intangible
第一音節の /ɪ/ は、日本語の『イ』よりも少し曖昧で、口をあまり開けずに発音します。/ˈtændʒ/ の部分は強勢を置くため、はっきりと発音しましょう。最後の /əbl/ は、曖昧母音の /ə/ を意識し、力を抜いて発音すると自然です。/dʒ/ の音は、日本語の『ジャ』行に近いですが、より喉の奥から出すイメージを持つと良いでしょう。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
触れられない
物理的に触れることができない、または掴むことができないものを指します。比喩的に、実体がない、漠然としている、理解しにくいといった意味合いで使われます。例:無形の資産、目に見えない価値。
The wind is intangible, but you can feel it on your skin.
風は触れることができませんが、肌で感じることができます。
※ 屋外で風がそよぐ情景を想像してみてください。この例文は、「intangible」が物理的に触れないものを表す、最も基本的で分かりやすい使い方を示しています。風のように形がなく、手でつかむことはできないけれど、その存在は確かに感じられる、という状況にぴったりです。
Love is intangible, but it makes our lives rich.
愛は形がないけれど、私たちの人生を豊かにしてくれます。
※ 大切な人とのつながりを感じ、心が満たされる瞬間を思い浮かべてみましょう。この例文は、「intangible」が物理的なものだけでなく、愛や幸福、友情といった「形のない感情や概念」にも使われることを教えてくれます。目には見えないけれど、私たちの人生に大きな影響を与えるものによく使われる典型的な例です。
You can touch an old photo, but the memories in it are intangible.
古い写真は触れることができますが、その中の思い出は触れることができません。
※ アルバムを開いて、昔の写真を眺めている場面を想像してください。写真そのものは触れることができますが、写真に写っている楽しかった思い出や感情は、物理的に触れることはできませんね。このように、具体的な「触れるもの」と、それに関連する「触れない価値や意味」を対比させることで、「intangible」のニュアンスがより鮮明に理解できます。
形のない
具体的な形を持たないこと。サービスやブランドイメージなど、物理的な実体がないものに対して使われることが多いです。例:無形のサービス、形のない魅力。
Happiness is an intangible feeling that money cannot buy.
幸福はお金では買えない、形のない感情です。
※ この例文は、目には見えないけれど誰もが経験する「幸福」という感情が『形のないもの(intangible)』であることを示しています。お金では買えない、心で感じる価値があることを伝えています。このように、感情や感覚を表現する際によく使われます。
Knowledge and skills are intangible things that help you grow.
知識とスキルは、あなたが成長するのに役立つ形のないものです。
※ この例文では、「知識」や「スキル」といった、物理的に触れることはできないけれど、非常に価値のある概念を表す際に『形のないもの(intangible)』が使われています。あなたの内面を豊かにし、成長を助けるものとしてイメージできます。
The wind is intangible, but you can feel it on your skin.
風は形がないけれど、肌で感じることができます。
※ この例文は、物理的に存在しながらも目には見えない「風」を例に、『形がない(intangible)』という言葉の最も直接的な意味を伝えています。目に見えないけれど、肌でその存在をはっきりと感じられる様子が想像できます。
無形のもの
触れることのできないもの、形のないもの全般を指します。知的財産、ブランドイメージ、顧客との信頼関係などが該当します。
Our brand's strong reputation is an intangible that helps us grow.
私たちのブランドの強い評判は、私たちを成長させる無形のものだ。
※ 会社の会議室で、社長が社員たちに語りかけています。「ブランドの評判」は目に見えませんが、会社の成長に不可欠な価値あるものです。ビジネスの文脈で、目に見えない資産や価値を指すときによく使われる典型的な表現です。
True friendship is an intangible, more valuable than any expensive gift.
本当の友情は、どんな高価な贈り物よりも価値のある無形のものだ。
※ カフェで親友同士が向かい合って、人生で本当に大切なものについて語り合っている場面です。「友情」や「愛情」「幸福」といった感情や関係性は、形がないけれど非常に価値がある、という気持ちを表すときにぴったりです。心に響く表現ですね。
The spirit of teamwork is an intangible part of our success in sports.
チームワークの精神は、私たちのスポーツでの成功における無形の部分だ。
※ 試合後のロッカールームで、コーチが選手たちに、勝利の秘訣は目に見えない「チームワークの精神」にあったと強調しています。「精神」や「雰囲気」など、具体的な形はないけれど、結果に大きく影響する重要な要素を指すときに使われます。スポーツだけでなく、仕事や学校のプロジェクトなどでも応用できますよ。
コロケーション
無形資産
※ 会計やビジネスの文脈で非常によく使われる表現です。特許、商標、ブランド、のれんなど、物理的な形を持たない資産を指します。有形資産(tangible assets)と対比して使われ、企業の価値を評価する上で重要な要素となります。例えば、「ブランド価値は重要な無形資産である」のように使われます。法的な保護や、競合他社との差別化戦略において、これらの資産をどのように管理・活用するかが重要になります。
無形の恩恵、目に見えない利益
※ 金銭的な価値として直接評価できない、間接的な利益や恩恵を指します。従業員のモチベーション向上、企業イメージの向上、顧客満足度の向上などが該当します。例えば、「社員研修は、スキルアップだけでなく、チームワークを育むという無形の恩恵もある」のように使われます。数値化しにくいものの、組織の長期的な成功に大きく貢献する要素です。福利厚生や企業文化など、従業員の満足度を高める施策は、この無形の恩恵をもたらすことを目的としています。
無形文化遺産
※ ユネスコ(UNESCO)が保護対象としている、形を持たない文化的な遺産を指します。具体的には、伝統芸能、口承文学、祭礼、伝統工芸技術などが該当します。例えば、「能や歌舞伎は日本の無形文化遺産である」のように使われます。これらの遺産は、世代を超えて受け継がれてきた知識や技術、価値観を体現しており、文化の多様性を維持する上で重要な役割を果たします。記録や保存だけでなく、後継者の育成や一般公開などを通じて、その価値を広く伝えることが求められます。
目に見えない資質、無形の特性
※ 人の性格や能力、あるいは物事の性質の中で、数値化したり明確に定義したりすることが難しい要素を指します。例えば、「リーダーシップには、共感力や決断力といった無形の資質が求められる」のように使われます。カリスマ性、創造性、直感力などもこれに含まれます。採用活動や人材育成の場面で、これらの無形の資質を見極め、伸ばすことが重要視されることがあります。客観的な評価が難しいため、観察や面談を通じて総合的に判断されることが多いです。
無形の価値
※ 金銭的な価値として直接評価できない、間接的な価値を指します。ブランドイメージ、顧客ロイヤリティ、企業文化などが該当します。例えば、「企業のブランドイメージは、長期的な無形の価値を生み出す」のように使われます。マーケティング戦略や広報活動を通じて、この無形の価値を高めることが重要です。消費者の購買意欲や企業の評判に大きな影響を与えるため、慎重な管理が求められます。
無形資産評価
※ 企業の持つ無形資産の経済的な価値を評価するプロセスを指します。ブランド、特許、顧客関係などの価値を、財務諸表に適切に反映させるために行われます。専門的な知識とスキルを必要とする分野であり、会計士、財務アナリスト、コンサルタントなどが関わります。ブランド価値の評価には、将来の収益予測や市場シェアの分析などが用いられます。M&A(合併・買収)の際にも、無形資産の価値が重要な判断材料となります。
無形の恩恵を持つ
※ この構文は、組織や個人が、数値化できない間接的な利益や恩恵を受けている状態を表します。例えば、「ボランティア活動は、自己成長という無形の恩恵を持つ」のように使われます。金銭的な報酬はないものの、精神的な充足感や社会貢献の実感など、貴重な経験を得ることができます。企業が従業員に提供する福利厚生も、この無形の恩恵の一例です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、概念的なものを扱う際に用いられます。例えば、経済学において「ブランドの無形資産価値」を議論する際や、社会学で「社会規範の浸透」を分析する際に使われます。文語的な表現であり、客観性と厳密性が求められる文脈で頻繁に見られます。
経営戦略やマーケティング関連の文書で使われます。例えば、「企業の無形資産(技術、ブランド、知的財産など)の重要性」を説明する際に用いられます。また、人事評価において、「従業員の潜在能力」を評価する際に使われることもあります。フォーマルな文脈で、専門用語を避けつつ、分かりやすく説明するために用いられます。
日常会話ではあまり使われませんが、自己啓発書やニュース記事などで見かけることがあります。例えば、「目に見えない心のつながりの大切さ」を語る際や、「抽象的な芸術作品の魅力」を説明する際に用いられることがあります。やや硬い表現であり、意識的に使う必要があります。
関連語
類義語
- immaterial
『重要でない』『実質的でない』『非物質的な』という意味。哲学や法律、宗教的な文脈で、物質世界とは異なる精神的な領域を指す場合や、重要でない事柄を指す際に使われる。学術的な文脈やフォーマルな場面で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『intangible』と比べて、より形而上的、抽象的な概念を指す傾向がある。ビジネスシーンよりも、哲学的な議論や、法律における権利の概念(例:知的財産権)を説明する際に適している。『intangible』がビジネスにおけるブランド価値など、ある程度具体的な無形資産を指すのに対し、『immaterial』はより本質的に物質性を持たないものを指す。 【混同しやすい点】日常会話ではあまり使われないため、使用頻度に注意が必要。また、『immaterial』は『重要でない』という意味でも使われるため、文脈によって意味を判断する必要がある。
『抽象的な』という意味。具体的な事物や事例から離れて、一般的な概念や理論を指す。美術、哲学、数学など、幅広い分野で使用される。日常会話でも使われるが、ややフォーマルな印象を与える。 【ニュアンスの違い】『intangible』は物理的に触れることができないという意味合いが強いのに対し、『abstract』は概念的に具体的なイメージを持ちにくいという意味合いが強い。例えば、ブランドイメージは『intangible』だが、抽象絵画は『abstract』と表現される。 【混同しやすい点】『abstract』は名詞としても使われ、『要約』という意味になる。文脈によって意味が異なるため注意が必要。また、日本語の『抽象的』という言葉が持つネガティブなニュアンス(曖昧でわかりにくい)は、英語の『abstract』には必ずしもない。
- ethereal
『優美で繊細な』『この世のものとは思えない』という意味。文学、音楽、美術などの芸術分野で、美しさや儚さを表現する際に用いられる。日常会話ではあまり使われず、詩的な表現を好む場合に限られる。 【ニュアンスの違い】『intangible』が単に触れることができないという事実を述べるのに対し、『ethereal』は美しさや神秘性を伴うニュアンスを持つ。例えば、妖精のような美しさを表現する際に『ethereal beauty』と表現される。 【混同しやすい点】日常会話での使用頻度が非常に低いため、使いすぎに注意が必要。また、宗教的な文脈で『天上の』という意味を持つ場合もある。
- incorporeal
『肉体を持たない』『無形の』という意味。哲学、神学、法律などの専門分野で、魂、精神、権利などの概念を指す際に用いられる。非常にフォーマルで、日常会話ではほとんど使われない。 【ニュアンスの違い】『intangible』よりもさらに抽象的で、物質的な存在を持たないことを強調する。例えば、天使や幽霊などの存在を説明する際に用いられる。『intangible』がビジネスにおける無形資産など、ある程度具体的なものを指すのに対し、『incorporeal』はより形而上的な概念を指す。 【混同しやすい点】日常会話での使用はほぼ皆無。学術的な文脈以外では避けるべき。また、発音が難しいため、自信がない場合は別の単語を使う方が無難。
『目に見えない』という意味。物理的に視覚で捉えられないものを指す。科学、技術、日常会話など、幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『intangible』が触覚で捉えられないことを指すのに対し、『invisible』は視覚で捉えられないことを指す。例えば、電波は『invisible』だが、ブランドイメージは『intangible』である。 【混同しやすい点】『目に見えない』という意味が強いため、『intangible』の持つ『無形の価値』というニュアンスを表現できない場合がある。例えば、企業のブランド価値を『invisible』と表現するのは不適切。
派生語
『触知できる』、『明白な』という意味の形容詞。『in-(否定)』が取れた形。元々は物理的に触れることができるものを指すが、比喩的に『具体的な証拠』のように、はっきりと認識できるもの全般を指す。ビジネスシーンや日常会話で頻繁に使われる。
- tangibility
『触知性』、『有形性』を意味する名詞。『tangible』に名詞化の接尾辞『-ity』がついた形。抽象的な概念を扱う文脈、例えばマーケティングにおける『有形性の追求』や、会計における『資産の有形性』などで用いられる。学術論文や専門的なビジネス文書でよく見られる。
- intangibly
『無形的に』、『捉えがたいほどに』という意味の副詞。『intangible』に副詞化の接尾辞『-ly』がついた形。例えば、『その感情は無形的に広がった』のように、目に見えない影響や効果を表現する際に使われる。ややフォーマルな文脈や、文学的な表現で見られる。
反意語
『物質的な』、『有形の』という意味の形容詞。『intangible』が主に価値や感情など無形のものを指すのに対し、『material』は物理的な存在や物質的な富を指す。日常会話からビジネス、学術まで幅広く使われる。文脈によっては『重要』という意味にもなり、その場合は『immaterial』が反意語となる。
『物理的な』、『肉体的な』という意味の形容詞。『intangible』が精神的、感情的な側面を表すのに対し、『physical』は身体や物質世界に属するものを指す。例えば、『無形の資産』と『物理的な資産』のように対比して用いられる。科学技術、医学、スポーツなど幅広い分野で使用される。
語源
"intangible"は、ラテン語に由来する言葉で、触れることができない、形のない、という意味を表します。この単語は、接頭辞 "in-"(否定を表す)と、"tangible"(触れることができる)という二つの要素から構成されています。"tangible" は、ラテン語の "tangere"(触れる)に由来し、これは物理的に触れることができるものを指します。したがって、"intangible" は、文字通りには「触れることができない」という意味になり、物理的な形を持たないもの、例えば、感情、アイデア、概念などを指すようになりました。日本語で例えるなら、「目に見えない価値」や「無形の資産」といった表現が近いでしょう。ビジネスシーンでは、ブランドイメージや顧客ロイヤリティなど、数値化しにくい重要な要素を指すことがあります。
暗記法
「無形」は、目に見えぬ心の豊かさ。信仰、友情、愛情、知識…それらは社会の基盤であり、人生を彩る不可欠な要素です。効率や利益が優先される現代において、忘れ去られがちな無形の価値。しかし、文学作品は教えてくれます。『星の王子さま』や『千と千尋の神隠し』を通して、目に見えぬ大切なものに気づくように、無形の価値は、私たちがより良く生きるための羅針盤となるのです。
混同しやすい単語
『intangible』と『tangible』は、接頭辞 'in-' の有無だけが異なります。'tangible' は『触れることができる』『有形の』という意味で、正反対の意味を持ちます。スペルも非常に似ているため、文脈をよく読んで意味を判断する必要があります。'tangible assets'(有形資産)のような一般的なフレーズを知っておくと役立ちます。
『intangible』と『intense』は、最初の 'in-' の部分が共通しており、音の響きが似ています。'intense' は『強烈な』『激しい』という意味で、感情や状況を表す際によく用いられます。スペルも似ているため、注意が必要です。例えば、'intense heat'(強烈な暑さ)のように使われます。
『integral』は『不可欠な』『完全な』という意味で、スペルの一部が 'intangible' と共通しています。発音も最初の 'in-' の部分が似ているため、混同しやすいことがあります。'integral part'(不可欠な部分)のように、何かの構成要素として重要な役割を果たす場合に使われます。文脈から意味を判断することが重要です。
'entangle'は「もつれさせる」「巻き込む」という意味の動詞で、'intangible'とスペルの一部が類似しています。発音も最初の部分が似ているため、混同される可能性があります。'entangled in a conflict'(紛争に巻き込まれる)のように使われ、物理的または比喩的な意味で何かが複雑に絡み合っている状態を表します。
『inventable』は『発明可能な』という意味で、語尾の '-able' が共通しており、スペルがいくらか似ています。発音も母音の響きが似ている部分があるため、混同される可能性があります。'inventable technology'(発明可能な技術)のように、新しいものを創造できる可能性を示唆する際に使われます。文脈に注意して意味を区別しましょう。
『indigestible』は『消化できない』という意味で、接頭辞 'in-' が共通しており、スペルも一部が似ています。発音も最初の部分が似ているため、混同される可能性があります。'indigestible food'(消化できない食べ物)のように、主に食べ物に関して使われます。意味が大きく異なるため、文脈から判断することが重要です。語源的には、'digest'(消化する)に否定の接頭辞 'in-' が付いた形です。
誤用例
日本人が『安い』を意味する際に安易に "cheap" を用いるのはよくある誤りです。無形資産の価値を議論する文脈では、価値が正当に評価されていない状態を指す "undervalued" が適切です。"Cheap" は文字通り価格が低いことを意味し、無形資産の議論にはそぐいません。また、ビジネスの文脈では、よりフォーマルな語彙を選ぶことで、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
ここでの誤りは、"evaluate" が必ずしも数量的な評価を意味しない点にあります。"intangible" が指すのは、数値化が難しい貢献です。したがって、"quantify"(数量化する)を用いることで、無形性が評価の難しさの根本原因であることをより明確に伝えられます。日本人は「評価」という言葉に "evaluate" を反射的に用いる傾向がありますが、英語では文脈によって最適な動詞を選ぶ必要があります。特にビジネスシーンでは、正確な語彙選択が重要です。
日本人が「目に見えない」「形のない」という意味で "intangible" を感情に対して使う場合がありますが、感情の複雑さや言葉で表現できないニュアンスを伝えたい場合は "ineffable" がより適切です。"Intangible" は、物理的に触れられない資産や概念を指すことが多く、感情の微妙なニュアンスを表現するにはやや不向きです。"Ieffable" は「言葉にできないほど素晴らしい」といったニュアンスを含み、感情の深さをより適切に表現できます。日本人は、抽象的な概念を説明する際に、つい直訳的なアプローチを取りがちですが、英語では文化的な背景や感情の機微を考慮した語彙選択が重要です。
文化的背景
「intangible(無形)」という言葉は、目に見えず、触れることもできない価値や概念を指し、物質的な豊かさだけでは測れない人間の精神性や社会の基盤を象徴します。それは、信仰、友情、愛情、知識、名誉、文化遺産など、私たちの生活を豊かにする不可欠な要素でありながら、その重要性が軽視されがちなものたちです。
近代資本主義の発達とともに、効率や利益といった有形の価値が重視されるようになった結果、無形の価値はしばしば見過ごされてきました。しかし、20世紀後半以降、経済成長の限界や環境問題が顕在化するにつれて、人々の価値観は多様化し、無形の価値への関心が高まりました。例えば、企業のブランドイメージや従業員のスキル、組織文化といった無形資産が、競争力を左右する重要な要素として認識されるようになったのは、その一例です。また、近年では、持続可能な社会の実現に向けて、伝統文化や地域コミュニティの価値が見直され、無形文化遺産の保護活動が世界中で展開されています。
文学や映画の世界においても、「intangible」な価値は重要なテーマとして扱われてきました。例えば、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『星の王子さま』では、王子さまが様々な星を旅する中で、目に見えるものだけでなく、心で感じる大切なもの(友情、愛情、信頼)の価値を学びます。また、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』では、主人公の千尋が、両親を救うために、銭婆から「本当に大切なものは目に見えない」という教えを受けます。これらの作品は、物質的な豊かさだけでは得られない、精神的な充足感や人間関係の重要性を私たちに教えてくれます。
「intangible」という言葉は、単に「触れられない」という意味だけでなく、人間の感情、倫理観、社会的なつながりといった、目に見えないけれど私たちを支えている大切なものを表現する言葉として、文化的な意味合いを帯びています。それは、私たちがより良い社会を築き、幸福な人生を送るために、常に意識し、大切にしなければならない価値なのです。
試験傾向
準1級以上で語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。特に、抽象的な概念を説明する文脈で用いられ、可算名詞・不可算名詞の区別や類義語との使い分けが問われることがあります。リスニングでの出題は比較的少ないでしょう。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で登場する可能性があります。ビジネスシーンにおける抽象的な概念(企業の無形資産価値など)を説明する文脈で用いられることが多いです。類義語や反意語に関する知識も問われることがあります。
リーディングセクションで、アカデミックな文章(社会科学、ビジネスなど)において頻出します。抽象的な概念や理論を説明する際に用いられ、文脈から意味を推測する能力が求められます。ライティングセクションでも、論理的な議論を展開する際に使用できると高評価につながる可能性があります。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。評論文や論説文など、抽象的な概念を扱う文章で用いられることが多いです。文脈から意味を推測するだけでなく、文章全体のテーマや主張を理解する上で重要な役割を果たすことがあります。