appeasement
宥和
紛争を避けるため、相手の要求を一方的に受け入れること。特に、侵略的な国に対して、譲歩することで平和を保とうとする外交政策を指すことが多い。批判的なニュアンスを含む場合がある。
The small country hoped that appeasement would prevent a big war.
その小さな国は、宥和によって大きな戦争を防げることを望んでいました。
※ この例文は、国際政治の場面を描いています。力関係が弱い国が、争いを避けるために相手の要求を受け入れる(宥和する)ことを期待する状況です。'appeasement' は、特に国際関係において、紛争回避のための譲歩策として使われることが多い典型的な例です。
To stop his crying, the mother used appeasement and gave the child extra candy.
泣き止ませるために、母親は宥和策を使い、その子に追加のキャンディをあげました。
※ この例文は、家庭内の日常的な場面です。子供のわがままや癇癪を収めるために、親が普段は許さないような譲歩をする(宥和する)状況を描いています。一時的に問題を解決するための「宥和策」として 'appeasement' が使われることがあります。'To stop his crying' は「泣き止ませるために」という目的を表す表現です。
Some members felt that the company's appeasement to the angry customers was a bad idea.
一部のメンバーは、会社が怒っている顧客に宥和策をとるのは悪い考えだと感じました。
※ この例文は、ビジネスの場面で、特定の行動が「宥和」と見なされ、それが必ずしも良い評価を受けていない状況です。'appeasement' は、時に弱腰な対応や、問題を先延ばしにするだけの策として、批判的なニュアンスで使われることがあります。'the company's appeasement' で「会社の宥和策」という意味になります。
懐柔策
一時的な平和を得るために、相手を甘やかすような行為。本質的な解決にはならないことが多い。
The government hoped that appeasement would avoid a bigger war with the neighboring country.
政府は、懐柔策が隣国とのより大きな戦争を避けることになると期待した。
※ この例文は、「appeasement」が最も典型的に使われる国際政治の場面を描いています。戦争や大きな紛争を避けるために、相手国(隣国)の要求に対して譲歩する政策を指します。この言葉は、そのような譲歩が必ずしも良い結果につながるとは限らない、というニュアンスを含むこともあります。
Her parents used appeasement to calm her down, giving her the toy she wanted.
彼女の両親は、彼女をなだめるために、欲しがっていたおもちゃを与えるという懐柔策をとった。
※ 「appeasement」は主に政治的な文脈で使われますが、この例文のように、身近な状況で「誰かの不満や怒りを一時的に鎮めるために、その人の要求を受け入れる」という意味合いで使われることもあります。一時的な平和や解決を目的とした譲歩、という点がポイントです。
The company's appeasement of the workers' demands prevented a big strike.
会社の従業員の要求に対する懐柔策は、大規模なストライキを防いだ。
※ この例文は、ビジネスや組織内での「appeasement」の使い方を示しています。労働者(workers)のストライキのような大きな対立を避けるために、会社が彼らの要求(demands)にある程度譲歩する状況です。ここでも、一時的な解決や平和を目的とした譲歩であることが分かります。
宥和する
相手の要求を受け入れて、紛争を鎮めようとする行為。しばしば批判的な意味合いで使用され、安易な妥協とみなされることがある。
The small country hoped that appeasement would prevent a big war.
その小国は、宥和によって大きな戦争を防げることを願った。
※ この例文は、国と国の間で争いを避けるために「譲歩(宥和)」が行われる典型的な場面を描いています。弱い立場の国が、強い国との衝突を避けるために、何かを諦めたり、相手の要求を受け入れたりする様子が伝わります。この文脈では、平和を保つための最終手段として使われることが多いです。平和への切実な願いが込められています。
Her appeasement of the crying child made him stop screaming.
泣いている子供をなだめるための彼女の譲歩が、彼を叫ぶのをやめさせた。
※ ここでは、親が子供の癇癪を止めるために「譲歩」する日常的なシーンです。例えば、普段は許さないお菓子を与えたり、少しだけテレビを見る時間を延ばしたりするなど、一時的に子供の要求を受け入れることで、その場を収めようとする状況を指します。親が「もう仕方ないな」と諦めつつも、静かにさせたい気持ちが伝わってきます。
The company's appeasement of the angry customers saved its reputation.
会社が怒った顧客に譲歩したことが、会社の評判を救った。
※ この例文は、企業が顧客の不満や怒りを鎮めるために「譲歩」するビジネスシーンを表しています。例えば、返金に応じたり、無料サービスを提供したりして、顧客の怒りをなだめ、会社のイメージが悪くなるのを防ぐ状況です。会社の危機管理や、顧客との関係を修復しようとする努力が感じられます。この単語は、多くの場合、一時的な解決策や、より大きな問題を防ぐための行動として使われます。 【補足】「appeasement」は名詞で、「宥和」「譲歩」という意味です。ユーザー様が示された「【動詞】宥和する」という使い方をしたい場合は、動詞形「appease」を使います。例えば、「He tried to appease the angry crowd.(彼は怒った群衆をなだめようとした。)」のように使われます。
コロケーション
宥和政策
※ 「appeasement」が最も頻繁に使われる文脈の一つが、この「policy of appeasement」です。特に1930年代、ナチス・ドイツに対するイギリスの外交政策を指し、戦争を避けるために譲歩を重ねることを意味します。単に『宥和』と訳すだけでなく、『(結果として)相手の侵略を助長する』というニュアンスが含まれる点に注意が必要です。歴史的な背景を知っておくと、この表現の重みがより深く理解できます。ビジネスシーンで、安易な妥協が後々大きな問題を引き起こす可能性を指摘する際などにも、比喩的に用いられます。
テロリストへの宥和
※ テロリストや犯罪集団に対して、要求をのんだり譲歩したりすることで、一時的な平和を得ようとする行為を指します。「policy of appeasement」と同様に、多くの場合、批判的なニュアンスを含みます。なぜなら、そのような宥和策は、テロリストを勢いづかせ、さらなる要求やテロ行為を招く可能性があると考えられているからです。ニュース記事や政治的な議論でよく見られる表現で、強硬な姿勢を主張する文脈で用いられます。
宥和を求める
※ 紛争や対立を解決するために、相手に譲歩したり、相手の要求を受け入れたりする行動を指します。多くの場合、自らが主体的に宥和策を講じようとするニュアンスを含みます。例えば、労働組合との交渉で、経営側がストライキを避けるために「seek appeasement」することがあります。ただし、この表現は、必ずしも肯定的な意味合いを持つとは限りません。状況によっては、弱腰であると批判されることもあります。
宥和戦略
※ 長期的な目標達成のために、一時的に相手に譲歩する戦略を指します。「policy of appeasement」が特定の政治的状況を指すのに対し、「a strategy of appeasement」はより一般的な戦略概念として用いられます。ビジネスシーンでは、競争相手との関係を円滑にするために、一時的に市場シェアを譲るなどの戦略が考えられます。ただし、この戦略は、相手の出方や状況の変化を注意深く見守りながら、慎重に進める必要があります。
宥和を要求する
※ 相手に対して、譲歩や要求の受け入れを強く求めることを意味します。この表現は、通常、力関係において優位な立場にある者が、相手を屈服させようとする状況で用いられます。例えば、大国が小国に対して「demand appeasement」することがあります。また、ビジネスシーンでは、市場を独占している企業が、競合他社に対して不利な条件をのむように「demand appeasement」することがあります。強い不快感や反発を伴う表現です。
宥和的な精神で
※ 対立や紛争を解決するために、相手に譲歩したり、友好的な態度で接したりすることを意味します。ただし、「policy of appeasement」のようなネガティブなニュアンスは薄く、むしろ建設的な対話を促す意図が込められています。例えば、国際会議で各国が「in a spirit of appeasement」で交渉に臨むことが期待されます。ビジネスシーンでも、顧客との関係を良好に保つために、「in a spirit of appeasement」でクレームに対応することが重要です。フォーマルな場面で用いられることが多い表現です。
近視眼的な宥和
※ 目先の平和や利益にとらわれ、長期的な視点を欠いた宥和策を指します。これは、将来的により大きな問題を引き起こす可能性があるため、批判的な意味合いで使用されます。例えば、環境問題に対する企業の安易な妥協策は、「short-sighted appeasement」とみなされることがあります。政治的な文脈では、独裁者に対する一時的な譲歩が、結果的に更なる侵略を招くことを指すことがあります。この表現は、問題の本質を見抜く洞察力の重要性を強調する際に用いられます。
使用シーン
歴史学や政治学の研究論文で、特に第二次世界大戦前のイギリスの対独政策を議論する際に頻繁に使用されます。「ミュンヘン会談における宥和政策は〜」のように、特定の歴史的出来事や政策を分析する文脈で登場します。また、国際関係論の分野では、紛争解決や国際協調の戦略としての宥和政策の有効性・妥当性を論じる際に用いられます。
ビジネス交渉や労使関係において、一時的な問題解決のために用いられる譲歩策を批判的に表現する際に使われることがあります。「今回の宥和策は、将来的に更なる要求を招く可能性がある」のように、長期的な視点でのリスクを指摘する文脈で用いられます。ただし、より直接的な表現が好まれるため、使用頻度は高くありません。
ニュースやドキュメンタリー番組で、国際紛争や政治的な対立を解説する際に用いられることがあります。「〜に対する宥和政策は、更なる侵攻を招いた」のように、過去の歴史的出来事との類似性を指摘する文脈で登場します。日常会話で使うことは稀ですが、時事問題に関心のある人が、その背景や影響を議論する際に使用することがあります。
関連語
類義語
紛争や意見の対立を解決するために、友好的な態度で相手に譲歩したり、仲裁に入ったりすること。フォーマルな場面や外交、政治の文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】appeasementが一方的な譲歩や宥和策を意味するのに対し、conciliationは双方が合意に向けて歩み寄るニュアンスが強い。より建設的で、長期的な解決を目指す姿勢を示す。 【混同しやすい点】conciliationは、しばしば第三者(調停者)が関与して紛争を解決するプロセスを指す。appeasementは当事者間で行われることが多い。
- pacification
武力や威圧によって、紛争や騒乱を鎮めること。戦争や反乱など、大規模な暴力行為を鎮圧する状況で使われる。 【ニュアンスの違い】appeasementが相手の要求を呑むことで一時的な平和を得ようとするのに対し、pacificationは強制力を行使して平和を維持しようとする。語感が強く、ネガティブな意味合いを含む場合もある。 【混同しやすい点】pacificationは、必ずしも相手の同意を得ているとは限らない。むしろ、相手を抑えつけることで平和を維持するというニュアンスが強い。
- placation
相手をなだめたり、機嫌を取ったりすることで、怒りや不満を鎮めること。個人的な関係や、組織内での対立など、より身近な状況で使われる。 【ニュアンスの違い】appeasementが政治的な文脈で使われることが多いのに対し、placationはより個人的な文脈で使われる。また、placationは一時しのぎの対策であることが多く、根本的な解決にはならない。 【混同しやすい点】placationは、しばしばごまかしや口先だけの謝罪を伴うことがある。appeasementは、より戦略的な判断に基づいて行われることが多い。
- appeasing
動名詞または現在分詞として使われ、相手をなだめる、満足させるといった意味。特定の状況下で、一時的に相手の怒りや不満を鎮める行為を指す。 【ニュアンスの違い】appeasementが名詞で、政策や戦略を指すのに対し、appeasingは動詞のing形であり、具体的な行為や状態を表す。より直接的で、一時的な対処を意味することが多い。 【混同しやすい点】appeasingは、しばしば相手の要求に屈することなく、巧みな言葉や態度で相手を落ち着かせることを意味する。appeasementは、相手の要求を呑むことを含む場合がある。
相互の譲歩によって合意に達すること。ビジネス、政治、日常生活など、幅広い場面で使われる。紛争解決や交渉において、双方が一定の譲歩をすることで、落としどころを見つける。 【ニュアンスの違い】appeasementが一方的な譲歩であるのに対し、compromiseは双方が譲歩する。より公平で、持続可能な解決を目指す姿勢を示す。 【混同しやすい点】compromiseは、しばしば長期的な関係を維持するために、双方が納得できる解決策を見つけることを目的とする。appeasementは、短期的な平和を優先する場合がある。
要求や権利の一部を譲ること。交渉や取引において、相手の要求を呑むこと。ビジネスや政治の文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】appeasementが政策や戦略として行われる譲歩を指すのに対し、concessionは個々の要求に対する譲歩を指す。より具体的な状況で使われることが多い。 【混同しやすい点】concessionは、しばしば交渉の過程で行われる。appeasementは、交渉の余地がない状況で行われることがある。また、concessionは、しばしば相手に何かを得させる代わりに、自分も何かを得ることを期待して行われる。
派生語
『なだめる』『譲歩する』という意味の動詞。「appeasement」の直接の動詞形で、より日常的な文脈や、交渉の場面などで使われる。相手の怒りや不満を鎮める行為を指す。
- appeasing
現在分詞/動名詞。『なだめている』『なだめること』という意味。形容詞的に用いられ、『appeasing policy(宥和政策)』のように、政策や行動を特徴づける際に使われる。やや批判的なニュアンスを含む場合もある。
- appeased
過去分詞/過去形。『なだめられた』『宥和された』という意味。受動態で用いられ、『feeling appeased(宥和されたと感じる)』のように、感情や状態を表す際に使われる。また、歴史的な文脈で、第二次世界大戦前の宥和政策を指す際にも用いられる。
反意語
『抵抗』という意味。appeasementが譲歩によって平和を保とうとするのに対し、resistanceは力や手段を用いて相手に屈しない姿勢を示す。日常会話から政治、軍事まで幅広い文脈で使用される。
『対立』『対決』という意味。appeasementが衝突を避ける行為であるのに対し、confrontationは積極的に問題に立ち向かい、対立する姿勢を示す。外交や交渉の文脈で、戦略的な選択肢として用いられる。
『反抗』『挑戦』という意味。appeasementが相手の要求を受け入れるのに対し、defianceは相手の権威や要求を拒否する態度を示す。倫理的な文脈や、不当な権力に対する抵抗を表す際に用いられる。
語源
「appeasement」は、動詞「appease」(宥める、なだめる)に由来します。「appease」は古フランス語の「apaisier」(平和にする、満足させる)から来ており、「a-」(〜へ)+「pais」(平和)という構成です。「pais」はラテン語の「pax」(平和)に遡ります。つまり、「appeasement」は、文字通りには「平和へ向かうこと」を意味し、紛争や不満を平和的な手段で解決しようとする行為を指します。たとえば、子供が泣いているのをなだめる、あるいは国際関係において対立を避けるために相手国の要求を一部受け入れる、といった状況が該当します。日本語の「懐柔策」という訳語が、相手を懐に抱き込むようにして穏やかに解決を図るニュアンスをよく表しています。
暗記法
「appeasement(宥和策)」は、第二次大戦前のイギリスの対独外交に由来し、安易な譲歩が招いた悲劇を象徴します。ミュンヘン会談でのチェンバレン首相の決断は、一時的な平和と引き換えに、より大きな災厄を招いたとして批判されています。この言葉は、倫理的妥協や原則放棄といった意味合いを含み、文学や映画では「誤った希望」の象徴として描かれることも。現代においても、国際政治における教訓として、安易な妥協への警鐘として用いられています。
混同しやすい単語
『appeasement』と『appealing』は、スペルと発音が非常に似ています。特に語尾が混同されやすいです。『appeasement』は名詞で『宥和』や『懐柔』を意味しますが、『appealing』は形容詞で『魅力的な』という意味です。動詞の『appeal』(訴える、懇願する)を知っていると、形容詞の『appealing』の意味も推測しやすいですが、『appeasement』との関連付けは難しいので注意が必要です。
『appeasement』と『assessment』は、どちらも接頭辞に母音がつき、その後の 'ss' が共通しているため、スペルが混同されやすいです。『assessment』は『評価』や『査定』を意味する名詞であり、意味も全く異なります。ビジネスシーンでよく使われる単語なので、しっかり区別できるようにしましょう。
『appeasement』と『appraisal』は、どちらも『app-』で始まるため、特にスペルを書き出す際に混同しやすいです。『appraisal』は『評価』や『査定』を意味し、『assessment』と似た意味を持ちますが、より専門的な評価に使われることが多いです。発音も異なるため、注意が必要です。
『appeasement』は、第二次世界大戦前のイギリスの対ドイツ政策として知られており、宥和政策は結果的に戦争を招いたとされています。関連する概念として『pacifism』(平和主義)がありますが、これは戦争そのものに反対する思想であり、『appeasement』とは異なります。『appeasement』は一時的な平和を求めて譲歩する政策であり、必ずしも平和主義に基づいているとは限りません。この歴史的背景を理解することで、単語の意味をより深く理解できます。
『appeasement』の動詞形である『appease』(なだめる、宥和する)は、意味は関連していますが、品詞が異なります。『appeasement』は名詞、『appease』は動詞です。動詞の『appease』は、例えば『なだめて要求を呑む』のように使われます。名詞と動詞の形をセットで覚えることで、より正確に使いこなせるようになります。
『appeasement』と『pleasant』は、どちらも母音で始まる音の響きと、語尾の '-ant' に共通点があるため、発音を聞き間違えたり、スペルを誤って記憶したりする可能性があります。『pleasant』は『楽しい』や『心地よい』という意味の形容詞であり、全く異なる意味を持ちます。特に会話の中で出てきた際に、文脈から意味を判断できるようにしましょう。
誤用例
While 'appeasement' can mean 'making concessions to avoid conflict,' it often carries a negative connotation, especially in historical contexts, implying a surrender of principles to an aggressor. Using it to describe a government's handling of domestic protests might suggest the protesters are inherently in the wrong or that the government is acting out of fear rather than a genuine desire for resolution. 'Conciliatory approach' is a more neutral and appropriate term in this context. Japanese learners might overuse 'appeasement' because its direct translation might seem applicable, overlooking the loaded historical baggage it carries, especially related to pre-World War II politics.
The verb form of 'appeasement' is 'to appease,' but it's typically used in the context of larger conflicts or powerful entities, not interpersonal relationships. While one might 'appease' a nation or a dictator, trying to 'appease' your boss sounds unnatural and overly dramatic. 'Ingratiate' (oneself) or 'curry favor' are better choices for describing attempts to gain someone's approval through flattery or agreement. The mistake arises from a direct translation mindset, focusing on the 'calming' aspect of 'appeasement' without considering its scale and formality. Japanese speakers might gravitate towards 'appeasement' because they are thinking of 和 (wa) or 円満 (enman), concepts of harmony, but these don't directly translate to appeasement in this kind of personal context. The more accurate phrase would be to try to 'suck up' to the boss.
While 'appeasement' implies making concessions to avoid conflict, it often suggests a power imbalance and a questionable moral compromise. Describing someone's response to their spouse's demands as 'appeasement' suggests a manipulative dynamic and a potentially unhealthy relationship. 'Acquiescence' simply means 'reluctant acceptance without protest' and is a more neutral and appropriate term. The error stems from focusing on the 'giving in' aspect of the situation without considering the negative implications of 'appeasement.' A Japanese speaker might choose 'appeasement' because they are thinking about the concept of 亭主関白 (teishu kanpaku) where the husband is dominant, and the wife's actions are framed as needing to be 'appeased.' However, this cultural lens doesn't necessarily translate well to the English word 'appeasement' which carries more negative connotations.
文化的背景
「appeasement(宥和策)」は、第二次世界大戦前夜のイギリスがナチス・ドイツに対して採った外交政策を象徴し、弱腰外交、事なかれ主義といった負のイメージを伴います。この言葉は単なる「譲歩」を超え、倫理的妥協、原則の放棄といった意味合いを含み、歴史の教訓として深く刻まれています。
1938年のミュンヘン会談は、appeasementの最も悪名高い例です。イギリスのネヴィル・チェンバレン首相は、ヒトラーにズデーテン地方の割譲を認め、有名な「わが時代における平和(Peace for our time)」という宣言とともに帰国しました。しかし、この宥和政策はヒトラーの侵略を食い止めるどころか、かえって彼の野心を煽り、第二次世界大戦の勃発を招いたとされています。この出来事は、appeasementという言葉に「一時しのぎの平和のために、長期的な安全を犠牲にする」という強い批判的な意味合いを付与しました。
文学や映画においても、appeasementはしばしば「誤った希望」や「破滅への道」の象徴として描かれます。例えば、歴史改変SF作品などでは、「もしチェンバレンが宥和政策を取らなかったら…」という問いかけを通して、歴史の分岐点における決断の重みが強調されます。また、政治スリラーなどでは、appeasementは権力者の欺瞞や自己保身の手段として描かれることもあります。これらの作品群は、appeasementが単なる外交政策ではなく、人間の弱さや倫理的葛藤を浮き彫りにする概念であることを示唆しています。
現代においても、appeasementは国際政治における重要な教訓として参照されます。紛争解決やテロ対策など、強硬な姿勢を取るべきか、対話による解決を試みるべきかという議論において、appeasementの成否は常に比較検討の対象となります。ただし、単純な二元論に陥ることなく、状況に応じた柔軟な対応が求められることは言うまでもありません。appeasementの歴史的教訓は、現代のリーダーたちに、安易な妥協ではなく、長期的な視点に立った戦略的な判断を促す警鐘として鳴り響いています。
試験傾向
準1級、1級の長文読解で出題される可能性あり。1次試験の語彙問題で意味を問われることもある。歴史や政治に関するテーマで登場しやすい。注意点としては、名詞形(appeasement)だけでなく、動詞形(appease)も覚えておくこと。文脈から意味を推測する練習も重要。
TOEICでは、appeasementという単語が直接問われることは比較的少ない。しかし、関連語句や同意語がPart 7(長文読解)などで登場する可能性はある。ビジネスシーンで、要求を「受け入れる」「譲歩する」といった意味合いで使われる場合がある。TOEIC対策としては、ビジネス語彙を幅広く学習することが重要。
TOEFL iBTのリーディングセクションで、歴史、政治、社会科学系の文章で出題される可能性がある。特に、第二次世界大戦前後の歴史的背景を扱った文章で頻出。語彙問題として直接問われる場合もあるが、文脈から意味を推測する能力がより重要。ライティングセクションで、複雑な概念を説明する際に使用できると高評価につながる可能性がある。アカデミックな文脈での使用に慣れておくこと。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性あり。歴史や政治に関するテーマで登場しやすい。文脈から意味を推測する問題や、内容説明問題で間接的に問われることが多い。appeasement政策など、歴史用語として理解しておくことが重要。同意語や反意語(confrontationなど)も覚えておくと役立つ。