innately
生まれつき
後天的な学習や経験によらず、最初から備わっている性質や能力を指す。才能や性質について使われることが多い。
Babies are innately curious about the world around them.
赤ちゃんは周りの世界に対して生まれつき好奇心を持っています。
※ この例文は、赤ちゃんがキラキラした目で初めて見るものに手を伸ばしたり、音に反応したりする、純粋な好奇心に満ちた姿を描いています。このように「innately」は、人間が教えられなくても生まれつき持っている感情や特性(好奇心、優しさなど)を説明するのに非常によく使われます。特に「好奇心 (curious)」は、まさに生まれつきの性質と言えますね。
Some people are innately good at remembering faces and names.
生まれつき顔や名前を覚えるのが得意な人もいます。
※ あなたの周りにも、初めて会った人の顔や名前をすぐに覚えてしまう人がいませんか?「え、もう覚えたの!?」と驚くような、そんな才能を持っている人のことです。この例文のように、「innately」は、努力して身につけたものではなく、「元々備わっている」個人の才能や得意なことを話すときにぴったりです。努力ではどうにもならない「生まれつき」の差を表現できます。
A little puppy innately follows its mother everywhere she goes.
小さな子犬は、お母さんが行くところならどこへでも生まれつきついて行きます。
※ 生まれたばかりの子犬が、まだ小さい体で一生懸命お母さん犬の後をちょこちょこついて歩いている、愛らしい姿を想像してみてください。お母さんが歩けば子犬も歩き、お母さんが止まれば子犬も止まる、そんな本能的な行動です。このように「innately」は、動物が教えられなくても生まれつき行う行動、つまり本能を説明する際によく使われます。ここでは「follows(ついて行く)」という動詞を「innately」が修飾し、「生まれつき〜する」という意味を加えています。
本能的に
理性や思考を介さず、自然に反応する様子。動物の行動や人間の直感的な判断について使われる。
A baby chick innately follows its mother for safety.
ひよこは安全のために本能的に母親についていきます。
※ 【情景】生まれたばかりのひよこが、まだ何も知らないのに、親鳥の後をちょこちょこついていく様子を想像してください。 【解説】動物が生まれつき持っている行動(本能)を表す典型的な使い方です。「innately」は「本能的に」という意味が最もよくわかる例の一つです。 【文法】動詞 'follows' の前に置いて、その行動が「本能的に」行われることを強調しています。
We innately react to sudden loud noises with a jump.
私たちは突然の大きな音には本能的にビクッと反応します。
※ 【情景】暗い部屋で、急に「ドン!」と大きな音がして、思わず「ビクッ!」と体が跳ね上がってしまった瞬間を思い浮かべてみてください。 【解説】人間が意識せずに行う、生まれつきの反応や防御行動を表す時に使われます。誰もが経験するような状況で、この単語の意味がすっと入ってきます。 【文法】「react to ~ with ...」で「~に...で反応する」という表現です。「innately」は、このように私たちが「生まれつき持っている性質や反応」について話すときによく使われます。
A kind child innately wants to help others in trouble.
優しい子は、困っている人を本能的に助けたがります。
※ 【情景】公園で、小さな子が転んで泣いている友達を見て、何も言われなくても自然と手を差し伸べようとしている姿を想像してください。 【解説】人の生まれつきの性格や、教えられなくても自然に持っている感情や欲求を表すのに適しています。子どもの純粋な心を描写することで、「innately」の「生まれつき」というニュアンスがよく伝わります。 【文法】「innately wants to help」のように、動詞の前に置いて「本能的に~したがる」「生まれつき~したいと思う」という気持ちを表すことができます。
コロケーション
生来的に人間らしい、人間本性として備わっている
※ 「innately human」は、人間が生まれながらに持っている性質や行動、感情などを指す際に用いられます。例えば、「共感する能力は生来的に人間らしい」のように使われます。これは、文化や学習によって後天的に獲得されるものではなく、人間という種に共通して備わっていると考えられる特性を強調する表現です。哲学や心理学、社会学などの分野でよく見られます。
生まれつき才能に恵まれている
※ 「innately gifted」は、ある特定の分野において、努力や訓練によらず、生まれつき高い能力を持っていることを表します。音楽、スポーツ、学問など、様々な分野で使われます。「She is innately gifted at playing the piano.(彼女は生まれつきピアノの才能がある)」のように使われます。才能が後天的な努力だけでなく、先天的な要素も大きく影響することを示唆する表現です。
生まれつき人見知りである、内気である
※ 「innately shy」は、人が生まれながらに内向的で、他人との交流を避ける傾向があることを指します。単に恥ずかしがり屋であるだけでなく、遺伝的な要因や気質によって、社会的な状況で不安を感じやすいことを示唆します。「He was innately shy, even as a child.(彼は子供の頃から人見知りだった)」のように使われます。心理学や性格特性の研究で用いられることがあります。
生まれつき~しやすい、~する傾向がある
※ 「innately predisposed」は、遺伝的な要因や体質によって、特定の病気や行動、感情などを起こしやすい状態にあることを意味します。「Some people are innately predisposed to anxiety.(不安になりやすい体質の人もいる)」のように使われます。医学や心理学の分野で、遺伝的要素が病気や性格に与える影響を説明する際に用いられます。
本能的に信じる、心の底から信じる
※ 「believe innately」は、理性的な思考や証拠に基づかず、直感的に、または生まれながらにして何かを信じている状態を表します。宗教的な信念や倫理的な価値観など、深く根付いた信念を表現する際に用いられます。「I innately believe in the goodness of people.(私は人間の善良さを心の底から信じている)」のように使われます。哲学や宗教の分野で用いられることがあります。
本能的に知っている、直感的に理解している
※ 「know innately」は、学習や経験によらず、生まれつき何かを知っている、または直感的に理解している状態を表します。動物の行動や人間の感情など、本能的な知識や理解を表現する際に用いられます。「Birds know innately how to build nests.(鳥は巣の作り方を本能的に知っている)」のように使われます。生物学や心理学の分野で用いられることがあります。
本能的に理解する、直感的に把握する
※ 「understand innately」は、論理的な思考や説明なしに、直感的に物事の本質や意味を理解することを指します。例えば、芸術作品の美しさや音楽の感情的な表現などを理解する際に用いられます。「Children often understand emotions innately.(子供はしばしば感情を本能的に理解する)」のように使われます。教育学や芸術の分野で用いられることがあります。
使用シーン
学術論文や教科書で使用される頻度は中程度です。特に心理学、生物学、哲学などの分野で、「人間は生まれつき〜する傾向がある」「〜という性質を持つ」といった議論をする際に用いられます。例えば、「人間は生まれつきパターン認識能力が高い (Humans are innately good at pattern recognition.)」のように、研究結果や学説を説明する文脈で使われます。文語的で、客観的な記述が求められる場面に適しています。
ビジネスシーンでは、フォーマルな文書やプレゼンテーションで稀に使用されます。例えば、市場調査の報告書で「消費者は生まれつき新しいもの好きである (Consumers are innately attracted to novelty.)」と分析したり、人材育成に関する議論で「リーダーシップは生まれつきのものではない (Leadership is not innately given.)」と述べたりする際に使われることがあります。日常的なビジネス会話ではあまり使われません。やや堅い印象を与えるため、相手や状況を選ぶ必要があります。
日常会話ではほとんど使用されません。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、専門家が意見を述べる際に使われることがあります。例えば、「人間は生まれつき共感能力を持っている (Humans are innately empathetic.)」といった内容が、科学的な根拠を伴って説明される際に用いられます。会話で使用すると、少し堅苦しい印象を与える可能性があります。
関連語
類義語
『本質的に』『生まれつき』という意味で、その物事や人の性質そのものに備わっていることを強調する。学術的な文脈や、ある性質が切り離せないものであることを示す際に使われる。 【ニュアンスの違い】『innately』と非常に近い意味を持つが、『inherently』の方がよりフォーマルで、抽象的な概念や理論に対して用いられることが多い。また、悪い意味合いにも使われることがある(例:inherently flawed)。 【混同しやすい点】『innately』は主に能力や才能など良い意味合いに使われることが多いのに対し、『inherently』は中立的、あるいは否定的な意味合いでも使われる点に注意。例えば、「inherently dangerous(本質的に危険)」のように使われる。
『自然に』『生まれつき』という意味で、特に努力や訓練なしに、ある行動や性質が現れることを指す。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『innately』よりも広い意味を持ち、文脈によっては『当然』『無理なく』という意味合いも含む。『naturally』は状況や環境に起因する自然さを表すのに対し、『innately』は内面から自然に湧き出るものを指す。 【混同しやすい点】『naturally』は状況依存的な意味合いを含むため、『innately』のように生得的な能力や性質のみを表すわけではない点に注意。例えば、「He naturally excelled at the sport.(彼は生まれつきそのスポーツに長けていた)」は、環境要因も含む可能性がある。
『本能的に』という意味で、考えたり学んだりすることなく、自然に湧き上がる衝動や行動を指す。動物の行動や人間の反射的な行動を説明する際に用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】『innately』が生まれつきの性質や能力を指すのに対し、『instinctively』はより具体的な行動や反応に焦点を当てる。また、『instinctively』は理性的な判断を伴わない、より原始的な行動を連想させる。 【混同しやすい点】『innately』は抽象的な性質や能力を表すことができるが、『instinctively』は具体的な行動に限定される点に注意。例えば、「innately talented(生まれつき才能がある)」は使えるが、「instinctively talented」は不自然。
『生まれつき』『本来』という意味で、人の性格や性質を説明する際に用いられる。ややフォーマルな表現。 【ニュアンスの違い】『innately』と意味は近いが、『by nature』はより客観的に、その人の本質を述べるニュアンスがある。『innately』は主観的な評価や感情を伴う場合もある。 【混同しやすい点】『by nature』は常に人の性質を表すのに対し、『innately』は物事の性質にも使える点に注意。例えば、「He is kind by nature.(彼は生まれつき優しい)」は自然だが、「The problem is innately complex.(その問題は生まれつき複雑だ)」のように、人以外にも使える。
- from birth
『生まれたときから』という意味で、ある特性や状況が生まれた時から存在していることを強調する。時間的な起点を明確にしたい場合に用いられる。 【ニュアンスの違い】『innately』が性質そのものを指すのに対し、『from birth』は時間的な起点を強調する。『from birth』は必ずしも能力や性質を意味せず、単に状態を示す場合もある。 【混同しやすい点】『from birth』は具体的な時間軸を表すため、『innately』のように抽象的な性質を説明するのには適さない点に注意。例えば、「He had a hearing impairment from birth.(彼は生まれつき聴覚障害があった)」のように、状態を表す場合に適している。
『遺伝的に』という意味で、遺伝子の影響を受けていることを明確に示す。科学的な文脈や、医学的な説明でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『innately』が必ずしも遺伝的な要因に限定されないのに対し、『genetically』は遺伝子レベルでの影響を強調する。『genetically』はより客観的で科学的な根拠に基づいた説明となる。 【混同しやすい点】『innately』は才能や性格など、幅広い性質を表すことができるが、『genetically』は遺伝子によって決定される形質に限定される点に注意。例えば、「genetically predisposed to a disease(病気に対する遺伝的な素因がある)」のように使われる。
派生語
『生まれつきの』『固有の』という意味の形容詞。『innately』から接頭辞『in-(内に)』を取り除いた形。ある場所や環境に自然に存在する状態を表し、日常会話から学術的な文脈まで幅広く用いられる。
- natal
『出生の』という意味の形容詞。やや形式ばった表現で、医学や生物学などの分野で、『出生時の〜』のように用いられる。『innately』の根本にある『生まれる』という概念をより直接的に表している。
『自然』『本質』という意味の名詞。『innately』が内包する『生まれ持った性質』という概念が、外的な自然界だけでなく、人の内面的な本質を指すように発展した。日常会話、学術論文、ビジネス文書など、あらゆる場面で使用される。
反意語
- acquired
『後天的に獲得した』という意味の形容詞。『innately(生まれつき)』とは対照的に、経験や学習を通じて得られた性質や能力を指す。例えば、『acquired taste(後天的に好きになった味)』のように用いられる。日常会話やビジネスシーンでも頻繁に使われる。
『学習した』という意味の形容詞。『innately』が本能的な知識や能力を指すのに対し、『learned』は教育や経験によって得られた知識や技能を意味する。学術的な文脈や、スキル・知識の習得について議論する際に特に適している。
『人工的に』という意味の副詞。『innately(生来的に)』とは反対に、人為的な手段や操作によって作り出された状態を表す。例えば、『artificially flavored(人工的に香料を添加した)』のように用いられる。科学技術や食品産業などの文脈でよく見られる。
語源
"innately"は、「生まれつき」「本能的に」という意味を持つ副詞です。その語源はラテン語に遡ります。まず、接頭辞"in-"は「内に」「中に」という意味を持ちます。これは、日本語の「内(うち)」という言葉が持つイメージと近いでしょう。次に、"natus"は「生まれた」という意味のラテン語の動詞"nasci"(生まれる)の過去分詞形です。これは、英語の"nation"(国家、国民)や"native"(生まれつきの、原産の)といった単語とも関連があります。そして、接尾辞"-ly"は副詞を作る接尾辞です。したがって、"innately"は文字通りには「生まれながらにして内に持っている」という意味合いになります。つまり、後天的に獲得したものではなく、最初から備わっている性質や能力を表す言葉として理解できます。例えば、赤ん坊が生まれつき持っている反射行動などは、"innately"という言葉で表現するのに適しています。
暗記法
「innately(生まれつき)」は、才能や道徳観が後天的な経験ではなく、最初から備わっているという考えを示します。ルソーは人間は生まれつき善良であると考え、ホッブズは利己的だと考えました。才能が遺伝によるものかという議論や、普遍的な道徳心の存在など、この言葉は人間の本質に対する根源的な問いへと私たちを誘います。人間の本性、能力、道徳観…。「innately」は、深く、そして多角的な考察を促す言葉なのです。
混同しやすい単語
副詞であり、スペルが似ているため混同しやすい。意味は『熱心に』『一心に』。発音も/ɪnˈtentli/と似ているが、アクセントの位置が異なる。'innately' は生まれつきの性質を表すのに対し、'intently' は行動の様子を表すため、文脈で区別することが重要。日本語の『熱心に』と『生まれつき』の違いを意識すると良い。
スペルが似ており、特に語尾の '-ly' が共通しているため混同しやすい。意味は『親密に』『親しく』。発音も/ˈɪntɪmətli/と母音の音が似ている部分がある。'innately' が性質を表すのに対し、'intimately' は関係性や親密さを表すため、文脈が大きく異なる。語源的には、'intimate' は『最も内側の』という意味合いがあり、'innate' は『生まれつきの』という意味合いがある。
スペルが似ており、特に接頭辞 'in-' が共通しているため混同しやすい。意味は『即座に』『すぐに』。発音も/ˈɪnstəntli/と母音の音が似ている部分がある。'innately' が生まれつきの性質を表すのに対し、'instantly' は時間的な即時性を表すため、意味が大きく異なる。'instant' は『瞬間』という意味から派生している。
発音とスペルがやや似ており、意味も関連があるため混同しやすい。'naturally' は『自然に』という意味だが、文脈によっては『生まれつき』という意味合いを含むことがある。ただし、'innately' はより本質的な、生まれつきの性質を表すのに対し、'naturally' は状況や環境に起因する自然さを表すことが多い。発音は /nætʃərəli/ であり、'innately' とは異なるが、会話の流れで誤解される可能性がある。 'nature'という単語から派生していることを意識すると、意味の違いが理解しやすい。
スペルが似ており、特に接頭辞 'ini-' が共通しているため混同しやすい。意味は『最初に』『初めに』。発音も/ɪˈnɪʃəli/と母音の音が似ている部分がある。'innately' が生まれつきの性質を表すのに対し、'initially' は時間的な最初を表すため、意味が大きく異なる。語源的には、'initial' は『始まりの』という意味合いがあり、'innate' は『生まれつきの』という意味合いがある。
スペルが似ており、特に接頭辞 'in-' が共通しているため混同しやすい。意味は『無限に』『非常に』。発音も/ˈɪnfɪnətli/と母音の音が似ている部分がある。'innately' が生まれつきの性質を表すのに対し、'infinitely' は量や程度が無限であることを表すため、意味が大きく異なる。'infinite' は『無限の』という意味から派生している。
誤用例
While 'innately' implies something is inherent from birth or deeply ingrained, it doesn't necessarily mean someone is consciously aware of it. Using 'innately' in this context suggests a level of inherent knowledge that might sound arrogant or boastful in English, especially in situations where some level of study is generally expected. 'Intuitively' is a better fit because it emphasizes a feeling or understanding without necessarily implying inherent, unearned expertise. Japanese learners may directly translate '生まれつき知っていた' as 'innately knew,' overlooking the nuance of implied effortlessness and potential boastfulness in the English context. The cultural expectation of humility often leads to avoiding language that might be perceived as arrogant.
Using 'innately' to modify 'felt' is grammatically awkward. 'Innate' typically modifies nouns, not verbs, to describe an inherent quality or characteristic. While the meaning is understandable, it sounds unnatural. A more idiomatic construction is 'innate sense of responsibility.' Japanese speakers might try to directly translate '本能的に〜と感じた' as 'innately felt,' which highlights a common tendency to stick too closely to the structure of the Japanese sentence. The correct English phrasing emphasizes that the sense of responsibility itself is innate, rather than the feeling of responsibility being experienced innately. This reflects a subtle difference in how inherent qualities are described in English versus Japanese.
While 'innately' and 'inherently' are similar, 'inherently' is more commonly used to describe flaws or characteristics that are an essential part of something's nature or design. 'Innate' is typically used for qualities present from birth or deeply ingrained within a person or organism. Using 'innately' to describe a system's flaws sounds somewhat unusual and less precise. The mistake here arises from the learner's attempt to use a sophisticated vocabulary word without fully understanding its subtle differences in meaning and usage. Japanese learners might choose 'innately' because it seems more impressive, without realizing 'inherently' is the more appropriate and common choice in this context. The difference reflects the more abstract and structural nature of 'inherently' when applied to systems or designs.
文化的背景
「innately(生まれつき)」という言葉は、人間の本質や才能、道徳観などが、後天的な学習や経験ではなく、最初から備わっているという考え方を反映しています。特に、啓蒙思想以降の西洋哲学や心理学において、「生得的なもの」と「後天的なもの」の対立は、人間理解の根幹をなすテーマとして、長きにわたり議論されてきました。この言葉は、単なる能力の有無を超え、人間存在の根源的な問いへと私たちを誘います。
「innately」という概念は、しばしば「人間の本性(human nature)」という考え方と結びついて語られます。たとえば、18世紀の思想家ジャン=ジャック・ルソーは、人間は生まれつき善良である(innately good)と考えました。社会的な悪習や制度が、本来善良な人間を堕落させると主張したのです。ルソーの思想は、フランス革命に大きな影響を与え、近代的な教育や政治改革の理念に深く根ざしています。一方で、トマス・ホッブズは、人間は生まれつき利己的である(innately selfish)と考え、社会秩序を維持するためには、強力な統治が必要だと主張しました。このように、「innately」という言葉は、人間の本性に対する楽観的な見方と悲観的な見方の両方を表現する際に用いられ、政治思想や社会哲学の議論において重要な役割を果たしてきました。
また、「innately」は、特定の才能や能力が遺伝的に受け継がれているという考え方を支持する文脈でも使用されます。例えば、音楽家やスポーツ選手が「innately talented(生まれつき才能がある)」と評される場合、彼らの優れた能力は、単なる努力や訓練の結果ではなく、遺伝的な素質に由来すると考えられていることを意味します。このような考え方は、遺伝子研究の進展とともに、ますます注目を集めていますが、同時に、環境や教育の影響を軽視する危険性も指摘されています。「innately」という言葉を使う際には、遺伝的な要因と環境的な要因の両方を考慮し、多角的な視点を持つことが重要です。
さらに、「innately」は、道徳的な判断や倫理観が、文化や社会の学習によって形成されるのではなく、人間が生まれつき持っているという考え方を表すこともあります。例えば、普遍的な道徳原則、例えば「人を殺してはいけない」というルールは、文化や宗教に関わらず、ほとんどの人々が共有していると考えられています。このような普遍的な道徳原則の存在は、人間の道徳心が「innately」備わっている証拠だと主張されることがあります。ただし、道徳的な判断は、文化や社会の文脈によって大きく異なる場合もあり、「innately」な道徳心の存在については、依然として議論が続いています。この言葉は、私たちが人間とは何か、何が正しいのかという根源的な問いに向き合うための、重要な手がかりとなるでしょう。
試験傾向
主に準1級・1級の長文読解や語彙問題で出題される可能性があります。1級では英作文でより高度な語彙として使用できると高評価に繋がります。
1. 出題形式: 長文読解、語彙問題、英作文
2. 頻度と級・パート: 準1級以上
3. 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容、社会問題、科学技術など
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「生まれつき」「本質的に」という意味を理解し、同義語(inherently, naturally)との使い分けを意識する。派生語(innate)も合わせて覚える。
TOEICでは、リーディングセクション(Part 5, 6, 7)で出題される可能性はありますが、英検ほど頻度は高くありません。
1. 出題形式: 短文穴埋め問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: Part 5, 6, 7(頻度は高くない)
3. 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文章(人材育成、能力開発など)
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンにおける「生まれつきの」「本質的な」能力や性質について言及する際に使われることが多い。文脈から意味を推測する練習をする。
TOEFL iBTのリーディングセクションで、アカデミックな文章の中で出題される可能性が高いです。
1. 出題形式: 長文読解
2. 頻度と級・パート: リーディングセクション
3. 文脈・例題の特徴: 学術的な内容(心理学、生物学、社会学など)
4. 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念や理論を説明する文脈で使われることが多い。類義語(inherent, intrinsic)とのニュアンスの違いを理解しておく。単語そのものの意味だけでなく、文脈における役割を把握することが重要。
大学受験の長文読解問題で出題される可能性があります。難関大学ほど出題頻度が高くなる傾向があります。
1. 出題形式: 長文読解、空所補充、同意語選択
2. 頻度と級・パート: 大学によって異なる(難関大学ほど高い傾向)
3. 文脈・例題の特徴: 評論文、小説、科学系の文章など
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。「生まれつきの」「本質的な」という意味を理解し、文脈に合わせて適切に解釈できるようにする。派生語(innate)も覚えておく。