spatter
飛び散る
液体や小さな物が勢いよく四方八方に散らばる様子。ペンキ、泥、水などが対象。意図的でなく、偶然に散るニュアンス。
Hot oil began to spatter from the pan.
熱い油がフライパンから飛び散り始めました。
※ 揚げ物や炒め物をしているときに、熱い油が「パチパチ」と飛び散る様子を表しています。思わず「熱っ!」となるような、日常でよくある状況ですね。動詞のspatterは、このように液体が細かく飛び散る様子によく使われます。
A passing car made mud spatter on my new shoes.
通り過ぎる車が、私の新しい靴に泥を飛び散らせました。
※ 雨の日、車が跳ね上げた泥水が服や靴にかかる、といった不快な状況を表すのにぴったりです。「make + 人/物 + 動詞の原形」は「~に…させる」という、日常でよく使う使役動詞の形です。
When she was painting, colorful paint spattered all over the floor.
彼女が絵を描いていると、カラフルな絵の具が床中に飛び散りました。
※ 絵を描いたり、何かを修理したりする際に、液体が思わず「飛び散って」しまう様子を表しています。特に「all over the floor (床中に)」のように、広範囲に飛び散った状況を想像できますね。
飛び散り
液体や小さな物が飛び散った状態、またはその跡。例えば、ペンキの飛び散り、泥の飛び散りなど。
When I looked outside, I saw a spatter of rain on the window.
外を見た時、窓に雨の飛び散りが見えました。
※ 窓の外を見る情景が目に浮かびますね。雨粒が細かく窓に当たる様子を「a spatter of rain」と表現するのは、とても自然でよく使われる言い方です。spatterは「飛び散り」という名詞で、数えられることが多いので「a spatter of...」の形で使われます。
A car drove through a puddle, and a spatter of mud landed on my new shoes.
車が水たまりを通り抜け、泥の飛び散りが私の新しい靴に跳ねました。
※ 雨の日に車が水たまりを通った時の、ちょっとがっかりする気持ちが伝わってきますね。「a spatter of mud」は、泥が跳ねて服や靴に付着した状況で非常によく使われる表現です。「landed on...」は「~に着地した、~に落ちた」という意味で、何かが付着する様子を表すのに便利です。
While painting, I accidentally got a spatter of paint on my favorite shirt.
絵を描いている時に、うっかりお気に入りのシャツに絵の具の飛び散りがついてしまいました。
※ 絵を描いたり、何か作業をしたりする時に、意図せず汚してしまうという、誰もが経験しそうな場面です。「a spatter of paint」は、ペンキや絵の具が飛び散って付着した状況で典型的に使われます。「accidentally」は「誤って、うっかり」という意味で、意図しない行動を表す時にとても役立つ副詞です。
コロケーション
ぱらぱらと降る雨、小雨
※ 名詞の 'spatter' は、液体が飛び散る様子、または飛び散ったものの集合を指します。 'spatter of rain' は、まとまって降るのではなく、水滴が散らばるように降る雨を表します。 'shower' より弱く、一時的な小雨のイメージです。天気予報や、雨の降り始めを表現する際によく用いられます。例えば、『A spatter of rain is expected this afternoon.(今日の午後にはぱらぱらと雨が降るでしょう)』のように使います。
泥を跳ねかける、泥だらけにする
※ 動詞 'spatter' は、液体や泥などを飛び散らせる行為を意味します。 'spatter with mud' は、泥が飛び散って何かに付着する状況を表し、主に受動態(be spattered with mud)で用いられます。例えば、『The car was spattered with mud after driving on the dirt road.(その車は、未舗装の道を走った後、泥だらけになった)』のように使われます。類似表現に 'splatter with mud' がありますが、'splatter' の方がより勢いよく、大量に飛び散るイメージです。
血痕、血しぶきの跡
※ 'blood spatter' は、犯罪捜査や鑑識において、血痕の形状や分布を分析する際に用いられる専門用語です。血痕の状態から、事件の状況(凶器の種類、被害者の動き、犯人の位置など)を推定する 'blood spatter analysis(血痕分析)' という手法があります。一般会話ではあまり使いませんが、犯罪ドラマやミステリー小説などでは頻繁に登場します。
批判を浴びせる、非難を浴びせる
※ 比喩的な表現で、'spatter' を「(悪いものが)降りかかる」という意味で用いています。'spatter criticism' は、集中的な批判ではなく、あちこちから非難が飛んでくるような状況を表します。例えば、政治家や企業が不祥事を起こした際に、世間から批判が殺到する様子を 'spattered with criticism' と表現できます。 'shower with criticism' と似ていますが、'spatter' の方が、より散発的で、まとまりのない批判のイメージです。
まばらな拍手
※ この表現は、熱狂的な拍手ではなく、控えめで、あまり盛り上がっていない拍手の様子を表します。例えば、期待外れのパフォーマンスの後や、スピーチの終わりなどに、形式的に拍手が送られる状況を 'a spatter of applause' と表現できます。 'scattered applause' とほぼ同義ですが、'spatter' は、より音の粒が小さく、間隔が空いているようなイメージです。
ペンキを飛び散らせる
※ 美術やDIYの分野で、意図的にペンキを飛び散らせて模様を作る技法を指します。抽象画や、壁の装飾などに用いられます。'spatter paint effect' といった表現も使われます。類似の技法に 'flick paint' がありますが、'flick' は筆や指で弾くようにしてペンキを飛ばすのに対し、'spatter' は、より広範囲に、ランダムに飛び散るイメージです。
使用シーン
科学論文や研究発表で、データや結果の散らばり具合を説明する際に使われます。例えば、実験結果のグラフにおけるデータのばらつきを「The data points spatter across the graph.(データ点はグラフ全体に飛び散っている)」のように表現します。統計学や物理学の分野で、誤差や粒子の分布を説明する際にも見られます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの遅延や問題点が複数発生し、それらが広範囲に影響を及ぼしている状況を比喩的に表現する際に使われることがあります。例えば、「The issues spattered across multiple departments, causing significant delays.(問題が複数の部署に飛び火し、大幅な遅延を引き起こしている)」のように、ネガティブな状況を強調する際に用いられます。ただし、より直接的な表現が好まれるため、使用頻度は高くありません。
日常会話では、実際に液体や物質が飛び散る状況を説明する際に使われます。例えば、料理中に油が飛び散った場合や、雨が窓に叩きつける様子などを「Oil spattered all over the stove.(油がコンロ全体に飛び散った)」や「Rain spattered against the window.(雨が窓に叩きつけた)」のように表現します。ただし、より一般的な単語(splashなど)が使われることが多いため、使用頻度は高くありません。
関連語
類義語
液体が勢いよく飛び散る様子を表す一般的な言葉。日常会話で広く使われ、意図的にも偶発的にも使われる。 【ニュアンスの違い】"spatter"よりも液体の量が多く、広範囲に飛び散るイメージ。また、"splash"は名詞としても動詞としても使われる。 【混同しやすい点】"spatter"が細かい飛沫が飛び散る様子を指すのに対し、"splash"はより大きな塊で液体が飛び散る様子を表す点。
"spatter"とほぼ同義だが、より不快感や汚さを伴うニュアンスを含むことが多い。例えば、血痕や泥などが飛び散る場面で使われる。 【ニュアンスの違い】"spatter"よりも感情的な意味合いが強く、嫌悪感や不快感を表す際に適している。また、視覚的なインパクトも"spatter"より強い。 【混同しやすい点】"splatter"は、しばしば暴力的な状況や事故など、ネガティブな文脈で使用されることが多い点。
- sprinkle
液体や粉末などを少量ずつ、均等に撒く様子を表す。料理や庭の手入れなど、意図的に何かを散布する場面で使われる。 【ニュアンスの違い】"spatter"が不規則に飛び散る様子を表すのに対し、"sprinkle"は均等に、そして意図的に散布する様子を表す。また、"sprinkle"は肯定的な意味合いで使用されることが多い。 【混同しやすい点】"spatter"が偶発的な飛散を指すのに対し、"sprinkle"は意図的な行為であるという点。また、対象となる物質の量が大きく異なる点。
- bespatter
"spatter"よりもフォーマルな表現で、液体などで汚す、または覆うという意味を持つ。文学作品や報道記事などで見られる。 【ニュアンスの違い】"spatter"よりも意図的な行為、あるいは広範囲に及ぶ影響を示唆する。また、比喩的に名誉や評判を汚すという意味でも使われる。 【混同しやすい点】"bespatter"は、古風な表現であり、日常会話ではほとんど使われない点。また、他動詞としてのみ使用される。
- daub
粘性のある物質(ペンキ、泥など)を乱暴に塗りつける、または汚すという意味。芸術、特に絵画制作の文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"spatter"が液体が飛び散る様子を表すのに対し、"daub"はより粘性の高い物質を、意図的または不器用に塗りつける様子を表す。また、"daub"はしばしば不器用さや未熟さを暗示する。 【混同しやすい点】"spatter"が必ずしも対象を覆うとは限らないのに対し、"daub"は対象を覆うことを意味する点。また、対象となる物質の性質が異なる点。
派生語
- bespatter
『spatter』に接頭辞『be-(〜で覆う)』が付いた動詞で、『〜を(液体などで)汚す、飛び散らかす』という意味。原語よりもやや強調されたニュアンスを持ち、日常会話よりも文学作品などで見られる。例えば、『泥でbespatterされた服』のように使われる。
『spatter』の異形。動詞・名詞として使われ、『(液体などが)飛び散る、飛び散ること』を意味する。原語とほぼ同義だが、より視覚的なイメージが強く、例えばペンキやインクが飛び散る様子を表現するのに適している。日常会話でも頻繁に使われる。
語源的に関連があり、『小さな斑点、しみ』という意味の名詞・動詞。spatterが広範囲に飛び散るイメージなのに対し、spotはより局所的な点を指す。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われ、例えば『spotless(一点の染みもない)』という形容詞もある。
反意語
『集める、収集する』という意味の動詞。『spatter』が液体などを四方八方に『撒き散らす』のに対し、collectは一点に『集める』という対立構造を持つ。例えば、こぼれた液体を『spatter』させずに『collect』するというように使われる。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使用される。
『吸収する』という意味の動詞。『spatter』が表面に飛び散るイメージに対し、absorbは内部に染み込むイメージを持つ。例えば、こぼれた液体を布が『absorb』するのに対し、壁に『spatter』する、というように対比できる。科学的な文脈でも比喩的な文脈でも用いられる。
『封じ込める、抑制する』という意味の動詞。『spatter』が制御されずに飛び散るのに対し、containは内部に留めるという対立構造を持つ。例えば、液体の飛散を『contain』するといった使い方がある。危険物や感情などを制御する文脈でよく使われる。
語源
"spatter」の語源は、中世オランダ語の「spatten」(飛び散る)に由来すると考えられています。これはさらに、擬音語的な起源を持つとされ、液体がはじける音を模倣したものです。直接的な接頭辞や接尾辞による派生は見られませんが、この単語自体が自然界の音を模倣した、非常に原始的な表現方法で生まれたと考えられます。日本語で例えるなら、「ピシャッ」とか「パシャッ」という擬音語が、水しぶきを表す言葉として独立したようなイメージです。そのため、「spatter」は、液体や小さな粒子が勢いよく飛び散る様子を直接的に表現する、非常にシンプルな構造を持つ単語と言えるでしょう。
暗記法
「spatter」は、液体が飛び散る様子を表す言葉ですが、単に物理的な現象だけではありません。名誉を汚したり、計画を台無しにしたりする、比喩的な意味合いも持ちます。ポロックの絵画のように感情の爆発を表現したり、犯罪小説で暴力の痕跡を示したりと、混乱や不快感を喚起します。中傷や噂話が広まる様子にも使われ、一度汚されたものは元に戻らないイメージを伴います。破壊的なイメージが、この単語の核心にあるのです。
混同しやすい単語
『spatter』と非常によく似た単語で、意味も『(液体などを)飛び散らす』とほぼ同じです。違いは『spatter』が小さな水滴や汚れが飛び散る様子を表すのに対し、『splatter』はより大量の液体や粘性のあるものが勢いよく飛び散る様子を表すことが多い点です。発音も非常に似ているため、文脈で判断する必要があります。スペルミスにも注意が必要です。
『scatter』は『(物を)まき散らす、散乱させる』という意味で、発音も『spatter』と似ています。ただし、『scatter』は液体に限らず、様々な物を対象に使える点が異なります。例えば、『scatter seeds』(種をまく)のように使われます。発音記号を意識して、最初の音 /sp/ と /sk/ の違いを明確にすることが重要です。
『matter』は『問題、事柄』という意味で、名詞としてよく使われます。動詞としては『重要である』という意味になります。発音は『spatter』とは異なりますが、語尾の音が似ているため、聞き間違いやすいかもしれません。『spatter』が動詞として使われることが多いのに対し、『matter』は名詞としても動詞としても使われるという違いを意識しましょう。
『pattern』は『模様、型』という意味で、名詞としてよく使われます。発音は『spatter』とは異なりますが、語尾の音が似ていることと、どちらも二音節の単語であることから、混同する可能性があります。特に、早口で話された場合や、音声があまりクリアでない場合に注意が必要です。
『batter』は『(人や物を)打ちのめす、叩きつける』という意味で、動詞として使われます。また、料理用語としては『衣』という意味もあります。発音は『spatter』と似ていますが、最初の音が異なります。特に、野球の『batter』(打者)という言葉で馴染みのある方も多いでしょう。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。
『flatter』は『お世辞を言う、へつらう』という意味の動詞です。発音は『spatter』とはかなり異なりますが、語尾の 'atter' の部分が似ているため、リスニングの際に混同する可能性があります。特に、文脈から意味を推測することが重要です。また、スペルも似ているため、書き間違いにも注意が必要です。
誤用例
『spatter』は液体が飛び散る様子を表す動詞で、物理的な飛沫を伴わない抽象的な感情を『spatter』することは不自然です。ここでは、感情を爆発させるイメージで『splash』を使う方が適切です。日本人が『感情をぶつける』という日本語から直訳しようとすると、つい『spatter』を選んでしまいがちですが、英語では感情にはより強い表現が好まれます。
『spatter』は、泥などが飛び散って汚れるイメージですが、名誉や評判が汚れる場合には、より永続的なダメージを表す『tarnish』が適切です。スキャンダルの影響は一時的なものではなく、長期にわたって尾を引くため、ここでは『tarnish』がより状況に合致します。日本人は『汚す』という言葉から安易に『spatter』を選んでしまいがちですが、英語では抽象的な概念にはより適切な動詞が存在します。
『spatter』は比較的大粒のものが飛び散るイメージで、音も少し強い印象を与えます。小雨が静かに窓に当たるような状況には、軽くて優しい音を表す『patter』がより適切です。日本語の『しとしと』という雨の表現を英語に直訳しようとすると、つい『spatter』を選んでしまうかもしれませんが、英語では音のニュアンスに合わせて動詞を選ぶ必要があります。また、『spatter』にはどこかネガティブな印象も含まれるため、平和な情景描写には不向きです。
文化的背景
「spatter」は、飛び散る液体や泥が持つ不快感や混乱、そして時には破壊的なイメージを伴う言葉です。この単語は、単なる物理的な現象を超えて、名誉や評判を汚す、あるいは計画を台無しにするような、より抽象的な意味合いで用いられることがあります。
「spatter」が持つ破壊的なイメージは、しばしば芸術作品や文学作品において、感情の爆発や制御不能な状況を描写するために用いられます。例えば、ジャクソン・ポロックのドリッピング絵画は、文字通り絵の具を「spatter(飛び散らせる)」ことで、従来の絵画の形式を破壊し、感情の奔流を表現しました。また、犯罪小説などでは、血痕が「spattered(飛び散った)」状況描写は、暴力の痕跡として、事件の真相を物語る重要な手がかりとなります。このように、「spatter」は、視覚的なインパクトを通じて、混乱や不快感、そして時には恐怖といった感情を喚起する効果的な表現手段として用いられてきました。
さらに、「spatter」は、比喩的に人の評判や名誉を汚す行為を指すこともあります。例えば、「mud-slinging(泥を投げつける)」という表現は、相手の欠点や弱点を暴露し、中傷することで相手の評判を落とそうとする政治的な策略を指しますが、「spatter」も同様に、中傷や噂話が広まる様子を表現するために使われることがあります。この場合、「spatter」は、一度汚されたものは容易には元に戻らない、というイメージを伴い、その影響の深刻さを示唆します。
このように、「spatter」は、物理的な現象の描写から、感情や評判といった抽象的な概念の表現まで、幅広い文脈で使用される言葉です。その根底には、飛び散る液体や泥が持つ不快感や混乱、そして破壊的なイメージがあり、この単語が持つ多様な意味合いを理解することで、英語の表現力をより豊かにすることができます。
試験傾向
この単語は英検では出題頻度は低めです。もし出題されるとすれば、準1級以上の長文読解で、比喩的な意味で使われる可能性があります。例えば、「(感情などが)飛び散る」といったニュアンスです。語彙問題として直接問われる可能性は低いでしょう。
TOEICでも出題頻度は高くありません。ただし、もし登場するとすれば、Part 7の長文読解で、製造業や環境問題に関する文章において、「(液体などが)飛び散る」という意味で使われる可能性があります。ビジネスシーンでの直接的な使用例は少ないため、対策としては優先度低いです。
TOEFLでは、科学や環境に関するアカデミックな文章で、比喩表現として使われる可能性があります。例えば、データが散らばっている様子や、影響が広範囲に及ぶ様子などを表現する際に用いられます。名詞形と動詞形両方の意味を理解しておくことが重要です。類義語との使い分けも問われる可能性があります。
大学受験でも、この単語が直接問われる可能性は高くありません。ただし、難関大学の長文読解において、科学系のテーマや抽象的な内容を扱う文章で、比喩的な意味で登場する可能性があります。文脈から意味を推測する力が求められます。