visual
第1音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し横に引いて発音する短い母音です。/ʒ/ は有声後部歯茎摩擦音で、日本語の「ジャ、ジュ、ジョ」の子音に似ていますが、より喉の奥から出すイメージです。最後の /əl/ は曖昧母音で弱く発音されます。全体として、各音節を区切らず、なめらかにつなげるように意識しましょう。
目に見える
視覚的な、または視覚によって認識できることを指します。物理的な存在だけでなく、グラフや図など、視覚的に表現されたものにも使われます。英語学習においては、'visual aid'(視覚教材)のような複合語でよく登場します。
I looked for a visual sign to find the right way, but there was none.
正しい道を見つけるために目に見える標識を探したが、何もなかった。
※ 道に迷い、目印となる「目に見える標識」を探している情景です。この文では、探しているものが「目に見える形」をしていることを強調しています。何かを探しているときや、手がかりを求めているときに使える表現です。
With the flashlight, the path became visual, and I felt relieved.
懐中電灯のおかげで道が見えるようになり、私は安心した。
※ 暗闇の中で道が見えなかったのが、光によって「目に見える状態になった」という変化を表しています。真っ暗で不安だった状況から、道が見えてホッと安心する気持ちが伝わります。「became visual」で「目に見えるようになった」という状態の変化を示します。
The doctor checked her arm for any visual signs of a rash.
医者は彼女の腕に発疹の目に見える兆候がないか確認した。
※ 医者が患者の腕を診察している場面です。発疹のような「目に見える兆候(visual signs)」を探すという、具体的な行動と目的が明確に描かれています。医療現場や、何か異常がないか「目で見て確認する」状況で非常によく使われる表現です。
映像の
映画、テレビ、コンピューターグラフィックスなど、映像に関連することを指します。例えば、'visual effects'(視覚効果)は映画制作で使われる特殊効果を意味します。
The visual quality of the old video was not good, so I couldn't enjoy it.
古いビデオの映像は質が悪くて、楽しめませんでした。
※ 昔の古いビデオテープを見ようとしたけれど、映像がぼやけていたり、色がおかしかったりして、がっかりした場面を想像してください。「visual quality」は「映像の質」という意味で、映画や動画、テレビ番組などの画質について話すときによく使われる表現です。
Adding some visual information really helped me understand the lecture.
映像による情報を加えたことで、講義が本当によく理解できました。
※ 先生が言葉だけでなく、スライドに写真や図、短い動画などを映して説明してくれたおかげで、難しかった講義の内容がすっと頭に入ってきた、という場面です。「visual information」は「視覚的な情報」という意味で、プレゼンテーションや説明で文字や言葉だけでなく、目で見える資料を使うときにぴったりです。
The new smartphone has a stunning visual display, making everything look so real.
新しいスマートフォンは驚くほど美しい映像表示で、すべてがとてもリアルに見えます。
※ 最新のスマートフォンを買って、その画面のあまりの美しさに感動している場面です。ゲームや写真、動画がまるで目の前にあるかのように鮮やかに見える様子が伝わります。「visual display」は、テレビやパソコンのモニター、スマートフォンの画面など、「映像を表示する装置」や「その表示機能」について話すときによく使われます。
視覚資料
グラフ、図表、写真など、情報を視覚的に伝えるために使用されるものを指します。プレゼンテーションや教育現場でよく用いられます。
He pointed to the big screen, where a helpful visual displayed the sales figures clearly.
彼は大きなスクリーンを指さしました。そこには、売上高を明確に示す役立つ視覚資料が映し出されていました。
※ この例文は、会議室でプレゼンターが大きなスクリーンに映し出されたグラフや写真(視覚資料)を使って、数字を分かりやすく説明している場面を描いています。聴衆はそれを見て納得していますね。『visual』は、このようにプレゼンテーションや会議で、情報を分かりやすく伝えるための図やグラフ、写真などを指す名詞として非常によく使われます。文中の「where」は「~の場所で」という意味で、スクリーンがどんな場所だったかを説明しています。
The history teacher showed a colorful visual of ancient Rome, making the past feel real for us.
歴史の先生は古代ローマのカラフルな視覚資料を見せ、私たちにとって過去を現実のように感じさせてくれました。
※ この例文は、教室で、歴史の先生が教科書にはないような、鮮やかな写真やイラスト(視覚資料)を生徒たちに見せている情景です。生徒たちはそれを見て、遠い昔の出来事がまるで目の前にあるかのように感じています。授業や学習の場面で、理解を深めるための写真、地図、イラストなども『visual』と呼ばれます。特に子供向けの教材では、視覚資料が学習効果を高める上でとても重要になります。
To attract more customers, the team decided to create a striking visual for their new product advertisement.
より多くのお客様を引きつけるため、チームは新製品の広告用に印象的な視覚資料を作ることに決めました。
※ この例文は、マーケティングチームが新製品の広告について話し合っている場面です。彼らは、人々の目を引くような写真やグラフィック(視覚資料)が必要だと考え、その制作に取りかかっていますね。広告やデザインの分野では、人々の注意を引き、メッセージを伝えるための写真、イラスト、動画なども『visual』と呼ばれ、非常に重要な役割を果たします。「To attract...」は「〜するために」という目的を表す表現で、日常会話でもよく使われます。「striking」は「印象的な、目を引く」という意味で、広告の文脈でよく使われる単語です。
コロケーション
視力、目の良さ
※ 「acuity」は『鋭さ』を意味し、ここでは視覚の鮮明さを指します。医学的な文脈や、目の検査の結果を説明する際によく用いられます。例えば、『彼のvisual acuityは2.0だ』のように使います。日常会話よりは専門的な場面で使われることが多いでしょう。
視覚教材、視覚補助具
※ プレゼンテーションや授業などで、理解を助けるために使われる図表、写真、映像などのことを指します。PowerPointのスライドや、ホワイトボードに書かれた図などもvisual aidの一種です。単に『aid』だけでも補助という意味ですが、『visual』をつけることで、視覚的な情報に特化した補助であることを明確にします。
視覚障害
※ 視覚機能の低下、または喪失を指す医学用語です。単に『blindness(盲目)』と言うよりも、より広い範囲の視覚的な困難を包括的に表すために用いられます。福祉や医療の現場で頻繁に使われる言葉で、社会的な支援や配慮が必要な状況を説明する際に重要となります。
視覚皮質
※ 脳の後頭葉に位置する、視覚情報を処理する領域を指す解剖学的な用語です。脳科学や医学の分野で使われ、視覚情報の処理メカニズムを研究する上で重要な概念です。一般の人が日常会話で使うことは稀ですが、教養として知っておくと、脳科学関連の記事を読む際に役立ちます。
視覚的な比喩表現
※ 抽象的な概念を、具体的な視覚イメージを使って表現すること。広告やデザイン、映画などでよく用いられます。例えば、『時間』を『砂時計』で表現したり、『自由』を『鳥が空を飛ぶ姿』で表現したりするのがvisual metaphorです。言葉だけでなく、視覚的な要素を通じてメッセージを伝える効果的な手法です。
視覚的なダジャレ
※ 言葉遊びのダジャレを、視覚的なイメージで表現したもの。例えば、釘(nail)の絵とマニキュア(nail polish)の絵を並べて表示するなど、視覚的な要素でユーモアを生み出します。広告やイラスト、漫画などでよく用いられ、見る人にちょっとした笑いを提供する役割があります。言葉のダジャレと同様に、文化的な背景を理解していないと伝わりにくい場合もあります。
視覚的アイデンティティ
※ 企業やブランド、組織などが持つ、視覚的な特徴をまとめたもの。ロゴ、カラー、フォント、デザインスタイルなどが含まれます。一貫したvisual identityを持つことは、ブランド認知度を高め、顧客に信頼感を与える上で重要です。マーケティングやブランディングの分野で頻繁に使われる用語です。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで頻繁に使用されます。例えば、統計データを示す際に「データから視覚的に明らかなように (as is visually apparent from the data)」と述べたり、グラフや図表を指して「視覚的な表現 (visual representation) 」と表現したりします。研究分野によっては、視覚認知や視覚情報処理に関する研究で中心的な単語となります。
ビジネスシーンでは、報告書、プレゼンテーション資料、マーケティング資料などで使われます。「視覚的なインパクトを与える (to create a visual impact)」や「視覚的な補助 (visual aids)」といった表現で、情報を効果的に伝えるために用いられます。例えば、会議でグラフを用いて業績を説明する際に、「このグラフは、当社の成長を視覚的に示しています (This graph visually demonstrates our company's growth)」のように使われます。
日常生活では、映画、テレビ、写真、デザインなど、視覚的な要素に関連する話題で使われます。「視覚的に美しい (visually appealing)」や「視覚的な体験 (visual experience)」といった表現が一般的です。例えば、友人と映画について話す際に「この映画は視覚的に素晴らしい (This movie is visually stunning)」と言うことがあります。
関連語
類義語
『目に見える』という意味で、物理的に存在し、視覚によって認識できる状態を表す。形容詞。日常会話、科学、技術など幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『visual』は視覚的な性質や特徴そのものを指すのに対し、『visible』は単に『見える』という状態を表す。例えば、'visual arts'(視覚芸術)は視覚的な要素が重要な芸術全般を指すが、'visible light'(可視光線)は目に見える光の範囲を指す。 【混同しやすい点】『visual』は名詞としても形容詞としても使えるが、『visible』は形容詞としてのみ使われる。また、『visible』は隠れていない状態を意味するのに対し、『visual』は必ずしもそうではない。
『図解的な』『生々しい』という意味を持つ形容詞。図表、グラフ、画像など、視覚的に情報を伝えるものに関連する。また、詳細で生々しい描写(特にネガティブな内容)を指す場合もある。 【ニュアンスの違い】『visual』が一般的な視覚に関連するのに対し、『graphic』はより具体的で、視覚的に強い印象を与えるもの、あるいは詳細な描写を伴う場合に用いられる。ビジネスや報道、デザインなどの分野でよく使われる。 【混同しやすい点】『graphic』は、しばしばネガティブな意味合いを伴うことがある。例えば、'graphic violence'(生々しい暴力描写)のように使われる場合、『visual violence』とはニュアンスが異なる。
『光学的な』という意味で、光や視覚に関する科学的な文脈で使われる形容詞。レンズ、望遠鏡、光ファイバーなど、光の性質を利用した技術や装置に関連する。 【ニュアンスの違い】『visual』が一般的な視覚に関連するのに対し、『optical』は光の物理的な性質や、それを利用した技術に特化している。学術的な文脈や技術的な分野でよく用いられる。 【混同しやすい点】『optical illusion』(錯視)のように、『optical』は視覚的な現象を科学的に説明する際に用いられることが多い。一方、『visual illusion』という表現は一般的ではない。
- pictorial
『絵のような』『図解的な』という意味で、絵画や写真のように視覚的に美しい、あるいは情報伝達のために図像を用いることを指す。形容詞。美術、歴史、ジャーナリズムなどで用いられる。 【ニュアンスの違い】『visual』が一般的な視覚に関連するのに対し、『pictorial』は特に絵画や写真のような視覚的な美しさや表現力、あるいは図像を用いた情報伝達を強調する。文学的な表現や芸術評論などで用いられる。 【混同しやすい点】『pictorial』は、しばしば歴史的な文脈や、美術的な価値を持つものに対して用いられる。『pictorial history』(図説歴史)のように、文字だけでなく絵や写真を用いて歴史を解説する際に用いられる。
- perceptual
『知覚的な』という意味で、五感を通じて得られる情報や、それを脳が解釈するプロセスに関連する形容詞。心理学、神経科学、認知科学などの分野で使われる。 【ニュアンスの違い】『visual』が視覚に限定されるのに対し、『perceptual』はより広範な知覚全般を指す。視覚、聴覚、触覚など、あらゆる感覚を通じて得られる情報とその処理過程を扱う。 【混同しやすい点】『perceptual』は、単に『見える』という状態だけでなく、脳がどのように情報を解釈し、意味づけするかという点に重点を置く。『perceptual learning』(知覚学習)のように、経験を通じて知覚能力が向上するプロセスを指す。
『明白な』『一見〜らしい』という意味を持つ形容詞。視覚的に明らかであること、または表面上そう見えることを指す。日常会話からビジネス、学術まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『visual』が視覚的な性質そのものを指すのに対し、『apparent』は視覚的に認識できること、またはそう見えることを強調する。ただし、『apparent』はしばしば『実際にはそうではない可能性がある』という含みを持つ。 【混同しやすい点】『apparent』は、真実とは異なる表面的な印象を指す場合がある。『apparent contradiction』(見かけ上の矛盾)のように、一見矛盾しているように見えるが、実際にはそうではない場合に用いられる。
派生語
『視覚化する』という意味の動詞。『visual』に動詞化の接尾辞『-ize』が付いた形。抽象的な概念やデータを分かりやすく表現する際に用いられ、ビジネス、科学、教育分野で頻繁に使用されます。例えば、データ分析の結果をグラフで『視覚化する』など、具体的なイメージを伴わせる行為を指します。
- visualization
『視覚化』を意味する名詞。『visualize』に名詞化の接尾辞『-ation』が付いた形。プロセスや結果を指し、プレゼンテーション、レポート、デザインなど幅広い分野で使われます。例えば、『データ視覚化』はインフォグラフィックなどで情報を効果的に伝える手法として重要です。
『視覚的に』という意味の副詞。『visual』に副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。何かを視覚を通して認識したり、表現したりする方法を指します。例えば、『visually appealing(視覚的に魅力的な)』というように、形容詞を修飾して使われます。広告、デザイン、アートなど、視覚的な要素が重要な分野でよく用いられます。
反意語
- auditory
『聴覚の』という意味の形容詞。『visual(視覚の)』が視覚に関わるものを指すのに対し、『auditory』は聴覚に関わるものを指します。例えば、『auditory learning(聴覚学習)』は、講義や音楽などを通して学習する方法です。視覚と聴覚は、人間の主な感覚であり、情報伝達や学習において対照的な役割を果たします。
『抽象的な』という意味の形容詞。『visual(視覚的な、具体的な)』が具体的なイメージを伴うのに対し、『abstract』は具体的な形やイメージを持たない概念やアイデアを指します。例えば、アートにおいて、『visual art(視覚芸術)』が具体的な形を表現するのに対し、『abstract art(抽象芸術)』は形を持たない感情や概念を表現します。日常会話から学術論文まで幅広く用いられます。
『目に見えない』という意味の形容詞。接頭辞『in- (否定)』がついており、visualの直接的な反対の意味を表します。物理的に見えないものだけでなく、比喩的に『見過ごされている』状況などにも使われます。例えば、『invisible hand(見えざる手)』は経済学の用語で、市場における価格メカニズムを指します。
語源
"visual」は、ラテン語の「visus」(見る行為、視覚)に由来します。この「visus」は、「videre」(見る)という動詞の過去分詞形から派生しています。つまり、「visual」は元々「見ることに関する」という意味合いを持っていました。接尾辞の「-al」は、「~に関する」という意味を表す形容詞を作る接尾辞です。したがって、「visual」は文字通りには「見ることに関する」という意味から、「目に見える」「視覚的な」という意味へと発展しました。日本語で例えるなら、「視覚」という言葉そのものが「見ること」を意味し、それに「的」をつけることで「視覚的」となるのと似ています。このように、語源をたどることで、単語の意味がより鮮明に理解できます。
暗記法
「visual」は、西洋で真実、美、欺瞞の源とされてきました。プラトンは視覚を不完全な影とみなし、ルネサンス期にはダ・ヴィンチが視覚的リアリズムを追求。ヒッチコックは「視覚的サスペンス」で感情を揺さぶり、オーウェルは視覚的監視を全体主義の象徴に。現代では広告やSNSで重要性を増す一方、フェイクニュースも。「visual」は感情や価値観と結びつき、生活を彩ります。西洋文化を理解する鍵となる言葉です。
混同しやすい単語
『visual』と『visible』は、どちらも視覚に関連する単語であり、スペルも似ているため混同しやすいです。『visual』は形容詞で「視覚的な」という意味ですが、『visible』は形容詞で「目に見える、可視の」という意味です。たとえば、「視覚的な効果 (visual effects)」と「目に見える証拠 (visible evidence)」のように使われます。日本人学習者は、名詞を修飾するのか、状態を表すのかで使い分けるように注意しましょう。語源的には、どちらもラテン語の『videre』(見る)に由来しますが、接尾辞が異なるため意味合いが異なります。
『visual』と『vision』は、どちらも視覚に関連する単語ですが、品詞が異なります。『visual』は形容詞ですが、『vision』は名詞で「視力、視覚、展望」という意味です。「視覚的な芸術 (visual arts)」と「優れた視力 (excellent vision)」のように使われます。また、『vision』は比喩的に「未来の展望、理想像」という意味でも使われます。日本人学習者は、文中で名詞が必要なのか、形容詞が必要なのかを意識して使い分けることが重要です。
『visual』と『vessel』は、スペルの始まりが似ており、特に手書きの場合に混同しやすいことがあります。『visual』は視覚に関する単語ですが、『vessel』は名詞で「船、容器、血管」という意味です。まったく異なる意味を持つため、文脈から判断することが重要です。日本人学習者は、スペルを丁寧に書くように心がけましょう。
『visual』と『usual』は、スペルの後半部分が似ているため、特に急いで読んだり書いたりする際に混同しやすいことがあります。『visual』は視覚に関する単語ですが、『usual』は形容詞で「普通の、いつもの」という意味です。「視覚的な体験 (visual experience)」と「いつもの場所 (usual place)」のように使われます。日本人学習者は、単語全体をしっかりと見て、意味の違いを意識するようにしましょう。
『visual』と『vicious』は、スペルの始まりと母音の音が似ているため、発音を聞き間違えたり、スペルを誤ったりすることがあります。『visual』は視覚に関する単語ですが、『vicious』は形容詞で「残酷な、悪意のある」という意味です。「視覚的な刺激 (visual stimulus)」と「残酷な噂 (vicious rumor)」のように使われます。日本人学習者は、発音記号を確認し、意味の違いを明確に理解することが重要です。
『visual』と『virtue』は、スペルの文字数と一部の文字が似ているため、視覚的に混同しやすいことがあります。『visual』は視覚に関する単語ですが、『virtue』は名詞で「美徳、長所」という意味です。「視覚的なデザイン (visual design)」と「忍耐の美徳 (virtue of patience)」のように使われます。日本人学習者は、単語全体を注意深く読み、文脈から意味を判断するようにしましょう。
誤用例
日本人が『visual』を『視覚的な』という意味から拡張して『目立つ』『存在感がある』という意味で使ってしまう誤用です。英語の『visual』は、あくまで視覚に訴えるもの、つまり画像や映像、デザインなどを指します。『存在感』や『影響力』を表したい場合は、'presence', 'impact', 'influence'などの語が適切です。日本語の『ビジュアル』というカタカナ語が、本来の英語の意味から離れて使われていることが原因の一つと考えられます。また、英語では抽象的な概念を視覚的なイメージで表現することが日本語ほど一般的ではないため、このような誤用が起こりやすいです。英語では、抽象的な概念は、より直接的に表現します。
この誤りは、動詞としての『visualize』と形容詞の『visual』の混同から生じます。日本語では『ビジュアル化する』というように名詞を動詞化する表現が多いため、『visual』を動詞として使ってしまう傾向があります。しかし、英語では『visual』は基本的に形容詞であり、動詞として『視覚化する』という意味を表す場合は『visualize』を使う必要があります。また、英語では、名詞を動詞として使う場合は、特定の意味合いを持つことが多く、安易に名詞を動詞として使うことは避けるべきです。この背景には、英語がラテン語やギリシャ語を語源とする動詞を多く持つという言語的な特徴があります。
この誤用は、『visual』を『視覚的な資料が多い』という意味で捉え、それが必ずしも理解を助けるとは限らないというニュアンスを伝えようとした結果、不自然な表現になってしまったものです。英語では『visual』は単に『視覚的な』という意味であり、内容の理解を妨げるという意味合いは通常含みません。もし視覚的な情報が多すぎて理解が難しかったというニュアンスを伝えたい場合は、『too focused on visuals』や『visually overwhelming』などの表現を使う必要があります。日本語では、プレゼンテーションの内容を婉曲的に批判する際に、直接的な表現を避け、『ビジュアルが多すぎた』というように間接的に表現することがありますが、英語ではより直接的に問題点を指摘する傾向があります。
文化的背景
「visual」という言葉は、単に「視覚的な」という意味を超え、西洋文化においては、真実の認識、美的価値、そして時には欺瞞の源泉として、深く根ざした文化的意義を持っています。古代ギリシャの哲学者プラトンは、視覚を通じて得られる情報は不完全な影に過ぎず、真実は理性によってのみ捉えられると説きましたが、これは視覚に対する西洋の複雑な感情の一例です。一方で、ルネサンス期には、レオナルド・ダ・ヴィンチに代表される芸術家たちが、視覚的リアリズムを追求し、美の探求と科学的探求を融合させました。このように、「visual」は、常に真実と美の探求における重要な要素として、西洋文化の中で揺るぎない地位を確立してきました。
映画や文学における「visual」の扱いは、この言葉の多面性をさらに際立たせます。例えば、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画は、「visual suspense(視覚的サスペンス)」という言葉を生み出すほど、視覚的な表現を通じて観客の感情を揺さぶることに長けていました。また、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』では、「Big Brother is watching you(ビッグ・ブラザーが見ている)」というフレーズが示すように、視覚的な監視が全体主義的な支配の象徴として描かれています。このように、「visual」は、エンターテインメントの世界だけでなく、社会的なメッセージを伝えるための強力なツールとしても活用されてきました。
現代社会においては、「visual」はますます重要性を増しています。広告業界では、人々の購買意欲を刺激するために、洗練されたビジュアルイメージが不可欠です。ソーシャルメディアでは、写真や動画を通じて自己表現を行うことが一般的になり、「visual content(ビジュアルコンテンツ)」が情報の伝達手段として主流となっています。しかし、同時に、フェイクニュースやディープフェイクといった問題も浮上しており、「visual」が持つ欺瞞的な側面にも注意が必要です。つまり、「visual」は、現代社会において、強力な影響力を持つ一方で、常に批判的な視点を持って接する必要がある、複雑な概念なのです。
さらに、「visual」は、個人の感情や価値観とも深く結びついています。美しい風景を見たときに感じる感動、愛する人の笑顔を見たときに感じる喜び、これらの感情はすべて「visual」を通じて生まれます。また、ファッションやデザインといった分野では、「visual appeal(視覚的魅力)」が重要な要素となり、個人のアイデンティティや社会的地位を表現する手段となります。このように、「visual」は、私たちの生活のあらゆる側面に浸透しており、その影響力は計り知れません。だからこそ、「visual」という言葉を学ぶことは、単に語彙を増やすだけでなく、西洋文化の根底にある価値観や思想を理解することにも繋がるのです。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも長文読解で登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 科学、テクノロジー、社会問題など、幅広いテーマの長文で使われる。リスニングでは日常会話でも使用。
- 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞「視覚的な」の他に、名詞「視覚効果」、動詞「映像化する」の意味も重要。関連語の"vision"との区別も意識。
- 出題形式: Part 5, 7(読解問題)、Part 3, 4(リスニング問題)
- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 7の長文読解でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: マーケティング、広告、製品紹介など、ビジネス関連の文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞として使われることがほとんど。広告やプレゼンテーションに関する文脈でよく登場する。類義語の"visible"とのニュアンスの違いを理解する。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな長文読解でよく使われる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、心理学、芸術など、学術的な文脈で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞、形容詞両方の用法を理解する必要がある。抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。同義語の"optical"との使い分けも重要。
- 出題形式: 長文読解、語彙問題
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的なレベルの大学でも長文読解で登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、文化など、幅広いテーマで使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。比喩的な意味で使われることもあるので注意。派生語の"visualization"も覚えておくと役立つ。