taboo
第一音節の /æ/ は、日本語の「ア」と「エ」の中間のような音です。口をやや大きく開け、舌を少し下げて発音します。第二音節の /uː/ は長母音なので、しっかりと伸ばして「ウー」と発音しましょう。強勢は第二音節にありますので、そこを意識するとより自然に聞こえます。
専門的な内容に関するご注意
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禁忌
社会的に不適切とされる行為、話題、または対象。触れることが避けられるべき事柄を指す。宗教的、文化的背景を持つことが多い。
Talking about money at dinner is a family taboo.
夕食の席でお金の話をするのは、家族の禁忌(タブー)です。
※ この例文は、家族や特定のグループ内で「暗黙の了解」として避けられる話題が、まさに『taboo』であることを示しています。誰かがうっかりその話題に触れようとしたら、場の空気がピリッとするような情景が目に浮かびますね。動名詞(Talking)が文の主語になる、英語の基本的な形を学べます。
In some cultures, pointing with your finger is a big taboo.
いくつかの文化では、指をさすことは大きな禁忌(タブー)とされています。
※ 海外旅行中に、道を尋ねる際にうっかり指をさしてしまい、相手が少し困った顔をした、というような場面を想像してみてください。文化的な違いによる『taboo』は非常に多く、この単語が最も自然に使われる文脈の一つです。『big taboo』のように形容詞を付けて、禁忌の度合いを表現することもよくあります。
It's a taboo to ask about someone's salary at my office.
私のオフィスでは、誰かの給料について尋ねるのは禁忌(タブー)です。
※ 新入社員が職場で、何気なく先輩に給料の話をしようとしたら、周りのベテラン社員がギョッとした顔で止めた、というような状況が描かれています。職場や特定のコミュニティ内で「触れてはいけない話題」や「やってはいけない行動」は多く、これも『taboo』の典型的な使い方です。『It's a taboo to do...』の形は、「~することはタブーだ」と表現する際に非常に便利です。
触れてはならない
ある話題や行為が、社会的に許容されない、または危険視されている状態。議論したり、行ったりすることが強く避けられる。
In our family, talking about money is a taboo subject at the dinner table.
私たちの家族では、夕食の席でお金の話をするのはタブーとされています。
※ この例文は、ごく身近な「家族の中での暗黙のルール」を描写しています。食卓で家族が楽しく話している中、誰かがお金の話を切り出そうとしたら、場の雰囲気が少し重くなる…といった情景が目に浮かびますね。「taboo subject」は「触れてはいけない話題」という、この単語の非常に典型的な使い方です。
In some cultures, it is considered taboo to point at people with your finger.
一部の文化では、指で人を指すことはタブーとされています。
※ この例文は、文化や社会における「してはいけない行為」を表しています。海外旅行中に、うっかり指差しをしてしまい、周りの人が少し顔をしかめるのを見て、初めてその行為が「タブー」だと気づくような場面が想像できます。'It is considered taboo to do...' は、「~することはタブーだと考えられている」という、客観的な説明によく使われる形です。
It feels taboo to ask her about her past because it makes her very sad.
彼女の過去について尋ねるのはタブーのように感じる。なぜなら、彼女をとても悲しませるからだ。
※ この例文は、個人的な感情や相手への配慮から「触れてはいけない」と感じる状況を描いています。親しい友人との会話で、相手のつらい経験にうっかり触れてしまいそうになり、「これは聞かない方がいいな」と察する、そんなデリケートな場面です。'It feels taboo to do...' は、個人的な感覚として「タブーだと感じる」というニュアンスを伝えるのに適しています。
禁止する
特定の行為や話題を、社会的な圧力やルールによって禁じること。タブーを破ることを防ぐために行われる。
In their culture, they taboo eating certain kinds of meat.
彼らの文化では、特定の種類の肉を食べることをタブーとしています。
※ 異文化を旅する人が、現地の食習慣について学ぶような場面を想像してみてください。ここでは、単なる規則ではなく、その文化が大切にしている価値観からくる「してはいけないこと」というニュアンスが伝わります。「taboo」は動詞として「~をタブーとする、禁じる」という意味で使われ、ここでは「eating certain kinds of meat(特定の種類の肉を食べること)」という動名詞の塊を目的語にしています。
She tabooed talking about the sad past at family gatherings.
彼女は、家族の集まりで悲しい過去について話すことをタブーとしました。
※ 家族の集まりで、過去の辛い出来事を蒸し返さないように、誰かがその話題を避けるようにしている場面です。デリケートな話題を「タブーにする」という、感情的な配慮が感じられます。「tabooed」と過去形になっており、特定の話題や行動を「もう二度としない、させない」と強く決めるような時に使えます。
In this quiet village, people taboo making loud noises at night.
この静かな村では、夜に大きな音を立てることを人々はタブーとしています。
※ 静かな村に引っ越してきた人が、夜の過ごし方について地元の習慣を学ぶような場面です。地域社会の暗黙のルールや、共同生活における配慮が「タブー」という形で表現されています。「people taboo」のように、ある集団が何かをタブー視する、という形でよく使われます。この例文では「making loud noises(大きな音を立てること)」がタブーとされています。
コロケーション
タブーを破る、タブーを犯す
※ 「break」は物理的な破壊だけでなく、規則や約束などを破る際にも広く使われます。このコロケーションは、社会的に容認されていない行為や話題に触れることを意味し、しばしば強い非難や制裁を伴います。単に「違反する」よりも深刻な意味合いを持ち、道徳的、宗教的、文化的な規範を侵害する行為に使われることが多いです。例えば、「政治家が人種差別的な発言をしてタブーを破った」のように使われます。
社会的なタブー
※ 「social」をつけることで、特定の社会や文化において共有されているタブーであることを明確にします。これは、法的な規制ではないものの、その社会の一員として守るべき暗黙の了解や不文律を指します。例えば、特定の民族衣装を侮辱する行為や、公の場で特定の病気について詳細に語ることなどが該当します。使用頻度は高く、ニュース記事や社会学の研究など、幅広い文脈で見られます。
タブーを解禁する、タブーをなくす
※ 「lift」は「持ち上げる」という意味から転じて、「禁止や制限を取り除く」という意味になります。このコロケーションは、かつてタブーとされていた行為や話題が、社会の変化や意識の向上によって許容されるようになることを指します。例えば、「同性婚が合法化され、性的指向に関するタブーが一部解消された」のように使われます。社会的な進歩や変化を語る際に用いられることが多いです。
文化的なタブー
※ 特定の文化圏において、不適切または冒涜的であると見なされる行為、習慣、または話題を指します。食事の習慣、宗教的な儀式、または特定の言葉の使用など、さまざまな形で現れます。例えば、「イスラム教の国では豚肉を食べることが文化的なタブーである」のように使われます。異文化理解や人類学の研究などで頻繁に用いられます。
口に出せないタブー
※ あまりにも不快、または衝撃的であるため、公然と議論したり言及したりすることが避けられるタブーを指します。近親相姦、児童虐待、極端な暴力などが該当します。「unspeakable」という形容詞が、そのタブーの深刻さや言及することへの抵抗感を強調します。文学作品や心理学の分野で用いられることがあります。
タブーな話題
※ ある特定の状況や社会において、議論したり言及したりすることが不適切または不快であると考えられる話題のことです。家族の不和、政治的な意見の相違、または個人的な経済状況などが該当します。「subject」は「話題、主題」という意味で、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用できます。会話を避けたい話題を婉曲的に表現する際に便利です。
性的なタブー
※ 性行為、性的な好み、または性に関する話題について、社会的に容認されていない、または禁止されていることを指します。文化、宗教、または個人の道徳観によって大きく異なる場合があります。例えば、婚前交渉や同性愛に対する考え方などが該当します。社会学、心理学、歴史学などの分野で研究対象となることが多いです。
使用シーン
学術論文や研究発表で、特定の文化や社会における禁忌事項を分析・議論する際に使用されます。例えば、社会学の研究で「〜という行動は、特定のコミュニティにおいてタブーとされている」と述べる場合や、人類学の講義で「宗教的なタブーが社会構造に与える影響」について議論する際に用いられます。文語的な表現が中心です。
ビジネスシーンでは、直接的な表現を避けたいデリケートな話題や、企業文化における暗黙の了解事項について言及する際に使われることがあります。例えば、会議で「このプロジェクトについては、現状ではタブーとされている情報が多い」と発言したり、人事評価において「特定の従業員の昇進は、社内政治的にタブー視されている」といった状況を説明する際に用いられます。フォーマルな文脈で使用されることが多いです。
日常会話では、特定の話題を避けるように促す場合や、公然と語られない事柄について言及する際に使われることがあります。例えば、家族間で「あの件については、もうタブーにしよう」と話し合ったり、友人との会話で「政治や宗教の話は、ここではタブーだよね」と注意を促す場面などが考えられます。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで社会問題や倫理的な問題を取り上げる際に、解説として登場することもあります。
関連語
類義語
- prohibited
法律や規則、権威によって禁止されている状態。フォーマルな文脈で使用され、公式文書や報道などで見られる。 【ニュアンスの違い】"taboo"よりも客観的で、感情的なニュアンスは薄い。法的な禁止や、公式な禁止事項を指す場合に適している。 【混同しやすい点】"prohibited"は法律や規則に基づいた禁止を意味するが、"taboo"は社会的な慣習や道徳に基づいた禁止を意味することが多い。また、"prohibited"は具体的な行為を指すことが多い。
禁止されていること。"prohibited"よりもやや口語的で、感情的なニュアンスを含む場合もある。恋愛関係や秘密の場所など、個人的な領域での禁止を指すことが多い。 【ニュアンスの違い】"taboo"よりも禁止の範囲が狭く、個人的な関係や特定の状況における禁止を意味することが多い。また、"forbidden"は魅力的なニュアンスを含むことがある。 【混同しやすい点】"forbidden"は個人的な禁止や魅力的なニュアンスを含むことがあるが、"taboo"は社会全体で共有される禁止事項を指すことが多い。また、"forbidden fruit"(禁断の果実)のように、魅力的なニュアンスを含むイディオムがある。
受け入れられないこと。社会的な基準や道徳的な観点から見て容認できない行為や意見を指す。日常会話からビジネスまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】"taboo"よりも穏やかな表現で、直接的な非難を避けたい場合に使用される。また、個人的な意見や好みを表現する際にも使用される。 【混同しやすい点】"unacceptable"は主観的な判断に基づくことが多いが、"taboo"は社会的な合意に基づいた禁止事項を指す。また、"unacceptable"は個人的な好みや意見を表現する際に使用されることがある。
- unspeakable
口に出せないほど不快、または恐ろしいこと。非常にネガティブな感情や出来事を表現する際に使用される。文学作品や詩など、感情的な文脈でよく見られる。 【ニュアンスの違い】"taboo"よりも感情的な強さが強く、言葉にすること自体が困難な状況を指す。恐怖や嫌悪感、罪悪感など、強い感情を伴う場合に適している。 【混同しやすい点】"unspeakable"は感情的な表現であり、具体的な行為を指すとは限らない。一方、"taboo"は具体的な行為や話題を指すことが多い。また、"unspeakable"は個人的な感情を表現する際に使用されることがある。
- verboten
ドイツ語由来の言葉で、「禁止されている」という意味。特に強く禁止されていることを強調する際に使用される。フォーマルな文脈や、ユーモラスな表現として用いられることもある。 【ニュアンスの違い】"taboo"と同様に禁止されていることを意味するが、より強い禁止や、権威的な禁止を強調するニュアンスがある。また、外来語であるため、やや特殊な状況で使用される。 【混同しやすい点】"verboten"はドイツ語由来の言葉であり、日常会話ではあまり使用されない。一方、"taboo"は英語として広く認知されており、日常会話でも使用される。また、"verboten"はユーモラスな表現として用いられることがある。
- off-limits
立ち入り禁止、または話題にすることが許されないこと。場所や話題など、具体的な対象が制限されていることを指す。日常会話でよく使用される。 【ニュアンスの違い】"taboo"よりも対象が具体的で、物理的な場所や特定の話題など、明確に制限されているものを指す。また、"off-limits"はよりカジュアルな表現である。 【混同しやすい点】"off-limits"は具体的な対象が制限されていることを指すが、"taboo"は社会的な慣習や道徳に基づいた禁止事項を指すことが多い。また、"off-limits"はカジュアルな表現であり、日常会話でよく使用される。
派生語
- tabooed
『タブー視された』という意味の形容詞・過去分詞。動詞『taboo(タブーとする)』の受動態・完了形として使われる。ある行為や話題が社会的に禁止されている状態を表す。学術論文や報道記事で、ある文化や社会におけるタブーを説明する際に用いられる。
- tabooing
動名詞または現在分詞。『タブー視すること』または『タブー視している』という意味。動名詞としては抽象的な概念を、現在分詞としては進行中の行為を表す。社会学や文化人類学の研究で、特定の行為や言説がタブー視される過程を分析する際に使われる。
- tabooism
『タブー主義』という意味の名詞。特定の行為や考え方をタブーとする考え方や慣習を指す。社会学や人類学の研究論文で、タブーという概念が社会にどのように影響を与えているかを議論する際に用いられる。接尾辞『-ism』は、主義・思想を表す。
反意語
『受け入れられる』『容認できる』という意味の形容詞。『taboo』が社会的に禁止されているのに対し、これは社会的に許容されている状態を示す。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用される。文脈によっては『permissible(許可される)』も反意語となりうる。
- permissible
『許可されている』という意味の形容詞。『taboo』が禁止されているのに対し、法的に、または規則上許可されている状態を示す。フォーマルな文脈でよく使用され、契約書や法律文書などにも登場する。『acceptable』よりも公式なニュアンスを持つ。
『ありふれたこと』『平凡なこと』という意味の名詞・形容詞。『taboo』が特別で触れてはならない事柄であるのに対し、これは日常的で誰もが知っている事柄を指す。比喩的な意味合いで、特に文学作品や社会批評などで、ある事柄がタブーではなく、むしろ当たり前になっている状況を描写する際に用いられる。
語源
"taboo」は、ポリネシアのトンガ語の「tabu」(神聖な、禁じられた)に由来します。これは元々、特定の物や場所、行為が神聖であるため、または危険であるために、接触や使用が禁じられている状態を指していました。この概念は、18世紀後半にジェームズ・クック船長によって西洋社会に紹介され、英語に取り入れられました。英語では、当初は異文化における同様の慣習を指す言葉として使われましたが、次第に、社会や文化における禁忌全般を指す言葉として意味が拡張されました。つまり、「触れてはならない」という核心的な意味は、語源から現代の使用法まで一貫して受け継がれています。日本語の「タブー」という言葉も、この英語からの借用語です。
暗記法
「タブー」は単なる禁止ではない。それは社会が神聖視し、触れることさえ憚る事柄。ポリネシアの言葉「tapu」に源を発し、畏敬と危険という二面性を持つ。現代では性、死、宗教など、議論をためらう事柄を指す。社会の価値観を映し、映画や文学では人間の深層心理を映し出す鏡となる。時代と共に変化し、常に再定義される流動的な概念なのだ。
混同しやすい単語
『taboo』と最初の2音節が同じで、特に発音練習が不十分な場合、混同しやすい。意味は『入れ墨』であり、全く異なる概念を表す。日本人学習者は、/tæˈbuː/ と /tæˈtuː/ のアクセント位置と母音の違いを意識する必要がある。語源的には、どちらもポリネシアの言語に由来する外来語という共通点があるが、意味は関連しない。
最初の2文字が同じ 'ta' であり、単語の長さも似ているため、視覚的に混同しやすい。意味は『テーブル、食卓』など、日常的な名詞である。『taboo』は名詞・形容詞として使われるのに対し、『table』は主に名詞。発音も異なるため(/ˈteɪbl/)、注意が必要。
最初の2音節の発音が似ており、特に早口で発音された場合、聞き間違えやすい。意味は『チューバ』という楽器であり、専門的な語彙。文脈が全く異なるため、通常は誤解が生じにくいが、音声認識システムなどでは注意が必要。/ˈtjuːbə/のように発音する。
音の響きが似ていると感じる学習者がいるかもしれない。特に、『taboo』の最後の音節 /buː/ と、『typhoon』の /fuːn/ の部分が似ていると感じられる可能性がある。意味は『台風』であり、気象現象を表す。日本人にとっては馴染み深い単語だが、英語での発音とスペルを正確に覚える必要がある。
『taboo』と直接的な類似性はないものの、発音されない 'b' を含むスペルが、英語学習者を混乱させる可能性がある。意味は『墓』であり、発音は /tuːm/ となる。英語には発音されない文字を含む単語が多いため、注意深く学習する必要があることを示す例として挙げられる。
後の2音節が同じ '-boo' で終わるため、特に発音練習が不十分な場合、混同しやすい。意味は『竹』であり、植物の名前。語源はマレー語に由来するとされる。『taboo』が社会的な禁忌を表すのに対し、『bamboo』は具体的な物を表すため、意味の区別は容易。
誤用例
『taboo』は、宗教的・文化的な背景を持つ『触れてはならない禁忌』を指す場合が多く、日常的な話題、特に個人的な事柄に対しては、やや大げさで不自然な印象を与えます。離婚という話題がデリケートであることを伝えたい場合は、『sensitive subject』を使う方が適切です。日本人が『タブー』を安易に使う背景には、カタカナ語としての『タブー』が持つ『暗黙の了解で避けるべき話題』というニュアンスを、英語の『taboo』も同様に持つと誤解しがちな点が挙げられます。よりふさわしいのは、相手に配慮する mindful という考え方に基づいた sensitive subject です。
『taboo』は、社会全体や特定の文化圏で深く根付いた禁忌を指す言葉です。家族内での話題の制限を表現するには、少し大げさで、深刻な印象を与えます。『We tend to avoid...』のように、より穏やかな表現を使う方が自然です。日本人が『〜はタブー』という言い回しを直訳しがちな点も、この誤用の原因と考えられます。英語では、家族内のルールや習慣を述べる場合、より日常的な語彙や表現を選ぶことが、相手に穏やかな印象を与える上で重要です。また、日本語の「タブー」は、英語の "off-limits" (立ち入り禁止) という意味合いで使われることもありますが、このニュアンスで "taboo" を使うと意味が通じない場合があります。
『taboo』は、動詞として使われることは非常に稀であり、一般的には名詞として用いられます。ある行為や戦略が倫理的に問題視されていることを伝えたい場合は、『considered unethical』や『frowned upon』のような表現を使う方が適切です。日本人が『タブー視する』という日本語を直訳しようとする際に、動詞的な用法を誤って作ってしまうケースが見られます。英語では、ある行為が社会的に容認されないことを表現する場合、より具体的に理由や背景を説明する傾向があります。例えば、『unethical』であれば、なぜ倫理的に問題があるのかを補足することで、より明確なコミュニケーションを図ることができます。
文化的背景
「タブー(taboo)」は、単に「禁止」を意味するだけでなく、社会や文化において神聖視され、触れることさえ憚られるような事柄を指し示します。それは、目に見えない境界線であり、それを侵すことへの畏怖の念が込められています。この言葉は、社会秩序を維持し、人々の行動を規制する、暗黙の了解としての役割を担ってきたのです。
「タブー」の概念は、ポリネシアの社会における「tapu」という言葉に由来します。もともとは、神聖なもの、王族、死者など、超自然的な力を持つと信じられるものに触れることへの禁止を意味していました。これらの対象は、保護されるべき存在であると同時に、接触することで災いをもたらす可能性もあると考えられていたのです。この二面性こそが、「タブー」の本質を理解する上で重要なポイントです。単なる禁止事項ではなく、畏敬の念と危険性の両方を内包しているのです。
現代社会において、「タブー」はより広範な意味を持つようになりました。性、死、病気、宗教、政治など、社会的に議論することや言及することが難しいとされる事柄を指すことが多くなりました。例えば、ある文化圏では、特定の動物を食べることがタブーとされていたり、特定の話題を公の場で議論することがタブーとされていたりします。これらのタブーは、社会の価値観や信念体系に深く根ざしており、人々の行動や思考に大きな影響を与えています。映画や文学作品においては、タブーを題材にすることで、人間の心理や社会の矛盾を浮き彫りにする試みがなされてきました。タブーに挑戦することは、社会の進歩や変化を促す一方で、大きな反発や混乱を招く可能性も孕んでいます。
「タブー」は、時代や文化によって変化する流動的な概念です。かつてはタブーとされていたことが、現代では受け入れられるようになったり、その逆のケースも存在します。例えば、かつては公然と語られることのなかった性的マイノリティに関する話題が、現代では社会的な議論の対象となっています。これは、「タブー」が社会の変化とともに常に再定義されていることを示しています。学習者は、「タブー」という言葉を学ぶ際、その背後にある歴史的、文化的背景を理解することで、より深くその意味を捉えることができるでしょう。そして、「タブー」は単なる禁止事項ではなく、社会の価値観や信念体系を反映する鏡であることを認識することが重要です。
試験傾向
準1級、1級の長文読解や語彙問題で出題される可能性があります。出題形式としては、同意語・類義語選択、空所補充などが考えられます。アカデミックな内容や社会問題に関する文章で登場することが多く、フォーマルな文脈で使用されます。名詞としての用法が中心ですが、動詞として使われる場合もあります。関連語句(e.g., break a taboo)も覚えておきましょう。
TOEICでは、Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)で出題される可能性があります。ただし、他の試験に比べると頻度は低めです。ビジネスシーンにおけるタブー(例:特定の話題に触れない、特定の行動を避ける)といった文脈で登場することが考えられます。同意語・類義語としては、'prohibition'、'ban'などが挙げられます。
TOEFL iBTのリーディングセクションで出題される可能性があります。アカデミックな文章(社会学、文化人類学など)で登場しやすく、抽象的な概念や社会規範に関連する文脈で使用されます。同意語・類義語を選択する問題や、文脈から意味を推測する問題が出題される可能性があります。名詞としての用法を理解しておくことが重要です。
大学受験の長文読解問題で出題される可能性があります。社会問題、文化、歴史など、幅広いテーマの文章で登場します。文脈から意味を推測する問題や、内容一致問題で問われることが多いです。難易度の高い単語なので、基本的な意味だけでなく、文脈に応じたニュアンスを理解しておくことが重要です。