partisan
第1音節にアクセントがあります。/ɑːr/ は、日本語の「アー」よりも口を大きく開け、舌を少し奥に引いて発音します。/t/ は、息を強く出すように意識するとよりクリアに聞こえます。最後の /ən/ は、曖昧母音なので、力を抜いて軽く「アン」と発音しましょう。
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熱狂的支持者
特定の人物・政党・主義などを盲目的に支持する人。客観的な判断を欠き、感情的に肩入れするニュアンスを含む。政治的な文脈でよく使われる。
The old man was a true **partisan**, shouting loudly for his favorite politician.
その老人は真の熱狂的支持者で、お気に入りの政治家のために大声で叫んでいました。
※ 「partisan」は、特定の政治家や政党、考え方などを熱心に、時には盲目的に支持する人を指します。この例文では、選挙集会などで大声で応援する様子から、その「熱狂」が伝わります。
Even when her team lost, she remained a loyal **partisan**, cheering loudly.
チームが負けても、彼女は忠実な熱狂的支持者として、大声で応援し続けました。
※ スポーツチームや特定の趣味など、特定のグループを強く応援する人にも「partisan」を使います。「loyal(忠実な)」という言葉が加わることで、負けても応援し続ける「熱狂的な」態度がより鮮明に表現されています。
During the debate, he acted like a **partisan**, refusing to listen to other views.
討論中、彼は熱狂的支持者のように振る舞い、他の意見に耳を傾けようとしませんでした。
※ この例文では、「partisan」が、自分の意見や所属するグループの考え方を強く支持し、他の意見を受け入れないような、やや「偏った」ニュアンスで使われています。討論の場で、自分の立場を頑なに守る様子が目に浮かびます。
偏った
特定の主義・党派に偏り、公平さを欠いている状態。ニュース報道や意見などが中立性を欠いている場合に使われる。
The TV news report sounded very partisan, only showing one side of the story.
そのテレビのニュース報道は、とても偏っているように聞こえ、話の片側しか見せていませんでした。
※ テレビでニュースを見ているとき、その内容が公平でなく、特定の意見に偏っていると感じる場面です。ニュースや報道は中立性が求められるため、「partisan」が使われる典型的な文脈です。視聴者が「これは公平じゃないな」と感じる瞬間にぴったりです。
His comments in the meeting felt very partisan, favoring only his own team's ideas.
会議での彼の発言はとても偏っていると感じられ、自分のチームの考えばかりを支持していました。
※ 会社の会議で、ある人が自分の所属するチームの意見ばかりを強く主張し、他の意見を公平に扱わない様子を描いています。意見交換や議論の場で、特定のグループや個人の利益を優先し、中立性を欠く発言に対して使われます。ビジネスシーンでも自然です。
The sports commentator was so partisan, always praising only his favorite team.
そのスポーツ解説者はとても偏っていて、いつもお気に入りのチームばかり褒めていました。
※ スポーツの試合を観戦しているとき、解説者が自分の好きなチームばかりを応援し、他のチームには公平な評価をしない様子です。スポーツの世界でも、応援するチームに偏った見方をする人に対して使われます。より日常的で感情的なニュアンスも含まれます。
党派的な
特定の党派に属し、その利益を優先するさま。党派間の対立や政治的な駆け引きを伴う状況で使われる。
His comments on the news show were too partisan to be fair to all sides.
彼のニュース番組でのコメントは、あらゆる立場に対して公平とは言えないほど党派的でした。
※ この例文は、ニュースや政治の場面で「partisan」が使われる典型的な例です。テレビのニュース番組で、あるコメンテーターが特定の政党や考え方に肩入れしすぎて、公平な意見ではないと感じられる状況を想像してください。視聴者が「これは公平じゃない!」と感じるようなコメントです。 「too ~ to ...」は「〜すぎて…できない」という意味で、ここでは「党派的すぎて公平にはなり得ない」というニュアンスです。
Many fans were too partisan to accept the referee's fair call in the game.
多くのファンは、試合での審判の公平な判定を受け入れられないほど党派的でした。
※ スポーツの試合で、熱狂的なファンが自分の応援するチームに肩入れしすぎて、審判の公平な判定すら受け入れられないような状況を表しています。例えば、ファウルなのに「ファウルじゃない!」と叫んだりするような場面です。特定の集団(この場合はチーム)に対する偏った支持を表現する際にも使われます。 ここでも「too ~ to ...」の構文が使われており、「公平な判定を受け入れられないほど党派的だった」という状態を示しています。
The report was criticized for its partisan view on the company's future strategy.
その報告書は、会社の将来戦略に対する党派的な見方のために批判されました。
※ この例文は、ビジネスや組織内で「partisan」が使われる状況を示しています。会社の将来に関する報告書が、特定の部署やグループの利益ばかりを考えており、会社全体の視点から見て公平ではないと批判されている場面を想像してください。特定の部署やグループの意見に偏っている、という意味合いで使われます。 「was criticized for ~」は「〜のために批判された」という受動態の表現です。
コロケーション
党派政治、党利党略
※ 「partisan」が形容詞として使われ、「politics」を修飾する最も典型的な例の一つです。単に『政党間の政治』を指すのではなく、しばしば『党派間の対立が激しく、国益よりも党の利益を優先する政治』というニュアンスを含みます。特にアメリカの政治を語る上で頻繁に登場する表現で、ニュースや政治学の議論でよく見られます。対立を煽るような、ネガティブな意味合いで使われることが多いです。
党派間の分裂、党派対立
※ こちらも形容詞「partisan」が名詞「divide」(分裂、隔たり)を修飾するパターンです。「partisan politics」と同様に、政治的な文脈でよく使われます。社会や意見が党派によって大きく分断されている状況を表し、しばしば深刻な社会問題として扱われます。例えば、特定の政策や社会問題について、支持政党によって意見が真っ二つに分かれるような状況を指します。ニュース記事や社会学の研究でよく用いられます。
党派的なメディア、偏向報道
※ メディアが特定の政党や政治的立場を強く支持し、偏った報道を行うことを指します。中立性や客観性が求められるメディアにおいて、「partisan」という言葉が付くと、批判的なニュアンスが含まれます。近年、ソーシャルメディアの普及とともに、「partisan media」の影響力が大きくなっており、社会的な分断を助長する要因の一つとして問題視されています。ニュースリテラシーを学ぶ上で重要なキーワードです。
党派的な人物、党派色の強い人物
※ 政治家や活動家など、特定の政党や政治的立場を強く支持し、その立場を擁護するために活動する人物を指します。必ずしもネガティブな意味合いだけでなく、自分の信じる道を貫く人物という肯定的な意味合いで使われることもあります。しかし、多くの場合、中立性や公平性に欠けるという批判的なニュアンスを含みます。歴史上の人物や現代の政治家を評価する際に用いられることがあります。
党派的な支持、党派による支持
※ 特定の政策や人物に対する支持が、支持政党によって大きく異なる状況を指します。政策の良し悪しに関わらず、自分の支持する政党が推進する政策だから支持するというような場合に用いられます。民主主義の健全な発展を阻害する要因の一つとして、しばしば問題視されます。政治学や社会学の研究でよく用いられる表現です。
非常に党派的
※ 「highly」という副詞を伴い、「partisan」の度合いを強調する表現です。政治的な立場が非常に強く、中立性や客観性に欠ける状態を指します。例えば、「highly partisan debate」(非常に党派的な討論)のように使われます。ニュース記事や政治評論などでよく見られる表現です。
超党派、無党派
※ 接頭辞「non-」を伴い、「partisan」の反対の意味を表します。特定の政党や政治的立場に偏らない、中立的な立場であることを指します。「non-partisan organization」(超党派組織)や「non-partisan analysis」(中立的な分析)のように使われます。客観性や公平性が求められる場面で用いられることが多いです。
使用シーン
政治学、社会学、歴史学などの分野で、特定の主義主張や党派を強く支持する人や、その偏った見方を指す際に用いられます。例えば、「partisan politics(党派的な政治)」という表現は、学術論文や講義で、政策決定が党派的な対立によって左右される状況を分析する際に使われます。また、「partisan bias(党派的な偏見)」という言葉は、研究結果やデータの解釈が特定の政治的立場に偏っていることを批判的に論じる際に使用されます。
ビジネスシーンでは、特定の意見や提案を強く支持する人を指す場合や、偏った見方を批判する際に使われます。例えば、会議で「He is a partisan of this project.(彼はこのプロジェクトの熱狂的な支持者だ)」のように、ある人物が特定のプロジェクトを強く支持していることを述べる際に使われます。また、「partisan view(偏った見方)」という表現は、客観的な判断を促すために、特定の意見に偏りすぎていることを指摘する際に用いられます。報告書などのフォーマルな文書で使用される傾向があります。
日常会話では、政治や社会問題に関する議論で、特定の政党や主義主張を強く支持する人を指す場合に稀に使われます。例えば、「He is a strong partisan of that political party.(彼はその政党の強い支持者だ)」のように、特定の人物が特定の政党を熱狂的に支持していることを述べる際に使われます。ただし、日常会話では「supporter」や「fan」などのより一般的な言葉が使われることが多いです。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで見かけることがあります。
関連語
類義語
意見や判断が特定の見方や立場に偏っている状態を指します。ニュース報道、学術研究、日常的な意見表明など、幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"partisan"が政治的な党派性や熱心な支持を意味するのに対し、"biased"はより一般的な偏向を指します。"biased"は必ずしも政治的であるとは限りません。また、"partisan"よりもネガティブな意味合いが弱い場合があります。 【混同しやすい点】"partisan"は特定の党派を熱心に支持する人を指す名詞としても使われますが、"biased"は形容詞としてのみ使われます。また、"partisan"は政治的な文脈でよく使われるのに対し、"biased"はより広い文脈で使用可能です。
- factional
派閥に基づいた、または派閥争いに関わるという意味です。政治、組織、グループ内での対立や分裂を指す場合に用いられます。 【ニュアンスの違い】"partisan"が特定の党派への忠誠心を強調するのに対し、"factional"はグループ内部の対立や分裂に焦点を当てます。"factional"は、必ずしも政治的な党派性だけでなく、組織内の派閥争いにも適用できます。 【混同しやすい点】"partisan"は個人またはグループが特定の党派を支持する態度を指しますが、"factional"はグループ内部の構造的な分裂や争いを指します。したがって、"partisan"は個人の態度、"factional"はグループの状態を表すことが多いです。
- sectarian
宗派心が強い、または宗派間の対立に関わるという意味です。宗教的なグループ間の対立や偏見を指す場合に用いられます。 【ニュアンスの違い】"partisan"が主に政治的な党派性を指すのに対し、"sectarian"は宗教的な宗派性や宗派間の対立に特化しています。"sectarian"は、政治的な文脈でも使われることがありますが、その場合は宗教的な要素が背景にあることが多いです。 【混同しやすい点】"partisan"は政治的な忠誠心を意味しますが、"sectarian"は宗教的な忠誠心を意味します。したがって、使用する文脈によって意味が大きく異なります。政治的な文脈で"sectarian"を使用する場合は、宗教的な背景があることを意識する必要があります。
- one-sided
一方的な、公平でないという意味です。議論、報道、判断などが偏っている状態を指します。日常会話からニュース報道まで幅広く使用されます。 【ニュアンスの違い】"partisan"が特定の党派を支持する態度を指すのに対し、"one-sided"はより一般的な偏りを指します。"one-sided"は必ずしも政治的であるとは限りません。また、"partisan"よりもネガティブな意味合いが弱い場合があります。 【混同しやすい点】"partisan"は政治的な文脈でよく使われるのに対し、"one-sided"はより広い文脈で使用可能です。例えば、スポーツの試合や個人的な意見などにも使用できます。
- dogmatic
教条的な、独断的なという意味です。自分の意見や信念を絶対的なものとして主張し、他者の意見を受け入れない態度を指します。学術的な議論や政治的な討論などで使用されます。 【ニュアンスの違い】"partisan"が特定の党派への忠誠心からくる偏りを指すのに対し、"dogmatic"は自分の信念に対する絶対的な固執を指します。"dogmatic"は必ずしも政治的な党派性に関連するとは限りません。 【混同しやすい点】"partisan"は特定の党派を支持する態度を指しますが、"dogmatic"は自分の信念を絶対視する態度を指します。したがって、"partisan"は外部の対象(党派)への忠誠心、"dogmatic"は内部の信念への固執を表すことが多いです。
- chauvinistic
排他的愛国主義的な、または性差別的なという意味です。自国や自集団を過大評価し、他国や他集団を見下す態度を指します。政治的な議論や社会的な問題に関して使用されます。 【ニュアンスの違い】"partisan"が特定の党派を支持する態度を指すのに対し、"chauvinistic"は自国や自集団を過大評価する態度を指します。"chauvinistic"は必ずしも政治的な党派性に関連するとは限りませんが、政治的な文脈で使用されることもあります。 【混同しやすい点】"partisan"は特定の党派を支持する態度を指しますが、"chauvinistic"は自国や自集団を過大評価する態度を指します。したがって、"partisan"は特定の党派への忠誠心、"chauvinistic"は自国や自集団への優越感を表すことが多いです。
派生語
- partisanship
『党派性』、『偏向』を意味する名詞。形容詞 partisan から派生し、抽象的な概念を表す接尾辞『-ship』が付加された。政治学や社会学の分野で、特定の党派や主義への強い支持や偏りを指す際に用いられる。ニュース記事や学術論文で頻繁に見られる。
『公平な』、『偏らない』という意味の形容詞。接頭辞『im-(否定)』と語根『part-(部分)』、そして形容詞化する『-ial』が組み合わさってできた語。つまり、『一部分に偏らない』という意味合いを持つ。報道、法律、人事など、客観性が求められる場面で広く使用される。日常会話よりも、公式な文書や議論でよく使われる。
『アパート』、『集合住宅の一室』を意味する名詞。語源的には『apart(離れて)』+『-ment(名詞化)』で、『(他の部屋から)区切られた場所』というニュアンス。partisan の語源である part と関連性がある。日常会話で頻繁に使用される。
反意語
- nonpartisan
『超党派の』、『無党派の』を意味する形容詞。接頭辞『non-(否定)』がつき、『党派に属さない』という意味になる。政治的な文脈で、特定の政党の支持に偏らない立場や活動を指す。選挙、政策議論、市民活動などで用いられる。partisan の対義語として最も直接的で、頻繁に使用される。
- impartiality
『公平性』、『中立性』を意味する名詞。形容詞 impartial から派生した抽象名詞で、partisan (党派性) が持つ偏りや不公平さとは対照的な概念を表す。法廷、報道機関、人事評価など、客観的な判断が求められる場面で重要視される。学術論文や報道記事でよく使用される。
- objectivity
『客観性』を意味する名詞。個人の感情や偏見に左右されず、事実に基づいて判断する態度を指す。partisan が主観的な立場や偏った見方を意味するのに対し、objectivity はその対極にある。学術研究、ジャーナリズム、科学的な分析など、あらゆる分野で重視される概念。
語源
「partisan」は、「党派的な」「熱狂的な支持者」といった意味を持ちます。その語源は、イタリア語の「partigiano(党派の)」に由来し、さらに遡るとラテン語の「pars(部分、党派)」にたどり着きます。「pars」は、全体の一部を指す言葉であり、政治的な意味合いにおいては、特定の党やグループに属することを意味します。英語の「part(部分)」と同語源です。「partisan」は、特定のグループや思想に固執し、他の意見を受け入れない傾向を指すことが多く、中立性や客観性とは対照的な意味合いを持ちます。日本語で例えるなら、「身内びいき」や「仲間意識」といった言葉が近いニュアンスを持つかもしれません。
暗記法
「partisan」は、単なる支持者を超え、時に暴力を伴う忠誠心の象徴。宗教改革や独立戦争など、社会を二分する争いの歴史に深く刻まれ、文学作品では全体主義の恐怖や信念の葛藤を描く存在として登場します。現代では、分断を煽る言葉として批判される一方、社会変革の原動力にもなり得る、両義的な側面を持つ言葉なのです。
混同しやすい単語
『partisan』と最初の2音節の発音が似ており、特に語尾が弱化すると混同しやすい。スペルも 'part...' と 'pat...' で始まるため、読み飛ばすと間違えやすい。『特許』という意味の名詞・動詞、または『明白な』という意味の形容詞として使われる。意味も文脈も大きく異なるため注意が必要。
『partisan』とスペルが非常に似ており、'ti' の有無が主な違い。発音も最初の部分が似ているため、注意深く聞かないと区別が難しい。『分割』『仕切り』という意味の名詞・動詞。政治的な文脈では『分割』という意味で使われることもあるため、さらに混同しやすい。語源的には『part』(部分) に関連しており、意味のつながりを意識すると覚えやすい。
最後の音節の発音が『partisan』と似ており、特に早口で話されると区別が難しい。スペルも 'arti...' と 'parti...' で始まるため、視覚的にも混同しやすい。『職人』『熟練工』という意味の名詞。語源的には『art』(芸術) に関連しており、芸術的なスキルを持つ人を指す。意味を理解すると、混同を避けることができる。
『partisan』と最初の3音節の発音が非常に似ており、特にアクセントの位置が異なるため、聞き取りにくい。『パリの』『パリ人』という意味の形容詞・名詞。スペルも 'paris...' と 'partis...' で始まるため、視覚的にも混同しやすい。文脈から判断することが重要。
最初の音節の発音が似ており、特に弱く発音されると混同しやすい。スペルも 'pris...' と 'part...' で始まり、'r' の位置が異なるだけなので、注意が必要。『刑務所』という意味の名詞。語源的には『prehendere』(つかむ) に関連しており、人を捕らえておく場所という意味合いを持つ。意味を意識すると、混同を防ぐことができる。
最初の音節の発音が似ており、特にアクセントが弱い場合に混同しやすい。スペルも最初の4文字が似ているため、視覚的にも間違いやすい。『気晴らし』『娯楽』という意味の名詞。語源的には『pass the time』(時間を過ごす) に由来しており、意味を理解すると覚えやすい。
誤用例
『partisan』は『党派的な人』という意味合いが強く、必ずしも中立的な意味合いではありません。特定の政治的立場やグループを盲目的に支持するニュアンスを含みます。単に『支持者』『擁護者』という意味で使いたい場合は、『advocate』や『supporter』が適切です。日本人が『partisan』を『支持者』と安易に捉えてしまうのは、日本語の『支持』という言葉が持つ中立的な響きに引きずられるためです。英語では、単なる支持を超えた、より強いコミットメントや偏向がある場合に『partisan』が用いられます。
ここでの『partisan』は、報道機関が特定の政治的党派に肩入れすべきでない、という意味で使おうとしていますが、より適切なのは『biased(偏向した)』です。『partisan』は特定の党派に忠実であることを指しますが、『biased』はより広範な意味で、公平性に欠ける状態を指します。日本語では『党派性』という言葉が、政治的な文脈だけでなく、広く『偏った見方』を指すことがあるため、英語でも同様に使えると誤解しやすいです。しかし、英語の『partisan』は、あくまで特定の党派との結びつきが強い場合に用います。
『partisan』を『主義主張の支持者』という意味で使うのは不適切ではありませんが、『proponent』の方がよりフォーマルで、特定の主義や理念を積極的に支持・提唱するニュアンスが強くなります。『partisan』は、しばしば感情的な結びつきや忠誠心を示唆するため、客観的な議論の文脈では『proponent』がより適切です。日本人が『partisan』を選んでしまう背景には、「党派」という言葉から特定の思想や信条を持つ人を連想しがちなことが考えられます。しかし、英語では、特定の主義主張を支持する人を指す場合、より中立的でフォーマルな『proponent』を使う方が、知的で洗練された印象を与えます。
文化的背景
「partisan(党派的)」という言葉は、単に政治的な立場を指すだけでなく、盲目的とも言える忠誠心や、時に暴力的な対立をも含んだ、根深い社会的分断の象徴として存在します。それは、共通の善よりも特定の集団への帰属意識を優先する、人間の集団心理の暗部を映し出す鏡とも言えるでしょう。
歴史を振り返ると、「partisan」という言葉は、宗教改革後のヨーロッパにおける宗派間の紛争や、アメリカ独立戦争における愛国派と王党派の対立など、社会を二分するような激しい争いの時代に頻繁に登場します。これらの時代において、partisanは単なる支持者ではなく、自らの信じる正義のために命を懸ける存在でした。彼らは、敵対する勢力に対して容赦なく、時にはテロや暗殺といった手段も辞さなかったため、「partisan」という言葉には、常に暴力的な響きがつきまといます。現代においても、中東やアフリカにおける紛争地域では、partisanがテロ組織やゲリラ組織として活動し、一般市民を巻き込む悲劇が後を絶ちません。
文学作品においても、「partisan」はしばしば複雑な感情を抱かせる存在として描かれます。例えば、ジョージ・オーウェルの『1984年』に登場する党員たちは、ビッグ・ブラザーに対する盲目的な忠誠心を持ち、異端者を徹底的に排除しようとします。彼らの姿は、全体主義国家における「partisan」の恐ろしさを象徴しています。一方、アーネスト・ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』の主人公ロバート・ジョーダンは、スペイン内戦に参加したアメリカ人義勇兵であり、共和派のpartisanとしてフランコ軍と戦います。彼は、自身の信念のために戦う一方で、戦争の残酷さや人間の葛藤に苦悩する姿が描かれており、「partisan」の多面性を表現しています。
現代社会においては、「partisan」という言葉は、政治的な分断を煽る言葉として、しばしば批判的な意味合いで使用されます。特に、ソーシャルメディアの普及により、人々は自分の意見に賛同する情報ばかりに触れるようになり、異なる意見を持つ人々との対話が難しくなっています。このような状況下では、「partisan」は、社会の分断を深めるだけでなく、民主主義の危機を招く可能性も孕んでいます。しかし、一方で、「partisan」は、社会を変革するための原動力となることもあります。例えば、公民権運動や環境保護運動など、社会的な不正や不平等に対して立ち上がった人々は、ある意味で「partisan」として、既存の権力構造に挑戦しました。彼らの活動は、社会に大きな変化をもたらし、より公正で平等な社会の実現に貢献しました。このように、「partisan」という言葉は、常に両義的な意味合いを持っており、その使用には注意が必要です。
試験傾向
準1級、1級の長文読解で政治、社会問題に関する文章で出題される可能性あり。語彙問題で直接問われることも。文脈から意味を推測する練習が重要。
Part 7の長文読解で、政治や社会問題に関連するニュース記事やレポートでまれに出題される可能性あり。ビジネスの文脈ではあまり使われない。
リーディングセクションのアカデミックな文章で、政治学、社会学、歴史学などの分野で出題される可能性が高い。特に、意見の対立や政治的な偏向を説明する文脈で使われることが多い。ライティングセクションで使う場合は、客観的な視点を意識すること。
難関大学の長文読解で、政治、社会問題に関する評論や論説文で出題される可能性あり。文脈から正確な意味を把握する力が求められる。partisanの対義語や関連語も覚えておくと役立つ。