herd
母音 /ɜː/ は、日本語の「アー」と「エー」の中間のような音で、口を軽く開けて喉の奥から出すイメージです。日本語の「ハード」のように強く発音せず、軽く「ハァ」と言うように発音し、最後に舌を丸めずに「ド」を添えるように発音するとよりネイティブに近い音になります。
専門的な内容に関するご注意
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群れ
動物(特に家畜)が集まっている状態を指す。比喩的に、人々の集団に対しても使われる。統率された集団というニュアンスを含むことが多い。
A large herd of cows was grazing peacefully in the green field.
大きな牛の群れが、緑の牧草地で穏やかに草を食べていました。
※ 広々とした牧草地で、たくさんの牛がのんびりと草を食べている、平和な風景が目に浮かびますね。「herd」は、このように牛や羊といった家畜の『群れ』を表すのに最もよく使われます。「grazing」は「草を食べる」という意味で、牛の典型的な行動です。
The shepherd carefully led his herd of sheep over the quiet hill.
羊飼いは、静かな丘を越えて、自分の羊の群れを慎重に導きました。
※ 羊飼い(shepherd)が、犬と一緒に羊の群れ(herd of sheep)をゆっくりと移動させている、絵本のような情景です。「herd」は、羊のような家畜の群れにも頻繁に使われます。誰かが群れを「導く(led)」という動詞とセットで覚えると、より自然な使い方を身につけられますよ。
We watched a huge herd of elephants slowly walk towards the river.
私たちは、巨大な象の群れがゆっくりと川に向かって歩いていくのを見ました。
※ アフリカのサバンナで、大きな象の群れが水辺を目指して歩いている、ドキュメンタリー映画のような壮大なシーンですね。「herd」は、象やシマウマなど、野生の大型動物の『群れ』にも使われます。特に、多くの動物がまとまって移動している様子を表すのにぴったりです。
群れる
集団で行動する。動物や人が、ある目的のためにまとまって移動する様子を表す。統制された動きというニュアンス。
The shepherd herded the sheep into the pen.
羊飼いは羊たちを囲いの中へ集めた。
※ この文は、夕暮れ時、羊飼いが牧羊犬と一緒に、広々とした牧草地にいた羊たちを、ゆっくりと、しかし確実に小さな囲い(pen)へと誘導している様子を描写しています。「herd」は元々、羊や牛などの家畜を「群れにする」「特定の場所へ誘導する」際に最もよく使われる動詞です。この例文は、その最も中心的で典型的な使い方を示しています。動詞の「herd」は他動詞で、「〜を群れにする」「〜を集める」「〜を誘導する」という意味で使われます。
The teacher herded the children onto the bus.
先生は子供たちをバスに乗せた。
※ 遠足の帰り道、興奮してあちこち走り回ろうとする元気な子供たちを、先生が優しく、でもしっかりと声をかけながら、バスの入り口へと集め、乗車させている様子が目に浮かびます。「herd」は動物だけでなく、特に「動き回りがちな人々(子供など)」を「まとめる」「特定の場所へ誘導する」際にも使われます。この場合、少し「集めるのに苦労する」というニュアンスを含むこともあります。日常会話でも、人が集まりにくい状況で「人をまとめる」意味で使われることがあります。
The farmer herded his cows to a new grassy field.
農夫は牛たちを新しい草の多い畑へ移動させた。
※ 朝日の光が差し込む中、農夫がゆっくりと牛たちを、新鮮な草が生い茂る新しい放牧地へと導いていく情景です。「herd」は、家畜を広範囲にわたって「移動させる」「管理する」という文脈でも非常によく使われます。この例文では、農夫が牛たちを目的の場所へ「誘導する」という「herd」の基本的な意味がよく表れています。このように、具体的な動作を伴って「人や動物をまとめる、移動させる」状況で活用できる単語です。
追い込む
動物や人を、ある方向に誘導する。特に家畜を柵や特定の場所へ移動させる際に使われる。比喩的に、人を特定の行動へと促す場合にも使用される。
The shepherd gently herded the sheep into the barn as dusk fell.
夕暮れが迫る中、羊飼いは優しく羊たちを納屋へと追い込みました。
※ この例文は、「herd」の最も基本的で典型的な使い方を示しています。広々とした牧場で、羊飼いが羊の群れを小屋(barn)に誘導している、穏やかな情景が目に浮かびますね。動物を「群れとして」特定の場所へ移動させる際に使われる動詞だとしっかり覚えましょう。
Security staff carefully herded the excited concert-goers towards the main exit.
警備スタッフは、興奮したコンサート客たちを慎重にメイン出口へと誘導しました。
※ 「herd」は、動物だけでなく、人を「群れのように」特定の場所へ誘導する際にもよく使われます。この例文では、大勢の人が集まるコンサート会場で、警備員が人々の流れを整理している様子が描かれています。少し強引なニュアンスを含むこともありますが、ここでは「誘導する」という意味合いで使われています。
My clever dog loves to herd all the chickens back into their coop before sunset.
うちの賢い犬は、日没前にニワトリたちをみんな鶏小屋に戻すのが大好きです。
※ この例文では、ペットの犬がニワトリを追い込む、微笑ましい情景が目に浮かびますね。牧羊犬のように、動物が他の動物を追い込む行動にも「herd」が使われます。「loves to herd」で「〜するのが大好き」という、日常的な表現になっています。
コロケーション
牛の群れ
※ 最も基本的なコロケーションで、家畜としての牛の群れを指します。農業や牧畜の文脈で頻繁に使われ、牛の数を数える際や、移動させる状況などを描写する際に用いられます。単に"cattle"と言うよりも、群れとしてのまとまりを強調したい場合に適しています。
群集心理、集団心理
※ 人間や動物が、集団の中で他の個体の行動に影響を受け、同調しようとする心理傾向を指します。社会心理学や行動経済学でよく用いられる概念で、マーケティングや政治戦略など、集団行動を分析する上で重要な要素となります。日本語の『右へ倣え』に近いニュアンスです。
集団免疫
※ 感染症に対する免疫を持つ個体の割合がある一定レベルを超えると、集団全体への感染拡大が抑制される現象を指します。疫学の分野で重要な概念であり、ワクチン接種の推進などを議論する上で欠かせません。特に公衆衛生に関する話題で頻繁に登場します。
大勢に追随する、盲目的に従う
※ 批判的なニュアンスを含む表現で、個人の判断を放棄して、多数派の意見や行動に無批判に従うことを意味します。ビジネスや投資の世界で、安易な同調行動を戒める際に用いられることがあります。反意語としては、"think for yourself"(自分で考える)などが挙げられます。
間引く、淘汰する
※ 比喩的に、競争や選別によって数を減らすことを意味します。ビジネスシーンでは、人員削減や不採算部門の整理などを婉曲的に表現する際に用いられることがあります。ダーウィンの進化論における自然淘汰の概念とも関連付けられます。
群れを管理する、統率する
※ 文字通り家畜の群れを管理する意味の他に、比喩的に、大人数を統率・管理することを指します。リーダーシップやマネジメントの文脈で用いられ、特に多様な意見を持つ人々をまとめ上げる手腕が求められる状況で使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表において、動物行動学、社会心理学、経済学などで用いられることがあります。例えば、動物行動学の研究で「〇〇動物の群れのサイズと生存率の関係」を分析したり、社会心理学の研究で「集団心理が個人の意思決定に及ぼす影響」を議論したりする際に使われます。文語的な表現であり、客観的な分析や考察を述べる際に適しています。
ビジネスシーンでは、市場調査の報告書や、組織論に関する議論などで見かけることがあります。例えば、「顧客の〇〇という製品に対する購買行動は、群集心理に影響されている」と分析したり、「従業員のエンゲージメントを高めるためには、一体感を醸成する必要がある」といった文脈で使用されることがあります。フォーマルな文書やプレゼンテーションで用いられる傾向があります。
日常会話ではあまり使いませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、動物の群れや、比喩的に「大勢の人々」を表す際に使われることがあります。例えば、「〇〇国で、野生のゾウの群れが農作物を荒らしている」というニュースや、「〇〇コンサートに、大勢のファンが押し寄せた」といった報道で見かけることがあります。やや硬い印象を与えるため、日常会話では別の表現が好まれることが多いでしょう。
関連語
類義語
主に鳥や羊、ヤギなどの群れを指す。また、教会に通う人々や、ある指導者の下に従う人々など、比喩的な意味でも使われる。名詞であり、動詞としても使われる。 【ニュアンスの違い】"herd"が一般的に哺乳類の群れを指すのに対し、"flock"は特に鳥類や羊などの比較的小さく、まとまりのある群れを指す。また、"flock"は宗教的な文脈や、人々がある指導者のもとに集まる様子を表す際にも使われる。 【混同しやすい点】"herd"は牛や象などの大型哺乳類にも使えるが、"flock"は通常使われない。また、"flock"を動詞として使う場合、"群がる"という意味になり、"herd"の動詞としての意味("群れをなす"、"集める")とは異なる。
一般的な集団を指す言葉で、人や物、動物など、さまざまな対象に使われる。ビジネス、日常会話、学術など、幅広い場面で用いられる。 【ニュアンスの違い】"herd"が動物の群れという特定の意味合いを持つ一方、"group"はより抽象的で一般的な集団を指す。"group"は必ずしも同じ種類のものが集まっている必要はなく、目的や性質を共有する集団を指すことが多い。 【混同しやすい点】"herd"は集合名詞として単数扱いも複数扱いも可能だが、"group"も同様の性質を持つ。ただし、"group"を構成する個々のメンバーに焦点を当てたい場合は、複数形を使うことが一般的。
主に肉食動物(狼、犬など)の群れを指す。また、トランプのカード一組や、荷物などをまとめたものも指す。名詞であり、動詞としても使われる。 【ニュアンスの違い】"herd"が比較的穏やかな草食動物の群れを指すのに対し、"pack"はより攻撃的な肉食動物の群れを指すことが多い。また、"pack"は比喩的に、悪意のある集団や、秘密を共有する集団を指すこともある。 【混同しやすい点】"herd"は家畜など、人間が管理する動物の群れにも使われるが、"pack"は野生動物の群れに限定されることが多い。また、"pack"を動詞として使う場合、"詰め込む"という意味になり、"herd"の動詞としての意味とは異なる。
主に昆虫(ハチ、アリなど)や、人が密集して動く様子を指す。比喩的に、人が殺到する様子を表すこともある。名詞であり、動詞としても使われる。 【ニュアンスの違い】"herd"がある程度統制された動きをする動物の群れを指すのに対し、"swarm"はより無秩序で密集した動きをする群れを指す。また、"swarm"はしばしば、脅威や不快感を与えるような状況で使われる。 【混同しやすい点】"herd"は比較的大きな動物の群れを指すのに対し、"swarm"は非常に小さな生物が大量に集まっている様子を表す。また、"swarm"を動詞として使う場合、"群がる"という意味になり、"herd"の動詞としての意味とは異なる。
- drove
家畜(特に牛や羊、豚)の群れを指す、やや古風な言葉。また、人をまとめて移動させることも意味する。 【ニュアンスの違い】"herd"とほぼ同義だが、"drove"はより伝統的な農村のイメージを伴う。現代英語では、"herd"の方が一般的。 【混同しやすい点】"drove"は現代英語ではあまり使われず、文学作品や歴史的な文脈で目にすることが多い。また、"drove"は動詞として"drive"の過去形としても使われるため、文脈によって意味を判断する必要がある。
人々が集まって会議や集会を行うこと、またはその集団自体を指す。フォーマルな場面で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"herd"が動物の群れを指すのに対し、"assembly"は人間が集まることを指し、より組織的で目的を持った集まりを意味する。ビジネスや政治、学術的な文脈でよく使われる。 【混同しやすい点】"herd"は自然発生的な集団を指すことが多いが、"assembly"は計画的で構造化された集まりを指す。また、"assembly"は動詞としても使われ、"組み立てる"という意味になる。
派生語
- shepherd
『羊飼い』を意味する名詞。元々は『herd keeper(群れの番人)』であり、herdに『人』を表す接尾辞がついて職業名となった。比喩的に『導く人』の意味でも使われ、日常会話から文学作品まで幅広く登場する。
- herding
『群れをなすこと』または『群れを誘導すること』を意味する動名詞/現在分詞。動物の行動を記述する学術的な文脈や、ビジネスにおける集団行動を指す比喩的な表現として用いられる。
(人、動物、植物などが)『たくましい』、『頑丈な』を意味する形容詞。語源的に『herd(群れ)を守る人』に由来し、転じて困難に耐える強さを表すようになった。日常会話や文学作品で、人物や自然の描写に用いられる。
反意語
『個々の』、『個人の』を意味する形容詞または名詞。『herd(群れ)』が全体性を強調するのに対し、『individual』は分離・独立した存在を指す。社会学、心理学、ビジネスなど幅広い分野で、集団と個人の対比を表す際に使用される。
- loner
『一匹狼』、『孤独を好む人』を意味する名詞。『herd』が示す集団性とは対照的に、社会的なつながりを避け、単独で行動する人を指す。日常会話や文学作品で、性格やライフスタイルを表現する際に用いられる。
『一匹狼』、『異端者』を意味する名詞。特に、組織や社会の規範に従わない、独立独歩の精神を持つ人を指す。『herd』が協調性や同調性を連想させるのに対し、『maverick』は独自性や反骨精神を強調する。政治、ビジネス、芸術などの分野で、既存の枠組みにとらわれない人物を評する際に用いられる。
語源
"herd」の語源は、古英語の「heord」(群れ、世話、保護)に遡ります。これはさらに、ゲルマン祖語の「*herdō」(群れ)に由来し、印欧祖語の「*kerd-」(回る、織る)という語根と関連があります。元々は家畜の群れを指し、そこから「群れる」「追い込む」といった意味に発展しました。この「*kerd-」は、「心臓(heart)」を意味する単語とも関連があり、群れの中心や核となるものを指し示すイメージが連想できます。日本語で例えるなら、「一団」という言葉が、共通の目的や関心を持つ人々の集まりを指すように、「herd」もまた、共通の目的や本能によって集まった集団を表す言葉として、その意味合いを深めてきたと言えるでしょう。
暗記法
「herd」は家畜を管理する文化から、集団心理や社会性を象徴する言葉へ。中世ヨーロッパでは羊毛産業と結びつき、共同体や富の象徴でした。現代では「herd mentality(群集心理)」として、思考停止や同調圧力を批判的に表します。しかし、災害時の避難行動のように、集団の力が肯定的に働くことも。文学作品では、大衆や社会構造を映し出す鏡として、その意味は深く、多岐にわたります。
混同しやすい単語
『herd』と『heard』は、発音が非常に似ています。どちらも日本語のカタカナで表現すると『ハード』に近くなりますが、英語ではわずかに異なります。『herd』は群れを意味する名詞ですが、『heard』は『hear(聞く)』の過去形・過去分詞です。文脈で判断する必要がありますが、発音を意識して練習することが重要です。
『herd』と『hard』は、発音が似ています。特に語尾の子音の発音が弱い場合、区別が難しくなります。『herd』は名詞ですが、『hard』は形容詞(難しい、硬い)または副詞(一生懸命に)として使われます。文脈で判断する必要があります。
『herd』と『hurt』は、母音の音価が近いことが混同の原因となります。『herd』の母音は曖昧母音ですが、『hurt』の母音もそれに近い音です。『hurt』は『傷つける』という意味の動詞であり、文脈が大きく異なるため、意味を理解していれば区別できます。
『herd』と『word』は、スペルが似ているわけではありませんが、発音記号で見ると母音の音価が近いことがわかります。どちらも曖昧母音を含み、/ɜːr/ のような音で発音されることがあります。『word』は『単語』という意味であり、名詞です。発音の微妙な違いを意識することが重要です。
『herd』と『nerd』は、語尾の綴りが似ており、どちらも短い単語であるため、視覚的に混同される可能性があります。『nerd』は『オタク』という意味のスラングで、名詞です。意味が全く異なるため、文脈で容易に区別できます。
『herd』と『earth』は、スペルが大きく異なりますが、どちらも「er」の音を含んでおり、発音練習の際に混同されることがあります。『earth』は『地球』という意味の名詞です。発音記号を確認し、それぞれの単語を区別して発音するように練習しましょう。
誤用例
『herd』は家畜の群れを指す言葉であり、人を指す場合は、統率されているというよりは、思考停止状態で盲目的に従っているニュアンスが強くなります。日本語の『群れ』を安易に『herd』と置き換えると、相手に侮辱的な印象を与えかねません。組織の統率を表現するなら『unit』や『team』といった言葉が適切です。また、比喩表現を使う場合は、『sheep』ではなく『cattle』を使う方がより適切です。さらに言えば、このような上から目線の比喩は現代のビジネスシーンでは避けるべきでしょう。
『herd』は文字通り家畜などを『追い立てる』という意味合いが強く、人間に対して使うと非常に粗暴な印象を与えます。ここでは、無理やり連れて行かれたとしても、ある程度の敬意を払いつつ誘導されたニュアンスを出すために『usher(案内する、先導する)』を使うのが適切です。日本人が『〜される』という受動態の表現を好む傾向から、このような誤用が生まれやすいと考えられます。英語では、状況によっては能動態で表現する方が自然な場合もあります。
『herd mentality』は、日本語で言うところの『同調圧力』に近い意味合いを持ち、多くの場合ネガティブな意味で使われます。平和な社会に必要であるという文脈では、集団心理がもたらす負の側面を無視しているように聞こえます。より中立的な表現である『social conformity(社会的同調)』を使う方が適切です。日本人は『和を以て貴しと為す』という価値観を持つため、集団行動を肯定的に捉えがちですが、英語圏では個人の自由や権利を尊重する文化が根強いため、安易な翻訳は誤解を生む可能性があります。
文化的背景
「herd(群れ)」という言葉は、家畜の群れを管理する牧畜文化に深く根ざし、集団行動や同調圧力といった人間の社会性を象徴する言葉として、文化的な意味合いを帯びてきました。個性を抑え、集団に埋没することへの警鐘や、逆に集団の力を利用することの重要性など、多様な意味合いを含んでいます。
歴史的に見ると、「herd」は、羊や牛などの家畜を遊牧民や農民が管理する風景と密接に結びついています。中世ヨーロッパでは、羊毛産業が経済の基盤であり、羊の群れを管理することは生活を維持する上で不可欠でした。そのため、「herd」は、単なる動物の集団以上の意味を持ち、共同体、富、そして生存そのものを象徴する言葉として用いられました。領主は農民から羊毛を徴収し、それを貿易することで力を蓄えました。このため、羊の群れを所有することは権力の象徴でもあったのです。また、聖書にも羊飼いと羊の群れが登場し、神と信者の関係が牧歌的なイメージで描かれています。
現代社会においては、「herd」は、しばしば否定的な意味合いで用いられます。特に、大衆文化や消費社会において、人々が思考停止に陥り、流行や広告に盲目的に従う様子を「herd mentality(群集心理)」と表現することがあります。これは、個性を失い、集団に埋没することへの批判的な視点を表しています。例えば、ある商品が口コミで広がり、人々がこぞってそれを買い求める現象は、「herd behavior(群集行動)」とみなされます。しかし、一方で、災害時における避難行動や、デモ活動など、集団の力を結集して目的を達成する場面においては、「herd」は肯定的な意味合いを持つこともあります。
文学や映画においても、「herd」は様々な形で登場します。ジョージ・オーウェルの『動物農場』では、家畜たちが団結して人間を追い出すものの、次第に指導者である豚によって支配され、再び抑圧される様子が描かれています。この作品における家畜の群れは、無批判に権力に従う大衆を象徴しています。また、西部劇においては、牛の群れを移動させる「cattle drive」が、開拓時代のフロンティア精神や、自然との闘いを象徴するシーンとして描かれることがあります。このように、「herd」は、集団の持つ力と危険性、そして人間の社会性を深く考察するための重要なキーワードとして、様々な文化的な文脈において用いられ続けています。
試験傾向
1. 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題。2. 頻度と級・パート: 準1級以上でまれに出題。3. 文脈・例題の特徴: 環境問題、動物に関する長文など。4. 学習者への注意点・アドバイス: 「群れ」という意味の基本的な名詞として理解。動詞としての用法(群れる、集まる)も押さえる。比較的平易な単語なので、他の単語との組み合わせで意味が変わる点に注意。
1. 出題形式: Part 7(長文読解)で稀に出題。2. 頻度と級・パート: あまり頻出ではない。3. 文脈・例題の特徴: 企業買収、組織再編など、比喩的な意味合いで使われる場合がある。4. 学習者への注意点・アドバイス: 直接的なビジネス用語としてはあまり使われないため、関連語句(group, teamなど)との違いを意識。比喩表現での使われ方に注意。
1. 出題形式: リーディングセクションで頻出。2. 頻度と級・パート: アカデミックな内容でよく用いられる。3. 文脈・例題の特徴: 社会学、生物学、歴史学など、様々な分野の学術的文章で登場。4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての「群れ」の意味だけでなく、動詞としての用法(特に「駆り立てる」「まとめる」といったニュアンス)も重要。同義語・類義語(flock, pack, droveなど)との違いを理解することが高得点に繋がる。
1. 出題形式: 主に長文読解。2. 頻度と級・パート: 中堅以上の大学で出題される可能性あり。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、歴史など、様々なテーマで登場。4. 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、比喩的な用法(「大衆」「集団心理」など)も理解しておく必要がある。文脈から意味を推測する練習を重ねることが重要。