finite
第一音節にアクセントがあります。/aɪ/ は二重母音で、日本語の『アイ』よりも口を大きく開けて、音を滑らかにつなげるイメージです。最後の /t/ は、息を止めてから開放する破裂音ですが、語尾なので軽く発音するか、ほとんど聞こえない程度でOKです。
専門的な内容に関するご注意
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限りある
時間、資源、能力など、何かの量が制限されている状態を表す。終わりのある、有限の、というニュアンス。
Our planet's natural resources are finite, so we must protect them carefully.
私たちの地球の天然資源は限りあるので、私たちはそれらを慎重に守らなければなりません。
※ この例文は、地球の資源が無限ではないという大切な事実を表しています。私たちは限られた資源を大切に使う必要がある、という意識が伝わってきますね。「finite」は、このように「限りがあるもの」や「いつかなくなるもの」を表現する際によく使われます。特に環境問題について話すときには、とても典型的な使い方です。
Life is finite, which makes every moment precious.
人生は限りあるものなので、一瞬一瞬が貴重になります。
※ この文は、人生には終わりがある、だからこそ今この瞬間を大切にしようという気持ちが込められています。「finite」は、時間や命のように「いつか終わるもの」に対して使うと、そのものの価値や尊さを強調するニュアンスが生まれます。少し哲学的な場面でも使える、心に響く表現です。
In this game, the number of turns you can take is finite.
このゲームでは、あなたが取れるターンの数には限りがあります。
※ これはゲームのルールを説明する場面です。ターン数に「限りがある」ことを示し、プレイヤーが戦略を立てる必要があることを伝えています。「finite」は、このように「数えられるものが限定されている」状況を表すときにも非常に便利です。ゲームだけでなく、数学やコンピューターサイエンスの分野でも「有限の数」という概念でよく使われます。
明確な
範囲や定義がはっきりしていることを指す。数学やプログラミングなどの分野で、値や集合が確定している状態を表す際に用いられる。
The teacher told us that our time for the exam was finite.
先生は、試験の時間は限られている(明確に決まっている)と私たちに言いました。
※ この例文は、試験会場で先生が時間制限を告げる場面を描写しています。生徒たちは、時間が無限ではなく、明確に終わりがあることを理解し、時間配分を考え始めるでしょう。「finite」は「限りがある」「有限である」という意味で使われることが多く、時間やリソースなどに「明確な制限がある」ことを示します。試験や会議など、時間制限がある状況で非常によく使われる典型的な表現です。
We learned that the Earth's natural resources are finite.
私たちは、地球の天然資源には限りがある(明確に決まっている)ことを学びました。
※ この例文は、学校の授業で地球環境について学んでいる場面を想像させます。先生が、水や森林、鉱物といった地球の資源が無限ではなく、明確に量が限定されている(有限である)ことを説明している情景です。「finite」は、物理的な量や空間が限られていることを説明する際によく用いられます。特に環境問題の文脈で「natural resources (天然資源)」とセットで使われることが多い、非常に自然な文脈です。
My grandma told me that life is finite, so I should try new things.
おばあちゃんは、人生には限りがある(明確に決まっている)のだから、新しいことに挑戦すべきだと言いました。
※ この例文は、おばあちゃんが孫に人生のアドバイスをしている、心温まる場面を描いています。人生は永遠ではなく、明確な終わりがある(有限である)からこそ、時間を大切にし、様々な経験をするべきだという教えです。「finite」は、このように人生や機会といった抽象的な概念が「限りあるもの」であることを表現する際にも使われます。「Life is finite」はよく使われる表現で、人生の尊さや時間の有限性を伝える際に有効です。
コロケーション
有限な資源
※ 地球上に存在する資源(石油、鉱物、水など)は無限ではなく、いずれ枯渇することを指します。環境問題や経済学の文脈で頻繁に使われ、『持続可能な開発』の重要性を訴える際にも登場します。形容詞 + 名詞の組み合わせの典型例で、'limited resources' とほぼ同義ですが、'finite' はより客観的・数量的なニュアンスを含みます。例えば、埋蔵量が数値化されている資源に対して使われることが多いです。
有限要素解析
※ 工学分野で、複雑な構造物や現象を小さな要素に分割して近似的に解析する手法です。建築物の強度計算、自動車の衝突シミュレーションなどに用いられます。専門用語ですが、現代社会を支える技術の一端を担っており、教養として知っておくと、技術系のニュースを理解する助けになります。'finite element' という名詞句全体で一つの概念を表し、さらにそれを 'analysis' することで、具体的な解析手法を指し示します。
有限状態機械
※ コンピュータ科学における計算モデルの一つで、限られた数の状態と、状態間の遷移規則によって動作を記述します。自動販売機、ゲームのキャラクター制御、プログラミング言語のコンパイラなど、身近なものから高度なシステムまで幅広く応用されています。'finite state' (有限の状態) という概念を理解することが重要で、そこから派生して 'machine' (機械) という具体的な実装を連想させます。プログラミングの基礎概念を学ぶ上で避けて通れない用語です。
有限時間内に
※ あるタスクやプロセスが完了するまでの時間が無限ではないことを強調する表現です。数学、物理学、コンピュータ科学などでよく用いられ、理論的な議論において、現実的な時間制約を考慮する必要があることを示唆します。例えば、「この計算は有限時間内に終わるか?」という問いは、アルゴリズムの効率性を評価する上で重要です。前置詞 'in' + 形容詞 'finite' + 名詞 'time' の組み合わせで、時間の概念を限定的に表現します。
定形動詞
※ 文法用語で、主語の人称や数によって形が変化する動詞を指します。例えば、英語の 'I go' と 'He goes' では、'go' が主語によって変化しています。一方、不定詞 (to go) や分詞 (going) は定形動詞ではありません。英文法を深く理解するためには必須の用語であり、特に複雑な構文を解析する際に役立ちます。文法書では必ずと言っていいほど登場する用語ですが、日常会話で使うことは稀です。
有限集合
※ 数学、特に集合論における用語で、要素の数が有限である集合を指します。例えば、{1, 2, 3} は有限集合ですが、自然数全体の集合 {1, 2, 3, ...} は無限集合です。抽象的な概念ですが、データベースの設計やアルゴリズムの解析など、情報科学の分野でも応用されています。'finite' は集合の大きさを限定する役割を果たし、集合論の基礎を理解する上で重要な概念です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、特に数学、物理学、計算機科学などの分野でよく用いられます。「有限要素法」(finite element method)のように、専門用語の一部として登場することも多いです。また、「有限オートマトン」(finite automaton)のように理論的な概念を説明する際にも使用されます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、プロジェクトのスコープや予算が「有限である」ことを示す際に、報告書や契約書などのフォーマルな文書で使用されることがあります。例えば、「有限なリソースの中で最大限の成果を出す」といった文脈で使われます。口頭での会議などでは、より平易な言葉(limited)が好まれる傾向があります。
日常会話で「finite」という単語が使われることは稀ですが、哲学的な話題や人生観について語る際に、人生や時間の「有限性」について言及することがあります。例えば、「人生は有限だからこそ、今を大切に生きるべきだ」といった文脈で用いられます。ニュースやドキュメンタリー番組で、環境問題や資源の枯渇について議論する際にも登場することがあります。
関連語
類義語
ある範囲や量、程度が制限されていることを意味します。ビジネス、日常会話、学術など幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】「finite」は数学や哲学など、より厳密な文脈で使われることが多いのに対し、「limited」はより一般的で、制限の存在を単純に述べるニュアンスが強いです。また、「limited」は「limited edition(限定版)」のように、肯定的な意味合いを持つこともあります。 【混同しやすい点】「limited」は、資源や時間など、具体的なものの制限に使われることが多いですが、「finite」は、概念的な範囲や期間にも使われます。例えば、「finite resources」と「limited resources」はどちらも使えますが、「finite life」は「人生の有限性」という哲学的な意味合いが強くなるため、「limited lifespan」の方がより自然です。
- bounded
境界や限界があることを意味し、特に空間的、数学的な文脈で使用されます。例えば、ある領域が「bounded」であるといった使い方をします。 【ニュアンスの違い】「finite」と似ていますが、「bounded」は限界が存在すること自体に焦点を当てます。「finite」は、その限界が数値化できる、または明確に定義されていることを暗示することがあります。 【混同しやすい点】「bounded」は、しばしば数学的な概念や地理的な領域を記述するために使われ、「finite」よりも日常的な場面では使用頻度が低いです。また、「bounded rationality(限定合理性)」のように、特定の専門用語の一部として使われることもあります。
- restricted
特定の条件や規則によって制限されていることを意味します。アクセス、情報、活動など、様々なものが制限される状況で使用されます。ビジネスや法律の分野でよく見られます。 【ニュアンスの違い】「finite」が量的な制限を示唆するのに対し、「restricted」は規則や権限による制限を意味します。「restricted area(立入禁止区域)」のように、特定の行動やアクセスが制限されていることを強調する際に用いられます。 【混同しやすい点】「restricted」は、しばしば受動態で使用され、何かが制限されている状態を表します(例:Access is restricted)。一方、「finite」は、何かが有限であるという性質を表す形容詞として使われます。また、「restricted」は、自由や権利の制限といったネガティブな意味合いを含むことが多いです。
- circumscribed
範囲や権限などが制限されていることを意味します。フォーマルな文脈や法律、政治の分野で使用されることがあります。 【ニュアンスの違い】「finite」が絶対的な量の制限を意味するのに対し、「circumscribed」は、より意図的、または外部からの力によって制限されているというニュアンスを持ちます。例えば、「circumscribed authority(制限された権限)」のように、権力や自由が特定の範囲に限定されていることを示します。 【混同しやすい点】「circumscribed」は、日常会話ではあまり使われず、やや古風で堅い印象を与えることがあります。また、幾何学においては、「circumscribe(外接する)」という動詞としても使われます。そのため、「finite」の類義語として使う場合は、文脈に注意が必要です。
- terminable
終了させることができる、または期限が到来する可能性があることを意味します。契約、雇用、リースなど、法的な文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】「finite」が期間や量が決まっていることを意味するのに対し、「terminable」は、その期間が終了する可能性があるという点に焦点を当てています。必ずしも終了するとは限らないものの、終了の可能性が存在することを示唆します。 【混同しやすい点】「terminable」は、しばしば契約条件の一部として使用され、契約を解除できる条件や期限について言及します。一方、「finite」は、契約期間そのものが有限であることを表す際に使われます。例えば、「a finite contract period」は「契約期間が有限である」ことを意味し、「a terminable contract」は「解除可能な契約」を意味します。
最終的な、決定的な、という意味合いを持ちます。議論、決定、結論など、確定的な状態を表す際に使用されます。学術論文やビジネスシーンでも用いられます。 【ニュアンスの違い】「finite」が数値や範囲が確定していることを意味するのに対し、「definitive」は議論やプロセスが終結し、最終的な結論が出たことを意味します。時間的な制限というよりは、状態の確定を表します。 【混同しやすい点】「definitive」は、しばしば「definitive answer(決定的な答え)」や「definitive agreement(最終合意)」のように、名詞を修飾する形容詞として使用されます。一方、「finite」は、期間や量といった概念を修飾することが多いです。また、「definitive」は、議論や調査の結果として得られる最終的な結論を指すため、「finite」とは意味合いが異なります。
派生語
『限定する』『閉じ込める』という意味の動詞。接頭辞『con-(共に、完全に)』と『finite(限界)』が組み合わさり、『限界内に完全に留める』という語源的な意味合いを持つ。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで幅広く使用される。
『定義する』『明確にする』という意味の動詞。接頭辞『de-(分離、下方へ)』と『finite(限界)』が組み合わさり、『限界を定める』から『明確に区切る』という意味に発展。学術論文や技術文書で頻繁に用いられる。
- infinitesimal
『無限小の』という意味の形容詞。『in-(否定)』+『finite』+『-esimal(極小)』で構成され、『有限ではないほど小さい』というニュアンスを表す。数学や物理学などの学術分野で使われる。
反意語
『無限の』という意味の形容詞。接頭辞『in-(否定)』が付き、『有限ではない』状態を示す。日常会話でも使われるが、数学、哲学、宗教などの抽象的な概念を扱う文脈で特に重要となる。
『無制限の』という意味の形容詞。接頭辞『un-(否定)』が付き、『制限がない』状態を示す。物理的な量や範囲だけでなく、抽象的な権利や可能性などにも使われる。finiteが具体的な限界を意識させるのに対し、unlimitedは潜在的な広がりを強調する。
『無限の』『広大な』という意味の形容詞。『bound(境界)』に否定の接尾辞『-less』が付いた形。物理的な境界がないことに加え、感情や想像力などの抽象的な領域にも用いられ、『果てしない』ニュアンスを伴う。finiteが客観的な限界を示すのに対し、boundlessは主観的な広がりや可能性を示唆する。
語源
「finite」はラテン語の「finis」(終わり、境界、限界)に由来します。これは「終わりがある」「制限されている」という概念を表します。さらに遡ると、印欧祖語の根 *dhei- (固定する、置く) につながります。この語根から派生した単語は、場所や境界を定める意味合いを持ちます。「finite」は、この「finis」に形容詞を作る接尾辞「-ite」が付いたもので、文字通り「終わりを持つ」「限界がある」という意味になります。日本語で例えるなら、「有限」という言葉が近いでしょう。「有限会社」のように、責任や範囲が限定されていることを表す言葉として使われます。「無限」の反対語として考えると、より理解が深まるでしょう。
暗記法
「有限」は、儚い人間、不完全な世界、そして終焉を象徴します。中世哲学では神の無限性と対比され、人間の謙虚さを促しました。ゴシック建築は、有限な人間が無限の神に近づく願望を表現。シェイクスピア悲劇では、死という有限性の中で主人公が苦悩します。現代文学では、サルトルやカミュが人間の不条理な存在と有限性から価値を問い、現代社会の孤独を反映。現代では資源の有限性、環境問題にも関連し、持続可能性が重要視されています。
混同しやすい単語
『finite』とスペルが非常に似ており、'in-'という接頭辞が付いているかどうかの違いしかありません。意味は『無限の』で、『finite』(有限の)とは正反対の意味を持ちます。日本人学習者は、文脈をよく読み、接頭辞の有無に注意して、意味を間違えないようにする必要があります。接頭辞 'in-' は否定の意味を持つことが多く、このパターンを知っておくと役立ちます。
発音が似ており、特に語尾の子音の響きが紛らわしいことがあります。スペルも 'fin-' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすいです。意味は『最後の』、『最終的な』であり、『finite』(有限の)とは意味が異なります。日本人学習者は、単語全体の形と文脈から判断する必要があります。『final』は、スポーツの決勝戦(final game)や、学期の期末試験(final exam)など、日常的にもよく使われる単語です。
発音の最初の部分が似ており、特に日本人学習者にとっては、母音の微妙な違いを聞き分けるのが難しい場合があります。スペルも最初の3文字が同じです。意味は『見つける』であり、『finite』(有限の)とは全く異なります。動詞である点も異なります。発音記号を確認し、口の形を意識して発音練習することが重要です。
発音が非常に似ており、特に会話の中では区別が難しいことがあります。スペルも 'i' と 'a' の違いだけです。意味は『素晴らしい』、『元気な』、『罰金』など、文脈によって様々ですが、『finite』(有限の)とは全く異なります。日本人学習者は、前後の文脈から意味を判断する必要があります。また、『How are you?』に対して『I'm fine.』と答える際の『fine』は、日本人学習者にとって馴染み深い表現です。
最初の音とスペルが似ており、特に語尾の '-ish' の部分が曖昧母音化しやすいため、発音の区別が難しい場合があります。意味は『終える』、『仕上げる』であり、『finite』(有限の)とは意味が異なります。動詞である点も異なります。発音記号を確認し、語尾の音を意識して発音練習することが重要です。また、『finish』は、レースのゴール(finish line)など、日常的にもよく使われる単語です。
接頭辞 're-' が付いていますが、'fine' の部分が共通しているため、スペルが似ていると感じることがあります。意味は『洗練する』、『精製する』であり、『finite』(有限の)とは意味が異なります。動詞である点も異なります。接頭辞 're-' は『再び』や『元に戻す』という意味を持つことが多く、この知識が単語の意味を理解するのに役立ちます。
誤用例
日本語の付加疑問文『〜、そうでしょ?』に引きずられ、安易に『isn't it?』を使ってしまう誤りです。英語の付加疑問文は、主文が肯定文なら否定の付加疑問文、主文が否定文なら肯定の付加疑問文を用いる必要があります。この文脈では、資源が有限『である』という肯定文なので、否定形の『mustn't we?』が適切です。日本語では相手に同意を求める際に肯定形で済ませることが多いですが、英語では文法的に整合性の取れた形にする必要があります。
『finite』は、数学や哲学の文脈では『無限ではない』という意味で適切ですが、日常会話やビジネスシーンでは、単に『数に限りがある』という意味で使うと、やや硬い印象を与えます。より自然な英語では『limited』を使う方が適切です。日本人が『有限』という言葉を使い慣れているため、つい『finite』を選んでしまいがちですが、英語では場面に応じた適切な語彙を選ぶことが重要です。特に、学び直し世代の英語学習者は、アカデミックな知識を日常会話に持ち込みすぎないように注意が必要です。
『finite』は、抽象的な概念(忍耐、時間など)に対して使うこと自体は誤りではありませんが、この文脈では、監督の忍耐が限界に近づいているニュアンスを伝えたいと考えられます。『wearing thin』は『(忍耐などが)尽きかけている』という意味で、より口語的で感情的な表現です。日本人は、抽象的な概念を『有限』『無限』という二元論で捉えがちですが、英語では、感情や状態を表す様々なイディオムを活用することで、より豊かな表現が可能になります。また、日本語の『爆発する』という表現も、英語では状況によって使い分ける必要があり、ここでは感情的な爆発を意味するので『explode』が適切です。
文化的背景
「finite(有限)」という言葉は、人間存在の儚さ、世界の不完全さ、そして避けられない終焉という概念を文化的に象徴しています。この言葉は、無限の可能性を秘めた人間の創造性と、時間や空間の制約の中で生きるという現実との間の緊張感を浮き彫りにします。
中世の哲学や神学において、「finite」は神の無限性(infinite)と対比される人間の属性として重要な役割を果たしました。神は全知全能であり、時間や空間に制約されない存在であるのに対し、人間は知識、力、そして寿命において有限な存在であると考えられました。この対比は、人間の謙虚さや神への依存を促す倫理的な枠組みを形成し、教会建築や芸術作品においても、有限な人間の世界と無限の神の世界を区別する表現が見られました。例えば、ゴシック様式の大聖堂は、天に向かって高くそびえ立つことで、有限な人間が無限の神に近づこうとする願望を象徴していると言えます。
文学作品においても、「finite」はしばしば重要なテーマとして登場します。シェイクスピアの悲劇では、主人公たちはしばしば自身の有限性、つまり死の必然性に直面し、その中で葛藤し、成長していきます。ハムレットは「To be, or not to be, that is the question」という有名な台詞を通じて、生と死、有限と無限の間で揺れ動く人間の苦悩を描き出しています。また、近現代文学においては、実存主義の作家たちが「finite」という概念を深く掘り下げました。サルトルやカミュは、人間の存在は本質的に不条理であり、死という有限性によってその価値が問われると主張しました。彼らの作品は、現代社会における個人の孤独や不安を反映し、多くの人々に共感を与えました。
現代社会においては、「finite」という言葉は、資源の有限性や環境問題といった地球規模の課題を語る際にも頻繁に用いられます。石油や水といった資源は有限であり、人間の活動が地球環境に与える影響もまた無視できないという認識が広まるにつれて、「持続可能性(sustainability)」という概念が重要視されるようになりました。再生可能エネルギーの開発や資源の効率的な利用は、有限な資源を将来世代のために守るための重要な取り組みです。このように、「finite」という言葉は、単なる数学的な概念を超えて、人間の倫理、社会構造、そして地球の未来に関わる重要な意味を持つ言葉として、私たちの文化に深く根付いているのです。
試験傾向
準1級・1級の長文読解で出題される可能性があり、語彙問題で直接問われることもあります。出題形式は空所補充や同意語選択が考えられます。アカデミックな文章や、環境問題、科学技術に関する文章で頻出する傾向があります。形容詞としての用法 (finite resources) に加え、動詞 (finalize) との関連性も意識して学習すると良いでしょう。
Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)で登場する可能性があります。頻度はそこまで高くありませんが、ビジネス文書やレポートなどの文脈で使われることがあります。同意語・類義語(limited, restricted)との区別を意識し、文脈から適切な意味を判断できるように練習しましょう。
リーディングセクションで頻出。アカデミックな内容、特に科学、社会科学分野の文章でよく見られます。文脈から正確な意味を把握する能力が求められます。finite element analysis (有限要素解析) のような専門用語の一部として登場することもあります。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、内容一致問題で間接的に問われることが多いです。抽象的な概念や議論を理解する上で重要な語彙であり、文脈の中でどのように機能するかを理解することが重要です。