英単語学習ラボ

oblivion

/əˈblɪviən/
名詞

忘却の淵

完全に忘れ去られた状態、意識を失った状態、または破壊されて存在しなくなった状態を指す。文学作品や哲学的な文脈で、人生や世界の儚さを表現する際に用いられることが多い。

The old song, once a huge hit, slowly faded into oblivion.

かつて大ヒットしたあの古い歌は、ゆっくりと忘れ去られていきました。

この例文は、人気があったものが時間とともに人々の記憶から消えていく様子を描いています。「fade into oblivion」は、「徐々に忘れ去られる」というニュアンスでよく使われます。まるで色が薄くなるように、ゆっくりと存在が薄れていくイメージです。

He hoped his embarrassing mistake would quickly sink into oblivion.

彼は自分の恥ずかしい間違いが、すぐに忘れ去られることを願っていました。

ここでは、個人的な失敗や悪い出来事が「忘れ去られる」ことを願う気持ちを表しています。「sink into oblivion」は、まるで水の中に沈んでいくように、完全に記憶から消え去る、という強いニュアンスがあります。失敗を早く忘れたい、という心理が伝わりますね。

The ancient ruins are slowly returning to oblivion, covered by nature.

その古代遺跡は、自然に覆われ、ゆっくりと忘れ去られようとしています。

この例文は、建物や場所が時間の経過とともに自然に還り、人々の記憶や視界から消えていく様子を描写しています。「return to oblivion」は、もともとあった場所や状態に「戻る」という感覚で、存在が消え去ることを示します。時間の流れを感じさせる表現です。

名詞

消滅

物理的な破壊や、徐々に衰退して無くなる状態。組織や制度などが影響力を失い、最終的に消滅する様子を表す。

The old band's songs slowly faded into oblivion.

その古いバンドの歌は、ゆっくりと忘れ去られていった。

かつて人気だったバンドの歌が、時の流れと共に人々の記憶から薄れ、やがて誰も思い出さなくなる様子を描写しています。'fade into oblivion' で「(徐々に)忘れ去られていく」というニュアンスが自然に伝わります。

The old factory building was torn down and vanished into oblivion.

その古い工場は取り壊され、跡形もなく消え去った。

存在していた工場が完全に破壊され、その場所から痕跡すら残さず消滅してしまう様子を表しています。'vanish into oblivion' は、物理的なものが「完全に消滅する」という強い意味合いで使われます。

She hoped her painful memories would sink into oblivion someday.

彼女は、いつか辛い記憶が忘れ去られることを願っていた。

この文は、個人的な「記憶」が意識の中から薄れ、忘れ去られていくことを願う気持ちを描いています。'sink into oblivion' は、まるで水中に沈んで見えなくなるように、「(意識の奥底に)沈み込み、忘れ去られる」という比喩的な表現です。

名詞

無意識

精神的な活動が停止し、周囲の状況を認識できない状態。睡眠、昏睡、麻酔などによって引き起こされる。

After a long day, he fell into oblivion as soon as his head hit the pillow.

長い一日を終え、彼は頭が枕に触れるとすぐに無意識状態に陥った。

へとへとでベッドに倒れ込み、あっという間に深い眠りに落ちる情景です。ここでは「oblivion」が、疲労困憊で意識がなくなる「無意識状態」を表しています。「fall into oblivion」は、意識がなくなる、眠りに落ちる、といった状況で非常によく使われる表現です。

The old toy was put in the attic and slowly faded into oblivion.

その古いおもちゃは屋根裏にしまわれ、ゆっくりと忘れ去られていった。

子供たちが遊ばなくなった古いおもちゃが、屋根裏で静かに忘れ去られていく情景です。ここでは「oblivion」が、人々の記憶から消え去り、「忘れ去られた状態(無意識の彼方)」になることを指します。「fade into oblivion」は、物事が徐々に忘れ去られていく様子を表す、とても自然で典型的なフレーズです。

The pain was so strong that she almost slipped into oblivion.

痛みがとても強くて、彼女はほとんど意識を失いかけた。

耐え難いほどの強い痛みに襲われ、意識が遠のいていくような情景です。ここでは「oblivion」が、強い衝撃や苦痛によって意識が朦朧とし、「無意識状態」へと移行する瞬間を描写しています。「slip into oblivion」は、意識がゆっくりと、あるいは不本意に失われていく様子を表す際に使われます。

コロケーション

fall into oblivion

忘れ去られる、消滅する

「oblivion(忘却)」という深淵に落ちていくイメージで、人、物、概念などが人々の記憶から完全に消え去る状態を表します。歴史的な出来事や過去の栄光が忘れ去られる場合、あるいは企業やブランドが時代遅れになり消滅する場合など、幅広い対象に使われます。文法的には 'fall' という動詞が状態の変化を示し、'into' が忘却という状態への移行を表しています。ビジネスや歴史に関する議論でよく使われます。

sink into oblivion

徐々に忘れ去られる、次第に消滅する

'fall into oblivion' と同様に、忘れ去られる状態を表しますが、'sink' はより緩やかな、徐々に沈んでいくイメージを含みます。時間経過とともにゆっくりと忘れ去られていく様子を表すのに適しています。例えば、かつて人気を博した文化現象が次第に忘れ去られていくような状況に使われます。文学作品や歴史的な記述でよく見られます。 'sink' は 'fall' よりも受動的なニュアンスを持ちます。

consigned to oblivion

意図的に忘れ去られる、葬り去られる

'consign' は『委ねる』『引き渡す』という意味で、何かを意図的に忘却の淵に送り込むニュアンスがあります。歴史上の不都合な事実や、組織にとって隠蔽したい情報などが、意図的に人々の記憶から消し去られようとする場合に用いられます。権力や組織の意図が感じられる表現です。例えば、政治的なスキャンダルや企業の不正行為などが 'consigned to oblivion' されることがあります。報道や歴史学の研究などで使われることが多いです。

a descent into oblivion

忘却への下降、衰退

'descent' は『下降』を意味し、徐々に忘却へと向かう過程、衰退していく様子を表します。文化、文明、個人の名声などが徐々に衰え、忘れ去られていく過程を表現するのに適しています。例えば、古代文明の衰退や、かつて栄華を誇った都市が廃墟と化していく様子などを表すことができます。文学作品や歴史的な記述でよく見られます。'descent' は不可逆的な変化を示唆します。

teeter on the edge of oblivion

忘却の淵に立っている、消滅寸前である

'teeter' は『ぐらつく』という意味で、まさに忘れ去られる寸前の危うい状態を表します。今にも消え去ってしまいそうな状況、瀬戸際に立たされている状態を強調する際に用いられます。例えば、絶滅危惧種や経営難に陥っている企業などが 'teeter on the edge of oblivion' と表現されることがあります。報道や環境保護に関する議論で使われることが多いです。

rescue from oblivion

忘却から救い出す

忘れ去られようとしているもの、あるいは忘れ去られてしまったものを、再び人々の記憶によみがえらせる行為を指します。歴史的な人物や出来事、失われた技術や文化などを再評価し、その価値を再認識させる場合に用いられます。博物館の活動や歴史研究、文化遺産の保護活動などを表現する際に適しています。'rescue' は積極的な働きかけを意味します。

使用シーン

アカデミック

学術論文や研究発表で、抽象的な概念や歴史的な事象を議論する際に用いられます。例えば、歴史学において「〜の政策は歴史の忘却の淵に沈んだ」のように、政策や思想が忘れ去られた状況を表現する際に使われます。心理学の分野では、記憶や意識の研究で、「〜の刺激は無意識の領域に追いやられる」といった文脈で使用されることがあります。

ビジネス

ビジネスシーンでは、戦略やプロジェクトの失敗、市場からの撤退などを婉曲的に表現する際に用いられることがあります。例えば、経営戦略の分析において「〜の事業は競争激化の中で消滅の危機に瀕している」のように、企業の事業が衰退していく状況を説明する際に使われます。また、M&Aの交渉において、買収対象企業のブランドが「買収後、市場から忘れ去られる」リスクについて言及する際に使われることもあります。

日常会話

日常会話ではほとんど使われませんが、文学作品や映画などの芸術作品の内容について議論する際に、比喩的な表現として用いられることがあります。例えば、「あの映画の主人公は、過去のトラウマを忘却の淵に沈めようとしている」のように、登場人物の心理状態を表現する際に使われます。また、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、歴史的な出来事や社会問題が忘れ去られようとしている状況を憂慮する際に、「〜の歴史的教訓は忘却の淵に沈んではならない」といった形で使われることがあります。

関連語

類義語

  • forgetfulness

    忘れっぽさ、記憶力の欠如を意味する一般的な語。日常会話や心理学的な文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】"Oblivion"が完全に忘れ去られた状態や意識の消失を指すのに対し、"forgetfulness"は一時的な記憶の喪失やうっかり忘れといったニュアンスが強い。また、"forgetfulness"は人の性質を表すことが多い。 【混同しやすい点】"Oblivion"は名詞だが、具体的な行為ではなく状態を指す。"Forgetfulness"も名詞だが、人の性質や傾向を表すことが多い点で異なる。"Oblivion"はより詩的、文学的で、日常会話では"forgetfulness"の方が一般的。

  • amnesia

    記憶喪失症。医学的な文脈や、記憶を失うことに関する議論で使われる。 【ニュアンスの違い】"Oblivion"が意識の消失や存在の消滅を含むのに対し、"amnesia"は特定の期間や出来事に関する記憶の喪失を指す。また、"amnesia"は医学的な状態を指す。 【混同しやすい点】"Amnesia"は通常、病気や怪我など、具体的な原因による記憶喪失を指すのに対し、"oblivion"は原因を問わず、忘れ去られる状態全般を指す。"Amnesia"は可算名詞としても使われることがある(e.g., "types of amnesia")。

  • 絶滅。生物種や文化、習慣などが完全に消滅することを指す。科学的な文脈や環境問題に関する議論で使われる。 【ニュアンスの違い】"Oblivion"が個人の意識や記憶の消失を指すことが多いのに対し、"extinction"は種や文化など、より大規模なものの消滅を指す。また、"extinction"は不可逆的な状態を表す。 【混同しやすい点】"Oblivion"は忘れ去られる状態を指すが、必ずしも完全に消滅することを意味しない。一方、"extinction"は完全に存在しなくなることを意味する。"Extinction"は生物学や考古学の分野でよく使われる。

  • unconsciousness

    意識不明、無意識の状態。医学的な文脈や、意識に関する議論で使われる。 【ニュアンスの違い】"Oblivion"が忘れ去られた状態や意識の消失を指すのに対し、"unconsciousness"は一時的な意識の喪失を指す。また、"unconsciousness"は医学的な状態を指すことが多い。 【混同しやすい点】"Oblivion"は必ずしも意識の喪失を伴わないが、"unconsciousness"は意識の喪失を伴う。"Unconsciousness"は、事故や病気などによって引き起こされる一時的な状態を指すことが多い。

  • 暗闇、光がない状態。物理的な暗さだけでなく、比喩的に絶望や無知を指すこともある。日常会話や文学的な文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】"Oblivion"が忘れ去られた状態や意識の消失を指すのに対し、"darkness"は光の欠如や絶望的な状況を指す。"Darkness"は比喩的な意味合いで使われることが多い。 【混同しやすい点】"Oblivion"は抽象的な概念だが、"darkness"は物理的な状態や感情を表すことが多い。"Darkness"は、恐怖や不安といった感情と結びつけられることが多い。

  • nothingness

    無、何もない状態。哲学的な文脈や、存在に関する議論で使われる。 【ニュアンスの違い】"Oblivion"が忘れ去られた状態や意識の消失を指すのに対し、"nothingness"は存在そのものの欠如を指す。"Nothingness"はより抽象的で哲学的な概念。 【混同しやすい点】"Oblivion"は忘れ去られる状態を指すが、必ずしも存在の欠如を意味しない。一方、"nothingness"は完全に何もない状態を意味する。"Nothingness"は、形而上学や宗教的な文脈でよく使われる。

派生語

  • 『気づかない』、『忘れている』という意味の形容詞。『oblivion』が『忘れられた状態』を指すのに対し、『oblivious』は、その状態にある人物の性質を表します。日常会話で人の性格や行動を評する際によく用いられます。語尾の『-ious』は形容詞を作る接尾辞で、『〜の性質を持つ』という意味合いを付加します。

  • 『完全に消し去る』、『抹消する』という意味の動詞。『oblivion』の『忘却』という概念をより能動的に表現し、物理的な破壊や記録の抹消など、広範囲にわたる消去行為に使われます。学術論文やニュース記事などで、比喩的な意味合いで使われることもあります。語源的には、『littera(文字)』を『ob-(〜に向かって)』覆い隠すイメージです。

  • obliviscence

    『忘れやすさ』、『記憶の曖昧さ』という意味の名詞。『oblivion』と同様に忘却の状態を表しますが、より医学的・心理学的な文脈で使用される傾向があります。例えば、記憶障害や認知症の研究などで用いられます。語尾の『-escence』は、状態や過程を表す名詞を作る接尾辞です。日常会話での使用頻度は低いですが、専門的な分野では重要な語彙です。

反意語

  • 『記憶』、『思い出』、『記念』という意味の名詞。『oblivion』が『忘却』という状態を指すのに対し、『remembrance』は積極的に何かを記憶したり、思い出したりする行為や、その対象となるものを指します。日常会話から、記念式典などのフォーマルな場面まで幅広く使用されます。特に、戦争の犠牲者を追悼する『Remembrance Day(戦没者追悼記念日)』のような用法は重要です。

  • 『名声』、『名誉』という意味の名詞。『oblivion』が『忘れ去られること』を意味するのに対し、『fame』は広く知られ、記憶される状態を指します。歴史上の人物や偉業など、後世にまで語り継がれるような場合に用いられます。ビジネスやエンターテインメントの世界でも、成功の証として『fame』を得ることが目標とされることがあります。両者は対照的な概念であり、人間の行為や存在が辿る可能性のある二つの極を表しています。

  • 『意識』という意味の名詞。『oblivion』が無意識の状態や、存在の消滅を連想させるのに対し、『consciousness』は知覚や思考が活発に働いている状態を指します。哲学、心理学、医学などの分野で重要な概念であり、自己認識や外界の認識能力を意味します。日常会話では、人が意識を失う状態(e.g., 'He fell into unconsciousness')の対比として、『oblivion』に近い意味合いで使用されることもあります。

語源

「oblivion」は、ラテン語の「oblivio」(忘却)に由来します。これはさらに、「oblivisci」(忘れる)という動詞から派生しています。「oblivisci」は、「ob-」(〜に向かって、〜に反して)と、語源がはっきりしない「livisci」という要素から構成されています。一部の研究者は、「livisci」を「leave(去る)」に関連付け、心から何かが去っていくイメージを捉えようとしています。「oblivion」は、文字通りには「忘れ去られる状態」を意味し、そこから「忘却の淵」「消滅」「無意識」といった意味合いに発展しました。例えば、何かを「忘却の彼方へ葬り去る」という表現は、意識から完全に消し去る、存在を抹消するというニュアンスを表しています。

暗記法

「oblivion(忘却)」は、単に記憶を失うだけでなく、存在の消滅や歴史からの抹消といった深い意味を持ちます。ギリシャ神話では、過去を忘れ輪廻転生するための川として登場し、希望と恐怖の二面性を表します。文学では、人間の野心や罪の意識、現代では環境破壊などによる破滅的な結末を象徴し、私たちに未来への責任を問いかけます。個人の記憶から文明の終焉まで、「oblivion」は人間の存在と倫理に関わる根源的な問いを投げかける言葉なのです。

混同しやすい単語

oblivious

『oblivion』と『oblivious』は、語幹が共通しているためスペルが非常に似ており、意味も関連するため混同しやすいです。『oblivion』は名詞で「忘却、意識を失った状態」を意味するのに対し、『oblivious』は形容詞で「気づいていない、無頓着な」という意味です。例えば、「He was oblivious to the danger.(彼は危険に気づいていなかった)」のように使います。日本人学習者は、品詞と意味の違いを意識して使い分ける必要があります。

abolition

『oblivion』と『abolition』は、語尾の '-tion' が共通しているため、スペルが似ていると感じられることがあります。また、どちらも抽象的な名詞であるため、意味も混同される可能性があります。『abolition』は「廃止、撤廃」という意味で、例えば「the abolition of slavery(奴隷制度の廃止)」のように使います。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、スペルと発音の違いを意識することが重要です。語源的には、『abolition』は「完全に破壊する」という意味のラテン語から来ており、関連性はありません。

opinion

『oblivion』と『opinion』は、語頭の 'o' と、中盤の 'i' が共通しているため、スペルが似ていると感じられることがあります。また、どちらも名詞であるため、混同される可能性があります。『opinion』は「意見、見解」という意味で、例えば「I have a different opinion.(私は異なる意見を持っている)」のように使います。日本人学習者は、単語の全体的な形と意味の違いを意識する必要があります。発音も大きく異なるため、音で区別することも重要です。

division

『oblivion』と『division』は、語尾の '-ion' が共通しているため、スペルが似ていると感じられることがあります。また、どちらも抽象的な名詞であるため、意味も混同される可能性があります。『division』は「分割、区分、分裂」という意味で、例えば「the division of labor(分業)」のように使います。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、スペルと発音の違いを意識することが重要です。『division』は「分ける」という意味の動詞 'divide' から派生した単語であることを知っておくと、意味の区別に役立ちます。

livable

『oblivion』の中に 'liv' という綴りが含まれており、これが『live(生きる)』という動詞と関連があるように感じられるかもしれません。そのため、『livable (住みやすい)』のような単語と関連付けてしまい、意味を誤解する可能性があります。『oblivion』は「忘却」や「死後の世界」といった意味合いを持つため、生とは対照的な概念です。日本人学習者は、単語を構成する要素に惑わされず、全体の意味を捉えるように注意する必要があります。

誤用例

✖ 誤用: He sought oblivion in alcohol after the scandal.
✅ 正用: He sought solace in alcohol after the scandal.

日本語の『忘却』という言葉から、つらい出来事を『忘れようとする』意味で oblivion を選びがちですが、oblivion は単に『忘れ去られる状態』を指し、能動的に忘れる行為には使いません。ここでは、一時的な『慰め』や『気晴らし』を求める意味合いで solace を使うのが適切です。日本人は、苦痛からの逃避を『無』の状態に求める傾向がありますが、英語では一時的な心の安らぎを求める表現がより一般的です。

✖ 誤用: The old custom has fallen into complete oblivion.
✅ 正用: The old custom has faded into obscurity.

『oblivion』は『完全に忘れ去られた状態』を意味しますが、多くの場合、意図的に忘れ去られたり、歴史から抹消されたりするようなニュアンスを含みます。単に『忘れ去られた』『人々の記憶から薄れた』という場合は、obscurity(不明瞭な状態、忘れ去られた状態)を使う方が自然です。日本語の『忘却』は、単なる記憶の喪失から、歴史的な抹消まで幅広い意味を持ちますが、英語では文脈に応じて使い分ける必要があります。また、obscurity は、徐々に忘れ去られていくニュアンスをより強く表現できます。

✖ 誤用: She was in oblivion of her surroundings, engrossed in the book.
✅ 正用: She was oblivious to her surroundings, engrossed in the book.

『oblivion』は名詞であり、『〜の状態にある』という表現には通常使われません。『気づいていない』という状態を表すには、形容詞の oblivious を使う必要があります。日本語の『忘却』という言葉にとらわれ、『忘却の中にいる』という直訳的な発想からこのような誤りが生まれます。英語では、形容詞と前置詞の組み合わせ(be oblivious to)で、『〜に気づいていない』という状態を表現します。また、日本語では対象を『忘れる』という表現をすることがありますが、英語では『気づかない』という表現の方が自然な場合が多くあります。

文化的背景

「oblivion(忘却)」は、単なる記憶の喪失を超え、存在そのものの消滅、歴史からの抹消、そして魂の救済の喪失といった、深淵な文化的、精神的な意味合いを帯びています。古代から、忘却は恐るべき力であり、神々でさえ逃れられない運命として描かれてきました。

古代ギリシャ神話において、忘却の川レテ(Lethe)は、冥界を訪れる魂が過去の記憶を洗い流すために渡る川でした。この川の水を飲むことで、魂は生前の苦しみや悲しみを忘れ、新たな生へと輪廻転生できると信じられていました。しかし、同時にそれは、個としてのアイデンティティの喪失、つまり自己の消滅を意味しました。したがって、忘却は希望であると同時に、恐れられるべきものでもありました。この二面性は、西洋文化における「oblivion」の捉え方を特徴づけています。

文学作品における「oblivion」は、しばしば人間の野心や権力欲の虚しさを象徴するものとして登場します。シェイクスピアの悲劇『マクベス』では、マクベス夫人が犯した罪の意識に苛まれ、精神的に崩壊していく中で、「sweet oblivious antidote(甘美なる忘却の解毒剤)」を切望する場面があります。これは、罪悪感からの解放を願う人間の心理を描写すると同時に、忘却が一時的な救済にしかならないことを示唆しています。なぜなら、真の解決は罪を償うことによってのみ得られるからです。

現代社会においては、「oblivion」はしばしば環境破壊や戦争といった、人類の愚行によって引き起こされる破滅的な結果を指す言葉として用いられます。核戦争後の荒廃した世界を描いた映画や小説では、文明が「oblivion」へと消え去る様子が描かれます。このようなイメージは、私たちに未来への責任を自覚させ、持続可能な社会の実現に向けて努力することの重要性を訴えかけています。このように、「oblivion」は、個人の記憶から社会全体の運命まで、幅広い文脈で使用され、その意味合いは時代とともに変化し続けていますが、常に人間の存在と倫理に関わる根源的な問いを投げかけています。

試験傾向

英検

準1級以上で、主に長文読解や語彙問題で出題される可能性があります。1級ではエッセイのトピックに関連して出てくることもあります。文脈から意味を推測する問題や、類義語を選ぶ問題に注意が必要です。会話文での使用頻度は低めです。

TOEIC

TOEICでは、ビジネスシーンでの使用頻度が低い単語のため、出題される可能性は低いと考えられます。Part 7の長文読解で、稀に抽象的な内容を扱う文章で登場する程度です。もし登場しても、文脈から意味を推測できることが多いでしょう。

TOEFL

TOEFLのリーディングセクションで、アカデミックな文章の中で見られることがあります。特に、哲学、心理学、歴史などの分野で、抽象的な概念を説明する際に使われることがあります。同意語選択問題や、文脈から意味を推測する問題が出題される可能性があります。

大学受験

難関大学の長文読解で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、内容一致問題で関連する内容が問われることがあります。単語単体での出題よりも、文章全体の内容理解を問う形で出題されることが多いでしょう。文脈把握が重要です。

免責事項

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このページについて

作成:英単語学習ラボ
生成支援:Google Gemini
最終更新:2025年8月4日

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