go astray
go の /ɡoʊ/ は二重母音で、日本語の『ゴ』よりも『ゴゥ』と意識して、口を丸めて発音。astray の /əˈstreɪ/ は、まず弱母音 /ə/ (曖昧母音)で始まり、これは日本語の『ア』よりも弱く短く発音します。stress(強勢)は 'streɪ' にあるので、ここを強く意識しましょう。'str' の子音連結は、ゆっくり正確に発音すると、よりネイティブらしい響きになります。
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道を踏み外す
文字通り道に迷うだけでなく、比喩的に誤った行動をとったり、悪い方向に進んだりすることを指す。計画や目標から逸脱する場合にも使う。
The little boy went astray in the crowded park and started to cry.
その小さな男の子は混雑した公園で道に迷い、泣き始めました。
※ この例文では、小さな男の子が人混みの中で親とはぐれ、不安で泣き出す情景が目に浮かびます。「go astray」は、このように「物理的に道に迷う」または「迷子になる」という、最も基本的で中心的な使い方の一つです。特に子供が迷子になる状況で非常によく使われます。
Hikers should be careful not to go astray from the marked trail.
ハイカーは、目印のある道から道を踏み外さないように注意すべきです。
※ 山道を歩いているハイカーが、安全のために指定された道から外れないように注意を促す場面です。「go astray from ~」で「~から道を踏み外す」「~から逸れる」という意味になり、ハイキングや旅行など、特定のルートや指示された道がある状況でよく使われる典型的な表現です。
When you are writing, it's easy to go astray from your main topic.
文章を書いているとき、主要なトピックから逸れてしまいがちです。
※ 何かを集中して書いている人が、つい話が脱線してしまいそうになる状況を描写しています。「go astray」は物理的な道だけでなく、議論や計画、思考の「道」から逸れる、つまり「本筋から外れる」という比喩的な意味でも非常によく使われます。この使い方も「道を踏み外す」の中心的で自然な意味合いです。
堕落する
本来あるべき姿から悪化する、または倫理的に低い状態に陥ることを意味する。特に、以前は善良だった人が悪い影響を受けて変わる場合に使われる。
Parents worry their children might go astray without proper guidance.
親たちは、適切な指導がなければ子どもたちが道を踏み外す(堕落する)のではないかと心配しています。
※ 子どもが悪い道に進むことを心配する親の気持ちが伝わります。「go astray」は、良い道から外れて悪い方向へ進む、という意味でよく使われます。ここでは、親が子どもの将来を案じ、正しい方向に導きたいと願うミニ・シーンが描かれています。
After he gained fame, he started to go astray and made many bad choices.
名声を得た後、彼は道を踏み外し(堕落し)始め、多くの悪い選択をするようになりました。
※ 成功した人が誘惑に負けて、正しい道から外れてしまう典型的な状況です。かつては尊敬されていた人が、名声や富を得たことで、道徳的に誤った方向へ進んでいく悲しい変化がイメージできます。
The company started to go astray when it cared more about money than its customers.
その会社は、顧客よりもお金のことばかり考えるようになったとき、道を踏み外し(堕落し)始めました。
※ 企業や組織が、本来の目的や倫理観を失い、間違った方向へ進む様子を表しています。利益追求に走り、顧客への配慮を忘れてしまう会社の姿勢が目に浮かびます。これも「道を踏み外す」という感覚が中心です。
紛失する
物理的に物を失うだけでなく、データや情報などが失われる状況も指す。また、手紙などが宛先に届かない場合にも使用する。
The important letter must have gone astray in the mail.
その重要な手紙は、郵便の途中で紛失したに違いない。
※ 大事な手紙がなかなか届かず、心配している情景です。「go astray」は、郵便物や荷物が「どこかに行ってしまった、届かなくなった」ときに非常によく使われる典型的な表現です。「must have gone」で「~したに違いない」という推量を表します。
A small child could easily go astray in this crowded department store.
この混雑したデパートでは、小さな子供は簡単にはぐれてしまう可能性がある。
※ 混雑したデパートで、子供が親とはぐれて迷子になるかもしれない、と注意を促す場面です。「go astray」は、人や動物が「道に迷う」「はぐれる」「迷子になる」という意味でよく使われます。特に人混みで起こりやすい状況を表すのにぴったりです。
I hope these crucial documents won't go astray during the office move.
オフィスの引っ越し中に、これらの重要な書類が紛失しないことを願っている。
※ オフィスの引っ越し作業中に、重要な書類がどこかに紛れて見つからなくならないか心配している情景です。書類やデータなどが「整理中に見つからなくなる」「どこかへ行ってしまう」場合にも使われます。「won't」は「will not」の短縮形で、「~しないだろう」という未来の否定の気持ちが込められています。
コロケーション
道徳的、精神的な道から逸脱する
※ 「path」は文字通りの道だけでなく、人生やキャリアの進むべき方向、あるいは道徳的な規範を指します。この表現は、目標を見失ったり、誘惑に負けたりして、本来進むべきだった正しい道から外れてしまう状況を表します。比喩的な意味合いが強く、文学作品や宗教的な文脈でよく見られます。例えば、「彼は野心のために正しい道から逸れてしまった」のように使われます。
思考や判断が誤った方向に進む
※ 「thinking」は思考プロセス全体を指し、この表現は論理的な誤りや偏見、感情的な理由などによって、正しい結論にたどり着けなくなる状況を表します。ビジネスシーンや学術的な議論において、客観的な視点を欠いたり、根拠のない推論をしたりすることを批判的に指摘する際に用いられます。例えば、「彼の議論は前提が誤っているため、思考が迷走している」のように使われます。
誰かと一緒に道を踏み外す、堕落する
※ この表現は、誰かの影響を受けて、道徳的に問題のある行動をしたり、悪い仲間と付き合ったりすることを意味します。多くの場合、若い人が悪い友人に誘われたり、恋愛関係で相手に操られたりする状況を指します。道徳的な非難や後悔の念を伴うことが多い表現です。例えば、「彼女は悪い男と出会い、一緒に道を誤ってしまった」のように使われます。
手紙が誤配される、宛先不明になる
※ 郵便物が正しく配達されず、紛失したり、間違った場所に届けられたりすることを指します。現代では電子メールの誤送信などにも比喩的に使われることがあります。ビジネスシーンでは、重要な書類や情報が届かないことによるトラブルを避けるために、住所や宛先の確認を徹底することが重要です。例えば、「重要な契約書が誤配され、契約が遅延した」のように使われます。
羊が迷子になる、群れからはぐれる
※ 文字通り羊が群れからはぐれることを指しますが、比喩的に「人が集団から逸脱する」「組織の統制が取れなくなる」という意味合いで使われることもあります。聖書に由来する表現で、道徳的な意味合いを含むこともあります。例えば、「リーダーシップの欠如により、チームのメンバーがそれぞれ勝手な行動を取り、組織が迷走している」のように使われます。
事実が歪曲される、誤って伝えられる
※ 本来の事実とは異なる情報が広まることを指します。意図的な情報操作や不正確な報道、噂話などによって、真実が隠蔽されたり、歪められたりする状況を表します。ジャーナリズムや学術研究においては、事実の正確性を検証し、客観的な情報を提供することが重要です。例えば、「誤った情報が広まり、歴史的事実が歪曲されている」のように使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、比喩的な意味合いで使われることがあります。例えば、研究の方向性が当初の目的から「go astray(逸脱する)」、つまり、予定していた結果と異なる方向に進んでしまった場合などに用いられます。また、統計データが予想外の結果を示し、理論から「go astray(外れる)」場合にも使用されます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの進捗や目標達成に関して、計画から「go astray(逸脱する)」という状況を報告する際に使われることがあります。例えば、「プロジェクトが当初のスケジュールからgo astrayしており、遅延が発生している」のように、進捗報告書や会議などで用いられます。フォーマルな文書やプレゼンテーションで使用される傾向があります。
日常会話ではあまり一般的ではありませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、比喩的に使われることがあります。例えば、若者が誤った道に進むことを「go astray(道を踏み外す)」と表現したり、物が紛失して見つからない状況を「go astray(紛失する)」と表現したりします。やや硬い印象を与えるため、日常会話では別の表現が好まれることが多いです。
関連語
類義語
道に迷う、さまよう、目的もなく歩き回るという意味。物理的な場所だけでなく、比喩的に道徳や正しさから外れる場合にも使われる。日常会話や文学作品でよく見られる。 【ニュアンスの違い】"go astray"よりも、道徳的な逸脱よりも物理的な迷子や当てもなく歩き回るニュアンスが強い。また、主体的な行動というよりは、成り行きでそうなってしまったという印象を与える。 【混同しやすい点】"wander"は自動詞であり、通常は目的語を直接伴わない。"go astray"と同様に、物理的な迷子と比喩的な迷いの両方に使えるが、比喩的な意味での使用頻度は"go astray"の方が高い。
(計画、規範、期待などから)逸脱する、それるという意味。フォーマルな場面や学術的な文脈でよく使われる。道徳的な意味合いも含む。 【ニュアンスの違い】"go astray"よりも意図的な逸脱や計画からのずれを強調する。また、よりフォーマルな語であり、日常会話ではあまり使われない。客観的な視点で使用されることが多い。 【混同しやすい点】"deviate"は自動詞としても他動詞としても使えるが、自動詞として使われることが多い。"from"を伴って「〜から逸脱する」という形で使われることが多い(例:deviate from the plan)。"go astray"よりも、より計画やルールからの逸脱を指すことが多い。
迷い出る、はぐれる、道に迷うという意味。動物が迷子になる場合や、人が意図せず道から外れる場合に使われる。形容詞としても使われ、「迷子の」という意味になる。 【ニュアンスの違い】"go astray"と非常に近い意味を持つが、"stray"はより偶発的な、意図しない迷いを表す。また、名詞として「迷い子、迷い動物」の意味もある。 【混同しやすい点】"stray"は動詞としても形容詞としても使える点が"go astray"と異なる。動詞として使う場合は自動詞であり、"go astray"と同様に、物理的な迷子と比喩的な迷いの両方に使える。形容詞として使う場合は、「stray dogs (野良犬)」のように名詞を修飾する。
- err
誤る、過ちを犯すという意味。フォーマルな場面や文学作品で使われることが多い。道徳的な誤りや判断の誤りを指す。 【ニュアンスの違い】"go astray"よりも、道徳的な過ちや判断の誤りを強調する。また、よりフォーマルな語であり、日常会話ではあまり使われない。罪を犯すようなニュアンスを含む。 【混同しやすい点】"err"は自動詞であり、通常は目的語を伴わない。"go astray"と同様に、道徳的な過ちを指すことが多いが、"err"はより深刻な過ちや罪を意味することがある。
- digress
(話、議論、文章などが)本筋からそれる、脱線するという意味。会話や文章の中で、話題が予期せず別の方向に移る場合に使われる。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用可能。 【ニュアンスの違い】"go astray"と異なり、道徳的な意味合いはほとんどなく、単に話題や議論が予期せぬ方向に進むことを指す。また、意図的な脱線も含む。 【混同しやすい点】"digress"は自動詞であり、通常は目的語を伴わない。"go astray"とは異なり、物理的な迷子を意味することはなく、比喩的な意味でのみ使われる。話題がそれることに対する非難や批判のニュアンスは薄い。
- go off track
(計画、目標、議論などが)予定から外れる、脱線するという意味。日常会話やビジネスシーンでよく使われる。 【ニュアンスの違い】"go astray"と似ているが、道徳的な意味合いは薄く、計画や目標からの逸脱を指すことが多い。よりカジュアルな表現。 【混同しやすい点】"go off track"は口語的な表現であり、"go astray"よりもフォーマルな場面には適さない。また、"go astray"が道徳的な逸脱を意味することがあるのに対し、"go off track"は単に計画や目標から外れることを意味する。
派生語
『迷う』『はぐれる』という意味の動詞および形容詞。名詞としては『迷い犬』の意味も持つ。『go astray』から『go』が省略された形で、日常会話からニュース記事まで幅広く使われる。特に、ペットや人が迷子になった状況で用いられることが多い。
副詞で、『道に迷って』『誤った方向に』という意味。比喩的に、思考や行動が誤った方向に向かうことを表す際にも使われる。『lead someone astray(誰かを誤った方向に導く)』のような形で使われることが多い。やや文学的な表現。
- strayed
動詞strayの過去形・過去分詞。比喩的に「(本題から)逸れた」という意味でも使われる。例:The conversation strayed from the original topic. (会話は元の話題から逸れた)。
反意語
- stay on track
『軌道に乗る』『予定通りに進む』という意味の句動詞。『go astray』が物理的または比喩的に道から外れることを意味するのに対し、こちらは目標や計画に沿って進むことを意味する。プロジェクト管理や目標達成の文脈で頻繁に使われる。
- find one's way
『自分の道を見つける』という意味。go astrayが文字通り道に迷う、または比喩的に人生の方向性を見失うことを指すのに対し、find one's wayは困難を乗り越えて進むべき道を見つけるニュアンスがある。自己啓発やキャリアに関する文脈で用いられる。
『とどまる』『残る』という意味の動詞。『go astray』が元の場所から離れることを意味するのに対し、『remain』は元の状態や場所に留まることを意味する。比喩的には、信念や原則を曲げずに守り続けることを表す。
語源
"go astray"は、文字通り「道から外れる」という意味合いを持ちます。"go"は、ゲルマン祖語の*ganan(行く)に由来し、英語の基本的な移動を表す動詞です。一方、"astray"は、古英語の"on stræet"(道の上で)が短縮された"a stray"(迷った状態)に由来します。元々は「道の上に」という意味でしたが、次第に「道から外れて」「迷って」という意味に変化しました。日本語で例えるなら、「本道から逸れる」「脇道にそれる」といった表現が近いでしょう。この単語は、物理的な道だけでなく、比喩的に人生や行動の道を踏み外す、堕落するといった意味合いでも使われます。"stray"という単語自体も、「迷い犬」のように、元の場所から離れてさまようものを指す名詞として使われます。
暗記法
「go astray」は単なる迷子ではない。聖書では、神の導きから外れる罪深い状態を指し、放蕩息子の物語が象徴的だ。文学では、破滅への道、特に女性の社会的な堕落を意味することも。現代では、政治家のスキャンダルなど、道徳的逸脱を婉曲的に表す。道徳からの逸脱は、西洋文化において個人と社会の破滅を招く根深い概念なのだ。
混同しやすい単語
『go astray』と『go straight』は、発音が非常に似ており、特に会話のスピードが速いと聞き分けが難しいことがあります。『go straight』は「まっすぐ行く」「更生する」といった意味で使われ、文脈によって意味が大きく異なります。日本人学習者は、文脈をしっかり把握し、発音の違い(astrayの/əˈstreɪ/とstraightの/streɪt/)を意識して聞く必要があります。 straightの語源は「伸ばされた」という意味で、そこから「まっすぐ」という意味に発展しました。
『go astray』の中の『astray』と『a stray』は、スペルが似ており、名詞として使うか副詞句の一部として使うかで意味が大きく変わります。『a stray』は「迷子」「はぐれ者」といった意味の名詞です。例えば、「a stray cat」(迷い猫)のように使われます。一方、『go astray』は「道に迷う」「誤った道に進む」という意味の動詞句です。 日本人学習者は、文法的な役割の違いを意識して、それぞれの単語が文中でどのように機能しているかを理解することが重要です。また、strayの語源は「さまよう」という意味の古フランス語から来ています。
『astray』と『destroy』は、語尾の音が似ているため、特にリスニングで混同しやすいことがあります。『destroy』は「破壊する」という意味の動詞であり、スペルも意味も大きく異なります。日本人学習者は、語頭の音(astrayの/ə/とdestroyの/dɪ/)を意識して聞く練習をすると良いでしょう。destroyはde-(下に)+ struct(建てる)という語源から「完全に壊す」という意味を持ちます。
『astray』と『essay』は、語尾の音が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。『essay』は「小論文」という意味の名詞であり、学術的な文脈でよく使われます。また、動詞として「試みる」という意味もあります。astrayとは意味が全く異なるため、文脈から判断することが重要です。essayの語源はフランス語の「試み」を意味する言葉です。
『astray』と『portray』は、語尾の音が似ており、特に早口で話される場合に混同しやすいことがあります。『portray』は「描写する」「表現する」という意味の動詞であり、人物や状況を描写する際に使われます。例えば、「The movie portrays him as a hero.」(その映画は彼を英雄として描いている)のように使われます。portrayはport-(運ぶ)+ tray(引く)という語源から「引き出す」という意味を持ち、そこから「描写する」という意味に発展しました。
『astray』と『betray』は、語尾の音が似ており、発音の曖昧さから混同される可能性があります。『betray』は「裏切る」という意味の動詞であり、信頼を裏切る行為を指します。例えば、「He betrayed my trust.」(彼は私の信頼を裏切った)のように使われます。日本人学習者は、発音の違い(astrayの/əˈstreɪ/とbetrayの/bɪˈtreɪ/)を意識し、文脈から意味を判断する必要があります。betrayはbe-(完全に)+ tray(裏切る)という語源から「完全に裏切る」という意味を持ちます。
誤用例
『go astray』は、道に迷う、本来あるべき場所から逸脱する、という意味合いが強い表現です。比喩的に『話が逸れる』という意味で使うことも可能ですが、フォーマルな場面や書き言葉では、より直接的に『digress』を使う方が適切です。日本人は『道に迷う』という直訳から、つい『go astray』を使ってしまいがちですが、英語では文脈によって適切な動詞を選ぶ必要があります。特に、公的なスピーチなどでは、正確で洗練された表現が求められます。
『go astray』は、手紙などが『誤った方向に進んで届かない』という意味で使えますが、ニュアンスとしては、単に紛失しただけでなく、何らかの意図的な妨害や不可解な事情によって届かなかった、という印象を与えます。単に『届かなかった』という事実を伝えたい場合は、『get lost』の方が自然です。日本人は『行方不明になる』という日本語から『go astray』を選びがちですが、英語では、状況に応じて『get lost』、『be missing』など、より適切な表現を選ぶことが大切です。また、『go astray』は、比喩的に『道徳的に道を誤る』という意味でも使われるため、文脈によっては誤解を招く可能性があります。
『go astray』は、データが『紛失』したり『誤った場所に保存』されたりする状況を表すのには使えますが、データ自体が『破損』した場合には不適切です。この場合は、『corrupted』を使うのが適切です。日本人は『データがおかしくなった』という曖昧な表現を、安易に『go astray』で表現しようとしがちですが、英語では、データの状態を正確に表現するために、より具体的な語彙を選ぶ必要があります。また、『corrupted』は、比喩的に『堕落した』という意味でも使われるため、文脈によっては注意が必要です。
文化的背景
「go astray」は、道に迷うことから転じて、道徳的、精神的な規範から逸脱することを指し、しばしば罪や過ち、堕落といった概念と結び付けられてきました。この言葉の背後には、正しい道(the right path)からの逸脱は、個人の破滅や社会の混乱を招くという、西洋文化における根強い道徳観が存在します。
「go astray」は、聖書に由来する比喩表現と深く結びついています。羊飼いが羊を導くイメージは、神が人々を正しい道に導くことの象徴であり、羊が群れから離れて「go astray」することは、神の教えから逸脱し、罪を犯すことのメタファーとして用いられてきました。新約聖書に登場する「放蕩息子(prodigal son)」の物語は、まさに「go astray」の典型的な例と言えるでしょう。息子は父の元を離れ、財産を浪費し、堕落した生活を送りますが、最終的には悔い改めて父の元に戻ります。この物語は、罪を犯しても悔い改めれば許されるという、キリスト教の重要な教えを体現しており、「go astray」が単なる物理的な迷子ではなく、精神的な迷走を意味することを示しています。
文学作品においても、「go astray」は登場人物の運命を大きく左右する重要な要素として描かれてきました。例えば、シェイクスピアの悲劇では、主人公が誤った判断や誘惑によって「go astray」し、破滅へと向かう姿が頻繁に描かれます。また、19世紀のヴィクトリア朝時代の小説では、「go astray」はしばしば女性の社会的な堕落を意味し、スキャンダルや悲劇的な結末と結び付けられました。これは、当時の社会が女性に対して非常に厳しい道徳的規範を求めていたことの反映と言えるでしょう。
現代においても、「go astray」は、道徳的な逸脱や過ちを婉曲的に表現する際に用いられます。政治家のスキャンダルや企業の不正行為などが明るみに出た際に、「go astray」という言葉が使われることで、直接的な非難を避けつつ、問題の深刻さを伝える効果があります。また、個人レベルでも、目標を見失ったり、誘惑に負けて過ちを犯したりした場合に、「I went astray」と表現することで、自己反省の気持ちを表すことができます。このように、「go astray」は、時代や文脈によってニュアンスは変化しつつも、道徳的な逸脱や過ちという本質的な意味合いを持ち続けているのです。
試験傾向
1. 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題。2. 頻度と級・パート: 準1級以上で稀に出題。1級でやや頻度上昇。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、倫理、個人的な過ちなど、やや深刻な文脈で使われることが多い。4. 学習者への注意点・アドバイス: 比喩的な意味合い(道徳的、精神的に迷う)で使われることが多い点を意識。文字通りの「道に迷う」という意味でも使われる。
1. 出題形式: Part 7(長文読解)で稀に出題。2. 頻度と級・パート: TOEIC全体で考えると出題頻度は低い。3. 文脈・例題の特徴: ビジネス上の計画やプロジェクトが頓挫する、情報が誤って伝わるなどの文脈で使われる可能性がある。4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでは、計画や情報などが「予定通りに進まない」という意味で使われることが多い。他の表現(e.g., go wrong, deviate)との類似点・相違点も意識。
1. 出題形式: リーディングセクションで稀に出題。2. 頻度と級・パート: TOEFL iBTで出題頻度は低い。3. 文脈・例題の特徴: 学術的な文章(社会学、心理学など)で、データや研究結果が予想と異なる方向に進む、あるいは誤った解釈がされるなどの文脈で使われる可能性がある。4. 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈では、抽象的な概念や理論が「誤った方向に進む」という意味で使われることが多い。文脈から意味を推測する練習が必要。
1. 出題形式: 主に長文読解問題。2. 頻度と級・パート: 難関大学の入試で稀に出題。3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、文学作品など、幅広いテーマで使われる可能性がある。比喩的な意味合いで使用されることが多い。4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈依存性が高い単語なので、前後の文脈から意味を推測する練習が重要。類義語(e.g., go wrong, get lost)とのニュアンスの違いも理解しておくと有利。