pace
二重母音 /eɪ/ は、日本語の『エ』から『イ』へスムーズに移行する音です。『ペ』と強く発音するのではなく、/eɪ/ の部分を意識して発音しましょう。語尾の /s/ は無声音で、舌先を上の歯茎に近づけて息を出す音。日本語のサ行よりも摩擦が少なく、息だけで出すイメージです。
歩調
一定の速度で進む様子。比喩的に、物事の進捗や変化の速度を表す。
I felt really tired, so I slowed my pace.
本当に疲れたので、私は歩調を落としました。
※ この文は、長い道のりを歩いている途中で「あ、疲れてきたな」と感じ、自然と歩く速度を落とす場面を想像させます。「slow one's pace」で「歩調を落とす」という、とてもよく使われる表現です。自分の体調に合わせて行動を変える、日常的な状況を表しています。
He walked slowly to match his grandmother's pace.
彼はおばあちゃんの歩調に合わせて、ゆっくり歩きました。
※ この文は、誰かに気を配り、その人の歩く速度に合わせる優しい情景を描いています。「match one's pace」は「〜の歩調に合わせる」という意味で、相手に寄り添う気持ちが伝わってきます。散歩や買い物など、日常の様々な場面で使える典型的な表現です。
The runner picked up his pace near the finish line.
そのランナーはゴールラインの近くで歩調を上げました。
※ この文は、マラソンや競争などで、目標に向かって最後の力を振り絞るランナーの姿を想像させます。「pick up one's pace」は「歩調を上げる、加速する」という意味で、目標達成に向けて行動を速める時に使われます。スポーツの場面だけでなく、仕事などでペースを上げる時にも応用できる表現です。
ペース
物事の進行速度、または生活や活動のリズム。 'keep pace with' で『〜に遅れないようにする』という意味になる。
I felt a little tired, but I tried to keep my own pace while running in the park.
少し疲れたけれど、公園で走りながら自分のペースを保とうとしました。
※ 公園でランニングしている場面ですね。少し疲れても『自分のペース(own pace)』を守ろうと頑張っている様子が伝わります。『keep one's own pace』は『自分のペースを保つ』という、この単語の非常に典型的な使い方です。運動だけでなく、仕事や勉強など、様々な場面で使えます。
It's important to learn new things at your own pace, especially when starting something difficult.
新しいことを学ぶときは、特に難しいことを始めるときは、自分のペースで進めることが大切です。
※ 新しいことを学ぶ、特に難しいことに挑戦する時の情景です。焦らず『自分のペースで(at your own pace)』進めることの大切さが伝わります。この『at your own pace』も非常によく使う表現で、学習や仕事の進め方について話すときによく登場します。
The group walked at a very fast pace, and some people struggled to keep up.
そのグループはとても速いペースで歩いたので、何人かの人はついていくのに苦労しました。
※ グループで歩いている時に、速すぎてついていけない人がいる場面です。『at a fast pace』で『速いペースで』という意味になり、物事の速さを具体的に表現できます。誰かと一緒に何かをする時に、ペースが合うかどうかを話す際によく使われる表現です。
歩き回る
落ち着きなく、または考え事をしながら、一定の場所を往復する。
He paced back and forth in his small room, waiting for the important call.
彼は重要な電話を待ちながら、狭い部屋を行ったり来たり歩き回った。
※ この例文は、誰かが不安や緊張を感じているときに「pace」を使う典型的な場面を描いています。部屋の中を「back and forth(行ったり来たり)」する様子は、落ち着かない気持ちを表現する際によく使われます。大切な連絡を待つ時の、そわそわした気持ちが伝わってきますね。
The worried father paced in the hospital waiting room, hoping for good news.
心配そうな父親は、良い知らせを願いながら病院の待合室を行ったり来たり歩き回った。
※ 病院の待合室で、愛する人の安否を気遣いながら歩き回る父親の姿は、「pace」が持つ「心配や不安からくる落ち着かない動き」を非常によく表しています。ただ歩くだけでなく、その人の感情が動きに現れているのがポイントです。
Before the big presentation, she paced her office, organizing her thoughts.
大事なプレゼンの前に、彼女は考えを整理しながらオフィスの中を歩き回った。
※ この例文では、「pace」が「集中して考え事をしている」状況で使われています。プレゼン前の緊張感と、頭の中で情報を整理しようとしながら、オフィス内を歩く様子が目に浮かびますね。感情だけでなく、思考を深めるための行動としても「pace」は使われます。
コロケーション
先頭を切る、模範を示す、基準を作る
※ レースで先頭走者が全体のペースを作るように、ある分野や業界で新しい基準やトレンドを作り出すことを意味します。ビジネスシーンでは、競合他社に先駆けて革新的な取り組みをしたり、高い目標を設定したりする際に使われます。「He is setting the pace in AI development.(彼はAI開発で先頭を走っている)」のように使われます。単に「ペースを設定する」だけでなく、「他者が追随するような高い水準を示す」ニュアンスが含まれます。
〜に遅れずについていく、〜に匹敵する
※ 文字通りには「〜と同じペースを保つ」という意味ですが、競争や変化の激しい状況で、他者や技術の進歩に遅れないように努力することを指します。「keep up with」と似ていますが、「keep pace with」はよりフォーマルな印象を与え、ビジネスや学術的な文脈でよく用いられます。「We need to keep pace with technological advancements.(私たちは技術の進歩に遅れないようにする必要がある)」のように使われます。
きびきびとしたペースで、速いペースで
※ 「brisk」は「活発な」「きびきびした」という意味で、「at a brisk pace」は、単に速いだけでなく、エネルギッシュで効率的な動きを伴うペースを表します。散歩や運動、仕事の進行状況など、さまざまな状況で使用できます。「The project is proceeding at a brisk pace.(プロジェクトは順調に進んでいる)」のように使われます。類似表現に「rapid pace」がありますが、「brisk pace」はより肯定的なニュアンスを含みます。
非常に遅いペース、のろのろとしたペース
※ 氷河(glacier)の動きが非常に遅いことから、物事が非常にゆっくりと進むことを比喩的に表します。官僚的な手続きや、進捗の遅いプロジェクトなど、苛立ちや不満を伴う状況で使われることが多いです。「The bureaucratic process is moving at a glacial pace.(官僚的な手続きは非常に遅いペースで進んでいる)」のように使われます。「snail's pace」も同様の意味ですが、「glacial pace」はよりフォーマルな文脈に適しています。
気分転換、変化、普段と違うこと
※ 文字通りには「ペースの変化」ですが、単調な日常やルーチンから離れて、新しいことや異なる経験をすることを意味します。仕事の合間の休憩や、旅行、趣味など、リフレッシュを目的とした活動を指すことが多いです。「A change of pace is good for your mental health.(気分転換は精神衛生に良い)」のように使われます。「break from routine」と似た意味ですが、「change of pace」はより広い意味で、新しい経験全般を指すことができます。
強行軍
※ もともとは軍事用語で、兵士が通常よりも速いペースで、休息も少なく長距離を移動することを指します。比喩的には、時間や資源が限られている中で、困難な状況を乗り越えて目標を達成するために、無理をして進むことを意味します。ビジネスシーンでは、納期が迫っているプロジェクトなどを指して使われます。「We are on a forced march to meet the deadline.(締め切りに間に合わせるために強行軍だ)」のように使われます。
(競争相手の)出方をうかがう、様子を見る
※ レースなどで、相手の力量や戦略を探るために、意図的にペースを上げたり下げたりすることを意味します。ビジネスシーンでは、競合他社の動向を探ったり、市場の反応を見たりする際に使われます。「We need to test the pace of our competitors before launching the new product.(新製品を発売する前に、競合他社の出方をうかがう必要がある)」のように使われます。
使用シーン
学術論文や講義で、研究の進捗や議論の速度を表す際に使われます。例えば、歴史学の研究で「〜の出来事のペースが加速した」と述べたり、経済学の講義で「市場の成長ペース」について議論したりする際に用いられます。また、心理学の研究で「被験者の反応ペース」を分析する際にも使用されます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの進行状況や市場の変化の速度を表す際に使われます。例えば、プロジェクトの進捗会議で「プロジェクトのペースが予定より遅れている」と報告したり、市場分析レポートで「競合他社の成長ペース」について分析したりする際に用いられます。また、人事評価において「従業員の成長ペース」を評価する際に使用されることもあります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、何かの進行速度や変化の度合いを説明する際に使われることがあります。例えば、「高齢化のペースが加速している」というニュースや、「マラソン選手のペース配分」に関するドキュメンタリーなどで見かけることがあります。また、健康管理アプリで「毎日の運動ペース」を記録する際などにも使われることがあります。
関連語
類義語
速さ、速度。一般的に移動速度や作業速度など、何かが進む速さを指す。日常会話、ビジネス、科学技術など幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「pace」が一定のリズムや歩調を指すのに対し、「speed」は単に速さを表す。また、「speed」は名詞としてだけでなく、動詞としても使われる(speed up: 速度を上げる)。 【混同しやすい点】「pace」は「自分のペースで」のように、主観的な感覚やリズムを含むことが多いが、「speed」は客観的な測定可能な速さを指すことが多い。例えば、マラソンのペース配分は「pace」、車の速度は「speed」が適切。
割合、速度、相場。単位時間あたりの量や頻度を表す。ビジネス、金融、科学技術分野で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】「pace」が個々の行動や進行の速度を指すのに対し、「rate」はより一般的な尺度や基準に基づく速度を示す。例えば、心拍数(heart rate)や金利(interest rate)など。 【混同しやすい点】「rate」は常に何らかの基準や単位に関連付けられる。「pace」のように「自分のペース」という主観的な意味合いは含まれない。また、「at a rapid rate」のように、形容詞を伴って使われることが多い。
- tempo
テンポ。音楽やダンスにおいて、楽曲の速さやリズムを指す。比喩的に、活動や仕事の進行速度を表すこともある。主に芸術分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「pace」が行動や進行の自然なリズムや歩調を指すのに対し、「tempo」はより意図的で一定のリズムを強調する。音楽用語としてよく知られている。 【混同しやすい点】「tempo」は音楽やダンスなど、芸術的な文脈で使われることが多い。「pace」よりも限定的な用法であり、日常的な行動の速度を指す場合は不自然になることがある。
リズム。規則的なパターンや繰り返し。音楽、詩、ダンス、日常的な活動など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「pace」が特定の行動や進行の速度を指すのに対し、「rhythm」はより広範なパターンや流れを指す。例えば、生活のリズム(rhythm of life)や呼吸のリズム(breathing rhythm)など。 【混同しやすい点】「rhythm」は速度そのものよりも、規則的なパターンや流れに重点を置く。「pace」のように具体的な行動の速度を指す場合は、文脈によっては不適切になる。例えば、「仕事のペース」を「work rhythm」と表現すると、少し違和感がある。
勢い、はずみ。何かが進む力や傾向。物理学、ビジネス、政治など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「pace」が一定の速度や歩調を指すのに対し、「momentum」は加速していく勢いを表す。良い方向にも悪い方向にも使われる。 【混同しやすい点】「momentum」は速度そのものよりも、変化や成長の勢いに重点を置く。「pace」のように一定の速度を維持するという意味合いは薄い。例えば、「プロジェクトのペース」を「project momentum」と表現すると、「プロジェクトの勢い」という意味合いになる。
歩幅、進歩。一歩の大きさや、着実な進歩を指す。日常会話やビジネスシーンで使用される。 【ニュアンスの違い】「pace」が全体の進行速度やリズムを指すのに対し、「stride」は一歩一歩の具体的な歩みや進捗を表す。「take it in stride」というイディオムは、「落ち着いて対処する」という意味。 【混同しやすい点】「stride」は「pace」と比べて、より具体的な行動や進捗に焦点が当てられる。「自分のペースで」を「in one's stride」とは言わない。また、「stride」は名詞として使われることがほとんど。
派生語
- pacemaker
『ペースメーカー』。心臓の鼓動を調整する医療機器、またはマラソンなどで先頭を走る人のことを指します。『pace(ペース)』を『make(作る)』ことから、一定の速度を維持する役割を表します。医療現場やスポーツ関連の記事でよく使われます。
- pacing
動名詞または現在分詞として使われ、『歩き回ること』『速度を調整すること』を意味します。落ち着かない様子や、戦略的な行動を示すことがあります。例えば、プレゼンテーション前に落ち着きなく歩き回る様子や、プロジェクトの進行速度を調整する際に使われます。日常会話、ビジネスシーン、文学作品など幅広く登場します。
- apace
古風な表現ですが、『急速に』『速やかに』という意味の副詞です。『a-(〜の状態に)』と『pace(ペース)』が組み合わさり、一定のペースで進む状態から転じて、速度が上がる様子を表します。現代英語ではあまり使われませんが、文学作品や歴史的な文脈で見かけることがあります。
反意語
『停止』『中断』を意味する動詞または名詞です。『pace』が進行や速度を示すのに対し、『halt』は完全に動きが止まる状態を表します。会議の中断、生産ラインの停止、軍事作戦の一時停止など、様々な文脈で使用されます。ビジネス、軍事、日常会話で頻繁に使われます。
『完全な停止』『行き詰まり』を意味する名詞です。『stand(立つ)』と『still(静止した)』が組み合わさり、動きが完全に止まった状態を表します。交渉の行き詰まり、交通の完全停止など、比喩的にも物理的な意味でも使用されます。ニュース記事やビジネス文書でよく見られます。
『遅延』『遅らせる』を意味する動詞または名詞です。『pace』が示す順調な進行とは対照的に、『delay』は何らかの理由で物事が遅れることを示します。フライトの遅延、プロジェクトの遅延、支払い遅延など、様々な状況で使用されます。日常会話、ビジネスシーン、ニュース記事で頻繁に使われます。
語源
"pace"の語源は、ラテン語の"passus"(歩み、一歩)に由来します。これは、歩くこと、進むことを意味する"pandere"(広げる、伸ばす)という動詞と関連があります。つまり、もともとは「足を広げて一歩踏み出すこと」が基本的な意味だったのです。この"passus"が古フランス語を経由して英語に入り、"pace"となりました。日本語の「ペース」という言葉は、まさにこの英語から来ており、一定の歩調、速度、あるいは物事の進捗具合を指します。語源を辿れば、一歩一歩着実に進んでいくイメージが浮かび上がり、それが時間や活動の進行速度を表す言葉として定着したことが理解できます。
暗記法
「pace」は速度を超え、社会や人生の進捗を象徴します。産業革命以降、技術革新とともに変化の速度が増し、進歩と不安が交錯する時代を反映してきました。文学作品では、社会のペースに翻弄される人々の姿が描かれ、存在意義を問いかけます。現代では、情報過多な社会で自分自身のペースを意識し、コントロールすることが重要に。人生のペースを見つめ直す、そんな力を持つ言葉です。
混同しやすい単語
『pace』と発音が非常に似ており、特に語尾の子音の有無に注意が必要。スペルも 'a' と 'e' の違いのみで、視覚的にも混同しやすい。意味は『糊』や『(データなどを)貼り付ける』であり、文脈によって区別する必要がある。日本語の『ペース』というカタカナ語に引きずられて意味を誤解しないようにしましょう。
発音がほぼ同じであり、文脈によってはどちらの単語が使われているか判断が難しい場合がある。スペルは 'a' と 'ea' の違いだが、発音に影響するため注意が必要。意味は『平和』であり、pace(ペース)とは全く異なる。発音記号を確認し、意識的に発音を区別することが重要。
母音の発音と、語尾の 's' の音が似ているため、発音を聞き間違えやすい。スペルも 'a' が一つ多いだけで、視覚的に紛らわしい。意味は『通り過ぎる』、『合格する』など多岐にわたるが、文脈で判断する必要がある。特に、前置詞や副詞を伴う句動詞(phrasal verb)で使用される場合、意味が大きく変わるため注意。
語尾の子音を除けば発音が似ており、特に早口で話されると聞き分けが難しい。スペルも 'p' と 'b' の違いのみで、タイプミスしやすい。意味は『基礎』、『基地』、『野球の塁』などであり、文脈によって意味が大きく異なる。名詞、動詞、形容詞として使われるため、品詞にも注意が必要。
発音は似ているものの、phaseの 'ph' は 'f' の音になるため、厳密には異なります。しかし、日本人学習者には区別が難しい場合があります。スペルも 'p' と 'ph' の違いのみで、視覚的に紛らわしい。意味は『段階』、『局面』であり、pace(ペース)とは全く異なる。ギリシャ語起源の単語で、語源を意識すると覚えやすい。
発音は 'pace' の動詞の三人称単数現在形 'paces' と似ている可能性があります。スペルは全く異なりますが、動詞の活用形として混同する可能性があります。意味は『支払う』であり、pace(ペース)とは全く異なります。文章中で動詞として使われているか名詞として使われているかを意識することで、区別できます。
誤用例
日本人は『pace』を名詞の『ペース』として認識しているため、『ペースを乱さないで!』という意図で動詞として使ってしまうことがあります。しかし、動詞の『pace』は『落ち着きなく歩き回る』という意味合いが強く、ここでは『急かさないで』という意味の『rush』が適切です。日本語の『ペース』という言葉にとらわれず、文脈に合った動詞を選ぶ必要があります。
『pace』は速度を表す言葉ですが、どちらかというと『一定の速度』や『歩調』といったニュアンスがあります。研究の速度を上げたいという文脈では、より勢いよく加速させるイメージの『accelerate』が適しています。日本人が『ペースアップ』という言葉を安易に英語に直訳しようとすると起こりやすい誤用です。ビジネスシーンでは、状況に応じて適切な動詞を選ぶことが重要です。
マラソンなどで『ペースを作る』という場合、最初の『pace』は適切ですが、その後の『pace』は『テンポ』に近い意味合いになります。日本語の『ペース』は非常に広い意味で使われますが、英語では『tempo』の方が、音楽や運動における一定のリズム・速度というニュアンスをより正確に表現できます。特に音楽用語に由来する『tempo』は、教養ある層には馴染み深く、ニュアンスが伝わりやすいでしょう。
文化的背景
「pace」という言葉は、単なる速度や歩調を示すだけでなく、しばしば人生や社会の進捗、変化の速度を象徴します。特に、変化の激しい現代社会においては、個人の生活から政治、経済まで、あらゆる領域における「ペース」を意識し、コントロールすることの重要性が増しています。
歴史的に見ると、「pace」は元々、歩く速度や馬の歩調を意味する言葉でした。しかし、産業革命以降、技術革新が加速するにつれて、その意味合いは拡大し、社会全体の変化の速度を表すようになりました。例えば、19世紀のイギリスでは、鉄道の登場によって人々の移動速度が飛躍的に向上し、それまでの生活ペースが大きく変化しました。この変化は、人々に興奮と同時に不安をもたらし、「pace」という言葉は、進歩の象徴であると同時に、伝統的な価値観の崩壊を暗示する言葉としても使われるようになりました。
文学作品においても、「pace」は重要なテーマとして扱われています。例えば、チャールズ・ディケンズの作品には、産業革命期のロンドンの喧騒や貧困が描かれており、登場人物たちは、急速に変化する社会のペースに翻弄されながら生きています。また、現代のSF作品では、テクノロジーの進化によって加速する社会のペースが、人間の精神や倫理観に与える影響が描かれることがあります。これらの作品を通して、「pace」は、単なる速度の概念を超え、人間の存在意義や幸福について深く考えさせるきっかけとなるのです。
現代社会においては、「ペース」を意識的にコントロールすることが、より重要になっています。情報過多の時代において、常に最新の情報に追いかけられるように生きるのではなく、自分にとって必要な情報を選び取り、自分のペースで学習することが求められます。また、仕事においても、常に成果を求められるプレッシャーの中で、自分の心身の健康を維持しながら、持続可能なペースで働くことが重要です。「pace」という言葉は、私たちに、自分自身の人生のペースを見つめ直し、より良い生き方を選択するよう促す力を持っていると言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(稀にライティングの自由英作文で使えると高評価)
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。2級でも長文で読解語彙として登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、テクノロジーなど、幅広いテーマの長文で使われる。比喩的な表現も含む。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(ペース、歩調)と動詞(ペースを定める、歩む)の両方の意味を理解する。派生語(e.g., keep pace with)も重要。文脈に応じて意味を判断できるように練習する。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 頻出単語。特にPart 7で、ビジネスシーン(プロジェクトの進捗、会議など)に関する文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: ビジネス文書(Eメール、レポート、記事など)で、進捗状況や速度を表す際に用いられることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「pace」は「歩き回る」という意味もあるため、文脈によって意味を判断する必要がある。ビジネスにおける進捗管理に関連する語彙と合わせて覚える。
- 出題形式: リーディングセクション
- 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな文章でよく使用される。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学など、様々な分野の学術的な文章で使われる。抽象的な概念や理論の展開において、進捗や速度の比喩として用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞、動詞両方の用法を理解する。アカデミックな文脈では、比喩的な意味合いで使われることが多い。同意語(rate, speed, tempo)との使い分けを意識する。
- 出題形式: 主に長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも読解語彙として登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 評論、物語など、様々なジャンルの文章で使われる。社会問題、文化、歴史など、幅広いテーマで登場する。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。比喩表現として使われる場合もあるので、注意が必要。関連語句(set the pace, at a slow paceなど)も覚えておくと役立つ。