modernism
第一音節に強勢があります。/ɒ/ は日本語の『ア』と『オ』の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。/r/ は舌を丸める音で、発音記号に( )が付いている場合は、アメリカ英語のように発音しないことも可能です。最後の 'm' は唇をしっかりと閉じて発音しましょう。
革新主義
伝統的な価値観や様式からの脱却を志向する、芸術・文化・思想における運動や潮流。過去の否定と新しい表現の追求が特徴。建築、文学、美術など幅広い分野に影響を与えた。
The new building's sharp lines clearly showed the spirit of modernism.
新しい建物のシャープな線は、明らかに革新主義の精神を示していました。
※ この例文は、建築における「modernism」(革新主義)を視覚的に捉える場面を描いています。従来の装飾的な建築とは異なり、機能性やシンプルな美しさを追求する新しいスタイルが「革新主義」として現れた様子が伝わります。"spirit of ~" は「~の精神」という意味で、その考え方や特徴を表す際によく使われます。
Her presentation pushed for modernism in how we work.
彼女のプレゼンテーションは、私たちの働き方に革新主義を推し進めました。
※ この例文は、ビジネスや組織の中で、伝統的なやり方を変えて新しい方法を取り入れようとする「modernism」(革新主義)の場面を示しています。例えば、古い紙の書類をデジタル化したり、会議の進め方を変えたりするような、より効率的で現代的な働き方を提案する様子が想像できます。「push for ~」は「~を強く主張する」「~を推進する」という意味で、何か新しいことを積極的に導入しようとする状況でよく使われます。
Many writers started to explore modernism in their novels.
多くの作家が小説の中で革新主義を探求し始めました。
※ この例文は、文学作品における「modernism」(革新主義)の動きを描いています。従来の物語の形式や表現方法にとらわれず、新しい語り口やテーマ、心理描写などを試みる作家たちの姿勢が伝わります。読者が新しい小説を手に取ったときに感じる「これまでのものとは違う」という感覚が、まさに「modernism」の体験です。「explore ~」は「~を探求する」「~を模索する」という意味で、新しい分野や方法に挑戦する際に使われます。
現代性
現代社会特有の価値観、技術、生活様式。伝統との対比で語られることが多い。変化の速さ、多様性、グローバル化などが特徴。
Walking through the old town, I felt a touch of modernism in the new art museum.
古い街を歩いていると、新しい美術館に現代性を感じました。
※ この例文は、古いものと新しいものが混在する中で、「現代性」がどのように感じられるかを描いています。特に建築やデザインの分野で、新しさや斬新さを表現する際によく使われる「modernism」の典型的な使い方です。「a touch of modernism」で「少し現代的な要素」というニュアンスが出ます。
The artist explored modernism in her latest series of paintings, using bold colors.
その芸術家は、大胆な色を使い、最新の絵画シリーズで現代性を追求しました。
※ ここでは、「modernism」が芸術作品における新しい表現やスタイル、思想を指しています。特に絵画や文学、音楽などの分野で、伝統的な形式にとらわれない革新的な動きを指す際によく使われます。「explore modernism」で「現代性を探求する」という、創造的な行為がよく表現されています。
This new policy aims to bring modernism into our traditional education system.
この新しい政策は、私たちの伝統的な教育システムに現代性をもたらすことを目指しています。
※ この例文は、「modernism」が単なる外見だけでなく、考え方やシステム、社会のあり方における「現代的な進歩」や「刷新」を意味することを示しています。教育や社会制度など、より抽象的な分野で「時代に合った新しいやり方」を導入する文脈で使われます。「bring modernism into...」で「〜に現代性をもたらす」という、変化を促す様子が伝わります。
現代的な
時代に即した、最新の、という意味合い。古臭さや旧弊さを排除し、洗練されたイメージを伴うことが多い。デザイン、技術、考え方など幅広い対象に使用される。
She really liked the modern design of the chair in the store.
彼女は店で、その椅子の現代的なデザインがとても気に入った。
※ 家具店で、目を引く椅子を見つけ、そのデザインが「今風で素敵だな」と感じる場面です。「modern design」は「現代的なデザイン」としてよく使われる表現で、新しい、スタイリッシュなものに対して使います。
The city built a new, modern building with lots of glass.
その市は、ガラスをたくさん使った新しくて現代的なビルを建てた。
※ 街を歩いていると、きらきらと光るガラス張りの新しいビルが目に入り、「ずいぶんモダンな建物ができたな」と感じる場面です。「modern building」は、最新の技術やデザインを取り入れた建物を指します。「new」と一緒に使うことで、新しさと現代的な特徴を両方表せます。
Students today use modern technology to learn English.
今日の生徒たちは、英語を学ぶために現代のテクノロジーを使っています。
※ 昔は辞書や教科書だけだったけれど、今はスマホやPC、アプリなどを使って学習する、そんな時代の変化を感じる場面です。「modern technology」は「最新のテクノロジー」や「現代の技術」という意味で、非常によく使われる組み合わせです。古いやり方ではなく、今の進んだ方法を指します。
コロケーション
高度モダニズム
※ 建築、都市計画、社会理論において、20世紀中頃に隆盛した、合理性、機能性、全体性を極端に追求する傾向を指します。ル・コルビュジエの都市計画などが代表例です。単なる「モダニズム」よりも、その理想主義的・ユートピア的な側面が強調される場合に用いられます。しばしば、その非人間性や画一性に対する批判と結び付けられます。建築史や都市計画の文脈で頻繁に使われます。
後期モダニズム
※ モダニズムの終焉期、あるいはポストモダニズムへの移行期に見られる芸術や思想の傾向を指します。モダニズムの原則を維持しつつも、その限界を自覚し、自己批判的な要素を取り入れている点が特徴です。たとえば、抽象表現主義の晩年の作品群などが該当します。「モダニズム」の単純な否定ではなく、その延長線上にある複雑な動きとして捉えるニュアンスがあります。美術史や文学研究で用いられます。
モダニズムの企て
※ モダニズムが共有していた、理性、科学、進歩への信仰に基づき、社会や文化を根本的に変革しようとする試みを指します。啓蒙思想に端を発し、産業革命を経て、20世紀の芸術、建築、社会思想に大きな影響を与えました。単に個別の芸術運動を指すのではなく、より広範な文化的・歴史的文脈におけるモダニズムの意義を強調する際に用いられます。哲学、社会学、文化研究などでよく見られる表現です。
モダニズムとその不満
※ モダニズムがもたらした進歩や合理性に対する、同時に生じた疎外感、不安、精神的な危機などを指します。フロイトの著作『文明とその不満』を想起させる表現で、モダニズムの光と影の両面を捉えようとする際に用いられます。単に「モダニズム」を賞賛するのではなく、その負の側面や矛盾を指摘する際に用いられます。文学、哲学、社会学などで頻繁に使われます。
モダニズムに挑戦する
※ モダニズムの前提、価値観、表現方法に対して批判的な立場をとることを意味します。ポストモダニズムの文脈でよく用いられ、モダニズムの権威や普遍主義に対する異議申し立てを伴います。例えば、「ポスト構造主義はモダニズムの合理性をchallengeする」のように使われます。学術的な議論や批評においてよく見られる表現です。
モダニズムを再評価する
※ 過去のモダニズムの遺産を、現代の視点から見直し、新たな価値や意義を見出すことを意味します。単に「モダニズム」を否定するのではなく、その功績や限界を認識した上で、今後の可能性を探るニュアンスがあります。歴史修正主義的な文脈で用いられることもあります。美術史、建築史、文学研究などでよく使われます。
モダニズム批判
※ モダニズムの思想、芸術、社会への影響に対する批判的な分析や評価を指します。モダニズムの持つ権威主義、エリート主義、非人間性などが批判の対象となることが多いです。例えば、「ハーバーマスはモダニズムの公共性の概念をcritiqueした」のように使われます。哲学、社会学、文化研究などで頻繁に使われます。
使用シーン
人文科学、社会科学、建築学などの分野で頻繁に使用されます。例えば、美術史の講義で「モダニズム建築の特徴は〜である」と説明したり、文学研究で「〜の作品にはモダニズム文学の影響が見られる」と論文で論じたりする際に使われます。学術論文や学会発表など、フォーマルな文脈で用いられることが多いです。
デザイン、マーケティング、ブランディングなどの分野で、革新的なアプローチや現代的な戦略を指す際に使用されます。例えば、新しいウェブサイトのデザインについて議論する際に「モダニズムのデザインを取り入れる」と提案したり、企業の戦略会議で「モダニズムの考え方を参考に、新しい顧客層を開拓する」と発表したりする場面が考えられます。やや専門的な用語として扱われることが多いです。
日常会話ではあまり使われませんが、美術館やギャラリーで現代美術を鑑賞したり、インテリア雑誌でモダンな家具やデザインについて読んだりする際に、「モダニズム」という言葉に触れることがあります。例えば、友人との会話で「この美術館の展示、モダニズムの影響が強いよね」と感想を述べたり、インテリアショップで「モダニズムなデザインの照明を探しているんです」と店員に伝えたりする場面が考えられます。
関連語
類義語
- modernity
「現代性」や「近代」を指す。社会、技術、文化の進歩や変化全般を指し、客観的な状態を表すことが多い。学術的な文脈や社会科学、歴史学などでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】「modernism」は、特定の芸術や思想運動を指すのに対し、「modernity」はより広範な社会・文化的な状況を指す。後者は価値判断を含まないことが多いが、前者は時に肯定的な評価を伴う。 【混同しやすい点】「modernity」は不可算名詞として使われることが多く、具体的な運動やスタイルを指す「modernism」とは異なり、抽象的な概念を表す。日本語の「近代」と「現代」の区別を意識すると理解しやすい。
- avant-garde
「前衛」を意味し、芸術や文化において革新的、実験的、または型破りなものを指す。常に新しい表現を追求し、既存の規範に挑戦する姿勢を強調する。芸術批評や文化研究で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】「modernism」は必ずしも急進的な変革を意味しないが、「avant-garde」はより意識的に伝統や主流から逸脱しようとする。後者は、しばしば社会的な抵抗や批判を伴う。 【混同しやすい点】「avant-garde」はフランス語由来の言葉であり、英語では形容詞としても名詞としても使用される。芸術運動の文脈では「modernism」の一つの側面として捉えられることもあるが、より過激で実験的な性質を持つ。
「現代の」「同時代の」という意味で、現在存在するものや、ある特定の時代に共通して存在したものを指す。美術、音楽、文学など、幅広い分野で用いられる。 【ニュアンスの違い】「modernism」がある程度の歴史的文脈を持つ芸術運動を指すのに対し、「contemporary」はより現在に近い時期のものを指す。後者は、必ずしも革新性や特定のイデオロギーを伴わない。 【混同しやすい点】「contemporary art」は「現代美術」と訳されるが、必ずしも「modernism」の延長線上にあるとは限らない。両者は時代区分や価値観において異なる場合がある。
- postmodernism
「ポストモダニズム」は、「モダニズム」の後に現れた思想や文化の潮流を指す。脱構築、相対主義、アイロニーなどを特徴とし、現代思想や文化研究において重要な概念である。 【ニュアンスの違い】「modernism」が普遍的な価値や合理性を重視するのに対し、「postmodernism」はそれらを批判し、多様性や多角的な視点を強調する。両者はしばしば対立する概念として議論される。 【混同しやすい点】「postmodernism」は「modernism」の単純な否定ではなく、その反省や批判を含む複雑な関係にある。日本語では両方とも「現代主義」と訳されることがあるため、文脈に注意が必要である。
- futurism
「未来派」は、20世紀初頭にイタリアで起こった芸術運動であり、速度、機械、暴力などを称賛した。技術革新や都市生活への熱狂的な支持を表明し、絵画、彫刻、文学、演劇など、幅広い分野に影響を与えた。 【ニュアンスの違い】「modernism」の一つの流れとして捉えられることもあるが、「futurism」はより極端で破壊的な傾向を持つ。伝統的な価値観を徹底的に否定し、未来への盲目的な信仰を掲げた。 【混同しやすい点】「futurism」は特定の時代と場所に強く結びついた芸術運動であり、「modernism」よりも狭義の概念である。その政治的な側面(ファシズムとの関係など)も考慮する必要がある。
「現実主義」は、ありのままの現実を忠実に描写しようとする芸術や文学の傾向を指す。社会の不条理や人間の苦悩を赤裸々に描き出すことが多く、19世紀の文学運動として特に重要である。 【ニュアンスの違い】「modernism」が主観的な表現や抽象化を重視するのに対し、「realism」は客観的な描写を追求する。両者は表現方法や芸術観において対照的な立場にある。 【混同しやすい点】「realism」は「modernism」以前の時代に隆盛した芸術運動であるが、現代においても影響力を持つ。両者は必ずしも排他的な関係ではなく、相互に影響を与え合っている。
派生語
- modernist
『モダニズムの』または『モダニスト』を意味する。形容詞としては、モダニズムの傾向を持つ芸術や思想を指し、名詞としては、モダニズムを支持する人(芸術家、思想家など)を指す。学術論文や文芸批評で頻繁に使用され、ある特定の立場や信条を表す。
『現代化する』という意味の動詞。社会、技術、文化などを現代の基準や様式に適合させるプロセスを示す。ビジネス、政治、技術分野で広く使用され、改革や進歩の文脈で用いられる。接尾辞『-ize』は動詞化を表す。
- modernity
『現代性』という意味の名詞。現代社会の特質や状態、現代的な考え方や価値観を指す抽象概念。社会学、哲学、文化研究などの学術分野で頻繁に用いられ、時代精神や社会構造の変化を議論する際に重要な概念となる。
反意語
- traditionalism
『伝統主義』という意味。社会や文化において、伝統的な価値観や慣習を重視し、維持しようとする思想や運動を指す。モダニズムが革新や変化を重視するのに対し、伝統主義は過去の遺産を尊重する点で対立する。政治、宗教、文化などの文脈で使用される。
- conservatism
『保守主義』という意味。既存の社会秩序や制度を維持し、急激な変化を避けることを重視する思想。モダニズムが既存の価値観に挑戦するのに対し、保守主義は伝統的な価値観を重視する点で対立する。政治や社会政策の議論で頻繁に使用される。
語源
「modernism」は、「modern(現代の)」に「-ism(主義、傾向)」が付いた言葉です。「modern」自体は、ラテン語の「modo(つい今しがた)」に由来し、さらに遡ると「modus(様式、方法)」という語にたどり着きます。「modus」は、物事の測り方や適切な範囲を示す言葉で、それが「今」という時代を区切り、その時代特有の様式や考え方を指す「modern」へと発展しました。「-ism」は、特定の思想や運動を表す接尾辞で、「社会主義(socialism)」や「資本主義(capitalism)」など、様々な「主義」を形成します。したがって、「modernism」は、「現代」という時代精神や、それに根ざした芸術、文化、思想の革新的な傾向を意味する言葉として理解できます。ちょうど、時代劇で「今風(いまふう)の髪型」が話題になるように、「今」という時代の最先端を追求する姿勢が「modernism」の本質と言えるでしょう。
暗記法
モダニズムは、20世紀初頭、伝統からの決別を掲げた芸術革命。第一次世界大戦後の価値崩壊、科学技術の進歩、都市化が背景にありました。文学では『荒地』や『ユリシーズ』が、映画ではドイツ表現主義が、人々の内面や社会の疎外感を斬新な手法で表現。建築では、ル・コルビュジエらが機能美を追求し、都市景観を一変させました。モダニズムは単なる芸術運動を超え、社会の価値観や思想に深く影響を与え、現代社会の基盤を築いたのです。
混同しやすい単語
『modernism』と『modern』は、語幹が同じで非常によく似た単語ですが、品詞と意味が異なります。『modern』は形容詞で『現代的な』という意味です。一方、『modernism』は名詞で『モダニズム(現代主義)』という思想や芸術運動を指します。日本人学習者は、文脈に応じて品詞と意味を区別する必要があります。例えば、『modern art』は『現代美術』ですが、『modernism』は特定の芸術運動を指します。
『modernism』と『moderation』は、スペルの一部が似ており、特に語尾の '-tion' は名詞を作る接尾辞として共通しています。『moderation』は『節度』や『穏健さ』という意味で、まったく異なる概念を表します。また、発音もストレスの位置が異なるため注意が必要です。『moderation』は第二音節にストレスがあります。
『modernism』と『monism』は、語尾の '-ism' が共通しており、どちらも思想や主義を表す名詞です。『monism』は『一元論』という意味で、哲学や宗教の分野で使われます。発音も似ていますが、意味は全く異なるため、文脈から判断する必要があります。'-ism' は、多くの思想を表す単語に使われることを覚えておくと役立ちます。
『modernism』と『mechanism』は、スペルの一部(m, n, i)が共通しており、どちらも '-ism' で終わる名詞です。『mechanism』は『機械装置』や『仕組み』という意味で、具体的な物を指すことが多いです。一方、『modernism』は抽象的な概念を表します。発音もストレスの位置が異なるため(mechanismは第一音節)、注意が必要です。
『modernism』と『tourism』は、どちらも '-ism' で終わる名詞で、スペルの一部が似ています。『tourism』は『観光(業)』という意味で、旅行に関連する言葉です。発音も似ていますが、意味は全く異なるため、文脈から判断する必要があります。'-ism' は、抽象的な概念だけでなく、活動や産業を表す単語にも使われることがあります。
『modernism』と『postmodernism』は、接頭辞 'post-' が付いているかどうかだけの違いで、意味的にも関連が深いです。『postmodernism』は『ポストモダニズム』という意味で、『モダニズム』の後に現れた思想や芸術運動を指します。日本人学習者は、『post-』が『〜の後』という意味を持つことを覚えておくと、単語の意味を推測するのに役立ちます。
誤用例
日本語の『現代的な』という言葉を安易に『modernist』と訳してしまう誤用です。『modernist』は、建築、文学、芸術などの分野における『モダニズム』運動(20世紀初頭〜中期)を指す言葉であり、単に『現代的な』という意味ではありません。環境配慮型の建築を指す場合は、単に『modern』を使うのが適切です。日本人は、カタカナ語の『モダニズム』から、より広い意味での『現代的』を連想しがちですが、英語の『modernist』は、特定の思想や様式を指す専門用語に近いニュアンスを持つことを理解する必要があります。
ここでも『modernist』を『現代的な』という意味で使おうとしていますが、不自然です。結婚観について述べる場合、単に『現代的な』という意味合いを伝えたいのであれば、『progressive(進歩的な)』、『contemporary(現代的な)』などがより適切です。『modernist』は、特定の思想体系を指すため、個人の意見や考え方を表す場合にはそぐわない場合があります。日本語の『現代的』は、様々な意味合いを含む便利な言葉ですが、英語に直訳する際には、文脈に応じて適切な単語を選ぶ必要があります。また、日本人は『新しい=良い』という価値観を持ちがちですが、英語では『progressive』のように、進歩的なニュアンスを明確に表現する言葉を選ぶ方が、意図が伝わりやすいです。
『antique』は、古美術品や骨董品のように、価値のある古いものを指します。『modernist movement』は、歴史的な出来事や過去の芸術運動として扱われるべきであり、価値の有無は関係ありません。したがって、『historical』という言葉を使う方が適切です。日本人は、古いものを一括りにして『アンティーク』と表現しがちですが、英語では、古いものの種類や価値によって、適切な言葉を選ぶ必要があります。特に、学術的な文脈では、正確な言葉を選ぶことが重要です。また、日本語の『今となってはアンティークだね』のような、少し皮肉めいたニュアンスを英語で表現したい場合は、別の表現を検討する必要があります。
文化的背景
「モダニズム」は、伝統からの決別と新しい表現への挑戦を象徴し、20世紀初頭の社会変革と芸術革新の時代精神を体現する言葉です。それは、第一次世界大戦後の価値観の崩壊、科学技術の進歩、都市化の進展といった要因が複雑に絡み合い、人々の意識や生活様式に大きな変化をもたらした時代に、芸術、文学、建築など様々な分野で花開きました。
モダニズム文学においては、T.S.エリオットの『荒地』やジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』などが代表的な作品として挙げられます。これらの作品は、従来の物語構造や文体を破壊し、意識の流れや内面の葛藤を実験的な手法で表現しました。登場人物の内面世界を深く掘り下げ、社会の疎外感や不安を描き出すことで、読者に新たな視点を提供したのです。また、映画の世界では、ドイツ表現主義の映画や、フランスのヌーヴェルヴァーグなどが、モダニズムの精神を受け継ぎ、映像表現の可能性を広げました。これらの映画は、従来の物語性や演出にとらわれず、実験的な映像技法や斬新なストーリー展開によって、観客に強烈な印象を与えました。
モダニズム建築は、装飾を排し、機能性を重視するシンプルなデザインが特徴です。ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエなどが代表的な建築家として知られています。彼らは、鉄やガラスといった新しい素材を積極的に利用し、都市の景観を一変させるような革新的な建築物を創造しました。モダニズム建築は、合理性や効率性を追求する現代社会の象徴として、世界中の都市に広がり、人々の生活空間に大きな影響を与えました。しかし、その一方で、均質化された都市景観や、人間性の喪失といった批判も存在します。
モダニズムは、単なる芸術運動にとどまらず、社会全体の価値観や思想に大きな影響を与えました。伝統的な権威や価値観に対する懐疑、個人の自由や自律性の重視、そして未来への希望といった要素が複雑に絡み合い、現代社会の基盤を形成する上で重要な役割を果たしたのです。モダニズムの精神は、現代においても、芸術、文学、建築など様々な分野で受け継がれており、常に新しい表現や価値観の創造を促しています。それは、過去を否定し、未来を切り開こうとする人間の創造的なエネルギーの源泉と言えるでしょう。
試験傾向
準1級以上で出題される可能性あり。1. **出題形式:** 長文読解、語彙問題。2. **頻度と級・パート:** 準1級、1級。3. **文脈・例題の特徴:** 社会、文化、芸術に関するアカデミックな内容。4. **学習者への注意点・アドバイス:** 名詞としての意味(モダニズム)と、形容詞(modernistic:モダニズムの)の区別を意識する。関連語(modern, modernity)との違いも重要。
出題頻度は高くない。1. **出題形式:** 主にPart 7(長文読解)。2. **頻度と級・パート:** 700点以上を目指す場合に意識。3. **文脈・例題の特徴:** ビジネスにおける変化、新しい技術、組織論などに関連する文脈で稀に出題される。4. **学習者への注意点・アドバイス:** TOEIC対策としては優先順位は低いが、一般的な語彙力として知っておくべき。ビジネス英語における「現代化」の文脈で使われることが多い。
頻出語彙。1. **出題形式:** リーディングセクション(長文読解)。2. **頻度と級・パート:** TOEFL iBT。3. **文脈・例題の特徴:** 芸術、文学、建築、思想史など、アカデミックな内容で頻繁に出題される。4. **学習者への注意点・アドバイス:** 文脈から意味を推測する練習が重要。関連する思想や歴史的背景を理解しておくと有利。抽象的な概念を扱うため、具体的な例と結びつけて理解する。
難関大学で出題される可能性あり。1. **出題形式:** 主に長文読解。2. **頻度と級・パート:** 難関国公立大学、私立大学。3. **文脈・例題の特徴:** 社会学、文化史、芸術論など、評論や論説文で扱われることが多い。4. **学習者への注意点・アドバイス:** 文脈把握が重要。単語の意味だけでなく、文章全体のテーマや論旨を理解する必要がある。背景知識があると有利。