engrossed
夢中にさせる
ある活動や対象に心を奪われ、他のことを忘れてしまうような状態。良い意味でも悪い意味でも使われる。例:engrossed in a book(本に夢中になる)
The little boy was so engrossed in his picture book that he didn't hear his mom call.
その小さな男の子は絵本にとても夢中になっていて、お母さんの呼ぶ声が聞こえませんでした。
※ 静かな部屋で、小さな男の子が絵本の世界にすっかり入り込んでいる情景が目に浮かびますね。「be engrossed in 〜」は「〜に夢中になっている」という状態を表す、最も典型的な使い方です。特に、時間を忘れるほど何かに集中している様子を描写するのにぴったりです。
She was completely engrossed in her work at the cafe, typing quickly on her laptop.
彼女はカフェで仕事に完全に没頭していて、ノートパソコンで素早くタイピングしていました。
※ カフェの賑やかさも気にならないほど、目の前の作業に集中している大人の女性の姿が想像できます。仕事や勉強、趣味など、特定の活動に深く集中している状態を表現する際に「engrossed in」はとても自然です。「completely」のような副詞を添えることで、「完全に」「すっかり」夢中になっている様子を強調できます。
My brother was engrossed in the new video game and didn't notice me come into the room.
弟は新しいテレビゲームに夢中になっていて、私が部屋に入ってきたことにも気づきませんでした。
※ ゲームの世界にどっぷり浸かり、周りの出来事が全く目に入っていない様子がよく伝わりますね。娯楽や趣味に熱中している家族や友人を描写する際によく使われる表現です。「あまりに夢中になりすぎて、周りのことに気づかない」という状況を伝えるのに非常に効果的な例文です。
没頭した
完全に集中し、注意が他に向かない状態。研究や仕事など、知的活動に集中している様子を表すことが多い。例:engrossed in research(研究に没頭する)
The little boy was engrossed in his storybook, completely forgetting about dinner.
その幼い男の子は物語の本に夢中になり、夕食のことさえすっかり忘れていました。
※ この例文は、子供が大好きなお話に深く集中している情景を描いています。周りの音が聞こえないほど本の世界に入り込んでいる様子が伝わりますね。このように「完全に何かに集中して、他のことが目に入らない」という状況を表すのに、'engrossed in' はとても自然な表現です。
Sarah was so engrossed in the lively discussion during the meeting that she didn't notice the time.
サラは会議中の活発な議論にとても夢中で、時間の経過に気づきませんでした。
※ この例文では、サラが会議での議論に熱心に参加し、時間の感覚を失うほど集中している様子がわかります。仕事や勉強の場面で、特定のタスクや話題に深く没頭している状態を表すのにぴったりです。'so ~ that ...' は「とても〜なので…」という結果を表す便利な形です。
My teenage son was engrossed in his new video game, not hearing me call his name.
私のティーンエイジャーの息子は新しいビデオゲームに夢中で、私が名前を呼んだのに聞こえていませんでした。
※ 誰もが経験したことのあるような、趣味や娯楽に熱中している人の情景です。特にゲームや映画、音楽など、五感を刺激する活動に「どっぷり浸かっている」状態を表すのに 'engrossed' は非常によく使われます。'not hearing me call his name' の部分が、どれほど集中しているかを鮮やかに伝えていますね。
書き上げる
(古用法)契約書などを正式な書式で清書すること。現代ではあまり使われないが、歴史的な文脈で目にすることがある。
The old monk engrossed the sacred texts carefully by candlelight.
老いた僧侶は、ろうそくの光の下で神聖な経典を注意深く清書した。
※ この例文は、古い時代の書物や、非常に重要な文書を時間をかけて丁寧に書き写す情景を描いています。歴史的な文脈や、厳かな雰囲気の中で「書き上げる」という際に使われることがあります。「engrossed」は動詞「engross」の過去形です。
The secretary engrossed the formal report for the president.
秘書は社長のために公式な報告書を清書した。
※ ビジネスの場面で、重要な報告書や公式な文書を、間違いがないように最終的に「清書する」「正式な形に整える」様子を表しています。正確さとプロフェッショナルな仕事ぶりが伝わる状況です。
He engrossed the new will perfectly before his long trip.
彼は長い旅行の前に、新しい遺言書を完璧に清書した。
※ 個人にとって非常に重要な書類(この場合は遺言書)を、最終的に完璧な形で準備する場面です。細部まで気を配り、間違いなく「書き上げる」というニュアンスが伝わります。
コロケーション
考えにふけって、没頭している
※ 「thought」は思考、考えを意味し、「engrossed in thought」は、まるで思考の海に浸っているかのように、深く考え込んでいる状態を表します。文法的には「engrossed (形容詞) + in (前置詞) + noun (thought)」の形です。日常会話でも使われますが、文学作品や映画の描写で、登場人物の内面を描写する際によく用いられます。類語として「lost in thought」がありますが、「engrossed」の方がより集中度が高いニュアンスを含みます。
会話に夢中になって、没頭している
※ 「conversation」は会話を意味し、「engrossed in conversation」は、話に花が咲き、時間を忘れて会話を楽しんでいる状態を表します。「engrossed (形容詞) + in (前置詞) + noun (conversation)」の形です。友人との再会や、興味深い議論など、ポジティブな状況で使われることが多いです。類似表現に「absorbed in conversation」がありますが、「engrossed」は会話の内容に引き込まれているニュアンスが強くなります。
本に夢中になって、没頭している
※ 「book」は本を意味し、「engrossed in a book」は、本のストーリーや内容に心を奪われ、周囲の音も気にならないほど読みふけっている状態を表します。「engrossed (形容詞) + in (前置詞) + noun (book)」の形です。電車の中やカフェなど、静かな場所でよく見られる光景です。似た表現に「immersed in a book」がありますが、「engrossed」の方が、より個人的な楽しみや没頭感を表す傾向があります。
仕事に没頭して、熱中している
※ 「work」は仕事を意味し、「engrossed in work」は、仕事に集中し、他のことを忘れてしまうほど熱心に取り組んでいる状態を表します。「engrossed (形容詞) + in (前置詞) + noun (work)」の形です。ビジネスシーンで、プロジェクトの締め切り前や、重要なタスクに取り組んでいる際によく使われます。類似表現に「involved in work」がありますが、「engrossed」の方が、より強い集中力と没頭を意味します。
夢中になる、没頭するようになる
※ 受動態のニュアンスを含む表現で、「(人が主語)become engrossed (in something)」の形で使われます。何かに興味を持ち始め、徐々に夢中になっていくプロセスを表します。例えば、「I became engrossed in the documentary about ancient Egypt.(古代エジプトに関するドキュメンタリーに夢中になった)」のように使います。能動態で「engrossed」を使うよりも、変化や過程を強調するニュアンスがあります。
夢中になった注意、集中
※ 「attention」は注意、集中を意味し、「engrossed attention」は、ある対象に完全に心を奪われ、集中している状態を表します。「engrossed (形容詞) + noun (attention)」の形です。例えば、講演者が聴衆から「engrossed attention」を受けている、というように使われます。ビジネスシーンやプレゼンテーションなど、相手の関心を惹きつけたい状況で有効です。
使用シーン
学術論文、特に人文科学や社会科学系の分野でよく見られます。例えば、歴史学の研究で「ある時代の社会現象に人々が没頭した」状況を分析する際に、『The public was engrossed in the social changes of that era.(人々はその時代の社会変革に没頭した)』のように使われます。また、心理学の研究論文で、被験者が特定のタスクにどれだけ集中したかを記述する際にも用いられます。
ビジネスシーンでは、フォーマルな文書やプレゼンテーションで使われることがあります。例えば、市場調査の結果を報告する際に、『Customers are increasingly engrossed in the convenience offered by online services.(顧客はオンラインサービスが提供する利便性にますます夢中になっている)』のように、顧客の関心の度合いを示す際に使われます。日常的なビジネス会話ではあまり使いません。
日常会話ではあまり使われませんが、本や映画、趣味などについて話す際に使われることがあります。例えば、『I was so engrossed in the novel that I forgot to eat dinner.(その小説に夢中になりすぎて、夕食を食べるのを忘れてしまった)』のように、何かに没頭した状態を表す際に使用します。ただし、より口語的な表現として "hooked" や "absorbed" が好まれる傾向があります。
関連語
類義語
- absorbed
何かに没頭し、他のことに注意を払えない状態。学術的な文脈や、ある種の精神的な集中を表す際にも用いられる。 【ニュアンスの違い】「engrossed」と非常に近い意味を持つが、「absorbed」はより受動的なニュアンスが強い。何かに自然と引き込まれて没頭しているイメージ。また、比喩的に『吸収される』という意味合いも持つ。 【混同しやすい点】「absorbed」は物理的な吸収も意味する点。「engrossed」は通常、精神的な没頭に限定される。また、「absorbed in thought」のように、前置詞を伴う形での使用頻度が高い。
文字通りには『水に浸かる』という意味だが、比喩的にある活動や環境に深く関わっている状態を指す。プロジェクトや文化に深く入り込んでいる状況を表すのに適している。 【ニュアンスの違い】「engrossed」が対象に精神的に集中している状態を指すのに対し、「immersed」は対象に物理的・精神的に深く関わっている状態を表す。より活動的なニュアンスを含む。 【混同しやすい点】「immersed」はしばしば「immersed in」という形で用いられ、その後に活動や環境が続く。精神的な集中だけでなく、物理的な関与も示唆する可能性がある点に注意。
何かに心を奪われ、他のことに注意を払えない状態。心配事や問題に気を取られている状況を表すことが多い。 【ニュアンスの違い】「engrossed」が肯定的な没頭を表すことが多いのに対し、「preoccupied」は否定的なニュアンスを含むことが多い。心配事や悩みで頭がいっぱいの状態。 【混同しやすい点】「preoccupied」はしばしば「preoccupied with」という形で用いられ、その後に心を奪われている対象が続く。没頭というよりは、気が散っている状態に近い。
魅力的なものに心を奪われ、夢中になっている状態。芸術作品やパフォーマンス、魅力的な人物などに用いられる。 【ニュアンスの違い】「engrossed」が単に集中している状態を表すのに対し、「captivated」は魅力的なものに心を奪われ、喜びや感動を伴う没頭を表す。より感情的なニュアンスが強い。 【混同しやすい点】「captivated」は常に肯定的な意味合いを持ち、心を奪う対象が魅力的であることが前提となる。また、受動態で用いられることが多い(例:He was captivated by her beauty)。
- enthralled
魅了され、心を奪われた状態。非常に強い喜びや興奮を伴う没頭を表す。文学的な表現や、強い感情を表す際に用いられる。 【ニュアンスの違い】「engrossed」よりも強い感情を表し、まるで魔法にかけられたかのように心を奪われている状態を指す。よりフォーマルで文学的な表現。 【混同しやすい点】「enthralled」は「captivated」よりもさらに強い感情を表し、日常会話ではあまり用いられない。主に文学作品や詩などで見られる表現。
- riveted
釘付けにされたように、注意を完全に奪われた状態。スリリングな物語やパフォーマンスなどに用いられる。 【ニュアンスの違い】「engrossed」が単に集中している状態を表すのに対し、「riveted」は強い興味や興奮を伴い、目が離せない状態を表す。より強い感情と視覚的なイメージを含む。 【混同しやすい点】「riveted」はしばしば視覚的な対象に対して用いられ、まるで釘で打ち付けられたように動けない状態を表す。スリラー映画やサスペンス小説など、緊張感のある状況で用いられることが多い。
派生語
『全体』『総計』を意味する形容詞・名詞。元々は『大きい』『太い』という意味合いがあり、『engrossed』の語源にも通じる。全体を『掴む』イメージから、没頭するという意味に発展したと考えられる。ビジネスや会計で頻繁に使われる(例:gross income, gross profit)。
現在分詞形の形容詞で、『人の心を奪う』『夢中にさせる』という意味合い。『engrossed』が状態を表すのに対し、こちらは『〜させる』という能動的な意味合いが強い。書評などで『engrossing novel(夢中にさせる小説)』のように使われる。
- engrossment
名詞形で、『没頭』『熱中』という意味を表す。法律用語としては、『正式な文書への清書』という意味もある。抽象的な概念を指すため、日常会話よりも、ややフォーマルな場面や学術的な文脈で使用されることが多い。
反意語
- distracted
『気が散った』『注意散漫な』という意味の形容詞。『engrossed』が一点に集中している状態を表すのに対し、『distracted』は注意があちこちに散っている状態を表す。日常会話で、集中できない状態を表現する際によく用いられる(例:I was distracted by the noise.)。
『退屈した』という意味の形容詞。『engrossed』が何かに夢中になっている状態であるのに対し、『bored』は何もすることがなく、刺激がない状態を表す。感情を表す形容詞として、日常会話で頻繁に使われる。(例:I'm bored.)。
『無関心な』『無感動な』という意味の形容詞。『engrossed』が強い関心を持っている状態と対照的に、『apathetic』は感情や関心が欠如している状態を表す。社会問題など、特定のテーマに対して無関心であることを表す際など、ややフォーマルな文脈で使用されることが多い。
語源
"Engrossed"は、元々「大きくする」「太らせる」という意味を持つ古フランス語の"en gros"(英語の"in gross"に相当)に由来します。"Gros"は「大きい」という意味で、ラテン語の"grossus"(粗い、厚い)に遡ります。この「大きくする」という意味から、法律用語として「正式に書き上げる」「清書する」という意味が派生し、さらにそこから「完全に没頭させる」「心を奪う」という意味へと発展しました。つまり、何かを「engross」するということは、その対象を大きく捉え、他に目もくれなくなるほど心を奪われる状態を表していると言えます。現代英語では、主に「没頭した」「夢中になった」という意味で使われます。
暗記法
「engrossed」は、まるで物語に没入するような、深い集中状態を表します。中世の写字生が文字に魂を込めるように、対象に心を奪われ、周囲を忘れるほどの熱中を意味します。科学者の研究、芸術家の創作、読書など、知的な探求や創造的な活動における没入感と充足感を象徴する言葉です。現代ではデジタルメディアへの没入も表しますが、過度な集中は孤立感にも繋がる可能性も示唆しています。
混同しやすい単語
『engrossed』と『engrossing』は、どちらも『engross(夢中にさせる)』の派生語ですが、役割が異なります。『engrossed』は主に受動的な状態(夢中になっている状態)を表す形容詞で、一方『engrossing』は能動的に何かを夢中にさせる性質を表す形容詞です。例えば、「I was engrossed in the book.(私はその本に夢中になった)」と「It was an engrossing book.(それは夢中にさせる本だった)」のように使います。日本人学習者は、-edと-ingの使い分けに注意する必要があります。-edは受け身、-ingは能動を意識すると良いでしょう。
『engrossed』と『gross』は、スペルが似ており、特に語頭の 'en-' の有無が混乱を招きやすいです。『gross』は『(程度が)ひどい、不快な』や『総計の』といった意味を持つ形容詞です。発音も異なります。また、ビジネスの文脈では『粗利益』という意味の名詞としても使われます。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、スペルの違いを意識することが重要です。語源的には、'gross'は「大きい」という意味合いから派生しており、'engross'は「完全に大きくする」というイメージで、対象を覆い尽くすような没入感を意味します。
『engrossed』と『embraced』は、語頭の音が似ているため、聞き間違いや発音の誤りが起こりやすいです。『embraced』は『embrace(抱きしめる、受け入れる)』の過去形または過去分詞形で、『抱きしめられた』『受け入れられた』といった意味になります。意味も文脈も大きく異なるため、区別が必要です。発音記号を確認し、それぞれの単語を意識的に発音練習することが効果的です。
『engrossed』と『absorbed』は、どちらも『夢中になる』という意味合いを持ちますが、ニュアンスが異なります。『engrossed』は、興味や面白さによって心が奪われる状態を表すのに対し、『absorbed』は、何かに集中して他のことを忘れてしまう状態を表します。例えば、「I was engrossed in the movie.(その映画に夢中になった)」は、映画の内容に引き込まれた状態を表し、「I was absorbed in my work.(仕事に没頭していた)」は、仕事に集中して他のことを気にしていなかった状態を表します。文脈によって使い分けることが重要です。
『engrossed』と『ignored』は、スペルの一部が似ており、特に語尾の '-ed' が共通しているため、混同しやすいです。『ignored』は『ignore(無視する)』の過去形または過去分詞形で、『無視された』という意味になります。意味は全く異なります。文脈をよく読み、スペルの違いに注意することが重要です。また、発音も大きく異なるため、発音記号を確認し、正確に発音できるように練習しましょう。
『engrossed』と『ingress』は、語頭の'en-'と'in-'が似ており、スペルミスが起こりやすいです。『ingress』は「入り口、侵入」という意味の名詞で、情報セキュリティやネットワークの分野でよく使われます。意味も品詞も全く異なるため、文脈から判断する必要があります。発音も異なるため、注意が必要です。語源的には、'ingress'は「中に入る」という意味合いを持ち、'engross'は「完全に大きくする」というイメージで、対象を覆い尽くすような没入感を意味します。
誤用例
『casually』は『普段着で』『何気なく』という意味合いが強く、目上の人に失礼なほどくだけた態度を指すニュアンスは弱い場合があります。ビジネスシーンでは、うっかり失礼な態度をとってしまったことを表すには、より婉曲的な『informally』が適切です。日本人が『casual』を『軽い』と捉えがちなのに対し、英語の『casual』は『普段の』『形式ばらない』意味合いが強く、ネガティブな意味合いを強調するには工夫が必要です。
『engrossed』は、興味や関心を引かれて夢中になっている状態を表しますが、美貌に『見惚れる』というニュアンスにはやや不向きです。『captivated』は、美しさや魅力に心を奪われる状態を表し、より適切な表現です。日本人は『engrossed』を『没頭する』と暗記しがちですが、対象によって相応しい動詞を選ぶ必要があります。
『engrossed』は良い意味でも悪い意味でも使えますが、ネガティブな感情、特に『心配』や『不安』で頭がいっぱいになっている状態を表すには、『preoccupied』がより適切です。日本人は『engrossed』を『熱中する』と捉え、『〜に夢中』という日本語に引きずられて with を使いがちですが、この文脈では不自然です。結果に『気を取られている』というニュアンスを出すには、『preoccupied』が適しています。
文化的背景
「engrossed」は、まるで物語の中に飲み込まれるように、あるいは絵筆がキャンバスに没頭するように、人の意識が完全に何かに集中し、周囲を忘れてしまう状態を表します。この単語は、単なる集中を超えた、一種の陶酔感や没入感を伴う状態を描写する際に用いられ、しばしば芸術、学問、あるいは恋愛といった、人間が深く関わる活動と結びついて語られます。
歴史的に見ると、「engrossed」は中世の写本製作の時代に、写字生が装飾文字や挿絵に没頭する様子を彷彿とさせます。彼らは、一文字一文字、一筆一筆に魂を込め、まるで瞑想するかのように作業に集中しました。この没入感は、単なる仕事以上の、精神的な充足感をもたらしたと考えられます。現代においても、この単語は、科学者が研究に没頭したり、芸術家が創作に没頭したりする姿を表現する際に用いられ、知的な探求や創造的な活動における深い集中力と満足感を象徴しています。
文学作品における「engrossed」の登場例としては、例えば、ジェーン・オースティンの小説に登場する主人公が、手紙を読むことに夢中になり、周囲の騒がしさに全く気づかない場面が挙げられます。このような場面では、「engrossed」は、主人公の感情や思考が特定の対象に強く引きつけられていることを示唆し、読者に対して、その対象の重要性や、主人公の心理状態を理解するための手がかりを提供します。また、シャーロック・ホームズが難事件の解決に没頭する姿は、「engrossed」という言葉が持つ知的興奮や、問題解決への強い意志を体現していると言えるでしょう。
現代社会においては、「engrossed」は、デジタルメディアとの関わり方とも深く結びついています。人々がスマートフォンやゲームに没頭する姿は、かつての写字生や読書家の姿と重なる部分があります。しかし、デジタルメディアへの過度な没入は、現実世界とのつながりを弱め、孤立感や依存症を引き起こす可能性も指摘されています。このように、「engrossed」は、人間の集中力や没入感の美しさと、その潜在的な危険性の両方を象徴する、多面的な意味を持つ言葉として、現代社会においても重要な役割を果たしています。
試験傾向
1. **出題形式**: 語彙問題、長文読解。
2. **頻度と級・パート**: 準1級以上で出題される可能性あり。1級で頻出。
3. **文脈・例題の特徴**: 学術的なテーマや、人物に関する評伝など、やや硬めの文章で登場しやすい。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「be engrossed in」の形で「〜に夢中になる」という意味で使われることが多い。動詞としての活用形も確認。類義語の「absorbed」とのニュアンスの違いも理解しておくと良い。
1. **出題形式**: 主にPart 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)。
2. **頻度と級・パート**: 中〜高頻度。ビジネス関連の長文で登場することがある。
3. **文脈・例題の特徴**: 集中して業務に取り組んでいる状況や、何かに没頭している様子を表す際に使われる。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「be engrossed in」の形で使われることが多い。文脈から意味を推測できるように練習。ビジネスシーンでの類義語(focused, dedicated)との使い分けも意識。
1. **出題形式**: 読解問題(Reading)。
2. **頻度と級・パート**: 比較的頻出。アカデミックな内容の文章でよく見られる。
3. **文脈・例題の特徴**: 研究、歴史、社会問題など、学術的なテーマで使われることが多い。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から正確な意味を把握することが重要。類義語との微妙なニュアンスの違いを理解しておくこと。動詞の活用形(engrossing, engrossed)にも注意。
1. **出題形式**: 長文読解。
2. **頻度と級・パート**: 難関大学で出題される傾向がある。標準的なレベルの大学でも、評論文などで見かけることがある。
3. **文脈・例題の特徴**: 評論文、物語文など、幅広いジャンルの文章で登場する可能性がある。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から意味を推測する練習が重要。「be engrossed in」の形で使われることが多い。類義語(absorbed, immersed)との使い分けも意識。