heroic
強勢は「ロゥ」の部分に置かれます。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも弱く、口を少し開いた音です。/roʊ/ は二重母音で、「ロ」から「オ」へスムーズに移行します。最後の /ɪk/ は、日本語の「イ」と「ク」の中間のような音で、口を軽く開けて発音するとより自然になります。全体的に、はっきりと発音するよりも、ややリラックスして発音すると、よりネイティブに近い響きになります。
英雄的な
勇気があり、困難に立ち向かう様子。歴史上の人物や物語の主人公など、尊敬を集める人物に対して使われることが多い。
His actions to save the child from the burning house were truly heroic.
燃える家から子供を救った彼の行動は、本当に英雄的でした。
※ この例文は、命がけで他人を助ける勇気ある行動を「heroic(英雄的な)」と形容する、最も典型的でイメージしやすい使い方です。火事から子供を救うという、まさに生命の危機に瀕した状況での行動が「英雄的」だと評価されている場面を描写しています。'heroic'は、このように人や社会のために危険を顧みず行動する様子によく使われます。
The small team made a heroic comeback to win the game in the last minute.
その小さなチームは、最後の1分で試合に勝つため、英雄的な巻き返しを見せました。
※ この例文は、スポーツの試合などで、劣勢から劇的に逆転する様子を「heroic(英雄的な)」と表現する例です。実力差がある中で、諦めずに粘り強く戦い、勝利をもぎ取る姿は、多くの人々に感動を与える「英雄的」な行為と見なされます。'make a heroic comeback'は「英雄的な巻き返しをする」という決まった言い方で、困難を乗り越える強い意志が感じられます。
The young queen made a heroic decision to protect her people from war.
若い女王は、国民を戦争から守るために英雄的な決断をしました。
※ この例文は、個人的な利益を超え、大勢の人々や大義のために困難な「決断(decision)」をすることを「heroic(英雄的な)」と形容する使い方です。国民を守るという重い責任を背負い、平和のために苦渋の選択をする女王の姿が目に浮かびます。'heroic decision'は、特にリーダーや責任ある立場にある人が、大きな犠牲を伴うかもしれない重要な決断をする際に使われることが多い表現です。
壮大な
規模が大きく、印象的な様子。偉業や功績、またはそれを称える行事などに対して用いられ、畏敬の念や感動を呼び起こすニュアンスを含む。
The firefighter made a heroic effort to save the child from the burning house.
消防士は、燃えている家から子どもを救うために壮大な(英雄的な)努力をしました。
※ この例文は、消防士が命の危険を冒して子どもを救うという、まさに「壮大な」行動を描写しています。「heroic effort」は、困難な状況で並外れた努力や勇敢な行動を指す典型的な表現です。動詞「make」と組み合わせて「make an effort」(努力する)とよく使われます。
Many stories tell of a king's heroic journey to protect his people.
多くの物語が、王が民を守るための壮大な旅について語っています。
※ この例文は、伝説や物語に出てくるような、困難を乗り越える大きな旅や冒険を「壮大な」と表現しています。「heroic journey」は、物語や神話で主人公が成長するために挑む「英雄の旅」を指す、決まった表現です。「tell of ~」で「~について語る」という意味になり、物語を語る際によく使われます。
Even after many failures, her heroic spirit helped her never give up on her dream.
多くの失敗の後でも、彼女の壮大な(不屈の)精神が、夢を諦めない助けとなりました。
※ この例文は、困難な状況でも決して諦めない、強い精神力や勇気を「壮大な」と表現しています。「heroic spirit」は、逆境に立ち向かう「不屈の精神」や「勇敢な心」を表すのに使われる一般的なフレーズです。「give up on ~」で「~を諦める」という意味になり、否定形の「never give up」は「決して諦めない」という強い意志を表します。
献身的な
困難な状況でも、目的や人のために尽くす様子。自己犠牲を伴う場合もある。医療従事者やボランティアなどに対して用いられる。
The firefighter made a heroic effort to save the child from the burning house.
消防士は燃える家から子供を救うため、献身的な努力をしました。
※ 燃え盛る家という危険な状況で、自分の命を顧みずに子供を助けようとする消防士の姿が目に浮かびます。「heroic effort」は、危険を恐れず、人のために尽くす「献身的な努力」によく使われる表現です。
Our team showed a heroic spirit to finish the difficult project on time.
私たちのチームは、難しいプロジェクトを期限内に終えるため、献身的な精神を見せました。
※ チームが困難な課題に直面しながらも、目標達成のために一丸となって努力する情景が伝わります。「heroic spirit」は、特に目標達成のために困難に立ち向かい、諦めない「献身的な精神」を表すときに使われます。
They made a heroic effort to help people who lost their homes in the storm.
彼らは嵐で家を失った人々を助けるため、献身的な努力をしました。
※ 嵐で家を失い、途方に暮れる人々を、自分の時間や労力を惜しまずに助けようと尽力する姿が目に浮かびます。ここでの「heroic effort」は、見返りを求めずに、困っている人を助けるための「献身的な行動」や「尽力」を意味します。
コロケーション
並外れた努力、英雄的な奮闘
※ 困難な状況や目標達成のために、想像を絶するほどの努力を払うことを指します。しばしば、失敗が予想される状況で、それを覆そうとする最後の試みを指すニュアンスを含みます。例えば、災害からの復旧活動や、医療現場での救命活動など、極限状態での献身的な行動に対して用いられることが多いです。'heroic' は、単に「勇敢な」だけでなく、「困難に立ち向かう」という意味合いを強調します。ビジネスシーンでは、目標達成が非常に困難なプロジェクトに対して使われることがあります。
英雄的な犠牲、自己犠牲的な行為
※ 自分自身の利益や安全を顧みず、他人や大義のために命を捧げる、あるいは大きな損失を被る行為を指します。単なる犠牲ではなく、その行為が社会的に高く評価され、称賛される場合に用いられます。例えば、戦場での兵士の行動や、災害時に人々を救うために命を落とした消防士などに使われます。文化的背景として、英雄的な犠牲は、しばしば物語や伝説の中で語り継がれ、人々に勇気や希望を与える象徴となります。'heroic' は、犠牲の大きさだけでなく、その動機や結果の重要性を強調します。
英雄的な地位、英雄としての名声
※ 歴史的な偉業や功績によって、人々から英雄として尊敬される地位や名声を指します。単に「偉大な人物」というだけでなく、その行動や人格が人々に模範とされ、後世に語り継がれるような存在に対して用いられます。例えば、ネルソン・マンデラやマザー・テレサのような、社会に大きな影響を与えた人物に対して使われます。'stature' は、身体的な大きさだけでなく、人格や業績の偉大さを表す比喩的な表現です。ビジネスシーンでは、業界のリーダーや革新的な企業家に対して使われることがあります。
英雄時代、神話や伝説が生まれた時代
※ 古代ギリシャや北欧神話など、英雄や神々が登場する伝説的な時代を指します。歴史的な事実に基づいているかどうかは重要ではなく、人々の想像力によって創造された、英雄的な物語が語り継がれる時代を意味します。例えば、ホメロスの叙事詩『イリアス』や『オデュッセイア』の時代がこれにあたります。'age' は、単に時間的な期間だけでなく、特定の文化や価値観が支配的な時代を表します。文学や歴史の文脈で用いられることが多いです。
英雄詩、英雄叙事詩
※ 英雄的な行為や物語を語るために用いられる詩の形式を指します。特に、古代ギリシャやローマの叙事詩で用いられた、一定のリズムと韻律を持つ形式を指すことが多いです。ダンテの『神曲』やミルトンの『失楽園』などがその例です。'verse' は、単に詩の一行という意味だけでなく、特定の形式や韻律を持つ詩全体を指します。文学研究や創作の分野で用いられることが多いです。
(歴史的な)英雄的療法、過激な治療法
※ 18世紀から19世紀にかけて行われた、瀉血や大量の薬物投与など、患者の体力を極端に消耗させる過激な治療法を指します。当時は、病気の原因を体内の不均衡にあると考え、それを是正するために行われましたが、現代医学の観点からは非科学的であり、有害であることが知られています。'medicine' は、単に薬という意味だけでなく、治療行為全体を指します。歴史的な文脈で用いられることが多く、現代医学の進歩を語る上で反面教師として扱われることがあります。
使用シーン
学術論文や歴史研究などで、特定の人物や出来事を「英雄的」と評価する際に用いられます。例えば、歴史学の論文で「彼の英雄的な行動が、その後の社会に大きな影響を与えた」のように記述されることがあります。また、文学作品の分析において、主人公の行動様式を「英雄的な葛藤」として解釈する文脈でも使用されます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの成功事例やリーダーシップに関する議論で用いられることがあります。例えば、困難な状況を乗り越えて成果を上げたチームを称賛する際に、「彼らの英雄的な努力がプロジェクトを成功に導いた」と表現することがあります。ただし、日常的な業務報告や会議ではあまり使われません。
日常会話では、ニュースや映画などの話題で、特定の人物や行為を賞賛する際に使われることがあります。例えば、「消防士の英雄的な救助活動が多くの命を救った」というニュース記事について話す場合などです。ただし、日常的な出来事に対して「英雄的」という言葉を使うことは稀です。
関連語
類義語
困難や危険に直面しても恐れずに立ち向かう勇気があることを指す。個人的な勇気を強調し、日常的な状況から非常に危険な状況まで幅広く使われる。道徳的な意味合いを含むことが多い。 【ニュアンスの違い】"Heroic"よりも一般的で、使用頻度が高い。"Heroic"はより劇的で、歴史的な英雄や伝説的な行為を連想させるが、"courageous"はより個人的な勇気や決意を表す。 【混同しやすい点】"Courageous"は、必ずしも並外れた行為を意味しない。例えば、病気と闘う人や、いじめに立ち向かう子供など、日常的な勇気を表現する際に適している。 "Heroic"はより規模が大きく、歴史的な文脈や伝説的な物語で使われることが多い。
恐怖や痛みを感じても、それらに屈することなく行動することを指す。物理的な勇気だけでなく、精神的な強さも含む。日常会話で非常によく使われる。 【ニュアンスの違い】"Brave"は"courageous"よりもさらに一般的で、より広い範囲の状況で使用できる。"Heroic"のような壮大さや、"courageous"のような道徳的な意味合いは薄い。シンプルに恐れに打ち勝つイメージ。 【混同しやすい点】"Brave"は、無謀さや愚かさとは異なる。恐怖を感じながらも、理性的に判断し、行動する点が重要。"Heroic"は、時として自己犠牲的な行為を伴うが、"brave"は必ずしもそうではない。
勇気があり、勇敢であること。特に、戦いや困難な状況において、勇敢に立ち向かう様子を表す。文学的な響きがあり、日常会話ではあまり使われない。 【ニュアンスの違い】"Valiant"は"heroic"と意味が近いが、より古風で文学的な印象を与える。騎士道物語や歴史的な戦闘シーンなどでよく使われる。現代的な文脈では、やや大げさに聞こえる場合がある。 【混同しやすい点】"Valiant"は、しばしば自己犠牲を伴う勇敢さを意味する。"Heroic"と同様に、個人的な利益よりも大義のために戦う姿勢を強調する。日常的な状況で使うと不自然になる。
勇敢で礼儀正しく、特に女性に対して丁寧な態度を示すこと。騎士道精神を連想させる。現代では、やや古風でロマンチックな響きがある。 【ニュアンスの違い】"Gallant"は、"heroic"とは異なり、必ずしも危険な状況に立ち向かう勇気を意味しない。むしろ、女性に対する優しさや気遣いを強調する。ただし、戦場での勇敢さを意味する場合もある。 【混同しやすい点】"Gallant"は、しばしば外見的な行動や態度を指す。例えば、女性のためにドアを開けたり、席を譲ったりする行為が"gallant"と表現される。"Heroic"のような内面的な強さや道徳的な高潔さとは異なる。
- intrepid
恐れを知らず、大胆不敵であること。危険な状況や困難な課題に臆することなく立ち向かう様子を表す。フォーマルな文脈や文学的な表現で使われる。 【ニュアンスの違い】"Intrepid"は"heroic"と同様に、並外れた勇気を意味するが、より冷静で計画的な印象を与える。感情的な高ぶりよりも、知的な判断に基づいた行動を強調する。 【混同しやすい点】"Intrepid"は、しばしば探検家や冒険家など、未知の領域に挑戦する人々を形容する際に使われる。"Heroic"は、必ずしも新しい分野に挑戦する勇気とは限らない。
- fearless
文字通り、恐れを知らないこと。危険や困難な状況にも動じない強さを示す。広く使われるが、やや表面的な印象を与えることもある。 【ニュアンスの違い】"Fearless"は、"heroic"や"courageous"よりも感情的な深みが少ない。恐怖を感じないという事実を述べているだけで、その背景にある動機や感情には触れない。 【混同しやすい点】"Fearless"は、必ずしも賞賛されるべき行為とは限らない。無謀さや無知からくる恐れのなさも"fearless"と表現されることがある。"Heroic"は、常に肯定的な意味合いを持つ。
派生語
- heroism
「英雄的行為」「英雄主義」を意味する名詞。「heroic」が持つ「英雄的な性質」を抽象化したもの。個人や集団の勇気や自己犠牲を称える文脈(ニュース記事、歴史書、文学作品など)で用いられる。日常会話よりも、ややフォーマルな場面で使われることが多い。
- heroically
「英雄的に」「勇敢に」を意味する副詞。「heroic」に副詞語尾「-ally」が付いた形。行動や振る舞いを修飾し、その勇敢さや自己犠牲の精神を強調する。例えば、「heroically fought」(英雄的に戦った)のように使われる。物語や歴史的な記述でよく見られる。
反意語
「臆病な」「卑怯な」を意味する形容詞。「heroic」が示す勇気や大胆さとは対照的に、恐怖に屈して行動しない様子を表す。例えば、「cowardly retreat」(卑怯な撤退)のように使われる。日常会話から文学作品まで幅広く用いられ、「heroic」の反対の性質を端的に示す。
- ignoble
「卑しい」「下劣な」を意味する形容詞。「noble」(高潔な)に否定の接頭辞「in-」が付いた形。「heroic」が示す道徳的な高潔さや勇敢さとは対照的に、品位に欠ける行為や性格を表す。歴史的な文脈や文学作品で、特に登場人物の性格描写に用いられる。
語源
"heroic」は「英雄的な」という意味ですが、その語源は古代ギリシャ語の「hērōs(英雄)」に遡ります。この「hērōs」は、神と人との間に位置する半神半人の存在や、並外れた勇気や業績を持つ人物を指しました。英語の「hero」もこのギリシャ語に由来します。「heroic」は、「hero」に形容詞を作る接尾辞「-ic」が付いたもので、「英雄にふさわしい」「英雄のような」という意味合いを持ちます。つまり、「heroic」は、単に勇敢なだけでなく、伝説的な英雄譚に登場する人物のように、人並み外れた勇気と高潔さを示す行為や性質を指す言葉として使われるようになったのです。日本の歴史上の人物で例えるなら、源義経のような英雄が「heroic」という言葉で表現されるにふさわしいでしょう。
暗記法
「heroic」は、自己犠牲を厭わぬ高潔さの象徴。古代ギリシャ叙事詩では共同体存続に不可欠な功績を指し、中世騎士道物語では忠誠とキリスト教的徳を体現。近現代では社会変革者や人道支援者も含む。文学では葛藤や倫理的ジレンマを伴い、苦悩を乗り越える姿が本質。現代では日々の困難に立ち向かう人々も「heroic」であり、連帯感と共感を育む言葉として今も息づく。
混同しやすい単語
『heroic』とスペルが似ており、特に語尾の '-ic' と '-ine' の違いが見落とされやすい。意味は『女性の英雄』または『(物語の)ヒロイン』で、品詞は名詞。『heroic』は形容詞で『英雄的な』という意味なので、文法的な役割も異なる。日本人学習者は、スペルの細部に注意し、文脈から意味を判断する必要がある。
『heroic』と語尾が '-ic' で共通しており、発音も似ているため混同しやすい。意味は『歴史的に重要な』であり、『heroic』の『英雄的な』とは意味が異なる。特に、歴史に関する文脈では『historic』が使われることが多い。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。また、『a historic event』のように、母音で始まる単語の前でも 'a' が使われる点にも注意。
『heroic』と語尾が '-ic' で共通しており、音の響きも似ているため、特に聞き取りの際に混同しやすい。『erotic』は『性的な』という意味で、『heroic』とは全く異なる意味を持つ。発音記号を確認し、それぞれの単語の音を意識的に区別することが重要。また、語源的には、Eros(エロス)というギリシャ神話の愛の神に由来することを覚えておくと、意味の区別がつきやすい。
『heroic』と語尾が '-ic' で共通しており、発音のリズムも似ているため、混同しやすい。『ironic』は『皮肉な』という意味で、『heroic』とは全く異なる意味を持つ。特に、皮肉を込めた表現をする際に使われる。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。また、『irony(皮肉)』という名詞も覚えておくと、関連付けて理解しやすい。
スペルが長く、複雑であるため、『heroic』と視覚的に混同される可能性は低いものの、音の響きが一部似ているため、特に初見の単語として出会った場合に混乱しやすい。『hieroglyphic』は『象形文字の』という意味で、古代エジプトなどで使われた文字を指す。非常に専門的な単語なので、文脈から判断しやすいが、発音を正確に覚えることが重要。
語尾の「-otic」の部分が「-oic」と似ており、特に発音があいまいな場合に混同しやすい。『neurotic』は『神経症の』という意味で、『heroic』とは全く異なる意味を持つ。心理学や精神医学の文脈でよく使われる単語。日本人学習者は、発音記号を確認し、それぞれの単語の音を意識的に区別することが重要。語源的には、neuron(ニューロン、神経細胞)に関連することを覚えておくと、意味の区別がつきやすい。
誤用例
日本語の『英雄的な努力』という表現を直訳するとこうなりがちですが、『heroic』は、人命救助や社会的な危機など、文字通り英雄的な行為に対して使われます。日常的な仕事の努力に対して使うと、大げさで不自然に聞こえます。ここでは『commendable(称賛に値する)』や『remarkable(注目すべき)』が適切です。日本人は真面目さを強調するために大げさな表現を選びがちですが、英語では状況に合った適切な表現を選ぶことが重要です。
CEOが給与削減を決断するのは立派ですが、必ずしも『heroic(英雄的)』とは限りません。この場合、自己犠牲の精神や寛大さを示す『magnanimous(寛大な)』の方が適切です。『heroic』は、危険を冒して困難を克服するような状況で使われるべきです。日本人は、経営者の行動を美化する際に『heroic』を使いがちですが、英語では行動の性質を正確に表す言葉を選ぶ必要があります。また、安易に美談として祭り上げるのではなく、冷静に状況を分析する姿勢も重要です。
『heroic person』という表現自体は文法的に間違っていませんが、日常会話ではあまり使いません。『heroic』は、具体的な行為や状況を修飾する形容詞として使われることが一般的です。人格や生き方について語る場合は、『integrity(誠実さ)』『courage(勇気)』『compassion(思いやり)』など、より具体的な徳を表す言葉を選ぶ方が自然です。日本人は、漠然と『立派な人』を表現する際に『heroic』を使いがちですが、英語ではどのような点で立派なのかを明確にすることが重要です。自己啓発的な文脈では、具体的な目標や価値観を示すことが、より効果的なコミュニケーションにつながります。
文化的背景
「heroic」は、単なる勇敢さを超え、社会のために自己犠牲を厭わない高潔な行為を象徴します。古代ギリシャの英雄叙事詩に起源を持ち、個人の卓越した功績が共同体の存続や繁栄に不可欠であるという価値観を体現してきました。英雄的行為は、時に神話的なスケールで語り継がれ、文化的な規範や理想を形成する上で重要な役割を果たします。
「heroic」の概念は、時代とともに変化し、社会の価値観を反映してきました。中世の騎士道物語では、英雄は主君への忠誠とキリスト教的な徳を体現する存在として描かれました。アーサー王物語に登場する円卓の騎士たちは、個人的な名誉だけでなく、弱者を守り、正義を貫くために戦う姿が「heroic」の典型とされました。しかし、近現代になると、英雄の定義はより多様化し、戦争における勇敢な兵士だけでなく、社会変革のために尽力した人々、例えば、公民権運動の指導者や人道支援活動家なども「heroic」と称されるようになりました。
文学や映画における「heroic」の描写は、しばしば人間の葛藤や倫理的なジレンマを伴います。英雄は、常に正しい選択をするとは限らず、過ちを犯したり、個人的な弱さを抱えたりすることもあります。しかし、その苦悩の中で、より大きな目的のために自己を克服しようとする姿が、「heroic」の本質を際立たせます。例えば、シェイクスピアの悲劇に登場する英雄たちは、運命に翻弄されながらも、自らの信念を貫こうとする姿が観客の共感を呼びます。現代のスーパーヒーロー映画においても、主人公たちは超人的な能力を持ちながらも、人間的な弱さや葛藤を抱え、その克服を通して「heroic」な存在へと昇華していきます。
現代社会において、「heroic」は、必ずしも派手な行動や偉業を指すとは限りません。日々の生活の中で、困難に立ち向かい、他者を助け、社会に貢献する人々もまた、「heroic」な存在と言えるでしょう。例えば、災害時にボランティア活動に参加したり、医療現場で献身的に働く人々、教育の現場で子供たちの成長を支える教師なども、「heroic」な存在として認識されています。このように、「heroic」は、個人の勇気や犠牲だけでなく、社会全体の連帯感や共感を育む力を持つ言葉として、現代においても重要な意味を持ち続けています。
試験傾向
1. 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。
2. 頻度と級・パート: 準1級、1級でまれに出題。2級以下では頻度低。
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、伝記、ニュース記事など。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「英雄的な」「勇敢な」という意味を覚え、関連語句(hero, heroism)も一緒に学習。文脈から意味を推測する練習も重要。
1. 出題形式: Part 5 (短文穴埋め問題), Part 7 (長文読解問題)。
2. 頻度と級・パート: 出題頻度は比較的低い。
3. 文脈・例題の特徴: 企業の社会貢献活動、リーダーシップに関する記事など。
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス文脈で使われる場合、「大胆な」「思い切った」といったニュアンスを含むことがある。類義語(courageous, brave)との使い分けを意識。
1. 出題形式: リーディングセクション。
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章でまれに出題。
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、社会学、心理学などの分野における人物の業績や行動。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念や論理的な議論の中で用いられることが多い。文脈から正確な意味を把握する練習が必要。
1. 出題形式: 主に長文読解。
2. 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、伝記、社会問題など。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。「英雄的な」という意味だけでなく、「非常に困難な状況で勇敢に行動する」というニュアンスも理解しておく。