sentimental
第2音節に強勢があります。/e/ は日本語の『エ』よりも口を少し横に引いて発音します。/ɪ/ は日本語の『イ』よりも口をリラックスさせ、短く発音します。最後の /l/ は舌先を上の歯の裏につけて発音し、曖昧母音の /əl/ と組み合わさることで、日本語の『ル』とは少し異なる音になります。
感傷的な
感情が豊かで、特に愛情や悲しみなどの感情に浸りやすい様子。過去の思い出や失われたものに対する憧憬を伴うことが多い。映画、音楽、手紙など、特定の物事に対して感傷的になる場合にも使う。
She became a little sentimental when she found her old diary.
彼女は古い日記を見つけたとき、少し感傷的になりました。
※ この例文は、過去の思い出が詰まった物(ここでは古い日記)を見つけて、しんみりとした気持ちになる場面を描写しています。日記を読みながら、昔の自分や出来事を懐かしく思い出している様子が伝わります。「become sentimental」で「感傷的になる」という自然な表現です。
My father is very sentimental about his old baseball glove.
私の父は古い野球のグローブにとても感傷的です。
※ ここでは、特定の物(古い野球のグローブ)に対する深い思い入れや愛着を表しています。単に「好き」というだけでなく、その物を通じて過去の思い出や経験が蘇り、大切にしている気持ちが伝わります。「sentimental about ~」で「〜に感傷的である、〜に思い入れがある」という意味でよく使われます。
The old song made me feel sentimental about my school days.
その古い歌を聴いて、私は学生時代を懐かしく感傷的に思い出しました。
※ 音楽や映画など、外部からの刺激によって感情が揺さぶられ、過去の思い出に浸る場面です。この歌を聴いたことで、楽しかった学生時代の記憶が蘇り、少し切なく、温かい気持ちになった様子を表しています。「make + 人 + feel sentimental」で「人を感傷的な気持ちにさせる」という表現も覚えておくと便利です。
人情に厚い
他者の感情や苦しみに共感し、思いやり深く接する様子。涙もろく、人の痛みに敏感な性格を表す。
When his old friend moved away, John became very sentimental and cried a little.
親友が引っ越してしまった時、ジョンはとてもセンチメンタルになり、少し泣いた。
※ 親しい人との別れで、感情が動いて涙ぐむ様子を表しています。「人情に厚い」人が、情にほだされて感傷的になる典型的な場面です。ここでは、情に厚いあまり涙もろくなる様子が伝わります。
She keeps her grandmother's old necklace, not for its value, but because it's very sentimental.
彼女は祖母の古いネックレスを、価値のためではなく、とても思い出深いから大切にしている。
※ 物に対して「sentimental」を使うと、その物が「思い出深い」「感情的な価値がある」という意味になります。値段ではなく、祖母との思い出を大切にする温かい気持ちが伝わる、人情味あふれる行動です。
My dad always gets sentimental when he visits our old hometown.
父は古い故郷を訪れると、いつも感傷的になる。
※ 故郷や懐かしい場所を訪れた際に、過去の思い出がよみがえり、感傷的な気持ちになる様子を表しています。これは「人情に厚い」人が、思い出を大切にする典型的なシチュエーションです。
甘ったるい
感情が過剰に表出され、わざとらしく感じられる様子。ロマンチックな状況や愛情表現が度を越している場合に、やや否定的なニュアンスで使用される。
The love story in that movie was a bit too sentimental for me.
あの映画のラブストーリーは、私には少し甘ったるすぎました。
※ 映画館で、上映中の映画のラブシーンを見て「感情的すぎる」「わざとらしい」と感じる場面です。「for me」は「私にとっては」という意味で、個人的な意見を伝えるときによく使われます。
His farewell speech was so sentimental that it made some people uncomfortable.
彼の送別のスピーチはとても甘ったるく、一部の人を不快にさせました。
※ 送別会で、退職者のスピーチが過度に個人的な感情に溢れ、聞いている人が気まずく感じる場面です。「so sentimental that...」は「とても感傷的(甘ったるい)なので、〜だ」と結果を表す表現です。
My grandpa keeps a broken old watch because he's too sentimental to throw it away.
私の祖父は壊れた古い時計を持っています。捨てるにはあまりに感傷的すぎるからです。
※ 祖父が古い壊れたものを大事に持ち続けている様子を、孫が「感傷的すぎる」と感じる場面です。「too sentimental to do something」で「〜するには感傷的すぎる」という意味になります。物への行き過ぎた愛着を表す際に使われます。
コロケーション
感傷的な価値、思い出の価値
※ 金銭的な価値ではなく、個人的な思い出や感情と結びついた価値を指します。例えば、亡くなった祖母の形見の品など、お金では買えない大切なものを表現する際に使われます。'The old photograph has great sentimental value for me.' (その古い写真は私にとって非常に感傷的な価値がある) のように使われます。形容詞+名詞の典型的なコロケーションです。ビジネスシーンではあまり使いませんが、日常会話や文学作品で頻繁に登場します。
感傷的なバカ、お人好し
※ 人を批判的に評する表現で、感情に流されやすく、騙されやすい人を指します。特に、相手の不幸話に同情してしまい、利用されるような状況を指すことが多いです。'He's such a sentimental fool, always falling for sob stories.' (彼は本当に感傷的なバカで、いつも悲しい話に騙されている) のように使われます。やや侮蔑的なニュアンスを含むため、使う場面には注意が必要です。名詞句を形容する形です。
感傷的な愛着、思い入れ
※ 物や場所、人などに対する、感情的な繋がりや愛着を意味します。理屈ではなく、過去の思い出や感情が深く結びついている状態を指します。'She has a sentimental attachment to her childhood home.' (彼女は子供の頃に住んでいた家に感傷的な愛着を持っている) のように使われます。'attachment'は、ここでは「愛着」という意味で、愛情に近い感情を表します。ビジネスシーンよりも、個人的な感情を表現する際に適しています。形容詞+名詞の組み合わせです。
感傷的な旅、思い出を辿る旅
※ 過去の思い出や感情を呼び起こすための旅を指します。必ずしも物理的な旅である必要はなく、過去を振り返る行為そのものを指すこともあります。'They took a sentimental journey back to their old school.' (彼らは思い出を辿る旅として、昔通っていた学校へ行った) のように使われます。ローレンス・スターンの小説『センチメンタル・ジャーニー』に由来する表現です。文学的、あるいはノスタルジックな響きを持つ表現です。形容詞+名詞の組み合わせです。
感傷的になる
※ 感情が豊かになり、過去の思い出や感情に浸る状態を指します。特に、年配の人が昔を懐かしむ様子を表現する際に使われることが多いです。'He grew sentimental as he looked through old photographs.' (彼は古い写真を見ているうちに感傷的になった) のように使われます。'grow'は「~になる」という意味の動詞で、状態の変化を表します。日常会話でよく使われる表現です。動詞+形容詞の組み合わせです。
感傷的な歌
※ 歌詞やメロディーが感情を揺さぶり、特に悲しみや懐かしさを感じさせる歌を指します。恋愛や別れをテーマにした歌に多い表現です。'That sentimental song always makes me cry.' (あの感傷的な歌はいつも私を泣かせる) のように使われます。音楽のジャンルを特定するわけではなく、歌の内容や聴いた人の感情に依存する表現です。形容詞+名詞の組み合わせです。
非常に感傷的な
※ 'sentimental'という感情の度合いを強める表現です。人が非常に感情的になりやすい、または特定の物事に対して強い感傷を抱いている状態を表します。'She is a deeply sentimental person and cries easily at movies.' (彼女は非常に感傷的な人で、映画を観るとすぐに泣いてしまう)のように使われます。副詞 + 形容詞の組み合わせで、感情の強さを強調します。
使用シーン
心理学、文学、社会学などの分野で、感情や価値観に関する研究論文や学術書に登場します。例えば、「〜の作品は、当時の社会情勢を反映した感傷的な描写が特徴である」のように、作品の分析や特定の感情的な傾向を説明する際に使われます。また、歴史学において、特定の時代の文化や人々の感情を分析する際にも用いられます。
ビジネスシーンでは、直接的な感情表現が避けられる傾向があるため、使用頻度は低いです。しかし、マーケティング戦略や顧客分析の文脈で、消費者の感情的な反応やブランドへの愛着を説明する際に、「〜という商品は、顧客のノスタルジーを刺激する感傷的な価値を提供している」のように使われることがあります。また、企業の歴史や創業者のストーリーを語る際に、感情的な要素を強調するために用いられることもあります。
日常会話では、映画、音楽、書籍などの芸術作品に対する感想を述べる際に、「あの映画は、音楽と映像が素晴らしくて、とても感傷的な気持ちになった」のように使われます。また、個人的な思い出や過去の出来事を振り返る際に、「故郷の風景を見ると、いつも感傷的な気分になる」のように、感情的なつながりを表現するために用いられることがあります。SNS上では、ペットや家族の写真を共有する際に、愛情や感謝の気持ちを込めて「#sentimental」のハッシュタグが使われることもあります。
関連語
類義語
過去の出来事や場所、時代を懐かしむ感情を表します。個人的な思い出や過ぎ去った時代への憧憬を伴うことが多いです。日常会話や文学作品でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"Sentimental"よりも過去に焦点を当て、失われたものへの感傷や憧れが強いです。必ずしも悲しみや後悔を伴うわけではありません。 【混同しやすい点】"Sentimental"は感情全般を表しますが、"nostalgic"は過去への特定の感情に限定されます。また、"nostalgic"は名詞(nostalgia)としてもよく使用されます。
感情的な、感情に訴える、という意味で、広く感情全般を表します。客観的な状況や出来事に対しても使われます。ビジネス、日常会話、学術など、あらゆる場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"Sentimental"は個人的な感情や思い出に強く結びついているのに対し、"emotional"はより一般的で客観的な感情を指すことがあります。感情の強さも"sentimental"の方が深いことが多いです。 【混同しやすい点】"Emotional"は感情の有無を問わず使えますが、"sentimental"は特定の感情(愛情、悲しみなど)が伴う場合に限られます。映画や音楽などが"emotional"であると言えますが、"sentimental"である場合は、個人的な感情を強く刺激するような作品に限られます。
- mawkish
過度に感傷的で、気味が悪く、不快に感じるような感情を表します。しばしば、感情が誇張されているか、不誠実であるという含みがあります。文学作品や批評などで用いられることが多いです。 【ニュアンスの違い】"Sentimental"は必ずしも否定的な意味合いを持ちませんが、"mawkish"は常に否定的な意味合いを持ちます。感情の過剰さや不自然さを強調します。 【混同しやすい点】"Sentimental"は単に感情が豊かであることを表すのに対し、"mawkish"は感情が不快なほど過剰であることを表します。例えば、感動的な映画を"sentimental"と表現することはできますが、"mawkish"と表現する場合は、その感情表現が不自然で過剰だと感じられる場合です。
- mushy
非常に感傷的で、甘ったるい感情を表します。恋愛関係や親密な人間関係において、感情が過剰に表現される状況を指します。日常会話でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"Sentimental"よりも感情が甘く、やや軽薄な印象を与えることがあります。深刻さや深みよりも、表面的な感情の表出に重点が置かれます。 【混同しやすい点】"Sentimental"は感情全般を表しますが、"mushy"は特に恋愛感情や親愛の情を表します。ビジネスシーンで"sentimental"という言葉を使うことはあっても、"mushy"を使うことは通常ありません。
恋愛感情や理想的な状況を指し、美しさや情熱、冒険心を伴う感情を表します。文学、映画、音楽など、芸術作品でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"Sentimental"は個人的な感情や思い出に根ざしていることが多いですが、"romantic"は理想化された感情や状況を指します。また、"romantic"は必ずしも悲しみや喪失感を伴いません。 【混同しやすい点】"Sentimental"は過去の思い出や失われたものへの感情を含むことがありますが、"romantic"は未来への期待や理想を伴うことが多いです。例えば、過去の恋愛を"sentimental"に振り返ることはできますが、"romantic"に振り返る場合は、その恋愛が理想的なものであったというニュアンスが含まれます。
優しさ、愛情、思いやりといった感情を表します。人や物事に対する愛情深く、穏やかな感情を指します。日常会話や文学作品で広く使われます。 【ニュアンスの違い】"Sentimental"は感情の深さや強さを表すことがありますが、"tender"は感情の優しさや穏やかさを強調します。また、"tender"は肉体的な触れ合いやケアにも使われることがあります。 【混同しやすい点】"Sentimental"は悲しみや喪失感を伴うことがありますが、"tender"は通常、ポジティブな感情を表します。例えば、幼い子供に対する感情は"tender"と表現されますが、失恋の感情は"sentimental"と表現されることが多いです。
派生語
『感覚』や『感情』を意味する名詞。ラテン語の『sentire(感じる)』に由来し、『sentimental』の語源と共通。感情を『感じる』という根源的な意味合いが、名詞として客観的な『感覚』や『感情』そのものを指すようになった。日常会話から学術論文まで幅広く使われる。
- sensibility
『感受性』や『繊細さ』を意味する名詞。『sentimental』が持つ感情の豊かさ、繊細さという側面が、より洗練された形で名詞化された。特に文学や芸術の分野で、人の感情を理解する能力や美的感覚を指す際に用いられる。日常会話でも使われるが、ややフォーマルな印象を与える。
『同意』を意味する動詞および名詞。ラテン語の『con-(共に)』と『sentire(感じる)』が組み合わさり、『共に感じる』という原義から『同意』という意味に発展した。『sentimental』とは直接的な感情表現とは異なるが、根底にある『感じる』という要素が、他者との共感や合意形成という社会的な意味合いに広がった。ビジネスや法律の文脈で頻繁に使われる。
反意語
- unsentimental
接頭辞『un-(否定)』が付いた形容詞で、『感傷的でない』という意味。『sentimental』が感情に流されやすいことを指すのに対し、『unsentimental』は感情に左右されず、冷静で客観的な態度を表す。ビジネスシーンや報道など、客観性が求められる文脈で用いられる。
『理性的』を意味する形容詞。『sentimental』が感情的な判断に基づいているのに対し、『rational』は論理的な思考や分析に基づいた判断を指す。感情と理性の対比として、議論や意思決定の場面でよく用いられる。学術論文やビジネス文書で頻繁に登場する。
- stoic
『禁欲主義的な』、『感情を表に出さない』という意味の形容詞。古代ギリシャのストア派哲学に由来し、感情に動じず冷静さを保つ態度を指す。『sentimental』が感情を重視するのとは対照的に、『stoic』は感情を抑制し、理性的な行動を重んじる。困難な状況に直面した際など、感情に流されず冷静に対処する姿勢を表す。
語源
「sentimental」は、感情や感性を意味する「sentiment」に由来します。「sentiment」自体は、ラテン語の「sentire(感じる、思う)」から派生した言葉です。この「sentire」は、感覚や感情を経験することを指し、さらに遡ると、印欧祖語の「*sent-(進む、向かう)」という語根に結びつきます。つまり、「sentimental」は、感情が「向かう」方向、つまり感情に深く浸る様子を表していると言えます。日本語で例えるなら、「しみじみと感じ入る」といったニュアンスに近いでしょう。感情が湧き上がり、心が動かされる状態を強調する言葉として、「sentimental」は使われるようになりました。
暗記法
「センチメンタル」は、ロマン主義の時代、理性への反動として生まれた感情重視の潮流を背景に持ちます。ゲーテやワーズワースの文学作品に触れると、その単なる個人的感情を超えた、時代精神との繋がりが見えてくるでしょう。ヴィクトリア朝時代には、産業革命の影で過去の牧歌的な生活への憧憬が生まれました。映画『カサブランカ』のように、過ぎ去った愛や失われた絆を想う感情、それが「センチメンタル」です。
混同しやすい単語
『sentimental』と『sensational』は、スペルと発音が非常に似ており、どちらも感情や感覚に関連する単語であるため、混同しやすいです。『sensational』は「衝撃的な」「扇情的な」という意味で、強い感情や興奮を引き起こす様子を表します。品詞は形容詞です。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。語源的には、'sense'(感覚)に関連しており、感覚を強く刺激するという意味合いがあります。
『sentimental』と『sentiment』は、語源が同じで意味も関連していますが、品詞が異なります。『sentiment』は「感情」「感傷」という名詞です。例えば、「a feeling of sentiment」のように使われます。日本人学習者は、文中で名詞が必要な箇所で『sentimental』を使ってしまわないように注意が必要です。語源はラテン語の『sentire』(感じる)に由来します。
『sentimental』と『essential』は、スペルの一部が似ており、どちらも形容詞ですが、意味は大きく異なります。『essential』は「必要不可欠な」「本質的な」という意味です。発音も異なりますが、スペルの類似性から誤って認識されることがあります。日本人学習者は、単語全体をしっかりと見て、意味の違いを意識することが重要です。語源はラテン語の『esse』(be動詞の原形)に由来し、「存在すること」と関連があります。
『sentimental』と『elemental』は、語尾の '-mental' の部分が共通しており、スペルが似ています。『elemental』は「基本的な」「元素の」という意味で、自然や構成要素に関連する意味合いを持ちます。発音も異なりますが、スペルの類似性から混同される可能性があります。日本人学習者は、それぞれの単語が持つイメージを明確に区別することが大切です。語源は『element』(要素)に由来します。
『sentimental』と『detrimental』は、語尾が '-mental' で共通しており、スペルが似ています。『detrimental』は「有害な」「不利益な」という意味で、悪い影響を与えることを表します。発音も異なりますが、スペルの類似から誤って認識されることがあります。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、混同しないように注意する必要があります。語源はラテン語の『detrimentum』(損害)に由来します。
『sentimental』と『experimental』は、語尾の '-mental' が共通しており、スペルが似ています。『experimental』は「実験的な」「試験的な」という意味で、新しい試みや研究に関連する意味合いを持ちます。発音も異なりますが、スペルの類似性から混同される可能性があります。日本人学習者は、それぞれの単語が持つ具体的なイメージを区別することが重要です。語源は『experiment』(実験)に由来します。
誤用例
「sentimental」は、日本語の「感傷的」と訳されることが多いですが、英語では、過去の出来事や失われたものに対する、少し甘く、時に過剰な、あるいは美化された感情を指します。ペットの死に対して「sentimental」を使うと、感情の重みがそぐわない印象を与え、不自然です。より直接的な悲しみを表すには「sad」が適切です。日本人が「感傷的」という言葉を比較的広い意味で使うのに対し、英語の「sentimental」は、より限定的なニュアンスを持つことを理解する必要があります。日本語の「〜に感傷的になる」という発想から、ついforを使ってしまいがちですが、ここではaboutの方が自然です。
「sentimental」は、映画を見て泣くような行動に対して使うと、少し皮肉なニュアンスを含んでしまう可能性があります。感情が豊かで涙もろい人を表すには、「emotional」がより適切です。「sentimental」は、感情が表面的である、あるいは、感情に浸っているような印象を与えることがあります。日本人が「sentimental」を単に「感情的な」という意味で捉えがちなのに対し、英語ではより複雑な意味合いを持つことを意識しましょう。また、日本語の「〜な人」という発想から、つい形容詞をそのまま使う傾向がありますが、名詞を修飾する場合は冠詞(a/an)が必要になる点にも注意が必要です。
古い歌に対して「sentimental」を使うと、歌自体が感傷的であるという意味になり、少し不自然です。むしろ、その歌を聴くと懐かしい気持ちになる、という意味合いで「nostalgic」を使う方が適切です。「sentimental」は、感情を引き起こす対象よりも、感情を抱く人に対して使うのが一般的です。日本人が「〜は感傷的だ」という表現を、対象物に対しても使うことがあるため、混同しやすい点です。また、文化的な背景として、英語圏では感情を直接的に表現することを避け、婉曲的な表現を好む傾向があるため、「nostalgic」のような間接的な表現が好まれます。
文化的背景
「センチメンタル」は、単なる感傷的な感情を超え、過ぎ去った時代への憧憬や、失われた純粋さを懐かしむ心情を指し示す、文化的なキーワードです。特に18世紀後半から19世紀にかけてのロマン主義時代において、理性や合理性に対する反動として、感情や主観的な体験が重視されるようになり、「センチメンタル」は芸術や文学における重要なテーマとなりました。
ロマン主義文学においては、自然への憧憬や過去への回帰といったテーマが頻繁に登場し、主人公たちはしばしば社会の規範や制約に苦悩しながらも、自身の感情や理想を追求します。ゲーテの『若きウェルテルの悩み』や、ワーズワースの詩などがその代表例であり、これらの作品に触れることで、「センチメンタル」が単なる個人的な感情に留まらず、時代精神を反映したものであることが理解できます。また、ヴィクトリア朝時代においては、産業革命による社会の変化や格差の拡大を背景に、過去の牧歌的な生活や家族の絆を理想化する「センチメンタリズム」が広まりました。クリスマスカードや家族写真の普及も、このセンチメンタリズムの表れと言えるでしょう。
映画においては、過去の恋愛や家族の絆を描いた作品、あるいは戦争や災害といった困難な状況における人間の感情を描いた作品に、「センチメンタル」という言葉がしばしば用いられます。例えば、往年の名作『カサブランカ』は、リックとイルザの再会と別れを通じて、戦争という時代背景の中で揺れ動く人間の感情を描き出しており、「センチメンタル」な映画の代表作として挙げられます。また、近年では、過去の出来事や失われた人々への追悼といったテーマを扱う作品も多く、「センチメンタル」な感情は、現代社会における喪失感や不安といった感情と深く結びついています。
現代社会においては、「センチメンタル」は、しばしばノスタルジーと結びつけられ、過去の流行や文化を懐かしむ感情として消費されることがあります。昭和レトロブームや、過去のアニメやゲームのリメイクなどがその例であり、「センチメンタル」は、マーケティング戦略においても重要な要素となっています。しかし、「センチメンタル」は、単なる懐古趣味に留まらず、過去の経験や記憶を通じて、自己のアイデンティティを再確認したり、未来への希望を見出したりする力も持っています。過去の出来事を振り返り、そこから教訓を得て、より良い未来を築くためには、「センチメンタル」な感情を大切にすることが重要と言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で出題可能性あり。2級でも長文読解で文脈から意味を推測させる形で出題されることがある。
- 文脈・例題の特徴: 感動的なストーリー、人間関係、過去の思い出など、感情に訴えかけるような文脈で登場しやすい。エッセイ形式の文章にも見られる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「感情的な」「感傷的な」という意味を理解し、ポジティブな意味とネガティブな意味の両方で使用されることを意識する。関連語のsentiment(感情、感傷)も合わせて覚える。
- 出題形式: 主に長文読解(Part 7)。まれに語彙問題(Part 5, 6)
- 頻度と級・パート: TOEIC L&R TEST であれば、頻度は高くない。しかし、ビジネスシーンにおける顧客への手紙や社内向けの回覧などで、顧客の感情や従業員の心情を表現する際に使われることがある。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスレターや記事で、顧客満足度や従業員の感情に配慮する文脈で使用されることがある。直接的なビジネス用語というよりは、やや間接的な表現として用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでは、感情的な表現は控えめにすることが多いため、TOEICでは直接的に「sentimental」が問われることは少ない。しかし、文章全体のトーンやニュアンスを理解する上で、この単語の意味を知っておくことは重要。
- 出題形式: 主に長文読解
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で稀に出題される。頻度は高くない。
- 文脈・例題の特徴: 文学作品の分析、歴史的な出来事の感情的な影響、社会的な感情の変遷など、人文科学系のテーマで登場する可能性がある。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEFLでは、直接的に「sentimental」の意味を問う問題は少ないかもしれないが、文章全体のテーマや著者の意図を理解する上で、この単語が持つニュアンスを把握しておくことが重要。
- 出題形式: 主に長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり。標準的なレベルの大学では、それほど頻繁には見られない。
- 文脈・例題の特徴: 文学作品、歴史、社会問題など、幅広いテーマの文章で登場する可能性がある。特に、感情や人間性をテーマにした文章で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測するだけでなく、類義語(emotional, nostalgicなど)との違いを理解しておくことが重要。また、文章全体のテーマや筆者の主張を理解するために、この単語がどのような役割を果たしているかを意識することが大切。