scurvy
壊血病
ビタミンC欠乏によって引き起こされる病気。特に歴史的な船乗りたちの間でよく見られた。語源は「傷つける」を意味する古ノルド語から。
Many sailors on long voyages used to suffer from scurvy.
長い航海に出た多くの船乗りたちは、壊血病に苦しんでいました。
※ この例文は、壊血病が歴史的にどのように広まったかを示しています。昔の船乗りは新鮮な野菜や果物を長期間食べられなかったため、壊血病にかかることが多かったのです。「used to suffer from ~」は「以前は〜に苦しんでいた」という、過去の習慣や状態を表す典型的な表現です。
Eating enough fruits and vegetables can prevent scurvy.
十分な果物や野菜を食べることが、壊血病を予防できます。
※ この例文は、壊血病がビタミンCの不足によって引き起こされる病気であることと、その予防策をシンプルに伝えています。現代では珍しい病気ですが、バランスの取れた食事が健康に重要であることを思い出させてくれます。「prevent」は「〜を防ぐ」という意味で、病気や問題を未然に防ぐ際によく使われます。
Without vitamin C, people might develop scurvy over time.
ビタミンCがなければ、人々はやがて壊血病を発症するかもしれません。
※ この文は、壊血病の原因をより具体的に示し、栄養素の重要性を強調しています。「Without ~」は「〜がなければ」という条件を表し、「might develop ~」は「〜を発症するかもしれない」という可能性を示します。「over time」は「時間をかけて、やがて」という意味で、ゆっくりと変化が起こる様子を表します。
粗末な
道徳的に堕落している、または不快な状態を表す。病気の状態から転じて、品性や外見が劣悪な様子を指す。
The scurvy meal at the cheap restaurant disappointed me.
その安いレストランの粗末な食事に、私はがっかりしました。
※ この例文は、期待して入った安いレストランで、出てきた食事が予想以上にひどくて、がっかりしている様子を描写しています。「scurvy」は、食べ物や食事の質が「粗末な」「みすぼらしい」といった意味で使われます。特に、期待外れだったり、残念な状況でこの単語がぴったり当てはまります。
After the long trip, we found a scurvy motel room.
長い旅の後、私たちは粗末なモーテルの部屋を見つけました。
※ 長い移動で疲れているのに、やっとたどり着いたモーテルの部屋が、期待していたよりもずっと粗末で、さらに疲労感が増すような場面を想像できますね。「scurvy」は、宿泊施設や家具など、物の状態が「みすぼらしい」「質が悪い」ことを表す際にも非常によく使われます。
His scurvy excuse for being late made everyone frown.
彼の遅刻に対する粗末な言い訳は、みんなをうんざりさせました。
※ この例文は、会議や約束の時間に遅れてきた人が、聞くに堪えないようなひどい、あるいは馬鹿げた言い訳をして、周りの人が呆れたり不快に感じたりしている様子を描いています。「scurvy」は、物だけでなく、人の言動や態度が「下劣な」「卑劣な」「取るに足らない」といった意味で使われることもあります。ここでは「粗末な」から派生して、「ひどい」「聞くに値しない」といったニュアンスで使われています。
コロケーション
卑劣なやつ、ろくでなし
※ 古くは船乗り言葉で、文字通り壊血病にかかった犬を指しましたが、転じて不快な人物、特に裏切り者や信用できない人物を指す侮蔑的な表現として使われます。シェイクスピアの劇などにも登場し、やや古風で演劇的な響きがあります。日常会話よりは、文学作品や映画などで耳にすることが多いでしょう。
わずかな壊血病の兆候、または比喩的にわずかな悪意や不快感
※ 文字通りの意味の他に、人の性格や行動におけるわずかな欠点や、表面的な不快感を指す比喩表現として使われます。例えば、少し皮肉っぽいユーモアを『a touch of scurvy in his humor』のように表現できます。フォーマルな場面よりは、親しい間柄での会話で用いられることが多いでしょう。
壊血病を予防する
※ ビタミンCの摂取によって壊血病を予防するという文脈で使われます。医学的な文脈のほか、比喩的に『問題が深刻化する前に予防する』という意味でも用いられます。例えば、プロジェクトの失敗を未然に防ぐために、早期に対策を講じることを『prevent scurvy in the project』のように表現できます。
壊血病にかかる
※ 長期間ビタミンCが不足することで壊血病を発症することを指します。歴史的な文脈では、船乗りが長期間航海に出る際に壊血病にかかることが多かったため、海事史に関連する記述でよく見られます。現代では、極端な食生活や栄養失調が原因で壊血病にかかる場合に使われます。
壊血病の症状
※ 歯茎からの出血、皮膚の変色、倦怠感など、壊血病の具体的な症状を指します。医学的な文脈で使用され、病状の説明や診断において重要な要素となります。一般的には、医療関係者や医学に関心のある人が使用する表現です。
壊血病を治療する
※ ビタミンCを補給することで壊血病を治療することを指します。歴史的には、ライムやレモンなどの柑橘類が壊血病の治療に用いられたことが知られています。現代では、ビタミンCのサプリメントやバランスの取れた食事が治療法として用いられます。
使用シーン
医学史や栄養学の研究論文で、壊血病に関する記述の中で使われることがあります。例えば、「18世紀の船乗りは、ビタミンC不足により壊血病(scurvy)に苦しんだ」のように、歴史的な文脈で言及されることが多いでしょう。
ビジネスシーンで「scurvy」が使われることは非常に稀です。ただし、比喩的に「粗末な」「質の悪い」という意味で、プロジェクトの初期段階の計画や、杜撰な仕事ぶりを婉曲的に表現する際に、ごく稀に使われる可能性があります。例:「この計画の初期段階は、scurvy(粗末)と言わざるを得ない。」ただし、非常にフォーマルな場では不適切です。
日常会話で「scurvy」という単語を使うことはほとんどありません。歴史好きや医学に興味のある人が、壊血病に関する話題で言及する程度でしょう。例えば、「昔の船乗りはscurvy(壊血病)でたくさん死んだらしいよ」といった会話が考えられます。
関連語
類義語
構造が弱く、不安定で、崩れそうな状態を指す形容詞。建物、家具、乗り物など、物理的なものに対して使われることが多い。また、比喩的に組織や計画などが不安定な状態を表すこともある。 【ニュアンスの違い】"scurvy"がビタミンC欠乏症という病気を指すのに対し、"rickety"は物理的な弱さや不安定さを指す。比喩的な意味合いでも、"rickety"は構造的な弱さを示す。 【混同しやすい点】"scurvy"は健康状態を表す名詞であり、"rickety"は物理的な状態を表す形容詞である。品詞が異なるため、文法的な使い方が全く異なる点に注意。
- debilitated
病気、疲労、栄養不足などによって身体的または精神的に弱っている状態を表す形容詞。医学的な文脈や、健康状態について話す際に使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"scurvy"がビタミンC欠乏症という特定の病気を指すのに対し、"debilitated"はより一般的な衰弱状態を指す。ただし、"scurvy"も"debilitated"な状態を引き起こす要因の一つとなり得る。 【混同しやすい点】"debilitated"は、原因を特定せずに単に弱っている状態を指すことが多いが、"scurvy"は原因がビタミンC欠乏症であると特定されている点が異なる。また、"debilitated"は精神的な衰弱にも使える。
- ailing
病気を患っている、または体調が優れない状態を表す形容詞。比較的フォーマルな表現で、特に慢性的な病気や、原因不明の体調不良を指すことが多い。文学作品やニュース記事などで見られる。 【ニュアンスの違い】"scurvy"が特定の病気を指すのに対し、"ailing"は病名が特定されていない、または漠然とした体調不良を指す。また、"ailing"は、経済や社会などの組織が不調な状態を表す比喩的な意味でも使われる。 【混同しやすい点】"ailing"は具体的な病名を伴わないことが多く、"scurvy"のように原因が特定されている病気とは異なる。また、"ailing"は人の健康だけでなく、組織や経済の状態にも使える点が異なる。
健康でない状態を表す一般的な形容詞。身体的、精神的な健康状態だけでなく、食べ物や環境など、健康に良くないものに対しても使われる。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"scurvy"が特定の病気を指すのに対し、"unhealthy"はより広範な健康でない状態を指す。"scurvy"は"unhealthy"な状態の一つの原因となり得る。 【混同しやすい点】"unhealthy"は非常に一般的な表現であり、具体的な病名や原因を特定しないことが多い。一方、"scurvy"は原因がビタミンC欠乏症であると特定されている点が異なる。また、"unhealthy diet"のように、食べ物に対しても使える。
身体的または精神的に弱く、力がない状態を表す形容詞。高齢者や病人に使われることが多い。また、比喩的に議論や主張などが弱いことを表すこともある。 【ニュアンスの違い】"scurvy"がビタミンC欠乏症という特定の病気を指すのに対し、"feeble"はより一般的な弱さを指す。ただし、"scurvy"も放置すれば"feeble"な状態を引き起こす可能性がある。 【混同しやすい点】"feeble"は、病気だけでなく、加齢や精神的な原因による弱さも表すことができる。一方、"scurvy"はビタミンC欠乏症が原因であると特定されている点が異なる。また、"feeble excuse"のように、比喩的な意味でも使われる。
身体的に弱く、壊れやすい状態を表す形容詞。特に高齢者や、病気から回復中の人に使われることが多い。精神的な脆さも表すことがある。 【ニュアンスの違い】"scurvy"が特定の病気を指すのに対し、"frail"はより一般的な身体的な弱さを指す。"scurvy"によって身体が"frail"になることもある。 【混同しやすい点】"frail"は、身体的な弱さだけでなく、精神的な脆さも表すことができる。一方、"scurvy"は主に身体的な病気であり、精神的な状態を直接的に表すことは少ない。また、"frail"は、壊れやすい物に対しても使われることがある。
派生語
- scorbutic
『壊血病の』または『壊血病にかかった』という意味の形容詞。医学的な文脈で、症状や患者の状態を表す際に用いられる。日常会話での使用頻度は低いが、医学論文や歴史的な文献では見られる。語尾の『-ic』は形容詞を作る接尾辞で、性質や状態を表す。
- antiscorbutic
『壊血病予防の』という意味の形容詞。接頭辞『anti-(反対)』がつき、壊血病を防ぐ性質を持つことを示す。主に医学や栄養学の分野で使用され、特定の食品や物質が持つ効果を説明する際に用いられる。例えば、『antiscorbutic foods(壊血病予防食品)』のように使われる。
反意語
『健康』という意味の名詞。壊血病がビタミンC欠乏による病気であるのに対し、健康は栄養が十分で体が正常に機能している状態を指す。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使用され、身体的・精神的な健康状態全般を指す。
『幸福』や『健康』を意味する名詞。単に病気がない状態だけでなく、精神的、社会的に良好な状態を指す。壊血病による苦痛や衰弱とは対照的に、well-beingは全体的な生活の質が高い状態を示す。ビジネスや公共政策の分野でも、人々の生活の質を評価する指標として用いられる。
語源
"scurvy(壊血病)」は、中期オランダ語の「scheurbuyck」に由来します。これは「scheuren(裂ける)」と「buyck(腹)」が組み合わさった言葉で、「腹が裂ける」ような激しい腹痛を伴う壊血病の症状を表しています。初期の船乗りたちは、長期間新鮮な果物や野菜を摂取できない航海中に壊血病に苦しみました。ビタミンC欠乏が原因であると判明するまで、壊血病は船乗りにとって大きな脅威でした。この病気の恐ろしさから、「scurvy」は「粗末な」「卑劣な」という意味でも使われるようになりました。つまり、身体を蝕む病気から、道徳的に腐敗した状態を指す比喩的な意味へと発展したのです。
暗記法
壊血病は、大航海時代の船乗りを苦しめた恐ろしい病でした。新鮮な食料不足が原因で、多くの命が失われたのです。しかし、ライムジュースの摂取で予防できると判明し、イギリス海軍は「ライミー」と呼ばれるようになりました。これは単に科学の勝利だけでなく、国の経済力や船員の健康への意識を表しています。冒険小説では、人間の脆さや過酷な環境の象徴として描かれ、精神的な衰弱の比喩としても使われる、歴史と文化が詰まった言葉なのです。
混同しやすい単語
発音が似ており、特にカタカナ英語の『サーベイ』として記憶している場合、語尾の曖昧な発音が『scurvy』と混同されやすい。意味は『調査』であり、名詞または動詞として使われる。スペルも似ているため、注意が必要。語源的には『super-』(上から)+『video』(見る)で、全体を俯瞰して見るイメージ。
『curve』は『カーブ』として日本語にも浸透しているため、発音のイメージが強く、『scurvy』と混同される可能性がある。スペルも 'curv' の部分が共通しているため、視覚的にも紛らわしい。意味は『曲線』であり、名詞または動詞として使われる。
『scarf』は『スカーフ』として知られており、語尾の 'rf' の音が『scurvy』の 'rv' と似ているため、発音を聞き間違える可能性がある。スペルも一部が似ており、視覚的な混同も起こりやすい。意味は『スカーフ』であり、首に巻く布のこと。
『service』は『サービス』として日本語化されており、最初の音節が『scurvy』と異なるものの、語尾の '-vice' の音が似ているため、発音を聞き間違える可能性がある。また、両単語とも語尾が曖昧母音になりやすい。意味は『奉仕』や『サービス』であり、名詞または動詞として使われる。
'serve'(仕える)という語根を持つため、意味的な関連を想像してしまい、スペルや発音も似ているため混同しやすい。『卑屈な』という意味で、ネガティブなニュアンスを持つ形容詞。語源的に『奴隷の』という意味合いがあり、そこから『卑屈な』という意味に発展した。
スラング的な意味合いで『機転の利く』『知識のある』という意味を持つ単語で、発音の最初の部分が似ているため、特に会話の中では聞き間違えやすい。スペルも短い単語なので、全体的な印象が似て見えることがある。意味は全く異なるため、文脈で判断する必要がある。
誤用例
『scurvy』は病名であり、見た目の状態を指す形容詞ではありません。日本語で『壊血病みたい』と言う感覚で安易に形容詞的に使うと不自然です。正しくは『scurvyの症状に似ている』のように表現します。また、オレンジを食べるだけでなく、ビタミンC摂取を促す方がより適切なアドバイスです。日本人は症状を直接的に表現しがちですが、英語では原因や対策を示唆する方が丁寧です。
『scurvy』は壊血病という意味であり、人の性格を表す言葉ではありません。ここでは『不機嫌な、無愛想な』という意味の『surly』を使うのが適切です。発音が似ているため混同しやすいですが、意味は全く異なります。日本人はカタカナ英語として『スカービー』という音の響きから、なんとなくネガティブなイメージを連想し、誤って性格を表す言葉として使ってしまうことがあります。
『scurvy』は名詞であり、状態を表す形容詞ではありません。そのため、『彼はとても壊血病だった』という表現は文法的に誤りです。病気にかかっている状態を表現したい場合は、『weak and unwell(弱くて体調が悪い)』のような具体的な状態を表す形容詞を使う必要があります。日本人は『病名+形容詞化』という安易な発想で文章を作りがちですが、英語では病名そのものが状態を表すわけではないことに注意が必要です。
文化的背景
壊血病(scurvy)は、かつて長期航海における船乗りの命を脅かす最大の敵であり、単なる病気という以上に、冒険と苦難、そして社会的な不平等と密接に結びついた文化的象徴でした。ビタミンC欠乏が原因であると判明するまで、壊血病は船乗りたちの間で恐怖の対象であり、その症状は衰弱、歯茎からの出血、皮膚の変色など多岐にわたりました。
大航海時代、船乗りたちは数ヶ月に及ぶ航海で新鮮な果物や野菜を摂取することができず、壊血病が蔓延しました。多くの船が、病に倒れた船員たちによって文字通り「死の船」と化し、目的地にたどり着く前に放棄されることもありました。ジェームズ・クック船長が、航海中にライムジュースを船員に与えることで壊血病を予防できることを発見して以降、イギリス海軍はライムを常備するようになり、イギリスの船乗りは「ライミー(Limey)」という愛称で呼ばれるようになりました。しかし、これは単にイギリス海軍が科学的に優れていたからというだけでなく、組織的な物資供給を可能にする経済力と、船員の健康管理に対する意識の高さを示していました。一方、他の国の船乗りたちは、壊血病に苦しみ続け、その差は国力の差として現れたのです。
壊血病は、文学作品にもしばしば登場します。例えば、海賊を題材にした物語では、船乗りたちの過酷な生活や死の影を落とすものとして描かれます。ロバート・ルイス・スティーブンソンの『宝島』などの冒険小説では、壊血病は単なる病気ではなく、文明から隔絶された海の世界の厳しさ、そして人間の生命の脆弱さを象徴するものとして描かれています。また、壊血病は比喩的に、精神的な活力を失った状態や、道徳的な堕落を指す言葉としても用いられることがあります。長期間にわたる苦難やストレスによって心が蝕まれ、人間性が失われていく様子を、壊血病の症状になぞらえて表現するのです。
壊血病は、単なる医学的な問題を超えて、歴史、社会、文化に深く根ざした言葉です。それは大航海時代の冒険と苦難、国家間の競争、そして人間の生命の脆弱さを象徴する言葉として、私たちの記憶に刻まれています。この言葉を学ぶことは、単に語彙を増やすだけでなく、歴史と文化に対する理解を深めることにも繋がるでしょう。
試験傾向
この単語は英検では出題頻度は低めです。医学・歴史関連の長文読解でまれに出題される可能性はありますが、語彙問題として直接問われることは少ないでしょう。もし出題される場合は、準1級以上が想定されます。
TOEICでは、この単語が直接問われる可能性は極めて低いと考えられます。ビジネスの文脈ではほとんど使用されず、一般的な語彙リストにも含まれていません。
TOEFLでも、この単語が頻繁に出題されるわけではありません。医学史や航海史に関連するアカデミックな文章でまれに見かける程度です。もし登場する場合は、文脈から意味を推測する必要があるでしょう。
大学受験においても、この単語の出題頻度は低いと言えます。医学部や歴史学部の専門的な文章で出題される可能性はありますが、一般的な受験対策としては優先順位は低いでしょう。文脈から意味を推測する練習として活用できます。