realism
第一音節に強勢があります。/iː/ は、日本語の「イー」よりも口を左右に引き、長めに発音します。「ズム」の /z/ は有声音ですので、喉を震わせるように発音しましょう。また、最後の /əm/ は曖昧母音で弱く短く発音します。日本語の「ム」のように唇を閉じないように注意してください。
現実主義
理想や願望ではなく、現実を直視し、客観的に判断・行動する考え方。政治、芸術、哲学など幅広い分野で使われる。夢見がちな考え方や感情的な判断の対極にある。
He always dreams big, but this time, a little **realism** is needed for our project.
彼はいつも大きな夢を抱くけれど、今回は私たちのプロジェクトには少し現実主義が必要だ。
※ この例文は、夢や理想ばかりを追うのではなく、具体的な計画や目標を立てる際に「現実的な視点」が求められる場面を描いています。予算や時間などの制約がある中で、地に足の着いた考え方をする大切さを表す、とても典型的な使い方です。「a little realism」で「少しの現実主義」のように、量を示す言葉と組み合わせて使われることもよくあります。
After the team lost the game, the coach spoke with **realism** about their performance.
チームが試合に負けた後、コーチは彼らのパフォーマンスについて現実主義を持って話した。
※ この例文は、厳しい状況や失敗に直面した際に、感情的にならずに事実を冷静に受け止める態度を表しています。コーチが選手たちに、美辞麗句ではなく、実際のパフォーマンスの問題点を率直に伝えている情景が目に浮かびます。「speak with realism」で「現実的に話す」「現実を直視して話す」という意味になり、ビジネスやスポーツの場面でよく使われる表現です。
The new movie showed the harsh **realism** of city life, making many people think.
その新しい映画は、都会の生活の厳しい現実主義を描き出し、多くの人に考えさせた。
※ この例文は、芸術作品(映画、小説、絵画など)が、理想化された世界ではなく、社会のありのままの姿や、人間の苦悩など厳しい現実を正直に描写する文脈で使われます。映画を見た人が、その内容に深く考えさせられる様子が伝わります。「harsh realism」のように、形容詞(harsh: 厳しい)と組み合わせて、どのような「現実主義」なのかを具体的に示すことも一般的です。
写実主義
芸術や文学において、現実をありのままに、詳細かつ客観的に描写しようとする傾向。理想化や美化を避け、日常的な光景や人物を忠実に再現する。
The painter used so much realism that the fruit in the picture looked truly real.
その画家はとても写実主義的に描いたので、絵の中の果物が本当に本物のように見えました。
※ 美術館で絵を見た時、「まるで本物みたい!」と驚く情景を想像してください。この例文は、絵画や彫刻などが、まるで現実にあるかのように精密に描かれている芸術のスタイル、つまり「写実主義」を表しています。
The old novel was famous for its realism, showing the difficult lives of ordinary people.
その古い小説は写実主義で有名で、普通の人々の困難な生活を描いていました。
※ この例文は、小説や映画などの物語が、現実の世界や人々のありのままの姿を忠実に描写する「写実主義」の側面を捉えています。読書中に、登場人物の生活がまるで自分のことのように感じられるような場面です。
Many artists in the 19th century adopted realism to show the world exactly as it was.
19世紀の多くの画家は、世界をありのままに描くために写実主義を取り入れました。
※ これは、美術史の授業で特定の芸術運動について学ぶような場面です。「写実主義」が、理想化せずに現実を直視し、社会の姿をそのまま表現しようとした芸術家たちの姿勢を示す言葉として使われています。
現実的な
物事を理想ではなく、実際に即して考えるさま。実現可能かどうかを重視するニュアンスを含む。例:a realistic plan(現実的な計画)
His plan for the new project was very realistic and everyone could agree with it.
彼の新しいプロジェクトの計画はとても現実的で、みんながそれに賛成できました。
※ この文では、計画が「実現可能で、理にかなっている」という意味で使われています。会議やビジネスの場で、具体的な提案や目標について話す時によく使われる表現です。学習者の方へ:ご指定の「realism」は名詞で「現実主義」という意味です。「現実的な」という形容詞は「realistic」が正しいです。ここでは、あなたの意図に合わせて「realistic」を使っています。
The artist painted a very realistic picture of the old street, making me feel like I was there.
その画家は古い通りのとても写実的な絵を描き、まるで私がそこにいるような気持ちになりました。
※ ここでは、絵画や写真、映画などが「本物そっくりで、現実感がある」という意味で使われています。作品を見て感動した時や、その描写の正確さを伝える際によく用いられます。「realistic」は、視覚的な表現のリアルさを表すのにも適しています。
It's important to have realistic expectations when you start a new challenge in life.
人生で新しい挑戦を始める時は、現実的な期待を持つことが大切です。
※ この文では、「非現実的な夢ではなく、実際に起こりうる範囲で物事を考える」という意味で使われています。アドバイスをしたり、誰かに教訓を伝えたりする場面でよく用いられます。期待や目標を持つ際に、地に足の着いた考え方をするよう促す表現です。
コロケーション
生々しい現実主義、赤裸々な現実描写
※ 「gritty」は「ざらざらした」「不快な」という意味で、現実の厳しさや醜さを隠さず、ありのままに描くリアリズムを強調する際に用いられます。特に映画、文学、演劇などの分野で、社会の暗部や人間の本性を容赦なく描写する作品を指して使われることが多いです。例えば、犯罪、貧困、薬物依存といったテーマを扱う作品が該当します。単に「realistic」と言うよりも、より強烈で衝撃的な印象を与えます。
社会主義リアリズム、社会現実主義
※ 特定の政治的・社会的なイデオロギー(特に社会主義)に基づいて、現実を理想化して描く芸術運動を指します。労働者階級の生活や社会変革の過程を肯定的に表現することが特徴です。歴史的には、ソ連や中国などの社会主義国家で盛んに推進されました。単なる現実の描写ではなく、特定の思想を広めるためのプロパガンダ的な側面も持ち合わせています。美術史や政治史の文脈でよく登場する言葉です。
経済的現実主義
※ 経済政策や市場の動きを、感情や理想論ではなく、客観的なデータや合理的な分析に基づいて判断しようとする考え方です。例えば、財政赤字の削減、規制緩和、自由貿易の推進などが、経済的現実主義に基づく政策として挙げられます。政治や経済の分野でよく使われ、「political realism(政治的現実主義)」と並んで、国際関係や国内政策を議論する際の重要な視点となります。理想論ではなく、現実的な制約を考慮に入れる点が特徴です。
現実を直視すること、現実味
※ "a dose of"は「一服の~」という意味で、苦い薬を飲むように、目を背けたくなるような現実を受け入れることを意味します。例えば、非現実的な計画や甘い期待に対して、「a dose of realism is needed(現実を直視する必要がある)」のように使われます。ビジネスシーンや個人的な目標設定など、様々な場面で用いられる表現です。夢や理想を追求するだけでなく、現実的な視点を持つことの重要性を示唆しています。
冷酷な現実主義、厳しい現実
※ "stark"は「厳しい」「容赦ない」という意味で、現実の厳しさや残酷さを強調する際に用いられます。例えば、貧困、戦争、病気などの悲惨な状況を、飾り立てることなく、ありのままに描写する際に「stark realism」という言葉が使われます。「gritty realism」よりも、さらに冷酷で絶望的なニュアンスを含んでいることが多いです。文学、映画、写真などの芸術分野で、社会問題を告発するような作品に用いられることがあります。
哲学的実在論
※ 哲学における実在論のことで、人間の認識とは独立して客観的な現実が存在するという立場を指します。例えば、机や椅子といった物体は、人間が認識していなくても存在し続けると考えます。観念論(人間の意識がすべての根源であるとする立場)と対立する概念です。哲学の専門用語であり、日常会話で使われることは稀ですが、哲学史や認識論を学ぶ上で重要な概念です。
マジックリアリズム、幻想現実主義
※ 現実の中に非現実的な要素や幻想的な出来事が自然に溶け込んでいる文学や美術のスタイルを指します。ラテンアメリカ文学に多く見られ、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』などが代表的な作品です。現実と幻想の境界線を曖昧にすることで、現実の多面性や深層心理を表現しようとする試みです。現実離れした設定でありながら、登場人物の感情や社会背景はリアルに描かれている点が特徴です。
使用シーン
哲学、文学、美術史などの分野で頻繁に使用されます。「現実主義」という思想や芸術運動を議論する際に不可欠な単語です。例えば、文学研究では「〇〇の作品は、当時の社会状況を反映したリアリズム文学の代表例である」のように使われます。心理学や社会学でも、現実的な視点やデータに基づいた分析を強調する際に、「〇〇研究は、人間の行動に対するリアリズム的な理解を提供している」といった形で用いられます。
経営戦略、市場分析、リスク管理などの文脈で使われます。特に、非現実的な楽観主義を避け、客観的なデータや実績に基づいて判断する重要性を強調する際に用いられます。例えば、「市場の現状を考慮したリアリズムに基づく目標設定が必要だ」とか、「リスクアセスメントにおいては、最悪のシナリオを想定したリアリズムが求められる」のように使われます。また、交渉の場面でも、「お互いにリアリズムに基づいた落としどころを探りましょう」といった表現が用いられることがあります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュースやドキュメンタリー番組などで、政治や社会問題について議論する際に使われることがあります。例えば、「〇〇政策は、理想論に偏りすぎており、リアリズムに欠ける」といった意見を表明する際に用いられます。また、個人の生き方や目標設定について話す際に、「現実的な視点を持つことが大切だ」という意味で、「リアリズム」という言葉を使う人もいます。ただし、日常会話では「現実的」という言葉の方がより一般的です。
関連語
類義語
- pragmatism
『実用主義』や『現実主義』と訳され、理想や理論よりも実際の結果や効果を重視する考え方を指す。ビジネス、政治、哲学などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『realism』は現実をありのままに認識しようとする態度であるのに対し、『pragmatism』は現実を認識した上で、具体的な問題解決や目標達成のために行動する姿勢を指す。より行動指向である点が異なる。 【混同しやすい点】両方とも現実を重視するが、『realism』は客観的な観察、『pragmatism』は具体的な行動に重点が置かれる。例えば、経営戦略において、市場の現実を分析するのが『realism』、その分析に基づいて実行可能な計画を立てるのが『pragmatism』となる。
『真実らしさ』や『迫真性』と訳され、芸術作品や物語などが現実世界を忠実に再現している度合いを指す。文学、演劇、映画などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『realism』は現実そのものを指すのに対し、『verisimilitude』は現実を模倣したものがどれだけ現実らしく見えるかを評価する概念。芸術作品の評価において用いられる。 【混同しやすい点】『realism』は現実そのものを指すため、例えば『現実主義文学』のように使われるが、『verisimilitude』は作品の性質を評価する際に使われる。物語のリアリティを評価する際に『verisimilitude』という言葉を使う。
『真正性』や『本物らしさ』と訳され、あるものが偽物ではなく本物であること、または、ある人物が自分自身に正直であることを指す。幅広い文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『realism』は客観的な現実を指すのに対し、『authenticity』は主観的な体験や感情が真実であるかどうかを問う。例えば、旅行記において、その場所の文化や人々の生活をありのままに描写することが『realism』、筆者自身の感情や経験を正直に表現することが『authenticity』となる。 【混同しやすい点】『realism』は客観的な描写、『authenticity』は主観的な表現に重点が置かれる。また、『authenticity』はしばしば感情的な正直さや自己認識と関連付けられる。
- objectivity
『客観性』と訳され、個人的な感情や偏見に左右されずに、事実に基づいて判断する態度を指す。報道、科学研究、法律などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】『realism』は現実をありのままに認識しようとする態度を指すのに対し、『objectivity』は認識する際に個人的な感情や偏見を排除しようとする態度を指す。より認識のプロセスに重点が置かれる。 【混同しやすい点】『realism』は対象(現実)に焦点が当てられ、『objectivity』は主体(認識者)の態度に焦点が当てられる。例えば、ニュース報道において、事件の経緯を客観的に報道することが『objectivity』、事件の背景にある社会問題を現実的に分析することが『realism』となる。
- matter-of-factness
『事実を淡々と述べる態度』や『そっけなさ』と訳され、感情を込めずに事実を述べる様子を指す。日常会話や報道などで使用される。 【ニュアンスの違い】『realism』は現実を認識し受け入れる態度を指すのに対し、『matter-of-factness』は感情を排除して事実を述べる態度を指す。より口調や表現方法に重点が置かれる。 【混同しやすい点】『realism』は思想や態度を指すのに対し、『matter-of-factness』は話し方や書き方を指す。例えば、事故の状況を冷静に説明する際に『matter-of-fact』な口調が用いられるが、その背景にある社会問題を現実的に分析することは『realism』に基づいていると言える。
- down-to-earth
『現実的な』、『地に足の着いた』という意味で、気取らず、率直で、実際的な考え方や人を表す。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『realism』は世界や状況を客観的に認識する態度を指すのに対し、『down-to-earth』は人が現実的で実践的なアプローチを取る性格や態度を指す。人に対して使うことが多い。 【混同しやすい点】『realism』は抽象的な概念や芸術運動にも使われるが、『down-to-earth』は主に人の性格や態度を説明する際に使われる。例えば、計画を立てる際に、理想論ではなく現実的な資源や制約を考慮する人を『down-to-earth』と表現する。
派生語
『現実主義者』を意味する名詞。接尾辞『-ist』は主義・主張を持つ人や専門家を表す。政治、哲学、芸術などの分野で、現実に即した考え方や行動をする人を指す。日常会話よりも、やや専門的な議論や分析で用いられることが多い。
『現実的な』、『写実的な』を意味する形容詞。接尾辞『-ic』は『〜の性質を持つ』という意味合いを付加し、名詞『realism』が持つ性質を表す。計画や目標などが実現可能であることを示す場合や、芸術作品が現実を忠実に描写していることを指す場合に使われる。ビジネスや日常会話、芸術批評など幅広い場面で使用される。
- realistically
『現実的に』、『写実的に』を意味する副詞。形容詞『realistic』に副詞化の接尾辞『-ally』が付加された形。状況や行動が現実に基づいている様子や、描写が現実を忠実に再現している様子を表す。ビジネス文書や学術論文、小説などで、客観性や正確さを強調する際に用いられる。
反意語
- idealism
『理想主義』を意味する名詞。『realism』が現実を重視するのに対し、『idealism』は理想や理念を重視する立場を指す。哲学、政治、倫理などの分野で対立概念として用いられる。日常会話よりも学術的な文脈で使われることが多い。
『空想』、『幻想』を意味する名詞。『realism』が現実世界を基盤とするのに対し、『fantasy』は現実には存在しない世界や出来事を描く。文学、映画、ゲームなどの分野で、創造性や想像力を重視する表現として用いられる。日常会話でも比喩的に、非現実的な考えや計画を指す場合に使われる。
- utopianism
『ユートピア主義』を意味する名詞。『realism』が現実の制約を考慮するのに対し、『utopianism』は理想的な社会の実現を目指す思想を指す。政治思想や社会思想の分野で、『realism』に対する批判的な対立概念として用いられる。学術的な議論で使われることが多い。
語源
「realism」は、「現実」を意味する「real」(ラテン語の「rēs」(物、事)に由来)に、名詞を作る接尾辞「-ism」が付いたものです。「rēs」は、英語の「thing」や「matter」に近い意味を持ち、具体的な存在や事実を指していました。「-ism」は、主義、運動、特性などを表す接尾辞で、ある特定の考え方や行動様式を示す言葉を作るのに用いられます。したがって、「realism」は、物事をあるがままに、理想化せずに捉えようとする考え方、つまり「現実主義」を意味するようになりました。美術や文学においては、現実を忠実に描写しようとする「写実主義」を指します。例えば、政治におけるリアリズムは、理想論ではなく、国益やパワーバランスといった現実的な要素を重視する考え方です。
暗記法
「リアリズム」は、ロマン主義への反動として19世紀に興隆。社会の暗部や人間の醜さも直視し、貧困や格差を赤裸々に描いた文学・美術は、社会変革の原動力に。演劇では日常会話や自然な演技で人間の心理をリアルに表現。イプセンの戯曲は社会問題に鋭く切り込み、議論を呼んだ。現代ではドキュメンタリーやゲームにも。単なる再現に留まらず、多角的な視点から現実を捉え、社会への関心を高める。
混同しやすい単語
『realism』と語尾が同じ '-ism' であり、哲学的な文脈で頻繁に並置されるため、意味を混同しやすい。idealismは『理想主義』であり、現実を重視するrealismとは対照的な概念。スペルも類似しており、特に急いで読む際には注意が必要。哲学史における対立概念として理解すると良い。
『realism』の形容詞形であり、意味も関連するが、品詞が異なるため混同しやすい。『real』は『現実の』『本物の』という意味。名詞を修飾する形で使われることが多い。realismは名詞であり、思想や運動を指す。文脈によって使い分ける必要がある。例えば、『real problem』と『realism in art』のように。
『realism』の形容詞形の一つで、意味は『現実的な』『写実的な』。realと意味が近いが、ニュアンスが異なる場合がある。realisticは、より『現実を反映している』という意味合いが強い。例えば、『realistic painting』は写実的な絵画を指し、『real painting』は現実の絵画(抽象画ではない)を指す可能性がある。
『realism』と語尾が同じ '-ism' で、接頭辞 'sur-'(超える、超越する)が付いているため、意味を誤解しやすい。surrealismは『超現実主義』であり、現実を超越した非現実的なものを表現する芸術運動。スペルもrealismと似ているため、注意が必要。美術史において、realismに対する反動として生まれた運動であることを理解すると、区別しやすい。
語尾が '-ism' であること、そして『actual』という単語が『現実の』という意味合いを持つことから、realismと混同される可能性がある。actualismは、地質学における斉一説(過去の地質現象は現在観察される現象と同じ原理で起こったとする説)を指す専門用語であり、一般的にはあまり使われない。しかし、関連分野の文献を読む際には注意が必要。
語尾が '-ism' であり、発音も一部似ているため、聞き間違いやスペルの誤りを起こしやすい。regionalismは『地域主義』であり、特定の地域を重視する思想や政策を指す。realismとは意味が全く異なるため、文脈から判断する必要がある。政治学や社会学の分野でよく使われる。
誤用例
日本人が『現実主義』という言葉を使うとき、しばしば『面白みのない人』という意味合いを含ませることがあります。しかし、英語の『realism』は、芸術や哲学における写実主義、現実をありのままに捉えようとする姿勢を指し、必ずしもネガティブな意味合いを持ちません。人を評して『現実的すぎてつまらない』と言いたい場合は、『pragmatism(実用主義)』を使う方が適切です。これは、日本語の『現実主義』が持つニュアンスを英語に直訳しようとした結果、語感のずれが生じた例です。英語では、現実を直視すること自体は必ずしも悪いこととは捉えられず、むしろ合理的な判断をする上で重要視されます。
『realism』は名詞であり、抽象的な概念を表すのに適しています。プロジェクトの課題に対する評価など、具体的な状況を指す場合は、形容詞『realistic』を使用し、『realistic assessment(現実的な評価)』と表現するのが自然です。日本語では『あなたの現実主義に感謝します』のように名詞で表現できるため、そのまま英語に直訳してしまう誤りが見られます。英語では、具体的な状況を説明する際には、形容詞を適切に用いることが重要です。また、『assessment』は『評価』という意味で、課題に対する客観的な判断を示すのに適しています。
ここでの『realism』は、おそらく『率直さ』や『遠慮のなさ』を意味しようとしていますが、英語の『realism』は、現実を忠実に描写することを指し、話し方のスタイルには使いません。聴衆が受け入れられないほど率直な話し方だった、という意図を表現するなら、『starkness(厳しさ、むき出しの様子)』を用いるのが適切です。日本語の『現実主義』が、時に『耳の痛いことを言う』といった意味合いを含むため、そのまま英語に翻訳しようとすると、不自然な表現になってしまいます。英語では、話し方に対しては『frankness』や『bluntness』なども使えますが、文脈によっては『starkness』の方がより強い印象を与えます。
文化的背景
「リアリズム(realism)」は、単に「現実」を意味するだけでなく、理想化や誇張を避け、ありのままの世界を客観的に描写しようとする芸術・思想の潮流を指します。特に19世紀のヨーロッパにおいて、ロマン主義への反動として、社会の暗部や人間の醜さにも目を向けた文学や美術が隆盛し、その後の社会変革にも大きな影響を与えました。
19世紀のリアリズム文学は、産業革命後の社会における貧困や格差、抑圧された人々の生活を赤裸々に描き出しました。例えば、ギュスターヴ・クールベの絵画は、農民や労働者の日常を美化することなく、その厳しさや苦労を克明に表現しています。また、チャールズ・ディケンズの小説は、当時のイギリス社会の児童労働や貧困問題を告発し、社会改革の機運を高めました。これらの作品は、従来の貴族や英雄を描く芸術とは異なり、社会の底辺に生きる人々の視点から世界を見つめ、読者や観客に強い共感と問題意識を喚起しました。リアリズムは単なる描写にとどまらず、社会の矛盾を浮き彫りにし、変革を促す力となったのです。
舞台芸術においても、リアリズムは大きな変革をもたらしました。それまでの演劇は、誇張された演技や華やかな舞台装置が主流でしたが、リアリズム演劇は、日常的な会話や自然な演技を通して、登場人物の心理や人間関係をリアルに表現しようとしました。ヘンリック・イプセンの戯曲は、家庭内の問題や女性の社会進出など、当時の社会が抱える問題を鋭く描き出し、観客に大きな衝撃を与えました。リアリズム演劇は、観客に現実と向き合い、自らの価値観を問い直す機会を提供し、社会的な議論を活発化させる役割を果たしました。
現代においても、リアリズムは様々な形で表現されています。ドキュメンタリー映画や報道写真、ノンフィクション文学などは、現実をありのままに伝えることを追求し、社会問題への関心を高める役割を果たしています。また、ゲームやアニメーションなどの分野でも、リアルなグラフィックやストーリー展開を通して、現実世界を再現しようとする試みが見られます。ただし、現代におけるリアリズムは、単なる現実の再現にとどまらず、作者の視点や解釈が加わることで、より多角的な視点から現実を捉えようとする傾向があります。リアリズムは、時代や社会の変化とともに、その意味や表現方法を変化させながら、常に私たちに現実と向き合うことを促し続けているのです。
試験傾向
準1級、1級の長文読解で出題される可能性が高いです。1次試験の語彙問題で直接問われることもあります。文脈から意味を推測する問題や、realismに関連する語句(realistic, realistなど)との使い分けが問われる傾向があります。アカデミックな内容や社会問題に関する文章で登場することが多いです。注意点としては、抽象的な概念であるため、具体的な文脈の中でどのように使われているかを理解することが重要です。
TOEIC L&Rでは、Part 7(長文読解)で登場する可能性がありますが、他の試験に比べると頻度は低めです。ビジネスの文脈で、例えば「現実的な目標設定(realistic goal setting)」のように形容詞形(realistic)で使われることが多いです。TOEIC S&Wでは、意見を述べる際に「現実的に考えると(realistically speaking)」のように副詞形(realistically)で使うことも考えられます。注意点としては、TOEICでは直接的な語彙知識よりも、文脈理解と語彙の適切な使用が重視されるため、様々な文脈でどのように使われるかを理解することが大切です。
TOEFL iBTのリーディングセクションで頻出の単語です。特に、芸術、哲学、文学、社会学などのアカデミックな文章でよく見られます。文脈としては、ある思想や運動の特徴を説明する際や、異なる視点を比較対照する際に使われることが多いです。ライティングセクションでも、自分の意見を論理的に展開する際に使用できる可能性があります。注意点としては、TOEFLでは同義語や類義語を用いた言い換えが頻繁に行われるため、「realism」の類義語(pragmatism, practicalityなど)も合わせて学習することが重要です。
大学受験の長文読解問題で頻出の単語です。特に、評論文や論説文といった硬めの文章でよく見られます。文脈としては、社会現象、政治、経済、文化、歴史など、幅広い分野で登場します。大学によっては、記述問題で「realism」の意味を説明させたり、それに関連する内容について論述させたりすることもあります。注意点としては、大学受験では、単語の意味だけでなく、文章全体の内容を理解し、自分の言葉で表現する能力が求められるため、日頃から様々な文章に触れ、要約する練習をしておくことが重要です。