nought
イギリス英語では /nɔːt/ と発音し、日本語の「オー」よりも口を丸めて喉の奥から出すような音です。アメリカ英語では /nɑːt/ と発音し、「アー」に近い音になります。 't' は語尾で破裂させず、舌先を上の歯茎につけたまま終わらせるようにすると、より自然に聞こえます。
ゼロ
数字の0。特にイギリス英語で使われる。アメリカ英語では'zero'が一般的。スコアや得点がない状態も指す。
Our team scored nought points in the first half, making me feel a bit sad.
私たちのチームは前半で0点だったので、少し悲しくなりました。
※ サッカーなどのスポーツで、得点が「0点」であることを表す際によく使われます。応援していたのに残念な気持ちが伝わる場面ですね。「scored nought points」は「0点を取った」という意味です。
I got nought correct answers on the difficult quiz, which surprised me.
その難しいクイズで正解が0個だったので、びっくりしました。
※ テストやクイズで「正解がゼロ」という意味で使えます。予想外の結果に驚く気持ちが伝わる場面です。「got nought correct answers」は「正解が0個だった」という意味です。
When you subtract five from five, the answer is nought.
5から5を引くと、答えは0になります。
※ 数学の計算で「0」を意味するのに使えます。非常に基本的な「ゼロ」の概念がよく分かる例文です。「the answer is nought」は「答えは0です」という意味です。
無価値な人
取るに足らない人、価値のない人を軽蔑的に指す。道徳的な意味合いを含むことが多い。
After his big mistake, he felt like a nought in the team.
大きな間違いをした後、彼はチームの中で自分が無価値な存在だと感じました。
※ この例文は、誰かが大きな失敗をしてしまい、自分自身を「何の役にも立たない」「価値がない」と感じている心の状態を描写しています。'feel like a nought' は、「無価値な人のように感じる」という、自己評価が非常に低い状況で使われる典型的な表現です。
He contributed nothing to the project, so everyone saw him as a nought.
彼はそのプロジェクトに何も貢献しなかったので、みんな彼を無価値な人だと見なしました。
※ この例文は、ある人が集団の中で全く貢献せず、周囲から「いてもいなくても同じ」「役に立たない人」と評価されている状況を示しています。'see someone as a nought' は、「〜を無価値な人だと見なす」という、他者からの評価を表す自然な言い回しです。
When she tried to speak, they treated her like a nought, ignoring her ideas.
彼女が話そうとしたとき、彼らは彼女の意見を無視し、無価値な人のように扱いました。
※ この例文は、誰かの意見や存在が全く尊重されず、軽んじられている状況を描いています。'treat someone like a nought' は、「〜を無価値な人のように扱う」という意味で、相手を無視したり、その価値を認めなかったりする行為を表すのに適しています。
コロケーション
無に帰す、失敗に終わる
※ 「nought」は「無」や「ゼロ」を意味する古風な単語で、このフレーズは努力や計画が完全に無駄になることを表します。フォーマルな文脈や文学作品でよく見られ、ビジネスシーンでは、プロジェクトが頓挫した場合などに使われることがあります。類似表現として 'come to nothing' がありますが、'come to nought' の方がやや古めかしい印象を与えます。
無視する、軽視する
※ 何かを価値がないものとして扱う、つまり全く重要視しないという意味です。法律や規則、人の意見などを意図的に無視する際に使われます。例えば、「彼は規則をset at noughtにした」のように使います。やや形式ばった表現で、日常会話よりは書き言葉や演説などで用いられることが多いでしょう。
無駄に、むなしく
※ 努力や行動が何の結果も生まない、無駄に終わることを意味します。詩的な表現や、やや古風な文章で使われることがあります。例えば、「All our efforts were for nought(私たちの努力は全て無駄だった)」のように使います。'in vain' と同様の意味ですが、'for nought' の方が格式高い印象を与えます。
破滅させる、無にする
※ 計画や希望などを完全に打ち砕き、存在しなかったかのようにしてしまうことを意味します。例えば、敵の陰謀をbring to noughtにする、のように使われます。やや古風でドラマチックな表現であり、現代英語ではあまり一般的ではありませんが、文学作品などでは見かけることがあります。
ゼロにする、無価値にする
※ 価値や影響力を完全に失わせる、または物理的にゼロの状態にすることを意味します。例えば、借金をreduce to noughtにする、のように使われます。科学的な文脈や、抽象的な概念を表現する際に用いられることがあります。
使用シーン
学術論文や数学の教科書で、特に数式やデータを扱う際に「ゼロ」を意味する言葉として用いられます。例えば、「nought point five(0.5)」のように小数点以下を示す際に使われます。また、哲学や社会学の研究で、既存の価値観やシステムを否定する文脈で「無」や「虚無」の概念を表現するために用いられることもあります。
ビジネスシーンでは、主に文書や報告書などのフォーマルな文脈で、数字の「ゼロ」を指す際に使われることがあります。口頭での会話ではほとんど使われません。例えば、在庫数がゼロであることを示す場合や、売上高がゼロであることを報告する場合などに、稀に使われることがあります。ただし、より一般的な「zero」が好まれる傾向にあります。
日常会話ではほとんど使われません。イギリス英語話者が、子供に対して「いたずらっ子」や「役に立たない人」といった意味合いで、冗談交じりに使うことがあります。例えば、「You naughty little nought!(おいたずらっ子!)」のように使われます。ただし、これは非常にくだけた表現であり、親しい間柄でのみ使われます。
関連語
類義語
- zero
「ゼロ」は数値の概念を表し、数学、科学、会計など、あらゆる分野で広く使用されます。また、温度や得点など、量が存在しない状態を示すためにも使われます。 【ニュアンスの違い】「nought」はより口語的で、特にイギリス英語で使用されます。一方、「zero」はよりフォーマルで、国際的に通用します。また、「zero」は抽象的な概念や、より深刻な状況(例:zero tolerance)にも使われます。 【混同しやすい点】「zero」は形容詞としても名詞としても使えますが、「nought」は主に名詞として使われます。また、「nought」は電話番号を言う際などにも使われることがあります(例: oh, double-oh, seven)。
- nil
「nil」は、特にスポーツのスコアで「ゼロ」を意味するために使われます。例えば、サッカーの試合結果で「2-0」は「two-nil」と表現されます。 【ニュアンスの違い】「nil」は「nought」や「zero」よりも限定的な状況で使用されます。スポーツ関連の文脈以外では、あまり使われません。また、「nil」は感情的なニュアンスをほとんど含みません。 【混同しやすい点】スポーツのスコア以外では、「nil」を使うのは不自然です。一般的な文脈では、「zero」や「nought」を使用する方が適切です。
「nothing」は「何もない」という状態を指し、物理的なものだけでなく、抽象的な概念(例:重要性、価値)に対しても使用されます。日常会話で広く使われます。 【ニュアンスの違い】「nought」が数値を表すのに対し、「nothing」は存在の欠如を表します。また、「nothing」は失望、無意味さ、無価値さなどの感情を伴うことがあります。 【混同しやすい点】「nought」は数詞として使用されるため、具体的な数量を示す文脈で使用されます。「nothing」はより広範で、抽象的な概念にも適用可能です。
「void」は「空虚」や「無効」を意味し、契約、法律、宇宙空間など、特定のものが存在しない、または効力がない状態を表します。ややフォーマルな文脈で使用されます。 【ニュアンスの違い】「nought」が単に数値のゼロを指すのに対し、「void」はより深い意味合いを持ちます。例えば、感情的な空虚さや、法的拘束力がない状態などを表します。また、「void」は「nought」よりも抽象的で、文学的な表現にも使われます。 【混同しやすい点】「void」は法律、科学、文学など、特定の専門分野で使用されることが多いです。日常会話で「nought」の代わりに「void」を使うのは不自然です。
- cipher
「cipher」は元々「暗号」を意味しますが、比喩的に「取るに足らない人」や「無価値なもの」を指すことがあります。文学的な表現や、軽蔑的な意味合いで使用されることがあります。 【ニュアンスの違い】「nought」が単なるゼロを表すのに対し、「cipher」は無意味さや無価値さを強調します。また、「cipher」はより感情的なニュアンスを含み、軽蔑や皮肉を込めて使われることがあります。 【混同しやすい点】「cipher」を「ゼロ」の意味で使うのは古風で、現代英語では一般的ではありません。暗号の意味で使われることが多いです。数値のゼロを表す場合は、「zero」や「nought」を使用する方が適切です。
- aught
「aught」は古語で「ゼロ」または「少しでも」という意味を持ちます。現代英語ではほとんど使われません。 【ニュアンスの違い】「nought」と同様に数値を表しますが、現代ではほとんど使われません。歴史的な文脈や、古い文献に触れる際に目にすることがあるかもしれません。 【混同しやすい点】現代英語では「aught」はほぼ死語であり、誤用を避けるためにも、使用は避けるべきです。「ought to」という助動詞とは全く異なる単語です。
派生語
- annul
『無効にする』という意味の動詞。ラテン語の『ad nullum(無へ)』に由来し、『nought』の語源である『nullus(ゼロ)』と関連する。法律や契約など、正式な文書で使われることが多い。
- nullify
『無効にする』という意味の動詞。『null』に『-ify(〜にする)』が付いた形。法律用語として、条約や法律を無効にする際に使われる。また、比喩的に効果を打ち消す意味でも用いられる。
『無効な』『ゼロの』という意味の形容詞。プログラミングでは『値がない』状態を表すキーワードとしても使われる。学術的な文脈や技術的な分野で頻繁に登場する。
反意語
『すべてのもの』という意味の名詞。『nought』が『無』を表すのに対し、全存在を指す。日常会話から哲学的な議論まで、幅広い文脈で使われる。特に『nought』を『無価値なもの』と解釈する場合に、その対比が際立つ。
『何か』という意味の名詞。『nought』が『何もない』状態を示すのに対し、存在や価値の有無を問わず、何らかの存在を意味する。漠然とした存在を示す場合に用いられ、日常会話で頻繁に使われる。
『すべて』という意味。nought が「無」や「ゼロ」を表すのに対し、「all」は全体や完全を表し、対義語として機能する。例えば、「all or nought(全か無か)」という表現は、両者の対立を明確に示している。
語源
"Nought"は、古英語の"nāwiht"に由来します。これは"nā"(no、not)と"wiht"(thing、creature)が組み合わさったもので、「何もないもの」「無」という意味を表していました。"Wiht"は現代英語の"wight"(生き物、人)と同語源ですが、古英語ではより広い意味を持っていました。つまり、"nought"は文字通りには「何もない生き物」ではなく、「何もないもの」を意味します。この「何もない」という概念から、ゼロや無価値な人という意味に発展しました。日本語で例えるなら、「無」という漢字が「何もない」状態から、価値がないことや、数学的なゼロを表すようになったのと似ています。
暗記法
「nought」は単なるゼロではない。無価値、無力、虚無を象徴する言葉だ。シェイクスピア劇では、登場人物の価値を貶める隠喩として使われ、リア王は権力喪失の中で「nought」を嘆いた。ゲームでは敗北を意味し、努力が無駄に終わった失望感も表す。現代では古風だが、無常観や虚無感を伝える文化的遺産。単なる数字を超え、感情や社会背景と結びついた言葉、それが「nought」なのだ。
混同しやすい単語
『nought』と発音が非常に似ており、アメリカ英語では特に区別が難しい。スペルも一文字違い。『naught』は『無価値なもの』『無』という意味で、やや古風な表現。文脈によっては『nought』の過去形/過去分詞として使われることもあるので注意。
発音記号は異なりますが、日本語話者には母音の区別がつきにくい場合があります。スペルも 'no-'と 'kn-' で始まり似ています。『knot』は『結び目』という意味で、名詞または動詞として使われます。'kn-' は発音しないという英語のルールを覚えておくことが重要です。
発音が似ており、特に早口の場合や、文脈によっては混同しやすい。スペルも非常に似ている。『not』は否定を表す副詞であり、文法的に全く異なる役割を果たします。文脈をよく読み、否定の意味があるかどうかを判断することが重要です。
発音が似ており、特に弱形(/'ɔːt/)で発音される場合は区別が難しい。スペルも 'ough' の部分が共通している。『ought』は『~すべき』という意味の助動詞であり、後に to 不定詞を伴います。文法的な構造が異なるため、注意が必要です。
『ought』と同様に、'ough' のスペルが共通しており、発音も似ているため混同しやすい。『thought』は『考え』という意味の名詞、または『think』の過去形・過去分詞です。文脈から名詞か動詞かを判断し、意味の違いを理解することが重要です。
イギリス英語のスラングで『nothing』を意味し、発音が『nought』と非常に近い。スペルも似ているため、イギリス英語に触れる機会が多い学習者は特に注意が必要。フォーマルな場面では使われないため、使用する際には注意が必要です。
誤用例
『nought』は『ゼロ』を意味しますが、フォーマルな文脈やビジネスシーンでは、より一般的な『nil』や『zero』が好まれます。『nought』は古風な印象を与えるため、現代的なビジネスの進捗状況を説明する際には不自然に聞こえる可能性があります。日本人が『無』や『ゼロ』を表現する際に、形式ばった単語を選びがちな傾向が、この誤用の一因と考えられます。英語では、状況に応じて適切なレジスター(言葉遣いのレベル)を選ぶことが重要です。
『came to nought』は『無駄に終わった』という意味ですが、『came to nothing』の方がより一般的で自然な表現です。特に感情を伴う文脈では、『nothing』の方がストレートに気持ちを伝えられます。『nought』はやや古めかしい響きがあり、日常会話ではあまり使われません。日本人が『努力が水の泡になった』という感情を表現する際に、格調高い表現を選びがちな傾向が、この誤用につながる可能性があります。英語では、感情表現はストレートかつ自然であることが好まれます。
『nought』は名詞として『ゼロ』や『無』を意味しますが、『重要でない存在』を表すには『insignificant』が適切です。この誤用は、日本語の『無価値』や『取るに足らない』という言葉を直訳しようとする際に起こりがちです。英語では、自己評価や自己認識を表す場合、より具体的な形容詞を使用することで、ニュアンスを正確に伝えることができます。また、『nought』を人に対して使うと、やや非人間的な印象を与える可能性もあります。
文化的背景
「nought」は単なる数字のゼロではなく、無価値、無力、そして虚無そのものを象徴する言葉として、英語圏の文化に深く根付いています。その響きは、古英語の「nawiht(何も無い)」に由来し、存在しないことへの畏怖や、儚さを連想させるのです。
中世の時代、noughtは単に数を表すだけでなく、社会的地位の低さや、道徳的な欠如を示す隠喩としても用いられました。例えば、シェイクスピアの劇中では、登場人物の価値を貶めるために「nought」が使われることがあり、それは単なる数字以上の意味合いを持っていました。「King Lear」では、リア王が自身の権力を失い、精神的に追い詰められる中で、「nought」という言葉を繰り返し口にし、自身の存在意義の喪失を嘆きます。この用法は、noughtが単なる無ではなく、失われたもの、奪われたもの、そして取り返しのつかない喪失感を伴う概念として捉えられていたことを示唆しています。
また、noughtはしばしばゲームや賭け事の世界で、敗北や無得点を意味します。ダーツのスコアボードで「nought」が表示されることは、プレイヤーにとって屈辱であり、その響きは嘲笑や失望と結びついています。このイメージは、noughtが単なる数字ではなく、競争社会における敗者の烙印として機能していることを示しています。さらに、noughtは、目標を達成できなかったこと、努力が無駄に終わったことへの落胆を表現する際にも用いられます。例えば、「His efforts came to nought(彼の努力は無駄に終わった)」という表現は、単に結果がゼロだったというだけでなく、その背後にある失望感や徒労感を強調します。
現代英語では、noughtはやや古風な表現となりつつありますが、その文化的意義は失われていません。特に、ブリティッシュ・イングリッシュでは、noughtは依然として日常会話や文学作品の中で見られ、その響きは、無常観や虚無感を伴う、独特のニュアンスを伝えます。noughtは、単なるゼロという記号を超え、人間の感情や価値観、そして社会的な背景と深く結びついた、豊かな文化的遺産なのです。
試験傾向
この単語は英検では出題頻度は低めです。もし出題されるとすれば、準1級以上の長文読解で、古風な言い回しとして使われる可能性があります。会話表現としてはまず出てきません。
TOEICではほとんど出題されません。ビジネスの文脈で「無」「ゼロ」を意味する他の単語(zero, nil)が優先的に使われるためです。
TOEFLでも出題頻度は非常に低い単語です。アカデミックな文脈でも、より一般的なzeroやnothingが使われるため、対策としての優先度は低いです。
大学受験でも、この単語が出題される可能性は低いでしょう。より一般的な語彙の習得に力を入れる方が効率的です。もし出題された場合は、文脈から意味を推測する能力が問われるでしょう。