labyrinth
強勢は最初の音節にあります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を少し大きく開けて発音します。th (/θ/) は、舌先を上下の歯で軽く挟んで息を出す音で、日本語にはない音です。意識して練習しましょう。最後の 's' は無声音で発音します。
迷宮
複雑に入り組んだ道や通路。物理的な迷路だけでなく、解決困難な問題や状況を指す比喩表現としても使われる。出口の見えない、混乱した状態というニュアンス。
The children laughed as they tried to find their way out of the giant garden labyrinth.
子供たちは、巨大な庭の迷宮から出ようとしながら笑っていました。
※ 子供たちが遊園地の大きな迷路で楽しんでいる情景です。labyrinthは、このように「複雑で迷いやすい場所」を指す際によく使われます。garden labyrinthは「庭園迷路」のことです。
We explored the dark labyrinth under the old castle, feeling a little scared.
私たちは古い城の地下にある暗い迷宮を探検し、少し怖く感じました。
※ 暗い地下の迷宮を探検している場面です。labyrinthは、歴史的な建物や地下の通路など、実際に道が複雑に入り組んだ場所を表すのにぴったりです。feeling scaredは「怖く感じる」という気持ちをシンプルに伝えられます。
The hero bravely entered the ancient labyrinth to face the monster inside.
その英雄は、中にいる怪物と対峙するため、勇敢に古代の迷宮に入っていきました。
※ 神話や物語のワンシーンです。labyrinthは、このように「神話や伝説に出てくるような、非常に複雑で神秘的な場所」を指すこともあります。bravely(勇敢に)やancient(古代の)といった言葉が、物語の雰囲気を高めています。
難解な構造
複雑に入り組んでいて理解しにくい組織、システム、理論などを指す。一見すると秩序がないように見えるが、内部には独自の論理や規則が存在するようなニュアンス。
The old castle had a dark, winding labyrinth of corridors.
その古い城には、暗く曲がりくねった通路のラビリンス(迷路)があった。
※ この例文は、古い城の暗く入り組んだ通路を想像させます。まるで本当に迷子になりそうな感覚が伝わってきますね。「labyrinth」は、物理的に複雑で迷いやすい「構造」を指す最も基本的な使い方です。特に「a labyrinth of ~」で「〜という迷路のようなもの」と表現できます。
Dealing with all the paperwork felt like navigating a legal labyrinth.
すべての書類を処理するのは、まるで法的なラビリンス(迷路)をさまようように感じた。
※ 山積みの書類を前に、うんざりしながら取り組んでいる大人の姿が目に浮かびます。「labyrinth」は、物理的な迷路だけでなく、複雑で理解しにくい「システム」や「手続き」を比喩的に表すときによく使われます。ここでは「法的な手続きがとても複雑で分かりにくい」という状況を表現しています。
His long explanation was a labyrinth of complicated ideas.
彼の長い説明は、複雑なアイデアのラビリンス(迷路)だった。
※ この例文は、難解な話を聞いて頭が混乱しているような情景を描いています。「labyrinth」は、思考や概念が複雑で理解しにくい状態を表現する際にも使われる、とても自然な比喩表現です。「a labyrinth of ~」で「〜というラビリンス(複雑な構造)」と、説明やアイデアが複雑だったことを表せます。
迷路のような
複雑に入り組んでいて、方向感覚を失わせるような状態を指す。物理的な場所だけでなく、状況や思考プロセスに対しても使われる。
The little boy got lost in the labyrinthine garden maze and started to cry.
小さな男の子は迷路のような庭園の迷路で迷子になり、泣き始めました。
※ この例文は、遊園地や大きな庭園にある生け垣の迷路で、子供が方向が分からなくなり、不安になって泣き出す場面を描写しています。「labyrinthine」が生け垣が複雑に入り組んだ「迷路のような」様子を非常によく表しています。このように、物理的に入り組んだ場所の様子を説明する際によく使われる典型的な使い方です。
We wandered through the labyrinthine corridors of the old castle, looking for the exit.
私たちは古いお城の迷路のような廊下をさまよい、出口を探しました。
※ 古いお城や大きな建物で、複雑に曲がりくねった廊下が続き、どこへ行けばいいか分からなくなる様子が目に浮かびます。出口を探して右往左往する旅行者の気持ちが伝わってきます。「labyrinthine」は、単に広いだけでなく、複雑で方向感覚を失いやすい場所の描写にぴったりです。
Explorers carefully walked through the labyrinthine tunnels of the dark cave.
探検家たちは、暗い洞窟の迷路のようなトンネルを慎重に歩きました。
※ 暗く、どこまでも続くように複雑に入り組んだ洞窟のトンネルを、探検家たちが一歩一歩慎重に進む様子が描かれています。一歩間違えれば迷ってしまいそうな緊張感が漂います。自然の地形や、人工的でも複雑な地下道など、「迷路のように入り組んだ」構造を表現するのに適した使い方です。
コロケーション
入り組んだ迷路のような道
※ 都市計画が不十分で、道が複雑に入り組んでいる様子を表す定番の表現です。「a maze of streets」も同様の意味ですが、「labyrinth」はより歴史的、あるいは文学的な響きを持ちます。特に旧市街や歴史地区の描写で好んで用いられ、単に道がわかりにくいだけでなく、その都市の歴史や文化が織り込まれた複雑さを暗示します。例えば、'The old town was a labyrinth of streets, each turn revealing a new surprise.' のように使います。
複雑に入り組んだ規制
※ 官僚主義的な手続きや、法律、規則などが非常に複雑で理解しにくい状況を指します。「bureaucratic maze」とも言い換えられますが、「labyrinth」はより迷宮的で、抜け出すのが困難な印象を与えます。ビジネスや政治の文脈で頻繁に使われ、'Navigating the labyrinth of regulations proved to be a major challenge for the company.' のように用いられます。
心の迷宮
※ 人の心の中の複雑な思考、感情、記憶などが入り組んでいて、自己理解や問題解決が困難な状態を表します。心理学や文学作品でよく用いられ、登場人物の内面の葛藤や混乱を表現するのに適しています。'His mind was a labyrinth of conflicting thoughts and emotions.' のように使います。
迷宮に迷い込む
※ 文字通り迷路に迷い込む意味の他に、比喩的に、複雑な問題や状況に深く入り込み、方向性を見失うことを指します。物理的な迷路だけでなく、プロジェクトや人間関係など、抽象的なものに対しても使用できます。'He lost himself in a labyrinth of details and forgot the main goal.' のように使います。
迷宮から脱出する
※ 困難な状況や複雑な問題から抜け出すことを意味します。単に物理的な迷路から脱出するだけでなく、比喩的に、苦境や束縛から解放されることを表します。'After years of struggle, she finally escaped the labyrinth of poverty.' のように使います。
迷宮を曲がりくねって進む
※ 物理的な迷路だけでなく、複雑なプロセスや状況を慎重に進む様子を表します。困難を乗り越えながら、少しずつ前進するイメージです。'The investigation wound through a labyrinth of conflicting evidence.' のように使います。
歴史の迷宮
※ 歴史の複雑さ、不確かさ、そして解釈の多様性を強調する表現です。過去の出来事や人物の関係性が複雑に入り組んでいて、真実を把握するのが難しい状況を表します。歴史研究や歴史小説でよく用いられます。'Unraveling the truth was like navigating the labyrinth of history.'のように使われます。
使用シーン
学術論文や専門書で、抽象的な概念や複雑な理論構造を比喩的に表現する際に用いられます。例えば、複雑な経済モデルを「迷宮のような構造」と表現したり、哲学的な議論の難解さを指して「思考の迷宮」と表現したりします。研究者が自身の研究の複雑さや、未解明な領域の広がりを示す際に使われることがあります。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの複雑さや組織構造の複雑さを表現する際に、比喩的に用いられることがあります。例えば、新規事業の承認プロセスが非常に煩雑な場合に、「承認を得るための手続きが迷宮入りしている」と表現したり、企業の組織構造が複雑で理解しにくい場合に「組織は迷宮のようだ」と表現したりします。ただし、より直接的な表現が好まれる傾向があるため、使用頻度は高くありません。
日常会話では、比喩表現として稀に使われることがあります。例えば、道に迷った際に「まるで迷宮に迷い込んだようだ」と表現したり、複雑な人間関係を「人間関係の迷宮」と表現したりします。また、パズルやゲームの難易度が高い場合に、「迷宮のような難しさだ」と表現することもあります。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、事件や社会問題の複雑さを表現する際に用いられることもあります。
関連語
類義語
物理的な迷路、特に庭園や建物内にある複雑に入り組んだ通路を指す。娯楽や挑戦のために作られたものが多い。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】「labyrinth」よりも具体的な構造物としての迷路を指し、比喩的な意味合いは少ない。また、「maze」は解決可能なパズルとしての側面が強調されることが多い。 【混同しやすい点】「maze」は具体的な迷路を指すのに対し、「labyrinth」はより抽象的な、解決困難な状況や問題を指す場合がある。比喩表現における使い分けに注意。
複雑な構造や組織を持つもの全般を指す。物理的なものだけでなく、抽象的な概念やシステムにも使われる。ビジネスや学術的な文脈で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】「labyrinth」が複雑さの中に混乱や迷い込む要素を含むのに対し、「complex」は単に多くの要素が組み合わさっていることを強調する。必ずしもネガティブな意味合いを持たない。 【混同しやすい点】「complex」は中立的な意味で使われることが多いが、「labyrinth」は混乱や困難を伴う複雑さを表す場合に適している。問題解決の文脈では特に注意が必要。
もつれ、混乱、込み入った状態を指す。物理的なもの(糸のもつれ)から、人間関係や計画の混乱まで幅広く使われる。日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】「labyrinth」が構造的な複雑さを示すのに対し、「tangle」は無秩序で整理されていない状態を表す。解決が困難な状況を示唆する点では共通するが、原因や性質が異なる。 【混同しやすい点】「tangle」は事態の混乱を強調するのに対し、「labyrinth」は複雑な構造そのものを指す。そのため、「tangle」はしばしば動詞として使われ、「事態がもつれる」といった表現になる。
- morass
抜け出すのが困難な、物理的または比喩的な沼地。困難な状況、複雑な問題、または道徳的な堕落の状態を指す。文学的な表現やフォーマルな文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「labyrinth」が迷路のような複雑さで出口を見つけるのが難しい状態を指すのに対し、「morass」は一度足を踏み入れると抜け出すのが困難な状況を表す。より絶望的なニュアンスを含む。 【混同しやすい点】「morass」は比喩的な意味合いが強く、具体的な場所を指すことは少ない。「labyrinth」は物理的な迷路としても使われるため、使い分けが必要。また、「morass」はしばしば道徳的な堕落と結びつけられる。
- quagmire
脱出困難な湿地、または困難で複雑な状況。政治的、経済的な問題など、解決策が見えない状況を指す。ニュース記事やフォーマルな文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「labyrinth」が迷路のような構造で出口を見つけるのが難しい状態を指すのに対し、「quagmire」は進むほどに沈んでいくような、出口の見えない状況を表す。長期化する問題や紛争によく用いられる。 【混同しやすい点】「quagmire」は特に解決策の見えない、泥沼化した状況を指す。「labyrinth」は必ずしも解決不可能とは限らないため、状況の深刻さによって使い分ける必要がある。
- convolution
複雑に絡み合った状態、または複雑な議論や思考の過程。脳のしわや腸の構造など、物理的な複雑さを表す場合もある。学術的な文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】「labyrinth」が迷路のように入り組んだ構造を指すのに対し、「convolution」は複雑に折り重なり、絡み合った状態を表す。必ずしも迷い込むとは限らないが、理解するのが難しいというニュアンスを含む。 【混同しやすい点】「convolution」は抽象的な概念だけでなく、物理的な構造の複雑さも表す。「labyrinth」は主に比喩的な意味合いで使われることが多いため、文脈によって使い分ける必要がある。
派生語
- labyrinthine
形容詞で「迷路のような」「複雑に入り組んだ」という意味。名詞の『labyrinth』に形容詞を作る接尾辞『-ine』が付加された。物理的な迷路だけでなく、複雑な状況や議論を形容する際にも用いられる。ビジネス文書やニュース記事など、ややフォーマルな文脈で使われることが多い。
『迷路』を意味する名詞。labyrinthよりも平易な語で、語源は異なるものの、意味合いは近い。ただし、mazeはより単純な構造の迷路を指すことが多い。子供向けのゲームやパズルなど、日常的な文脈で頻繁に使われる。
動詞で「曲がりくねって進む」「ぶらぶら歩く」という意味。迷路のように入り組んだ道を歩くイメージから派生した。川や道が蛇行する様子や、目的もなく歩き回る様子を表す。文学作品や旅行記などでよく見られる。
反意語
『単純さ』『明快さ』を意味する名詞。『labyrinth』の複雑さ、入り組んだ構造とは対照的な概念。問題解決やデザインの分野で、複雑さを避けて単純さを追求する文脈で用いられる。ビジネスシーンや学術論文でも頻繁に使われる。
『明瞭さ』『明確さ』を意味する名詞。『labyrinth』の曖昧さ、分かりにくさと対比される。コミュニケーションや説明において、誤解を避けるために明確さを重視する文脈で使われる。ビジネス文書や学術論文で重要な概念。
- directness
『直接的であること』『率直さ』を意味する名詞。『labyrinth』の迂遠さ、回りくどさとは対照的。コミュニケーションにおいて、遠回しな言い方を避け、直接的に伝えることを重視する文脈で用いられる。ビジネスシーンや人間関係において重要な概念。
語源
「labyrinth」は、迷宮や複雑に入り組んだ構造を意味する言葉です。その語源は古代ギリシャ語の「labyrinthos」(λαβύρινθος)に遡ります。これは、ギリシャ神話に登場するミノタウロスを閉じ込めるために作られたクレタ島の迷宮の名前でした。この迷宮は、伝説的な職人ダイダロスによって設計されたと言われています。「labyrinthos」の起源はさらに不明瞭ですが、一部の学者は古代クレタの言語に由来するのではないかと推測しています。英語の「labyrinth」は、ラテン語を経由してギリシャ語から取り入れられました。この単語は、物理的な迷路だけでなく、複雑で解決困難な問題や状況を指す比喩としても使われるようになりました。現代では、複雑な人間関係や組織構造などを「labyrinthine(迷宮のような)」と表現することがあります。
暗記法
迷宮はミノタウロスが潜む複雑な構造物として神話に登場し、人を惑わせる複雑さの象徴となりました。英雄テセウスは糸を頼りに迷宮を脱出。この物語は、知恵と勇気で困難を克服する教訓として語り継がれています。文学では、主人公の内面の葛藤や複雑な状況を象徴。現代社会では、官僚機構や情報過多など、解決困難な問題の比喩として用いられ、私たちが生きる世界を理解する鍵となります。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の音が曖昧になりやすい。'labyrinth' は名詞ですが、'lavish' は形容詞(気前の良い、豊富な)または動詞(惜しみなく与える)として使われます。スペルも似ているため、文脈で判断する必要があります。語源的には 'lavish' は古フランス語の 'lavasse'(豪雨)に由来し、'labyrinth' はギリシャ語の 'labyrinthos'(迷宮)に由来します。
最初の 'lib-' の部分の音が似ているため、発音を聞き間違える可能性があります。'labyrinth' は迷宮を意味する名詞ですが、'liberty' は自由を意味する名詞です。意味が全く異なるため、文脈を理解することが重要です。語源的には、'liberty' はラテン語の 'libertas'(自由)に由来します。
語尾の子音の並びが似ており、発音時に混同しやすい。'labyrinth' は名詞だが、'rabid' は形容詞で「狂犬病の」「熱狂的な」という意味を持つ。意味も品詞も全く異なるため、注意が必要。
どちらも発音が難しく、特に子音が連続する部分で発音を間違えやすい。'labyrinth' は名詞ですが、'rhythm' も名詞で「リズム」という意味です。スペルも複雑なため、視覚的にも混同しやすいです。'rhythm' は母音字を含まない単語として有名です。
スペルが長く、文字の並びが複雑なため、視覚的に混同しやすい。'alabaster' は「雪花石膏(せっかせっこう)」という鉱物を指す名詞で、美術品や装飾品に使われます。発音も 'labyrinth' とは異なりますが、スペルの複雑さから誤って覚えてしまう可能性があります。
'lib-'の音の類似性から、発音を聞き間違える可能性がある。'labyrinth' は名詞だが、'libel' は名詞(名誉毀損)または動詞(名誉を毀損する)として使われる。意味が大きく異なるため、文脈で判断する必要がある。
誤用例
『labyrinth』は比喩的に『複雑に入り組んだ状況』を表しますが、物理的な迷路と異なり、GPSで解決できるものではありません。日本人は『迷路』という言葉から、具体的な道順をイメージしがちですが、英語の『labyrinth』は、解決に根気や努力を要する、抽象的な難局を指すことが多いです。ここでは『painstakingly worked my way through it(骨を折って進んだ)』のように、努力を伴うニュアンスが適切です。日本語の『迷路』を安易に『labyrinth』に置き換えるのではなく、問題の性質を考慮する必要があります。
『labyrinth』は、理解困難な思考や心理状態を表すこともできますが、『understand』のような平易な動詞と組み合わせると、やや大げさな印象を与えます。より適切なのは『fathom(推し量る)』のような、深い理解を試みるニュアンスを持つ動詞です。日本人は、難しい概念を説明する際に、つい簡単な単語を選びがちですが、『labyrinth』のような語を使う場合は、それにふさわしい語彙レベルの動詞を選ぶことで、より洗練された表現になります。また、『even a little』は口語的な表現であり、文語的な『labyrinth』とはレジスターが一致しません。
『labyrinth』が物理的な構造物(迷路)を指す場合でも、観光の難易度を表現する際に『difficult to sightseeing』という表現は不自然です。『sightseeing』は名詞であり、動詞句として使う場合は『sightseeing is difficult』のように表現します。しかし、より自然なのは『sightseeing extremely challenging(観光が非常に困難)』のように、形容詞を使うことです。日本人は、動詞で表現することを好む傾向がありますが、英語では名詞や形容詞を効果的に使うことで、より簡潔で洗練された表現が可能です。また、『very』よりも『extremely』の方が、labyrinthという語の持つ重みに合致します。
文化的背景
迷宮(labyrinth)は、古代ギリシャ神話に登場するミノタウロスの閉じ込められた複雑な構造物として、人々を惑わせる複雑さ、解決困難な問題、人生の岐路の象徴として文化に深く根ざしています。迷宮は単なる建造物ではなく、人間の心の複雑さ、選択の迷い、そして自己探求の旅路を映し出す鏡として、文学、芸術、そして現代社会において多様な姿で表現され続けています。
迷宮の最も有名な例は、クノッソスの迷宮でしょう。これは、半人半獣のミノタウロスを閉じ込めるためにダイダロスによって建設された複雑な構造物です。英雄テセウスはアリアドネの糸の助けを借りて迷宮を攻略し、ミノタウロスを倒しました。この神話は、知恵と勇気によって困難を克服する物語として、また、一度足を踏み入れると容易には脱出できない複雑な状況の比喩として、長きにわたり語り継がれてきました。迷宮は、単に物理的な迷路としてだけでなく、人間の精神が彷徨う内面の迷路としても解釈され、自己認識と成長の過程における試練を象徴しています。
文学作品における迷宮は、しばしば主人公が直面する複雑な状況や内面の葛藤を象徴的に表現するために用いられます。例えば、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説『バベルの図書館』では、無限に続く図書館が迷宮として描かれ、知識の探求と人間の存在の不確かさを暗示しています。また、ウンベルト・エーコの小説『薔薇の名前』では、修道院の図書館が隠された知識と危険な秘密を隠す迷宮として登場し、知的な探求の過程における罠と発見を描き出しています。これらの作品において、迷宮は単なる場所ではなく、人間の知性と精神が試される舞台として機能しています。
現代社会においても、迷宮は複雑なシステムや解決困難な問題の比喩として広く用いられています。例えば、官僚機構の複雑な手続きや、インターネット上の情報過多は、しばしば「迷宮」と表現されます。また、人生におけるキャリアの選択や人間関係の複雑さも、迷宮のように捉えられることがあります。迷宮は、私たちが日々直面する複雑な状況を理解し、乗り越えるためのメタファーとして、現代社会においてもその意義を保ち続けています。迷宮を理解することは、単に語彙を増やすだけでなく、私たちが生きる世界をより深く理解するための鍵となるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解問題、稀に語彙問題。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で出題される可能性あり。1級でより頻出。
- 文脈・例題の特徴: 物語や説明文など、多様な文脈で使われる。抽象的な内容の文章で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 比喩的な意味(複雑な状況、迷宮)で使われることが多い。名詞である点を意識し、関連語句(maze, intricate)も覚えておくと有利。
- 出題形式: Part 7(長文読解)で稀に出題される可能性あり。語彙問題としての直接的な出題は少ない。
- 頻度と級・パート: TOEIC全体での出題頻度は低め。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでは比喩的に、複雑な組織構造やプロセスを表す際に使われることがある。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEIC対策としては優先度は低いが、語彙力強化の一環として覚えておくと良い。ビジネス英語で比喩表現として使われる場合があることを知っておく。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。特にアカデミックな内容の文章で登場する。
- 頻度と級・パート: TOEFL iBTのリーディングセクション。
- 文脈・例題の特徴: 歴史、文化、科学など、様々な分野の文章で使われる。抽象的な概念や複雑なシステムを説明する際に使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 比喩的な意味での理解が重要。文脈から意味を推測する練習を重ねる。類義語(maze, complexity)とのニュアンスの違いも理解しておくと有利。
- 出題形式: 主に長文読解問題。文脈に合った意味を選ぶ問題や、内容説明問題で問われる。
- 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり。標準的なレベルの大学では出題頻度は低め。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など、多様な文脈で使われる。比喩的な意味で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 単語の意味だけでなく、文章全体の内容を理解することが重要。文脈から意味を推測する練習をすることが大切。類義語や関連語句も合わせて覚えておくと、読解力が向上する。