arbitrary
第一音節に強勢があります。/ɑːr/ は日本語の「アー」よりも口を大きく開け、舌を少し奥に引くように発音します。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも曖昧で、口をあまり開けずに発音します。最後の /i/ は長めに発音するとより自然です。全体を通して、各音節を区切らず、滑らかにつなげるように意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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気まぐれな
根拠や理由がなく、その場の思いつきや気分で決定される様子。規則や法則に従わない、恣意的なニュアンスを含む。
The teacher suddenly made an arbitrary rule for our class today.
先生は今日、私たちのクラスに突然、気まぐれなルールを作りました。
※ この例文では、先生が「特に理由もなく、自分の気分で」ルールを決めたことに対する、生徒たちの戸惑いや不満が伝わってきます。ルールや決定が「明確な根拠や論理に基づかず、恣意的に行われる」状況でよく使われる単語です。
He just picked an arbitrary color for the wall without a good reason.
彼は特に理由もなく、ただ壁に気まぐれな色を選びました。
※ この例文では、誰かが「特に深い意味や理由もなく、その場の思いつきで」何かを選んだ状況を表しています。「arbitrary」は、このように「明確な根拠や意図がない」選択や行動を説明する際にも使われます。目の前で彼が色見本から適当に選んでいる様子が目に浮かびますね。
The boss often makes arbitrary demands on his team members.
上司はよく、チームのメンバーに気まぐれな要求をします。
※ この例文では、上司が「論理的根拠なく、自分の気分や都合で」命令や要求をする状況を描いています。これにより、チームメンバーが理不尽に感じている様子が想像できます。「arbitrary」は、権力を持つ人が理由なく何かを決めたり要求したりする場合によく使われる、少し批判的なニュアンスを持つ言葉です。
独断的な
客観的な基準や証拠に基づかず、個人的な判断や好みに偏っている様子。権力や立場を利用して、勝手に物事を決めるような場合に用いられる。
The principal's decision to change the school rules felt completely arbitrary to the students.
校長先生が学校の規則を変えたのは、生徒たちにとって全く独断的に感じられました。
※ この例文は、権限を持つ人が、明確な理由や基準なしに物事を決める状況を表しています。生徒たちが「なぜ?」と納得できない気持ちが伝わってきますね。'felt arbitrary' のように、感情を伴って使われることが多いです。
He made an arbitrary choice of which book to read next, just picking the first one he saw.
彼は次に読む本を独断的に選びました。目についた最初の一冊をただ手に取っただけです。
※ ここでは、誰かが特に理由もなく、あるいは深い考えなしに何かを選ぶ様子を描いています。まるで「気まぐれで」選んだかのようなニュアンスがあります。選択が「根拠なく、勝手に」行われる時に使えます。
The manager's new work schedule seemed arbitrary, making staff complain about fairness.
部長の新しい勤務スケジュールは独断的に見え、スタッフは公平性について不平を言いました。
※ この文は、ルールや決定が「不公平だ」「納得できない」と感じられる状況で使われています。特に、権力のある人が個人的な判断で物事を決め、それが周りに影響を与える場面でよく使われる単語です。'seem arbitrary' のように使われることも多いです。
任意の
複数の選択肢の中から、特に理由なく一つを選ぶことができる状態。数学やプログラミングの文脈では、「特定の制約を満たす任意の要素」といった意味合いで使われる。
The boss made an arbitrary decision to end the meeting early, surprising everyone.
上司は会議を早く終えるという恣意的な決定を下し、全員を驚かせました。
※ この例文は、上司が特に理由もなく、自分の都合で会議の終了時間を決めた状況を描いています。皆が「なぜ?」と思ったのに、明確な説明がなかった、という「根拠のなさ」や「気まぐれ」なニュアンスが伝わります。このように、`arbitrary` は「理由や根拠がなく、勝手に決められたこと」を表現する際によく使われます。
The little boy picked an arbitrary color for his drawing, not caring about the rules.
その小さな男の子は、何のルールも気にせず、絵を描くための色を適当に選びました。
※ ここでは、小さな男の子がクレヨンを前にして、「この色がいい!」と、特に深い理由もなく、その場の気分で色を選んでいる様子が目に浮かびます。絵のルールや色の組み合わせなど、何も考えずに適当に選んだ、という「理由のなさ」や「無作為さ」を`arbitrary`が表しています。日常の何気ない選択にも使えますね。
His manager gave him an arbitrary grade on his performance review, which felt unfair.
彼の上司は彼の成績評価に恣意的な点数をつけ、それは不公平だと感じられました。
※ この例文は、会社での評価の場面です。上司が、明確な基準や根拠を示さずに、なんとなく、あるいは個人的な感情で評価を決めてしまった状況を表しています。評価された側は「なぜこの点数なんだろう?」と納得がいかず、不公平だと感じています。`arbitrary` は、このように「客観的な根拠に欠け、不公平に感じられる判断や評価」にもよく使われます。
コロケーション
恣意的な決定、根拠のない決定
※ 「arbitrary」の中でも最も頻繁に使われる組み合わせの一つです。客観的な基準やルールに基づかず、個人的な好みや気まぐれで下される決定を指します。ビジネスシーンや法律関連の文書でよく見られ、不公平感や不透明さを伴うニュアンスがあります。例えば、人事評価や資源配分など、公平性が求められる場面で『根拠のない決定』として批判的に用いられます。
独断的な規則、恣意的なルール
※ 「arbitrary decision」と同様に、客観性や合理性を欠いたルールを指します。組織や制度における規則が、明確な理由や正当性なく設定されている状況を表します。しばしば、権力者が自身の都合の良いようにルールを解釈・運用する際に用いられ、不満や抵抗を生む原因となります。反対語としては、fair rule, just ruleなどが挙げられます。
専断的な権力、恣意的な権力
※ 法や正義に基づかず、個人の意志によって行使される権力を指します。政治的な文脈でよく用いられ、独裁的な支配や人権侵害を伴う状況を表します。歴史的な文脈では、絶対君主制における君主の権力を指すこともあります。現代社会においては、権力濫用や不正行為を批判する際に用いられます。
不当逮捕、恣意的な逮捕
※ 法的な根拠や正当な理由なく行われる逮捕を指します。人権侵害の典型的な例であり、国際法や各国の憲法で禁止されています。政治的な弾圧や冤罪事件などで見られることがあり、深刻な社会問題として認識されています。ニュース記事や法律関連の文書でよく用いられます。
任意の数、適当な数
※ 特定の意図や根拠を持たず、無作為に選ばれた数を指します。数学や統計学の分野で用いられることがあり、実験やシミュレーションにおいて、初期値やパラメータとして用いられます。例えば、モンテカルロ法などの乱数を用いる手法において、「arbitrary number」が重要な役割を果たします。
恣意的な選択、根拠のない選択
※ 客観的な基準や根拠に基づかず、個人的な好みや気まぐれで行われる選択を指します。複数の選択肢がある場合に、特に理由もなく一つを選ぶ状況を表します。日常的な場面から、ビジネス上の意思決定まで、幅広い場面で使用されます。例えば、商品の選択や投資判断などにおいて、「arbitrary choice」が不適切な結果を招くことがあります。
不規則な間隔で、ランダムな間隔で
※ 時間的または空間的な間隔が一定でなく、予測できない状況を表します。科学的な実験や観察において、データ収集のタイミングがランダムであることを示す際に用いられます。例えば、地震の発生や株価の変動など、予測困難な現象を分析する際に、「at arbitrary intervals」という表現が用いられます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、ある選択や決定が客観的な根拠に基づかないことを示す際に用いられます。例えば、統計分析において「サンプルサイズは任意に決定された」のように使われ、研究の妥当性を評価する上で重要な要素となります。文語的な表現です。
ビジネス文書や契約書で、規則や条件が明確に定められていない状況を指す際に使用されます。例えば、「価格設定は市場の状況に応じて任意に調整される」のように使われ、柔軟性を持たせる意図を示唆します。フォーマルな文脈で使用されます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事や解説番組で、権力や制度が恣意的に運用されている状況を批判的に説明する際に用いられることがあります。例えば、「政府の政策が恣意的に変更された」のように使われ、公平性や透明性の欠如を指摘するニュアンスを含みます。
関連語
類義語
『無作為な』『偶然の』という意味。統計、確率、ゲーム理論など、数学的、科学的な文脈でよく使われる。また、日常会話でも広く使われ、特に結果が予測不可能であることを強調する。 【ニュアンスの違い】『arbitrary』は決定や行動に理由や根拠がないことを非難するニュアンスを含むのに対し、『random』は単に結果が予測できない、または特定のパターンがないことを指す。倫理的な判断は含まれないことが多い。 【混同しやすい点】『random』は客観的な無作為性を意味するが、『arbitrary』は主観的な恣意性を意味する。例えば、『random selection』は公平な選択方法だが、『arbitrary decision』は不公平な決定を意味する。
『裁量による』という意味。権限や自由意志に基づいて決定できることを指す。法律、ビジネス、行政などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『arbitrary』はルールや基準を無視した決定を指すのに対し、『discretionary』はルールや基準の範囲内で、個々の状況に合わせて柔軟な判断ができることを意味する。『discretionary』は、権限を持つ者が責任を持って判断することを前提とする。 【混同しやすい点】『discretionary』は権限の範囲内での自由な判断を意味するが、『arbitrary』は権限の逸脱や乱用を意味することがある。例えば、『discretionary spending』は予算の範囲内で自由に使える資金だが、『arbitrary spending』は無計画で無駄な支出を意味する。
『気まぐれな』『移り気な』という意味。人の行動や態度が予測不可能で、一貫性がないことを指す。文学作品や日常会話で、特にネガティブな意味合いで使われる。 【ニュアンスの違い】『arbitrary』は決定に理由がないことを強調するのに対し、『capricious』は人の性格や行動が変わりやすいことを強調する。『capricious』は感情的な要素が強く、一時的な感情に左右されることを示唆する。 【混同しやすい点】『capricious』は人の性質を表す形容詞として使われることが多いが、『arbitrary』は決定や行動の性質を表す形容詞として使われることが多い。例えば、『a capricious person』は気まぐれな人を指すが、『an arbitrary rule』は恣意的なルールを指す。
『主観的な』という意味。個人の感情、意見、経験に基づいて判断することを指す。哲学、心理学、芸術などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『arbitrary』は客観的な根拠がないことを批判的に指すのに対し、『subjective』は客観的な根拠がないことを単に記述する。必ずしもネガティブな意味合いを持つとは限らない。 【混同しやすい点】『subjective』は個人の視点や解釈に依存することを意味するが、『arbitrary』は公平性や合理性の欠如を意味することがある。例えば、『subjective opinion』は個人的な意見だが、『arbitrary judgment』は不公平な判断を意味する。
『不合理な』『理不尽な』という意味。論理や常識に反することを指す。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『arbitrary』は恣意的な決定を指すのに対し、『unreasonable』は論理的な根拠がないことを指す。『unreasonable』は、期待される基準や常識からの逸脱を強調する。 【混同しやすい点】『unreasonable』は、多くの場合、客観的な基準に照らして不合理であることを意味するが、『arbitrary』は、主観的な恣意性を含むことがある。例えば、『an unreasonable request』は常識的に考えて受け入れられない要求だが、『an arbitrary decision』は理由もなく決定された決定を意味する。
『行き当たりばったりな』『計画性のない』という意味。偶然に左右される、または組織や計画がない状態を指す。日常会話で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『arbitrary』は決定に根拠がないことを批判的に指すのに対し、『haphazard』は単に計画性や組織がないことを指す。必ずしもネガティブな意味合いを持つとは限らない。 【混同しやすい点】『haphazard』は偶然の結果や無計画な行動を意味するが、『arbitrary』は意図的な恣意性を意味することがある。例えば、『a haphazard arrangement』は整理されていない配置だが、『an arbitrary choice』は恣意的な選択を意味する。
派生語
- arbitrate
『仲裁する』という意味の動詞。元々は『裁定を下す』という意味合いから派生し、紛争や意見の相違に対して第三者として公正な判断を下す行為を指す。ビジネスや法的な文脈で頻繁に使用される。
『仲裁』という意味の名詞。動詞『arbitrate』から派生し、紛争解決のプロセスや制度そのものを指す。契約書や国際的な紛争解決の文脈でよく見られる。
- arbitrator
『仲裁者』という意味の名詞。『arbitrate』に『-or』が付いて人を表す。紛争解決の専門家であり、法廷外での紛争解決において重要な役割を果たす。専門的な文脈で使用頻度が高い。
反意語
- reasoned
『理性的な』『論理的な』という意味の形容詞。『arbitrary』が根拠や理由に基づかないことを意味するのに対し、『reasoned』は論理的思考や証拠に基づいた判断や行動を指す。学術論文や議論の文脈で対比的に用いられる。
『合理的な』という意味の形容詞。『reasoned』と同様に、論理や理性に基づいていることを強調する。『arbitrary』な決定が感情や気まぐれに基づいているのに対し、『rational』な決定は客観的な分析に基づいている。日常会話からビジネスまで幅広く使用される。
『一貫した』という意味の形容詞。『arbitrary』な行動が一貫性や規則性を持たないのに対し、『consistent』な行動は一定の原則や基準に従っていることを示す。ビジネス文書や科学的な文脈で、信頼性や予測可能性を強調する際に用いられる。
語源
「arbitrary」は、ラテン語の「arbiter(仲裁人、調停者)」に由来します。「arbiter」は、紛争解決のために選ばれた第三者であり、その判断は必ずしも法に基づかず、公平さや当事者の合意に基づいていました。この「arbiter」に形容詞を作る接尾辞「-arius」が付いて「arbitrarius」となり、「仲裁人の裁量による」という意味合いを持ちました。これが英語に入り「arbitrary」となり、当初は「裁量に基づいた」という意味でしたが、そこから「気まぐれな」「独断的な」といった、法や客観的な基準によらない判断、という意味に変化していきました。現代日本語で例えるなら、「鶴の一声」のような、権力者の恣意的な決定をイメージすると理解しやすいでしょう。
暗記法
「arbitrary」は、中世の王侯貴族が気まぐれで民衆を支配した時代から、権力乱用の象徴でした。シェイクスピア劇にもその姿が描かれ、不当な権力への批判精神を育みました。啓蒙思想や革命を経て、法治主義の現代では「arbitrary」は不公平や差別を意味し、人々の自由と平等を求める意志が込められています。背後にある社会的な文脈を理解することが重要です。
混同しやすい単語
『arbitrary』と『library』は、どちらも複数の音節を持つ単語であり、特に語尾の '-ary' の部分が似ているため、発音を聞き間違えたり、スペルを混同したりしやすいです。しかし、『arbitrary』は『恣意的な、気まぐれな』という意味の形容詞であるのに対し、『library』は『図書館』という意味の名詞です。日本人学習者は、文脈の中で品詞と意味を意識して区別することが重要です。また、語源的に見ると、『arbitrary』は『裁判官』を意味するラテン語の『arbiter』に由来し、『library』は『本』を意味するラテン語の『liber』に由来するため、全く異なる語源を持つことも理解の助けになります。
『arbitrary』と『attribute』は、どちらも接頭辞(それぞれ『ar-』と『at-』)を持ち、その後に比較的似た音節が続くため、発音やスペルが混同されやすいです。『arbitrary』は形容詞ですが、『attribute』は名詞(属性)または動詞(帰する)として使われます。意味も大きく異なり、『attribute』は『~に起因する』という意味合いを持ちます。日本人学習者は、文脈から品詞を判断し、意味の違いを意識する必要があります。また、『attribute』は『tribute(賛辞)』と語源的なつながりがあり、『何かを捧げる』という意味合いから『属性』や『帰属』の意味に発展したことを知ると、理解が深まります。
『arbitrary』の最初の音節『ar-』と、単語『orb』の発音が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。『orb』は『球体』や『宝珠』を意味する名詞であり、意味も品詞も全く異なります。短い単語であるため、文脈の中ではっきりと区別できるはずですが、発音に注意して、混同しないようにしましょう。視覚的なイメージと結びつけて覚えるのが効果的です。例えば、『orb』はゲームに出てくる魔法の球などを想像すると記憶に残りやすいでしょう。
『arbitrary』と『cemetery』は、どちらも複数の音節を持ち、特に語尾の母音の響きが似ているため、発音を聞き間違えたり、スペルを混同したりする可能性があります。しかし、『arbitrary』は『恣意的な、気まぐれな』という意味の形容詞であるのに対し、『cemetery』は『墓地』という意味の名詞です。日本人学習者は、文脈の中で品詞と意味を意識して区別することが重要です。また、『cemetery』は『眠る場所』を意味するギリシャ語の『koimētērion』に由来するため、語源を知ることで、意味のつながりを理解しやすくなります。
『arbitrary』と『contrary』は、どちらも接頭辞(それぞれ『ar-』と『con-』)を持ち、その後に比較的似た音節が続くため、発音やスペルが混同されやすいです。『contrary』は『反対の』という意味の形容詞であり、『arbitrary』とは意味が異なります。日本人学習者は、文脈から品詞を判断し、意味の違いを意識する必要があります。また、『contrary』は『contra(~に反して)』という接頭辞を含むため、『反対』の意味合いを理解しやすいでしょう。
『arbitrary』と『secretary』は、どちらも複数の音節を持つ単語であり、特に語尾の '-ary' の部分が共通しているため、スペルを混同しやすいです。また、発音においても、ストレスの位置が異なるものの、音の響きが似ている部分があります。『arbitrary』は『恣意的な』という意味の形容詞であるのに対し、『secretary』は『秘書』という意味の名詞です。日本人学習者は、文脈の中で品詞と意味を意識して区別することが重要です。また、『secretary』は『秘密を守る人』という意味合いを持つラテン語に由来するため、語源を知ることで、意味の理解が深まります。
誤用例
「arbitrary」は「恣意的」と訳されますが、単なる「個人的な好み」を表すには不適切です。日本では「客観性がない」こと全般を「恣意的」と捉えがちですが、英語の「arbitrary」は、根拠や理由が全くなく、気まぐれや独断によって決定されるニュアンスが強いです。この文脈では、キュレーターの好みが反映されているだけで、特に不当な意図や根拠の欠如を強調する必要はないため、「subjective(主観的)」がより自然です。日本人が陥りやすいのは、日本語の「恣意的」という言葉の範囲を英語にそのまま当てはめてしまうことです。
「arbitrary」は「一貫性がない」という意味で使われることもありますが、この例文では、ドレスコードの規則自体が不合理なのではなく、その適用にムラがあることを指摘しています。「arbitrary」は、規則や法律が「独断的で不公平」であることを示唆する言葉であり、単なる一貫性の欠如を表すには強すぎます。ここでは「inconsistent(一貫性がない)」が適切です。日本人は「曖昧なルール運用」を「恣意的」と表現することがありますが、英語では「arbitrary」が持つ「不公平さ」のニュアンスを理解しておく必要があります。また、「arbitrary」はフォーマルな響きを持つため、日常会話では少々堅苦しく聞こえる可能性があります。
この例では、先生が試験で全員に「A」を与えるという決定が、必ずしも不当な意図や根拠の欠如に基づいているとは限りません。もしかしたら、先生は生徒たちの努力を認めたり、何らかの教育的な意図があったりするかもしれません。「arbitrary」は、決定が不合理で、かつ不公平であるという強いニュアンスを含みます。単に「適切かどうか疑問がある」ということを伝えたい場合は、「questionable」がより適切です。日本人は、結果が予想外だったり、理解できなかったりする場合に、安易に「恣意的」という言葉を使ってしまう傾向がありますが、英語の「arbitrary」は、その決定の背後にある倫理的な問題を指摘する際に使うべきです。この誤用は、「なぜそうなったのか理解できない=恣意的」という日本語的な思考回路が原因と考えられます。
文化的背景
「arbitrary(恣意的)」という言葉は、権力者が理由や根拠を示さずに決定を下す様子を表し、しばしば不公平や不当な行為と結び付けられてきました。これは、合理性や公正さを重んじる社会において、権力の濫用に対する警戒心と密接に結びついた文化的背景を持つ言葉です。
中世ヨーロッパにおいて、王侯貴族が絶対的な権力を行使していた時代、「arbitrary」な決定は日常茶飯事でした。法律や慣習よりも、支配者の個人的な感情や気まぐれが優先されることが多く、民衆は常に不確実な状況に置かれていました。例えば、領主が突然、税率を上げたり、土地を没収したりすることは珍しくなく、これはまさに「arbitrary」な権力の行使と言えるでしょう。シェイクスピアの戯曲には、このような恣意的な権力者の姿がしばしば描かれており、観客は劇を通して、権力の濫用に対する批判的な視点を養いました。
近代に入り、法の支配という概念が確立されるにつれて、「arbitrary」はより否定的な意味合いを帯びるようになりました。啓蒙思想家たちは、理性と法の重要性を説き、恣意的な権力行使を強く批判しました。アメリカ独立革命やフランス革命は、まさに「arbitrary」な支配からの脱却を目指したものであり、自由と平等を求める人々の強い意志が込められていました。現代社会においても、「arbitrary」は、法治主義の原則に反する行為として厳しく非難されます。例えば、警察官が人種や宗教に基づいて不当な取り調べを行うことは、「arbitrary」な差別として問題視されます。
今日、「arbitrary」は、単に「理由がない」という意味だけでなく、「不公平」「不当」「権威主義的」といったニュアンスを含んだ言葉として使われます。ビジネスの場面では、上司が個人的な好き嫌いで人事評価を行うことを「arbitrary」だと批判したり、統計分析において、恣意的なデータ選択が結果を歪めることを指摘したりします。この言葉の背後には、合理性と公正さを求める人々の願いと、権力濫用に対する警戒心が込められているのです。だからこそ、「arbitrary」という言葉を使う際には、その背後にある社会的な文脈や価値観を理解することが重要になります。
試験傾向
1. 出題形式: 主に長文読解、まれに語彙問題。 2. 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。特に1級の長文読解でよく見られる。 3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など、アカデミックなテーマで登場しやすい。 4. 学習者への注意点・アドバイス: 「恣意的な」「根拠のない」といった意味を理解し、文脈に応じて適切に解釈できるようにする。類義語(random, subjective)との区別も重要。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)。 2. 頻度と級・パート: TOEIC全体で見ると中程度の頻度。Part 7でビジネス関連の文書に登場することがある。 3. 文脈・例題の特徴: 契約、規則、決定事項など、ビジネスシーンにおける「恣意的な」判断や決定を表す文脈で使われることが多い。 4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス文書における「arbitrary」が持つネガティブなニュアンス(客観性や合理性に欠ける)を理解しておく。類義語(discretionary)との違いも意識する。
1. 出題形式: リーディングセクション(長文読解問題)。 2. 頻度と級・パート: TOEFL iBTのリーディングセクションで頻出。アカデミックな内容の文章でよく見られる。 3. 文脈・例題の特徴: 社会科学、自然科学、歴史など、学術的なテーマの文章で、抽象的な概念や理論を説明する際に用いられることが多い。 4. 学習者への注意点・アドバイス: 「arbitrary」が持つ「根拠がない」「恣意的な」という意味を正確に理解し、文章全体の論理構造を把握する上で重要なキーワードとして捉える。類義語(random, capricious)とのニュアンスの違いを理解する。
1. 出題形式: 主に長文読解問題。 2. 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で比較的頻出。 3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、哲学など、論理的な思考力を問うテーマの文章で登場しやすい。 4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測するだけでなく、語源(arbitrate「仲裁する」)との関連性を理解することで、語彙力を高める。また、反意語(objective, rational)も合わせて学習することで、理解を深める。