hers
母音 /ɜː/ は、日本語の「アー」よりも喉の奥を意識して発音する、曖昧母音の一種です。口を軽く開け、舌を少し奥に引くイメージで。語尾の /z/ は有声音なので、しっかり喉を震わせましょう。日本語の「ズ」よりも摩擦が強く、持続性があります。
彼女のもの
所有代名詞。名詞を伴わずに「彼女の物」という意味を表す。例:This book is hers.(この本は彼女のものです。)
This is my favorite book, but the one with the blue cover on the shelf is definitely hers.
これは私のお気に入りの本だけど、棚にある青い表紙の本は間違いなく彼女のものよ。
※ 友達や家族と本を分け合っているような場面です。「hers」を使うことで、「彼女の本」と繰り返さずに、誰の物かをはっきり示しています。このように、誰かの持ち物を指し示すときにとても自然に使えます。
Someone left this pretty scarf on the chair. I think it's hers because it matches her coat.
誰かがこのきれいなスカーフを椅子に忘れていったわ。彼女のコートと合うから、きっと彼女のものだと思う。
※ 落とし物を見つけて、持ち主を推測している場面です。手がかり(コートとの色合い)から「hers(彼女のもの)」だと判断する様子が描かれています。日常会話で「これは誰の物だろう?」と考える際によく使われる表現です。
I took a big slice of pizza, and the smaller piece next to it is hers.
私はピザの大きい一切れを取ったわ。そしてその隣の小さい一切れは彼女のものよ。
※ ピザを分け合っている、ごく日常的な場面です。自分のものと相手のものを区別して話すときに「hers」が使われています。食べ物や物を公平に分けたり、誰かの取り分について話したりする際に便利な表現です。
コロケーション
当然彼女の権利である
※ 「by right」は『当然の権利として』という意味の前置詞句です。何かを受け取る人が、法律、慣習、または倫理的な理由から、それを受け取るべきだと強く主張する場合に使われます。例えば、遺産相続や、長年勤めた会社での昇進など、正当な理由がある場合に用いられます。フォーマルな場面で使われることが多い表現です。類似表現に『hers by birthright(生得権として彼女のもの)』があります。
彼女自身の力で、彼女自身の実力で
※ 誰かの業績や地位が、親や配偶者などの影響ではなく、その人自身の才能や努力によるものであることを強調する際に使われます。例えば、『彼女は自分の力で成功した』という場合に、彼女の独立性や能力を際立たせることができます。ビジネスシーンやニュース記事など、客観的な評価が求められる場面でよく見られます。関連語句として『stand on one's own two feet(自力で立つ)』があります。
人の好みはそれぞれ
※ 他人の好みや選択に対して寛容であることを示す表現です。直訳すると『それぞれの人にそれぞれのもの(好み)がある』となり、他人の選択を尊重し、批判しないというニュアンスが含まれます。たとえば、食べ物の好みやファッションセンスなど、個人的な選択について議論する際に使われます。口語的な表現で、会話を円滑に進めるために用いられます。性別を意識しない表現として、to each their own も一般的になってきています。
彼女と互角の相手に出会う、彼女にとって手ごわい相手が現れる
※ 通常、競争や議論の文脈で使用され、ある人が今まで優位に立っていた状況から、同等の能力を持つ相手と対峙することを意味します。たとえば、スポーツの試合やビジネス交渉などで、今まで無敵だった人が、初めて苦戦する状況を指します。比喩的な表現で、相手の実力を認めつつ、競争の激しさを表します。類似表現に『find one's equal(自分と対等の相手を見つける)』があります。
彼女がずっと持っておく、彼女が永久に所有する
※ 「for keeps」は『永久に』という意味の口語的な表現です。何かを譲渡したり、ゲームに勝ったりして、それが最終的に自分のものになる状況を表します。子供同士の遊びや、カジュアルな会話でよく使われます。例えば、交換したカードや、ゲームで勝った景品などが、最終的に自分のものになる場合に使われます。フォーマルな場面では、『permanently hers』のような表現が適切です。
彼女を正当に評価する、彼女の功績を認める
※ 「due」は『当然与えられるべきもの』という意味で、このフレーズは、ある人が努力や才能によって得た評価や報酬を与えるべきであることを意味します。特に、その人の功績がこれまで十分に認められていなかった場合に用いられます。例えば、チームの成功に大きく貢献したメンバーや、長年会社に尽くしてきた社員などを評価する際に使われます。ビジネスシーンや報道記事などでよく見られます。関連表現に『give credit where credit is due(功績のある人に功績を認める)』があります。
使用シーン
学術論文においては、先行研究の結果を比較検討する際に、研究者Aの成果と研究者B(女性)の成果を区別するために使用されることがあります。例えば、「Smithの研究はサンプルサイズが小さいという限界があるが、Jonesの研究(hers)はより大規模なデータセットに基づいている」のように、簡潔に所有格を示すために用いられます。文体は文語的です。
ビジネスシーンでは、プレゼンテーション資料や報告書において、特定のプロジェクトやアイデアの所有者を明確にするために使用されることがあります。例えば、「このマーケティング戦略は田中さんのもので、彼女(hers)の独自の市場分析に基づいている」のように、責任の所在や貢献度を示す際に使われます。フォーマルな場面ではありますが、口頭での説明においても使用されることがあります。
日常会話では、物の所有者を特定する際によく使用されます。例えば、「この傘は誰のもの?」「それ、彼女(hers)のだよ」のように、所有者を簡潔に伝えるために使われます。また、友人同士の会話で、「彼女の意見(hers)の方が正しいと思う」のように、意見や考えを指す場合にも用いられます。カジュアルな場面で頻繁に使われる表現です。
関連語
類義語
- her own
所有格代名詞としての強調表現。彼女自身の~という意味合いを強めたい場合に使用する。日常会話、ビジネスシーン、学術的な文章など、あらゆる場面で使用可能。 【ニュアンスの違い】"hers" が単に所有を表すのに対し、"her own" は所有権の明確さや、彼女自身が所有しているという点を強調する。所有者が他者ではなく、彼女自身であることを明確にしたい場合に用いる。 【混同しやすい点】"hers" と "her own" の使い分けは、強調の度合いによる。所有をシンプルに伝えたい場合は "hers" を、所有者が彼女自身であることを特に強調したい場合は "her own" を使用する。名詞を伴う場合は "her own" のみ使用可能(例: her own book)。
- belonging to her
「彼女に属するもの」という意味で、所有関係をより直接的に表現する。フォーマルな場面や、所有関係を明確にしたい場合に使用される。 【ニュアンスの違い】"hers" が所有格代名詞として簡潔に所有を示すのに対し、"belonging to her" は所有関係を文章で説明する形になるため、ややフォーマルで客観的な印象を与える。契約書や遺言書など、正確な記述が求められる場面に適している。 【混同しやすい点】"hers" は代名詞として単独で使用できるが、"belonging to her" は名詞句として機能するため、文脈に応じて適切な形に修正する必要がある。例えば、「これは彼女のものです」と言う場合、"This is hers." と "This is belonging to her." では、後者は不自然。
- her property
「彼女の財産」という意味で、所有物を指す。不動産、動産、知的財産など、広範囲な財産を指すことができる。法律やビジネスの文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"hers" が抽象的な所有権を表すのに対し、"her property" は具体的な財産を指す。"hers" は「彼女のもの」という漠然とした意味合いだが、"her property" は「彼女の財産」という明確な意味を持つ。感情的なニュアンスは薄い。 【混同しやすい点】"hers" は代名詞として使用されるため、文中で主語や目的語になることができるが、"her property" は名詞句として使用されるため、文法的な役割が異なる。例えば、「それは彼女のものです」と言う場合、"That is hers." は正しいが、"That is her property." は意味が通じるものの、やや不自然。
- that which is hers
「彼女のものであるもの」という意味で、非常にフォーマルで文学的な表現。日常会話ではほとんど使用されない。所有関係を強調したり、詩的な表現をしたい場合に使用される。 【ニュアンスの違い】"hers" が所有を簡潔に示すのに対し、"that which is hers" は所有関係を間接的かつ形式的に表現する。古風で仰々しい印象を与えるため、現代の日常会話では不自然に聞こえることが多い。文学作品や法律文書などで見られる。 【混同しやすい点】この表現は非常にまれであり、現代英語ではほとんど使用されない。"hers" の代わりにこの表現を使用すると、不自然で時代錯誤な印象を与える可能性がある。使用場面を慎重に検討する必要がある。
- her possession
「彼女の所有物」という意味で、具体的な所有物を指す。個人的な所有物から、会社や組織の所有物まで、幅広いものを指すことができる。ややフォーマルな響きを持つ。 【ニュアンスの違い】"hers" が所有権そのものを指すのに対し、"her possession" は具体的な所有物を指す。"hers" は抽象的な概念だが、"her possession" は具体的な物や財産を指す。例えば、「これは彼女のものです」と言う場合、"This is hers." は所有権を主張するのに対し、"This is her possession." は「これは彼女が持っている物です」という意味になる。 【混同しやすい点】"hers" は代名詞として使用されるが、"her possession" は名詞句として使用される。また、"possession" は可算名詞としても不可算名詞としても使用できるため、文脈に応じて適切な形を選択する必要がある(例:her possessions = 彼女の所有物全て)。
派生語
三人称単数男性代名詞。hersはheの所有格hisから派生した女性形。heの人格・属性を表す根幹。
三人称単数男性の所有格。hersと同様、heから派生。所有関係を示す基本語彙で、日常会話で頻繁に使用。
三人称単数女性の再帰代名詞/強調用法。『彼女自身』を意味し、hersが示す女性を強調または反射させる。日常会話、文学作品などで使用。
語源
"hers"は、古英語の"hire"(彼女の)という所有代名詞に、所有格を示す"-s"が付加された形です。元々は、男性形の"his"と同様に、所有を表すために語尾に"-s"が追加されたものでした。つまり、"hers"は「彼女の」という所有を表す"hire"に、さらに所有格であることを明確にする"-s"が加わったことで、「彼女のもの」という意味へと発展しました。日本語で例えるなら、「彼女の」という言葉に、さらに「~の物」というニュアンスを付け加えるようなイメージです。"his"と同様の構造を持つことから、英語の所有格の歴史的な成り立ちを理解する上で興味深い単語と言えるでしょう。
暗記法
「hers」は単に「彼女のもの」という所有を示すだけでなく、女性の自立と権利の象徴。かつて女性が財産を持てなかった時代から、権利を主張し自立する現代まで、その意味合いは大きく変化しました。バージニア・ウルフが描いたように、経済的自立は創造性の基盤。「hers」はビジネスや法廷で、女性が築き上げたものを守る力強い言葉として輝き、自己実現を肯定する、エンパワーメントの象徴なのです。
混同しやすい単語
『hers』と『hearse』は、発音が非常に似ています。どちらも語尾が /ɜːrs/ で終わりますが、『hearse』は葬儀の際に棺を運ぶ車を意味します。綴りも似ているため、文脈をよく読んで区別する必要があります。特に、発音記号を意識して練習すると良いでしょう。
『hers』と『his』は、所有代名詞である点が共通していますが、『his』は男性の所有を表し、『hers』は女性の所有を表します。文脈でどちらの性別について話しているかを把握することが重要です。また、発音も異なり、『his』は/hɪz/、『hers』は/hɜːrz/です。
『hers』と『herds』は、綴りが似ており、どちらも複数形を連想させる's'で終わります。『herds』は動物の群れを意味する『herd』の複数形です。発音は『hers』が/hɜːrz/であるのに対し、『herds』は/hɜːrdz/と若干異なります。文脈から判断することが重要です。
『hers』と『hurts』は、語尾の音が似ており、どちらも動詞として使われることがあります。『hurts』は『hurt』(傷つける、痛む)の三人称単数現在形です。発音は『hers』が/hɜːrz/であるのに対し、『hurts』は/hɜːrts/と、't'の音が加わります。文脈で意味を判断する必要があります。
『hers』と『hairs』は、どちらも名詞として使われ、複数形を連想させる's'で終わります。『hairs』は『hair』(髪の毛)の複数形または不可算名詞です。発音は『hers』が/hɜːrz/であるのに対し、『hairs』は/heərz/と異なります。スペルと発音の両方を意識して区別しましょう。
『hers』と『hertz』は、語尾の音が似ていますが、『hertz』は周波数の単位(Hz)であり、物理学でよく用いられます。綴りも似ているため、文脈によって意味を判断する必要があります。発音は『hers』が/hɜːrz/であるのに対し、『hertz』は/hɜːrts/と、't'の音が加わります。
誤用例
日本語の『〜の責任』という所有を表す表現に引きずられ、『hers』を使ってしまいがちですが、ここでは所有格形容詞『her』を使うのが正しいです。『hers』は代名詞であり、名詞句を伴いません。英語では、名詞(responsibility)を修飾する際には所有格形容詞(her, his, theirなど)を使用します。日本人は所有格形容詞と所有格代名詞の区別があいまいになりやすい傾向があります。
『hers』は所有代名詞であり、『彼女のもの』という意味です。人を指す場合は、目的格の『her』を使用します。日本人は、所有代名詞を単に女性を指す代名詞として誤用することがあります。この誤用は、日本語の代名詞が所有の概念を含む場合があることに起因する可能性があります。例えば、『彼女の』という表現が、所有と対象の両方を表すことがあります。英語では、所有と対象を明確に区別する必要があります。
『hers deserved』のように、名詞の後に形容詞を続ける語順は不自然です。『hers』は所有代名詞として文の要素(補語)になりえますが、その後に形容詞を続ける場合は、間にカンマを挟むか、副詞(deservedly)を使用します。英語では、所有代名詞の後に形容詞を直接続けることは一般的ではありません。日本人は、形容詞を名詞の後に置く習慣がないため、このような誤りが起こりやすいと考えられます。
文化的背景
「hers」という所有代名詞は、単に「彼女のもの」という意味以上の、女性の独立性や所有権を象徴する言葉として、社会の変化とともにその重みを増してきました。かつて女性が法的に財産を持つことが難しかった時代から、現代社会における女性の経済的自立を反映する言葉へと変遷してきたのです。
19世紀以前、多くの社会では女性が自身の財産を自由に管理することは制限されていました。結婚すると女性の財産は夫のものとなることが一般的で、「hers」という言葉の使用頻度も、現代ほど高くはありませんでした。しかし、女性参政権運動やフェミニズム運動の高まりとともに、女性が自身の権利を主張するようになり、「hers」は単なる所有を示すだけでなく、女性の自立とエンパワーメントの象徴として認識されるようになりました。例えば、バージニア・ウルフの『自分自身の部屋』では、女性が創造的な活動を行うためには経済的な自立が必要であると説かれ、その中で「hers」という言葉が、女性が自身の才能を開花させるための基盤となる所有権を暗示する役割を果たしています。
現代社会においては、「hers」はビジネスシーンや法律文書においても頻繁に使用され、女性が男性と同等に財産を所有し、管理する権利を持つことを明確に示します。企業が女性経営者の会社を指す際に「hers」を用いることは、その会社の成功が女性自身の手によるものであることを強調する意味合いを持ちます。また、離婚訴訟における財産分与の場面では、「hers」は女性が結婚中に築き上げた財産に対する正当な権利を主張するための重要なキーワードとなります。
さらに、「hers」は、女性が自身のアイデンティティや価値観を大切にし、それを表現することの重要性を示唆する言葉でもあります。例えば、女性が自身のキャリアや趣味に投資することは、「hers」という言葉を通じて、彼女が自己実現のために時間や資源を費やす権利を持っていることを肯定的に表現します。このように、「hers」は、単なる所有を示す言葉から、女性の自立、権利、そして自己実現を象徴する言葉へと、その意味合いを深めてきたのです。
試験傾向
この単語が直接問われることは少ないですが、間接的に文法・読解問題で理解を問われる可能性があります。特に準1級以上の長文読解で、所有代名詞としての意味を理解しているかどうかが重要になります。リスニングでは、会話の中で所有者を特定する際に使われることがあります。
TOEICでは、Part 5 (短文穴埋め問題) で、所有代名詞の選択肢の一つとして登場する可能性があります。例えば、'This is not her book; it's _____.'のような問題です。ビジネス文脈で所有者を明確にする必要がある場合に使われることがあります。所有格形容詞 'her' との区別が重要です。
TOEFL iBTのリーディングセクションで、所有代名詞として文脈理解を助ける役割を果たすことがあります。アカデミックな文章では、登場人物や研究対象の所有物を明確にするために使われます。直接的な語彙問題としては出題されにくいですが、文章全体の理解に影響するため、意味を把握しておく必要があります。
大学受験の英語長文読解問題で、所有代名詞として登場することがあります。文脈の中で、誰の所有物であるかを特定する手がかりになることがあります。直接的な語彙問題として問われることは少ないですが、文構造の理解や内容把握に役立ちます。特に、指示語の内容を問う問題に関連して理解が必要となる場合があります。