corrode
第2音節にアクセントがあります。「ロゥ」は二重母音で、口を大きく開けて「ア」の形から、唇を丸めて「オ」の形へスムーズに変化させます。語尾の 'd' は、舌先を上の歯茎につけて発音する有声音です。日本語の『ド』よりも弱く、息を止めるような意識で発音するとより自然になります。
専門的な内容に関するご注意
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むしばむ
金属や組織が徐々に破壊されていく様子。物理的な腐食だけでなく、精神的な蝕みにも使われる。比喩的に、関係や信頼を徐々に損なう場合にも用いられる。
The constant rain began to corrode the old metal fence.
絶え間ない雨が、古い金属のフェンスをむしばみ始めた。
※ この例文は、雨が降り続くことで庭の古い金属フェンスが徐々に錆びていく様子を描写しています。物理的なものが水や湿気によって「むしばまれる」「腐食する」という、「corrode」の最も基本的で典型的な使い方です。「constant rain」は「絶え間ない雨」で、雨が降り続いている状況を表します。
Salt water can corrode the steel parts of a ship over time.
塩水は時間をかけて船の鋼鉄部分をむしばむことがあります。
※ 海を航行する船が、常に塩水にさらされて、その鋼鉄部分がゆっくりと劣化していく様子を想像できます。塩分や酸など、特定の化学物質が物を「むしばむ」「腐食させる」という文脈でよく使われます。「can」は「〜することがある」という可能性や一般的な事実を表し、「over time」は「時間をかけて」「やがて」という意味で、徐々に進行する様子を伝えます。
Acid rain can slowly corrode the surface of old stone buildings.
酸性雨は古い石造りの建物の表面をゆっくりとむしばむことがあります。
※ 酸性雨が歴史ある石造りの建物の表面をじわじわと侵食し、その美しさを奪っていく情景が浮かびます。この文は、環境問題や科学的な説明など、より広範な影響を「むしばむ」と表現する際に使われる典型例です。金属だけでなく、石材などにも使われることを示しています。「slowly」は「ゆっくりと」という意味で、腐食が徐々に進むことを強調します。
蝕む
徐々に、内側から破壊するイメージ。病気や不安が心身を蝕むように使われる。
The old bicycle started to corrode after many rainy days.
その古い自転車は、雨の日が何日も続いた後、蝕み始めました(錆び始めました)。
※ 【情景】物置に置きっぱなしの古い自転車が、雨ざらしになってだんだん錆びていく様子を想像してください。金属が水や空気によって徐々に劣化していく様子を表す、最も典型的な使い方です。 【ヒント】「corrode」は「蝕む、腐食する」という意味で、特に金属が錆びてボロボロになる様子によく使われます。この文では「〜し始めた」という意味の「started to」の後に来ています。
Salt water can corrode metal parts very quickly.
塩水は金属部品を非常に速く蝕むことがあります。
※ 【情景】海岸にある建物や船の金属部分を想像してみてください。塩分を含んだ水が、金属をあっという間に錆びさせてしまう危険性を伝えています。実際に海辺で注意を促すような場面でも使われます。 【ヒント】「can」は「〜することができる」という可能性や能力を示します。「corrode」は他動詞として「〜を蝕む」という形で使われています。科学的な説明や注意喚起の文脈でよく使われる表現です。
Doubts can slowly corrode a strong relationship.
疑念は、強い関係性をゆっくりと蝕むことがあります。
※ 【情景】友人や家族、恋人との間に小さな疑いの気持ちが生まれ、それが放置されることで、それまで築き上げてきた強い絆が少しずつ壊れていく、そんな心の動きを想像してください。 【ヒント】物理的なものだけでなく、このように「信頼」や「関係性」といった抽象的なものが徐々に傷つけられる、悪化するという意味でも「corrode」は使われます。ここでは「can」と「slowly」(ゆっくりと)が、そのプロセスを示しています。
コロケーション
金属を腐食させる
※ 「corrode」の最も直接的な用法で、文字通り金属が化学反応によって徐々に破壊されることを指します。科学的な文脈や、金属の劣化を説明する際に頻繁に使われます。例えば、「Saltwater can corrode metal quickly.(塩水は金属を急速に腐食させる可能性がある)」のように使われます。物理的な現象を説明する上で基本となる表現です。
酸が腐食させる
※ 酸の腐食性を強調する表現です。化学や工業の分野でよく用いられ、酸が他の物質を分解・溶解する様子を具体的に示します。「The acid corrodes the surface of the rock.(酸が岩の表面を腐食させる)」のように、原因と結果を明確に結びつける際に役立ちます。科学的な説明に不可欠なコロケーションです。
信頼を蝕む、信仰をむしばむ
※ 「corrode」を比喩的に用いた表現で、信頼や信仰などが徐々に失われていく様子を表します。例えば、裏切りや失望が積み重なって、人々の信頼を徐々に損なう状況を指します。「His lies corroded her faith in him.(彼の嘘が彼女の彼への信頼を蝕んだ)」のように使われます。精神的な崩壊を表現する際に効果的です。
人間関係を悪化させる、蝕む
※ 人間関係における信頼や絆が、時間とともに徐々に損なわれていく状況を指します。コミュニケーション不足、誤解、裏切りなどが原因で、関係がゆっくりと崩れていく様子を表します。「Constant arguments can corrode relationships.(絶え間ない議論は人間関係を悪化させる可能性がある)」のように、長期的な悪影響を強調する際に使われます。ビジネスや個人的な関係において重要な概念です。
士気を低下させる、意欲をそぐ
※ 組織や集団における士気や意欲が徐々に低下していく様子を表します。不公平な評価、過酷な労働条件、将来への不安などが原因となり、人々のモチベーションが徐々に失われていく状況を指します。「Layoffs can corrode morale within the company.(解雇は会社内の士気を低下させる可能性がある)」のように、組織運営における問題点を指摘する際に用いられます。ビジネスシーンでよく使われる表現です。
耐食性
※ 物質が腐食に対してどれだけ強いかを示す特性を指します。工業製品や建築材料の品質を評価する上で重要な指標であり、「corrosion-resistant steel(耐食鋼)」のように、複合語として頻繁に使用されます。技術的な文脈で不可欠な表現です。
深く腐食した
※ 腐食の程度が非常に深刻であることを強調する表現です。長期間にわたる腐食や、腐食を引き起こす要因が非常に強い場合に用いられます。「The pipes were deeply corroded after years of exposure to saltwater.(そのパイプは長年塩水にさらされた結果、深く腐食していた)」のように、被害の大きさを具体的に示す際に役立ちます。技術報告書や事故調査などでよく使用されます。
使用シーン
科学、工学、歴史学などの分野で、物質や構造が徐々に劣化・崩壊する様子を説明する際に使われます。例えば、化学の論文で「酸性雨が金属を腐食させる」という現象を説明したり、歴史学の文献で「長期的な戦争が社会の基盤を蝕む」といった比喩表現として用いられたりします。研究発表や論文では、客観的かつ専門的な文脈で使われることが多いです。
ビジネス文書や会議で、組織やプロジェクトが徐々に悪化していく状況を表現する際に使われることがあります。例えば、「競争の激化が企業の収益を腐食させる」といったように、比喩的な意味合いで用いられることが多いです。フォーマルな文脈で、問題の深刻さや長期的な影響を強調するために使われます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、環境問題や社会問題について議論する際に使われることがあります。例えば、「汚染物質が川を腐食させる」といったように、深刻な状況を説明する際に用いられます。また、比喩的に「長年の不満が関係を蝕む」といった表現も可能です。
関連語
類義語
『徐々に、または自然の力によって、何かを侵食する』という意味。物理的な侵食(土壌、岩石など)や、比喩的に価値、信頼などを損なう場面で使われる。学術的な文脈や環境問題に関する議論でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『corrode』が化学的な作用による腐食を指すことが多いのに対し、『erode』は風雨、水流などの自然の力による侵食を指す。また、『erode』は比喩的な意味合いで、徐々に損なわれるニュアンスを含む。 【混同しやすい点】『corrode』が金属に対して使われることが多いのに対し、『erode』は土壌、岩石などより広範な物質に対して使われる。また、比喩的な意味での使用頻度が『erode』の方が高い。
『金属が酸化して錆びる』という意味。特に鉄や鋼が酸化して赤褐色の酸化物を生成する現象を指す。日常会話や科学技術分野で用いられる。 【ニュアンスの違い】『corrode』がより広範な腐食現象を指すのに対し、『rust』は鉄や鋼の酸化に限定される。また、『rust』は名詞としても動詞としても使われ、具体的な錆びた状態や錆びる過程を指す。 【混同しやすい点】『rust』は特定の金属(鉄、鋼)に限定されるが、『corrode』はより多くの種類の材料に適用可能。『rust』は名詞としても使える点が異なる。
『品質や状態が悪化する』という意味。物理的なもの(建物、機械など)や抽象的なもの(関係、健康状態など)に対して広く使われる。ビジネス、日常会話、学術的な文脈など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『corrode』が特定の物質が腐食する過程を指すのに対し、『deteriorate』はより一般的な悪化を指す。また、『deteriorate』は腐食以外の原因による悪化も含む。 【混同しやすい点】『corrode』は腐食という特定のプロセスを指すのに対し、『deteriorate』はより一般的な悪化を意味する。したがって、腐食が原因で悪化する場合でも『deteriorate』は使用可能。
『有機物が腐敗する』という意味。食品、木材、生物の死骸などが分解される過程を指す。日常会話や生物学、医学などの分野で使われる。 【ニュアンスの違い】『corrode』が無機物(特に金属)の腐食を指すのに対し、『decay』は有機物の腐敗を指す。また、『decay』は比喩的に道徳的な退廃や衰退を意味することもある。 【混同しやすい点】『corrode』は主に金属などの無機物に使われるが、『decay』は主に有機物に使われる。比喩的な意味合いにも違いがある(『decay』は道徳的な退廃を含むことがある)。
『弱める、弱くなる』という意味。物理的な強度や抽象的な力、影響力などが低下する状況を表す。日常会話からビジネス、政治まで幅広い文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『corrode』が物質の表面から徐々に破壊するイメージであるのに対し、『weaken』は全体的な強度が低下するイメージ。腐食によって弱まる場合にも使えるが、原因は腐食に限定されない。 【混同しやすい点】『corrode』は腐食という特定のプロセスを指すが、『weaken』はより一般的な弱化を意味する。腐食が原因で弱まる場合でも『weaken』は使用可能だが、必ずしも腐食が原因とは限らない。
『金属の表面が変色する』という意味。特に銀製品が硫化して黒ずむ現象を指すことが多い。日常会話や宝飾品、美術品の分野で使われる。 【ニュアンスの違い】『corrode』が金属を内部から破壊するイメージであるのに対し、『tarnish』は表面的な変色を指す。腐食の初期段階として捉えることもできる。 【混同しやすい点】『tarnish』は表面的な変色であり、金属の構造的な強度は必ずしも損なわれないが、『corrode』は内部から破壊するため、構造的な強度を低下させる。
派生語
名詞で「浸食、腐食」。動詞corrode(腐食する)から派生し、その作用や結果を表す。日常会話よりも、地質学、環境科学、経済学などで、徐々に価値や基盤が失われる状況を指す際に使われる。学術論文や報道で頻出。
- corrosive
形容詞で「腐食性の、蝕むような」。corrodeに性質を表す接尾辞-iveが付加され、物質が腐食させる性質を持つことや、比喩的に精神や関係を蝕むような影響力を表す。化学、医学、人間関係など幅広い文脈で使用される。
- corrodibility
名詞で「腐食性、腐食されやすさ」。corrosive (腐食性の)に、可否を表す接尾辞-bilityが付いた形。主に科学技術分野で、材料の耐久性を評価する際に用いられる。学術的な文書や技術報告書で使われる。
反意語
「保護する、守る」という意味の動詞。corrodeが徐々に破壊するのに対し、protectは損傷や劣化を防ぐ。日常会話からビジネス、技術分野まで幅広く使われる。例えば、金属を腐食から守るために塗装する、といった文脈で対比される。
「保存する、維持する」という意味の動詞。corrodeが時間経過とともに劣化させるのに対し、preserveは元の状態を維持しようとする。食品の保存、文化遺産の保護など、長期的な維持を意図する場合に使われる。
「強化する、強固にする」という意味の動詞。corrodeによって弱体化するものを、fortifyは強くする。比喩的にも使われ、精神的な強さや関係性を強化する意味合いも持つ。例えば、 corrodeが信頼を蝕むのに対し、fortifyは信頼関係を築き上げる。
語源
"corrode」は、ラテン語の「rodere」(かじる、むしばむ)に、強意の接頭辞「com-」(共に、完全に)が組み合わさった「corrodere」(徹底的にかじる、食い尽くす)に由来します。つまり、もともとは文字通り「何かを徹底的にかじる」という意味合いでした。これが古フランス語を経由して英語に入り、「むしばむ、腐食させる」という意味に変化しました。イメージとしては、金属が錆びていく様子や、酸が物を溶かしていく様子を思い浮かべると理解しやすいでしょう。日本語で例えるなら、「コツコツと少しずつ削り取る」というニュアンスに近いかもしれません。時間経過とともに、徐々に、そして確実に蝕んでいく様子を表す言葉です。
暗記法
「corrode」は、鎧の錆のように、内面や社会の崩壊を暗示します。騎士道の衰退、精神の堕落、錬金術における魂の浄化…単なる破壊でなく、再生の過程も意味します。現代では環境問題、政治腐敗、信頼の失墜、人間関係の崩壊も表し、目に見えない力が徐々に、しかし確実に破壊していく様を、この言葉は警告します。日々の生活で大切なものを見失わないように。
混同しやすい単語
『corrode』と『erode』は、どちらも「腐食する」「浸食する」という意味を持つ動詞ですが、対象が異なります。『corrode』は主に金属が化学反応によって腐食する様子を表し、『erode』は主に自然の力(水、風など)によって土地や岩などが浸食される様子を表します。発音も似ているため、文脈で判断する必要があります。語源的には、corrodeは「完全に(cor-)かじる(rodere)」、erodeは「外へ(e-)かじる(rodere)」というイメージです。
『erode』と『corrode』はどちらも「腐食する」「浸食する」という意味を持つ動詞ですが、対象が異なります。『corrode』は主に金属が化学反応によって腐食する様子を表し、『erode』は主に自然の力(水、風など)によって土地や岩などが浸食される様子を表します。発音も似ているため、文脈で判断する必要があります。語源的には、corrodeは「完全に(cor-)かじる(rodere)」、erodeは「外へ(e-)かじる(rodere)」というイメージです。
『corroborate』と『collaborate』は、スペルが似ており、どちらも接頭辞に『co-』を持つため混同しやすいです。『corroborate』は「裏付ける、確証する」という意味で証拠などを伴いますが、『collaborate』は「協力する、共同制作する」という意味で、人と人が協力する際に使われます。発音も似ているため、文脈で判断する必要があります。corroborateは「強める(robur)」という語源を持ちます。
『corrode』と『correct』は、最初の『cor-』の部分が共通しているため、スペルが似ていると感じることがあります。『corrode』は「腐食する」という意味ですが、『correct』は「正しい」「修正する」という意味で、全く異なる意味を持ちます。発音も異なりますが、早口で発音されると聞き間違える可能性があります。correctの語源は「完全に(cor-)まっすぐにする(rect)」というイメージです。
『corrode』と『corral』は、最初の『cor-』の部分が共通しているため、スペルが似ていると感じることがあります。『corrode』は「腐食する」という意味ですが、『corral』は「家畜囲い、追い込む」という意味で、全く異なる意味を持ちます。発音も異なりますが、母音の区別があいまいだと混同する可能性があります。corralはスペイン語由来で、囲いを意味します。
『corrode』と『chord』は、スペルが一部似ており、『cor-』という接頭辞が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。『corrode』は「腐食する」という意味ですが、『chord』は「コード、和音」という意味で、音楽の文脈でよく使われます。発音も大きく異なるため、注意が必要です。chordは「腸(ギリシャ語のkhorde)」が語源で、弦楽器の弦を指していました。
誤用例
『corrode』は、本来、金属などが徐々に腐食していく様子を表す言葉です。比喩的に『評判を蝕む』という意味で使うことも可能ですが、『一夜にして』という急激な変化を表す語句と組み合わせると、語感の不一致が生じます。日本語の『信用が地に落ちる』という表現を直訳しようとして、不自然な英語になってしまう典型例です。より自然な英語では、『severely damaged』のように、直接的な表現を用いる方が適切です。また、日本語の『腐食』という言葉が持つ、ドロドロとしたイメージが、英語の『corrode』には必ずしもない点も注意が必要です。
『corrode』は、徐々に、そして不可逆的に蝕んでいくニュアンスがあります。モチベーションのように、回復する可能性のあるものに対して使うと、やや大げさな印象を与えます。日本語の『やる気を腐らせる』という表現に引きずられて、『corrode』を選んでしまうケースです。より適切なのは、『undermine(弱める、蝕む)』です。これは、じわじわと、しかし確実にモチベーションを低下させる様子を表します。日本語の『腐らせる』は、比喩表現として様々な状況で使われますが、英語ではより具体的な状況に合わせた動詞を選ぶ必要があります。
酸性雨が像を『腐食させた』という状況において、日本語では自然に聞こえますが、英語では『erode』を使う方が適切です。『Corrode』は、化学反応によって金属が腐食する場合によく用いられます。石像などの場合、酸性雨によって表面が削られる、風化するという意味合いが強いため、『erode(浸食する、風化させる)』がより適切です。ここには、日本語の『腐食』という言葉の適用範囲が、英語の『corrode』よりも広いという言語間の差異が存在します。また、英語では、物質の種類によって適切な動詞を選ぶという習慣があります。
文化的背景
「corrode」(腐食する、むしばむ)は、目に見える物質の崩壊だけでなく、時間や権力によって徐々に蝕まれていく精神、社会、関係性の脆さを象徴する言葉です。金属が錆びるように、人間の内面や社会構造もまた、目に見えない力によって徐々に劣化していく様を表現する際に用いられます。その背後には、永遠不変なものはなく、全てが崩壊の可能性を孕んでいるという、ある種の諦念や警鐘が込められています。
中世ヨーロッパにおいては、鉄製の鎧や武器の手入れは騎士の義務であり、錆び付きは怠惰や無能の象徴でした。腐食は単なる物質的な劣化ではなく、騎士道精神の衰退、ひいては社会全体の秩序の崩壊を暗示するものとして恐れられました。シェイクスピアの戯曲などにも、権力や野心によって精神が腐食していく人物が描かれることがあり、corrodeは道徳的な堕落と結び付けて語られることもありました。また、錬金術師たちは、金属の腐食を「魂の浄化」の過程と捉え、腐食によって不純物が取り除かれ、より高次の存在へと昇華すると考えました。この思想は、精神的な苦難や試練を通して人間が成長するという考え方と結びつき、corrodeは単なる破壊ではなく、再生のプロセスの一部としても解釈されるようになりました。
現代社会においては、corrodeは環境問題や政治腐敗といった、より広範な問題と結び付けて使われることが多くなりました。酸性雨による森林破壊や、企業の不正行為による信頼の失墜など、目に見えない形で社会全体を蝕んでいく現象を表現する際に、この言葉は強い警告の響きを持ちます。また、インターネット上の誹謗中傷やフェイクニュースが、人々の心や社会の分断を深めていく状況も、「corrode」という言葉で表現されることがあります。このように、corrodeは単なる物質的な腐食を超えて、社会、精神、倫理といった、より抽象的な概念の劣化を表現するために広く用いられ、現代社会における様々な問題点を浮き彫りにする役割を担っています。
さらに、corrodeは人間関係における信頼の崩壊や、長年の恨みが心を蝕んでいく様子を表現する際にも用いられます。例えば、長年の不満が積もり積もって夫婦関係を蝕んでいく状況や、過去のトラウマが現在の人格を歪めてしまう様子などを、「corrode」を使って表現することで、その深刻さをより深く伝えることができます。この言葉は、時間という目に見えない力によって、徐々に、しかし確実に破壊されていくものの儚さを表現し、私たちに、日々の生活の中で大切なものを見失わないように、そして、蝕まれる前に手を打つことの重要性を教えてくれます。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題(短文穴埋め)や長文読解で出題されます。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級の語彙問題で問われる可能性が高いです。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、科学技術、歴史など、やや硬めのテーマの長文で登場しやすいです。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞 (corrosion) と動詞 (corrode) の区別を明確にし、文脈に応じた適切な意味を理解することが重要です。比喩的な意味(精神的な腐食など)も押さえておきましょう。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)やPart 7(長文読解)で登場します。
- 頻度と級・パート: 比較的頻度は低いですが、Part 7で稀に出題されることがあります。
- 文脈・例題の特徴: 工場の設備、金属製品の品質管理、インフラの老朽化など、ビジネスシーンに関連する文脈で使われることが多いです。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス文書特有の言い回しの中で使われることが多いため、関連語句(rust, erode, decayなど)との違いを理解しておくと良いでしょう。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出します。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻繁に使われるため、TOEFL対策としては重要な単語です。
- 文脈・例題の特徴: 科学、環境、歴史など、幅広い分野の学術的な文章で登場します。抽象的な概念を表す場合もあります。
- 学習者への注意点・アドバイス: 語源(ラテン語)を理解すると、意味を推測しやすくなります。また、類義語(deteriorate, degrade)とのニュアンスの違いを意識しましょう。
- 出題形式: 長文読解問題で出題される可能性があります。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で稀に見られます。標準的な単語帳には掲載されていないこともあります。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、社会問題、科学技術など、論説文や評論文で使われることが多いです。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習をしましょう。また、同義語や反意語を覚えておくことで、読解問題に対応しやすくなります。