちが伝わることがあります。「tacit approval」は「暗黙の承認」という意味で、ビジネスシーンなどでも自然に使えます。
There was a tacit agreement among the friends to meet every Saturday for coffee.
友人たちの間には、毎週土曜にコーヒーを飲みに集まるという暗黙の合意がありました。
※ 特に話し合って正式に決めたわけではないけれど、自然とみんなが毎週土曜に集まるようになった、というような状況です。誰かが言い出すわけでもなく、みんなが同じように考えて行動する、という「暗黙の合意」が伝わります。「tacit agreement」も「暗黙の合意」として日常的によく使われる表現です。
無言の
感情や思考が言葉で表現されず、態度や行動で示される様子。非言語的なコミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。
Everyone in the meeting had a tacit understanding that the project would be delayed.
会議室にいた全員が、プロジェクトが遅れることについて暗黙の了解を持っていました。
※ この例文は、会議室で誰も口には出さないけれど、参加者全員が「ああ、これは遅れるな」と雰囲気で感じているような状況を表しています。このように、言葉にしなくても皆が分かり合っている「暗黙の了解」を表現する際に、'tacit understanding'(暗黙の理解)という形でよく使われます。
My parents had a tacit agreement that Dad would always drive on long trips.
両親の間には、長い旅行ではいつも父が運転するという暗黙の了解がありました。
※ 家族や親しい関係の中で、特に話し合わなくても自然と決まっているルールや習慣があることってありますよね。この例文では、誰も言わないのに「お父さんが運転席に座る」という暗黙の取り決めがある様子を描いています。'tacit agreement'(暗黙の合意)も非常によく使われる組み合わせです。
When she suggested the new idea, he gave a tacit nod, showing his quiet approval.
彼女が新しいアイデアを提案した時、彼は静かにうなずき、暗黙の承認を示しました。
※ 「tacit」は「無言の」という意味ですが、単に話さないだけでなく、「言葉なしで伝わる、あるいは示される」というニュアンスが強いです。この例文では、言葉で「いいよ」とは言わず、静かにうなずくことで「承認」を示している場面を描いています。'tacit nod'(無言のうなずき)は、非言語的なコミュニケーションで同意や承認を示す典型的な表現です。
コロケーション
暗黙の合意、黙諾
※ 言葉に出さずとも、行動や態度から推測できる合意を指します。ビジネスシーンで、特に交渉や契約において、明示的な文書にはないものの、関係者の間で了解されている事項を指す際に使われます。例えば、プロジェクトの進め方について、正式な会議で決定されなかったものの、関係者が共通認識を持っている場合などが該当します。 'tacit' は『暗黙の』という意味で、 'agreement' は『合意』。この組み合わせは、書面や言葉による確認がなくても、事実上合意が成立している状況を表すのに適しています。
暗黙知
※ 経験や勘に基づいており、言葉で明確に表現することが難しい知識を指します。経営学や心理学の分野でよく用いられる言葉で、例えば、熟練した職人の技術や、長年の経験によって培われたノウハウなどが該当します。明文化されたマニュアルだけでは伝わらない、身体的な感覚や直感に基づいた知識です。 'tacit' は『暗黙の』、 'knowledge' は『知識』。この組み合わせは、形式知(explicit knowledge)と対比される概念として重要です。
暗黙の承認、黙認
※ 明示的な許可や賛成の言葉はないものの、反対しないことによって示される承認を指します。政治や組織運営において、特に議論を避けたい場合や、責任を曖昧にしたい場合に用いられることがあります。例えば、上司が部下の提案に対して特に何も言わなかった場合、それは暗黙の承認と解釈されることがあります。 'tacit' は『暗黙の』、 'approval' は『承認』。積極的に賛成するわけではないが、黙って認めるというニュアンスを含みます。
暗黙の了解、言わずもがなの理解
※ 言葉に出さなくても、お互いに理解し合っている状態を指します。人間関係や社会生活において、特に親しい間柄や、共通の文化や価値観を持つ人々の間でよく見られます。例えば、長年連れ添った夫婦の間で、言葉にしなくても相手の気持ちが分かるような状態が該当します。 'tacit' は『暗黙の』、 'understanding' は『理解』。明示的なコミュニケーションがなくても、意図や感情が伝わることを意味します。
暗黙の前提、無言の仮定
※ 議論や行動の根底にある、明示的には述べられていない仮定を指します。論理的な思考や問題解決において、この暗黙の前提を意識することが重要になります。例えば、「人は合理的に行動する」という仮定は、経済学の多くのモデルで暗黙の前提となっています。 'tacit' は『暗黙の』、 'assumption' は『仮定』。意識されないままに、議論や結論に影響を与える可能性のある仮定を指します。
暗黙の同意
※ 明示的な同意はないものの、行動や態度から同意していると解釈されることを指します。法的な文脈や倫理的な議論において、特に重要な意味を持ちます。例えば、ある人が異議を唱えずに会議に参加し続けた場合、会議の決定事項に暗黙の同意を与えたと見なされることがあります。 'tacit' は『暗黙の』、 'consent' は『同意』。積極的な賛成ではないが、反対しないことで同意したとみなされる状況を表します。
使用シーン
学術論文や研究発表で、特に社会科学や心理学の分野でよく見られます。例えば、「暗黙の了解(tacit agreement)が形成されるプロセスを分析する」といった文脈で使用されます。また、知識の伝承に関する研究で、「暗黙知(tacit knowledge)」という概念を説明する際にも頻繁に用いられます。学生が論文を読む際に遭遇する可能性は高いでしょう。
ビジネスシーンでは、契約書や報告書などのフォーマルな文書で使われることがあります。「暗黙の合意(tacit consent)」や「暗黙の了解(tacit understanding)」といった表現で、明示的な合意はないものの、事実上同意している状況を示す際に用いられます。日常的な会話よりは、会議の議事録や法務関連の書類で目にする機会が多いでしょう。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、政治的な駆け引きや国際関係を説明する際に「暗黙のルール(tacit rule)」といった表現で用いられることがあります。例えば、「大国間の暗黙の了解により、紛争が回避された」といった文脈で使われます。一般的には、やや硬い印象を与える言葉なので、日常会話で積極的に使う必要はないでしょう。
関連語
類義語
『暗黙の』『内在的な』という意味で、明示的には表現されていないものの、ほのめかされている、または当然のこととして理解されている状況を指します。学術的な文脈や、契約、ルール、合意など、より形式ばった状況で使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】『tacit』が行動や合意に基づいた暗黙の了解を指すのに対し、『implicit』は、より広く、状況や性質に内在する、あるいは論理的に必然的に伴う暗黙の了解を指します。例えば、『implicit bias』(暗黙の偏見)のように使われます。 【混同しやすい点】『implicit』は、明示的に述べられていないものの、論理的に推論できる、または必然的に伴うという意味合いが強いのに対し、『tacit』は、言葉に出さなくても理解されている、または合意されているというニュアンスがあります。また、『implicit』は名詞の前に置かれる形容詞としてよく用いられます(例:implicit agreement, implicit assumption)。
- understood
『理解されている』という意味で、言葉に出さなくても、関係者の間で共通認識がある状態を指します。日常会話でよく使われ、フォーマルな場面でも使用可能です。 【ニュアンスの違い】『tacit』が暗黙の合意や了解を意味するのに対し、『understood』は単に理解されている状態を指します。『tacit』は、しばしば明示的なコミュニケーションを避ける意図が含まれるのに対し、『understood』にはそのような含みはありません。 【混同しやすい点】『understood』は過去分詞であり、通常はbe動詞とともに使用されます(例:It is understood that...)。『tacit』は形容詞であり、名詞を修飾します(例:tacit agreement)。また、『understood』は、文脈によって様々な意味合いを持ちますが、『tacit』は常に『暗黙の』という意味に限定されます。
- unspoken
『口に出されない』という意味で、言葉にはされないものの、感情や考えが伝わっている状態を指します。日常会話や文学作品でよく使用され、感情的なニュアンスを含むことが多いです。 【ニュアンスの違い】『tacit』が合意や了解に基づいた暗黙の了解を指すのに対し、『unspoken』は感情や考えなど、より個人的な領域における暗黙の了解を指します。また、『unspoken』は、しばしば言葉にすることが難しい、またはタブーとされている事柄を指すことがあります。 【混同しやすい点】『unspoken』は、文字通り『口に出されていない』という意味合いが強く、必ずしも合意や了解を意味するとは限りません。例えば、『unspoken feelings』(言葉にされない感情)のように使われます。一方、『tacit』は、合意や了解が前提となっている点が異なります。
- unexpressed
『表現されていない』という意味で、感情、考え、意見などが表に出されていない状態を指します。心理学や文学などの分野でよく使用され、内面的な状態を表すのに適しています。 【ニュアンスの違い】『tacit』が行動や合意に基づいた暗黙の了解を指すのに対し、『unexpressed』は、より個人的な感情や考えが表現されていない状態を指します。『tacit』は、関係者間の共通認識を前提とするのに対し、『unexpressed』は必ずしもそうではありません。 【混同しやすい点】『unexpressed』は、単に表現されていないという事実を述べるのに対し、『tacit』は、暗黙の了解や合意が存在することを示唆します。例えば、『unexpressed anger』(表現されていない怒り)のように使われます。また、『unexpressed』は、否定的な感情や考えに対して使われることが多いです。
- implied
『暗示された』という意味で、直接的には述べられていないものの、ほのめかされている、または推測できる状態を指します。日常会話からビジネスまで幅広く使われ、文脈によって様々な意味合いを持ちます。 【ニュアンスの違い】『tacit』が暗黙の合意や了解を指すのに対し、『implied』は、より間接的に、または文脈から推測されるという意味合いが強いです。『tacit』は、関係者間で共通認識があることを前提とするのに対し、『implied』は必ずしもそうではありません。 【混同しやすい点】『implied』は過去分詞であり、通常はbe動詞とともに使用されます(例:It is implied that...)。また、『imply』(暗示する)という動詞が存在し、混同しやすいです。一方、『tacit』は形容詞であり、名詞を修飾します(例:tacit knowledge)。『implied』は、文脈によって様々な意味合いを持ちますが、『tacit』は常に『暗黙の』という意味に限定されます。
- assumed
『当然のことと見なされる』という意味で、証拠がないにもかかわらず、真実であると想定される状態を指します。日常会話やビジネスシーンでよく使われ、仮定や前提を述べる際に用いられます。 【ニュアンスの違い】『tacit』が暗黙の合意や了解を指すのに対し、『assumed』は、個人的な仮定や前提に基づいて判断されるという意味合いが強いです。『tacit』は、関係者間で共通認識があることを前提とするのに対し、『assumed』は個人的な認識に基づきます。 【混同しやすい点】『assumed』は過去分詞であり、通常はbe動詞とともに使用されます(例:It is assumed that...)。また、『assume』(仮定する)という動詞が存在し、混同しやすいです。一方、『tacit』は形容詞であり、名詞を修飾します(例:tacit approval)。『assumed』は、しばしば根拠のない仮定を指すのに対し、『tacit』は、根拠がある、または経験に基づいた暗黙の了解を指します。
派生語
『口数が少ない』という意味の形容詞。『tacit』同様、何かを言わずに内に秘めている様子を表すが、より控えめで遠慮がちなニュアンスを含む。日常会話や文学作品で使われる。
『無口な』という意味の形容詞。『tacit』が状態を表すのに対し、『taciturn』は性格を表すことが多い。フォーマルな場面でも使用される。
- tacitness
『暗黙の了解であること』を意味する名詞。学術論文やビジネス文書で、明言されていないが共有されている認識や合意を示す際に用いられる。
反意語
『明白な』『明示的な』という意味の形容詞。『tacit』が暗黙の了解や間接的な表現を指すのに対し、『explicit』は直接的で疑いの余地がない表現を指す。契約書などの法的文書で頻繁に使用される。
『公然の』『明白な』という意味の形容詞。『tacit』が隠された状態を意味するのに対し、『overt』は隠すことなく公にされている状態を指す。行動や意図が隠されていないことを強調する際に用いられる。
『明確に表現する』という意味の動詞。名詞としては『急行』の意味もあるが、ここでは動詞としての用法に着目する。『tacit』が言葉に出さないことを意味するのに対し、『express』は言葉や態度で明確に意思を伝えることを意味する。ビジネスや日常会話で広く使われる。
語源
「tacit」はラテン語の「tacitus」(黙っている、静かな)に由来します。これは「tacēre」(黙る、静かにする)の過去分詞形です。さらに遡ると、インド・ヨーロッパ祖語の語根である「*tak-」(静かにする、黙る)にたどり着きます。つまり、「tacit」は、言葉に出さない、明言しないという概念を根本的に含んでいます。日本語で例えるなら、「以心伝心」のような、言葉を介さずとも通じ合うニュアンスに近いでしょう。表面的なコミュニケーションではなく、背後にある了解事項や共通認識を指す言葉として、その静けさの中に意味が込められているのです。
暗記法
「tacit(暗黙の)」は、社会の結束を支える見えない糸。職人技の世界では、言葉を超えた身体的な感覚が「暗黙知」として共有され、組織論でも重視されます。また、社会規範やタブーを背景に、表面的な調和を保つ役割も。文学では、語られない過去を暗示し、読者の想像力を刺激します。文化によって解釈が異なり、協調性や曖昧さと見なされることも。コミュニケーションの複雑さを理解する鍵となる言葉です。
混同しやすい単語
『tacit』と『tactic』は、最初の2音節が同じであり、発音が非常に似ているため混同しやすいです。特に、語尾の子音 't' の有無に注意が必要です。『tactic』は名詞で『戦術、策略』という意味であり、ビジネスや軍事の文脈でよく使われます。意味も品詞も異なるため、文脈で判断することが重要です。語源的には、『tactic』はギリシャ語の『taktikos』(配置する、整列させる)に由来し、軍隊の配置から戦術という意味に発展しました。発音記号を確認し、語尾の 't' を意識して発音練習すると良いでしょう。
『taciturn』は『tacit』と語源的に関連があり、どちらもラテン語の『tacitus』(黙っている)に由来します。しかし、『taciturn』は形容詞で『無口な、口数の少ない』という意味であり、人の性格を表す際に使われます。『tacit』は『暗黙の、黙示の』という意味で、合意や了解などが明示的でないことを指します。意味が似ているため、文脈をよく理解し、品詞の違いに注意する必要があります。また、『taciturn』のほうが音節が多く、発音が長くなることを意識すると区別しやすくなります。
『acid』は『酸』という意味で、『tacit』とはスペルも発音も大きく異なりますが、最初の2文字 'ac' が共通しているため、視覚的に混同する可能性があります。特に、急いで読んでいるときや、タイプミスなどで間違えやすいです。意味は全く異なるため、文脈を注意深く読むことが重要です。化学や料理など、特定の分野では頻繁に使われる単語なので、しっかりと区別できるようにしましょう。語源的には、ラテン語の『acidus』(酸っぱい)に由来します。
『tacit』を早口で発音すると、特にネイティブでない学習者は『test it』のように聞こえることがあります。これは、英語のリンキング(音がつながる現象)によって、単語の区切りが不明瞭になるためです。『test it』は『それをテストする』という意味で、動詞と代名詞の組み合わせです。文脈によっては意味が通じることもありますが、正確なコミュニケーションのためには、発音を意識し、文脈で判断する必要があります。特に、IT関連の話題では『test it』が出てくる可能性が高いため、注意が必要です。
『ticket』は『切符、入場券』という意味で、『tacit』とはスペルも発音も異なりますが、最初の2音節の音の響きがいくらか似ているため、特に会話の中で聞き間違える可能性があります。また、どちらも2音節の単語であることも混同を招く一因です。文脈をよく聞き、意味の違いを理解することが重要です。『ticket』は、映画やコンサート、交通機関など、特定の場所やイベントへの参加に関連する単語であるため、文脈から判断しやすいでしょう。
『taxed』は『税金を課された』という意味の動詞『tax』の過去形または過去分詞です。『tacit』と『taxed』は、語尾の 't' の音が共通しているため、発音の際に混同しやすい可能性があります。特に、過去分詞として使われる場合、文脈によっては『tacit』と音が似ているように聞こえることがあります。意味は全く異なるため、文脈を注意深く読むことが重要です。『taxed』は、経済や財政に関する話題でよく使われる単語です。
誤用例
「tacit」は『暗黙の』という意味ですが、『明示されていない』というニュアンスが重要です。契約書は明示的な合意を記録するものであり、『暗黙の合意が契約書に書かれている』というのは自己矛盾しています。日本人は『暗黙の了解』という言葉を『合意』という結果に強く結びつけがちですが、英語の「tacit」は、合意に至るプロセスが明示的でないことに焦点を当てます。契約書のようなフォーマルな場面では、明示的に記述されていない合意はそもそも合意として認められない可能性もあります。
「tacit」は『暗黙の』という意味ですが、感謝の気持ちを伝える行為(thank you)と組み合わせると不自然です。感謝は言葉や態度で明示的に伝えることが一般的であり、「tacit thank you」は皮肉や不満のニュアンスを含む可能性があります。日本人は『以心伝心』のような、言葉に出さなくても気持ちが通じることを美徳とする文化がありますが、英語圏では、特にビジネスやフォーマルな場面では、感謝の気持ちは明確に伝えることが重要です。ここでは、より自然な表現として「subtle nod of gratitude(さりげない感謝の頷き)」を使用しました。
「tacit」はややフォーマルで、法律や合意など、ある程度の公式な状況で使用されることが多い単語です。給与の話をしないという「ルール」は、公式なものではなく、慣習や雰囲気によって自然に発生したものである場合が多いです。したがって、より口語的な「unspoken」を使う方が適切です。日本人が「暗黙のルール」という言葉を使うとき、そのルールが持つ拘束力や影響力を強調することがありますが、英語では、ルールの性質(公式か非公式か)によって適切な単語を選ぶ必要があります。また、日本語の「暗黙の〜」を安易に「tacit」と翻訳するのではなく、文脈に応じて「unspoken」、「implied」、「understood」などの類義語を検討することが重要です。
文化的背景
「tacit(暗黙の)」は、言葉に出さずとも共有される理解や合意を指し、しばしば社会の結束を支える見えない糸として機能します。特に、形式的なルールが少ない状況や、言葉にすることが憚られるような微妙な人間関係において、その重要性が際立ちます。
「tacit」が文化的に重要な意味を持つのは、それが明示的なコミュニケーションの限界を示すからです。たとえば、伝統的な職人技の世界では、師匠から弟子へ技術が伝えられる際、言葉による説明だけでは不十分な、身体的な感覚や微妙なコツが「暗黙の了解」として共有されます。これは、長年の経験を通じて培われた知識であり、言語化することが難しいからこそ、共に時間を過ごし、観察し、模倣することによってのみ習得できるものです。このような「tacit knowledge(暗黙知)」は、組織論や経営学においても重視され、形式的なマニュアル化が困難なノウハウの伝承において重要な役割を果たします。
また、「tacit」は、社会的な規範やタブーに関連して用いられることもあります。例えば、あるコミュニティにおいて、特定の話題について言及することが避けられる場合、それは「tacit agreement(暗黙の合意)」として機能し、表面的な調和を保つために役立ちます。しかし、このような「暗黙の了解」は、時に不正や差別を隠蔽する役割も果たすため、批判的な視点も必要です。文学作品においては、「tacit」は登場人物間の微妙な感情や、語られない過去の出来事を暗示するために用いられ、読者の想像力を刺激します。例えば、ある家族の物語において、過去の出来事が「tacitly understood(暗黙のうちに理解されている)」と描写されることで、読者はその出来事の重さや影響を想像し、物語に深みを与えることができます。
さらに、「tacit」は、文化的な背景や価値観によって解釈が異なる場合があります。ある文化においては、「tacit agreement」が尊重され、協調性を重視する姿勢として評価される一方で、別の文化においては、率直なコミュニケーションが好まれ、「暗黙の了解」は曖昧さや不誠実さの表れと見なされることもあります。したがって、「tacit」という言葉を使う際には、文化的な背景や文脈を考慮し、誤解を避けるように注意する必要があります。このように、「tacit」は単なる語彙ではなく、社会や文化におけるコミュニケーションの複雑さを理解するための鍵となる概念なのです。
試験傾向
1. 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。稀にライティングの語彙の選択肢。
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題される。
3. 文脈・例題の特徴: アカデミックな話題、社会問題、科学技術など、硬めの文章で使われることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞「tacit」として用いられることがほとんど。「tacit agreement (暗黙の合意)」のようなコロケーションで覚えるのが効果的。類義語の「implicit」とのニュアンスの違い(tacitは無言の了解を含むことが多い)に注意。
1. 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)とPart 7(長文読解)。
2. 頻度と級・パート: TOEIC全体で見ると頻度は中程度。Part 7でやや出やすい。
3. 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(契約、交渉、組織運営など)で使われることが多い。「tacit knowledge (暗黙知)」という形で出題されることもある。
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス文書での使用例を多く学習すること。動詞や名詞形はほとんど使われないので、形容詞としての用法を重点的に学習する。類義語の「implied」との使い分けに注意。
1. 出題形式: 主にリーディングセクション。
2. 頻度と級・パート: TOEFL iBTのリーディングセクションで頻出。
3. 文脈・例題の特徴: アカデミックな文章、特に社会科学、心理学、哲学などの分野でよく用いられる。抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 学術的な文章における使用例を意識して学習する。文脈から意味を推測する練習が重要。類義語の「unspoken」や「understood」との違いを理解する。
1. 出題形式: 主に長文読解。
2. 頻度と級・パート: 難関大学の入試で出題される可能性あり。標準的なレベルの大学では頻度は低い。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、哲学など、硬めの文章で使われる。評論文や説明文でよく見られる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で意味を推測する力を養うこと。単語帳だけでなく、長文の中でどのように使われているかを確認することが重要。同義語や反意語も一緒に覚えると理解が深まる。