due to 〜
"due" の /djuː/ は、日本語の「ジュ」よりも少し長く、かつ「イ」の音を意識して発音するとより正確になります。/uː/は口をしっかりすぼめて長めに発音しましょう。 "to" の/tuː/も同様に、口をすぼめて長めに発音することを意識してください。早口になると/tu/のように短くなりがちですが、意識して伸ばすことでよりクリアに聞こえます。
〜が原因で
何かの出来事や結果の直接的な原因を示す。責任の所在を明確にするニュアンスを含むことが多い。フォーマルな場面で使われることが多い。
Our outdoor picnic was canceled due to the sudden heavy rain.
突然の激しい雨が原因で、屋外でのピクニックは中止になりました。
※ 楽しみにしていたピクニックが、まさかの雨で中止に…。がっかりしている子どもたちの顔が目に浮かびますね。「due to」は、このように『何かが起こった原因』を客観的に説明する時にとてもよく使われます。特に、天候が原因で予定が変更になるシチュエーションは日常的です。
She couldn't attend the meeting due to a severe headache.
彼女はひどい頭痛が原因で会議に出席できませんでした。
※ 大切な会議なのに、体調が悪くて参加できない…。そんな状況は誰にでも起こりえますよね。「due to」は、病気や体調不良など、個人的な理由で何かを『できなかった』『しなかった』という説明にも適しています。フォーマルな場面でも自然に使えますよ。
The train was delayed for an hour due to an unexpected power outage.
予期せぬ停電が原因で、電車は1時間遅れました。
※ 通勤や通学中に電車が遅れると困りますよね。駅のアナウンスで「due to 〜(〜が原因で)」と理由が説明されるのをよく耳にします。このように、交通機関の遅延や、何かのトラブルの原因を説明する際にも「due to」は非常に頻繁に使われる、典型的な表現です。
予定された
何かが計画通りに進むべき状態を表す。期限や義務など、守るべき期日が設定されていることを示唆する。
The train is due to arrive at Platform 3 in five minutes, so I hurried.
電車は5分後に3番ホームに到着予定なので、私は急いだ。
※ 駅のホームで、アナウンスを聞いて少し焦りながら電車を待つ様子を想像してください。「be due to 動詞の原形」で「~する予定である」という意味を表します。電車やバスの到着時刻など、決まった予定について話す時によく使われる典型的な表現です。
My library book is due back next Friday, so I need to finish reading it soon.
私の図書館の本は来週金曜日に返却予定なので、早く読み終える必要があります。
※ 家で本を読んでいて、ふと返却日を思い出して、少し焦る気持ちが伝わるでしょうか。「be due back」で「返却期限である」という意味です。図書館の本やレンタル品の返却日、支払いの期限など、「いつまでに何かをしなければならないか」を表す時によく使われます。
My friend is due to have her baby in July, and she's getting ready.
私の友人は7月に赤ちゃんが生まれる予定で、彼女は準備を進めています。
※ 友人がお腹をさすりながら、赤ちゃんの準備をしている様子を微笑ましく見守る情景です。「be due to have a baby」で「出産予定である」という意味の、とても自然な言い方です。新しい命が生まれる時期について話す時によく聞かれる表現です。
支払期日の
お金や請求などが支払われるべき期限が来ている状態。請求書やローンの文脈でよく使われる。
The rent is due tomorrow, so I need to pay it today.
家賃は明日が支払期日なので、今日中に払わないと。
※ この例文は、家賃や公共料金など、定期的な支払いの期日を伝える際によく使われる典型的な場面です。明日が期日なので「今日中に払わなきゃ!」という焦りや注意喚起の気持ちが伝わります。「be due」の形で「~が期日である」と表現します。
My library book is due this Friday, so I should return it soon.
図書館の本は今週の金曜日が返却期限だから、そろそろ返さないと。
※ 図書館で借りた本やレンタル品など、何かを返却する際の期限を伝える場面です。金曜日という期限が迫っていることに気づき、「早く返さなきゃ」と少し焦っている学習者の気持ちが目に浮かびます。「be due」は、このように返却期限を示す際にも非常に便利です。
The project report is due at the end of the month.
プロジェクトのレポートは、今月末が提出期限です。
※ 仕事や学校の課題、プロジェクトの提出物など、何かを提出する際の締め切りを伝える場面です。この例文では、月末という具体的な期限が示されており、それに向けて計画を立てるような状況が想像できます。「at the end of the month(月末に)」のように、期間の終わりを示す表現とよく一緒に使われます。
コロケーション
予期せぬ事態により
※ フォーマルな場面でよく使われる表現です。ビジネスメールやアナウンスメントなどで、計画の変更やイベントのキャンセルを伝える際に、直接的な原因を避けて丁寧に説明するために用いられます。単に"due to circumstances"と言うよりも、"unforeseen"を加えることで、不可抗力であったことを強調し、相手に理解を求めやすくなります。例えば、"The meeting is cancelled due to unforeseen circumstances."(会議は予期せぬ事態によりキャンセルとなりました。)のように使います。
〜の不足により
※ 「〜が不足している」という状況を説明する際に用います。"lack of"の後には、通常、名詞が続きます。例えば、"due to a lack of funding"(資金不足のため)、"due to a lack of experience"(経験不足のため)のように使われます。直接的な原因を述べるよりも、やや婉曲的な表現であり、ビジネスシーンなどでよく用いられます。類似の表現として"owing to a shortage of..."(〜の不足のために)も挙げられますが、"due to"の方がより一般的です。
悪天候のため
※ イベントの中止や遅延を告知する際によく用いられる表現です。"inclement"は「荒れ模様の、厳しい」という意味で、単に"bad weather"と言うよりも、より深刻な状況であることを示唆します。例えば、"The outdoor concert was cancelled due to inclement weather."(野外コンサートは悪天候のため中止となりました。)のように使われます。ニュースや公共アナウンスメントなど、公式な場面でよく見られます。
税金の納付期限
※ "due"は「支払期日が来た」という意味でも使われます。"taxes are due"は「税金の納付期限が来た」ということを意味し、通常、具体的な日付とともに使われます。例えば、"Your taxes are due on April 15th."(あなたの税金の納付期限は4月15日です。)のように使われます。法律や会計の分野で頻繁に使われる表現です。また、"overdue"(期限超過の)という単語も関連付けて覚えておくと良いでしょう。
しかるべき注意、正当な注意義務
※ ビジネスや法律の分野で頻繁に使われる専門用語です。M&A(企業の合併・買収)や不動産取引などにおいて、契約締結前にリスクや価値を評価するために行う詳細な調査や検証を指します。例えば、"We conducted due diligence before acquiring the company."(当社は、その企業を買収する前にデューデリジェンスを実施しました。)のように使われます。単に「注意する」だけでなく、「専門家として、または法律で求められる水準で注意を払う」という意味合いが含まれます。
(人)を正当に評価する、しかるべき評価を与える
※ "due"は「当然の権利、正当な評価」という意味も持ちます。"give someone their due"は、「その人が当然受けるべき評価を与える」という意味のイディオムです。例えば、"Although I disagree with him, I have to give him his due; he's a hard worker."(彼とは意見が合わないけれど、彼の努力は認めざるを得ない。)のように使われます。必ずしも好意的な文脈でなくても、公平な評価をする際に用いられます。
適正手続き
※ 法律用語で、公正な裁判や法的手続きを受ける権利を指します。アメリカ合衆国憲法で保障されている重要な権利の一つです。例えば、"Everyone is entitled to due process under the law."(すべての人は、法の下で適正な手続きを受ける権利を有します。)のように使われます。ニュースや法律関連の記事などでよく見られる表現です。
使用シーン
学術論文やレポートで、原因や結果を客観的に説明する際に頻繁に使用されます。「Due to the increase in sample size, the results showed a higher statistical significance.(サンプルサイズの増加により、結果はより高い統計的有意性を示した)」のように、研究結果の根拠を明確に示すために用いられます。また、講義やプレゼンテーションでも、ある現象の原因を説明する際に使われます。
ビジネス文書やメール、会議などで、遅延や問題の原因を説明する際に使用されます。「Due to unforeseen circumstances, the project deadline has been extended.(予期せぬ事態により、プロジェクトの締め切りが延長されました)」のように、状況を説明し、責任の所在を明確にするニュアンスがあります。日常会話よりは、フォーマルな場面での使用が中心です。契約書などで「支払期日」の意味で使用されることもあります。
日常会話では、よりカジュアルな表現(because of, owing toなど)が好まれるため、「due to」の使用頻度は低いです。ただし、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、事件や事故の原因を説明する際に使用されることがあります。「The flight was delayed due to bad weather.(悪天候のため、フライトが遅延しました)」のように、比較的フォーマルな文脈で用いられます。
関連語
類義語
- because of
「〜のために」「〜が原因で」という意味で、日常会話や一般的な文章で広く使われます。原因と結果を直接的に結びつける表現です。 【ニュアンスの違い】「due to」よりも口語的で、より直接的な印象を与えます。フォーマルな場面では「due to」の方が適切とされることが多いです。また、「because of」は文頭に来ることが少ないです。 【混同しやすい点】「because」との混同。「because」は接続詞なので後に完全な文が続きますが、「because of」は前置詞なので名詞句が続きます。例: "Because it rained..." vs. "Because of the rain..."
- owing to
「〜のために」「〜が原因で」という意味で、ややフォーマルな場面で使われます。原因と結果の関係を比較的客観的に示す際に用いられます。 【ニュアンスの違い】「due to」と似ていますが、より客観的で、公式な印象を与えます。ビジネス文書や学術論文などでよく見られます。日常会話ではあまり使われません。 【混同しやすい点】「owing to」は文頭に置かれることが比較的多いですが、「due to」は文頭に置かれると文法的に誤りになることがあります(ただし、口語では許容される場合もあります)。例: "Owing to the bad weather, the flight was cancelled." は適切ですが、"Due to the bad weather, the flight was cancelled." はやや不自然です。
- on account of
「〜のために」「〜が理由で」という意味で、「because of」とほぼ同じ意味ですが、やや古風でフォーマルな印象を与えます。 【ニュアンスの違い】「due to」や「owing to」よりもさらにフォーマルで、格式ばった印象があります。現代英語ではあまり一般的ではありませんが、法律文書や古い文献などで見られます。 【混同しやすい点】現代英語での使用頻度が低いこと。ネイティブスピーカーでも、特に若い世代はあまり使わないため、不自然に聞こえることがあります。また、「account」という単語が「口座」という意味でよく使われるため、意味を誤解しやすいです。
- as a result of
「〜の結果として」という意味で、原因と結果の関係を明確に示す際に使われます。フォーマルな文章やビジネスシーンでよく用いられます。 【ニュアンスの違い】「due to」よりも結果に焦点を当てた表現です。原因よりも結果を強調したい場合に適しています。客観的な記述に向いています。 【混同しやすい点】「as a result」との混同。「as a result of」は前置詞句なので後に名詞句が続きますが、「as a result」は副詞句なので文頭または文中に置かれ、後に完全な文が続きます。例: "As a result of the accident..." vs. "As a result, the traffic was delayed."
- attributable to
「〜に起因する」「〜のせいである」という意味で、原因を特定し、その責任や原因を明確にしたい場合に用いられます。やや専門的な、またはフォーマルな文脈で使用されます。 【ニュアンスの違い】「due to」よりも責任の所在を明確にするニュアンスが強く、しばしば否定的な結果や問題に対して使われます。原因を特定し、客観的に報告する際に適しています。学術論文や報告書などでよく見られます。 【混同しやすい点】「attribute A to B」(AをBに帰する)という構文で使われることが多いこと。Aが結果、Bが原因となります。受動態で使用されることも多く、「The failure was attributable to poor planning.」(失敗は計画の不備に起因する)のような形で使われます。
- stemming from
「〜から生じる」「〜に由来する」という意味で、原因が徐々に発展して結果につながるような、時間的な経過を伴う場合に用いられます。やや文学的、またはフォーマルな文脈で使用されます。 【ニュアンスの違い】「due to」よりも、原因が根本的なもので、そこから徐々に結果が派生してきたというニュアンスがあります。問題や感情などが徐々に大きくなる様子を表すのに適しています。 【混同しやすい点】現在分詞形(stemming)で使われることが多く、文法的な構造を理解していないと、文の意味を正確に把握できないことがあります。例: "Problems stemming from the economic crisis..."(経済危機から生じる問題)のように、名詞句を修飾する形で使われます。
派生語
『義務』や『責務』を意味する名詞。『due(当然の)』という概念から派生し、『当然払うべきもの』というニュアンスを持つ。日常会話からビジネス、法律関連まで幅広く使われる。古フランス語の『deu(当然の)』に由来。
- undue
『過度の』や『不当な』という意味の形容詞。接頭辞『un-(否定)』がついていますが、『due』の持つ『当然』というニュアンスが否定され、『当然ではない』→『度を超えている』という意味合いに発展。ビジネス文書や法律用語で、バランスを欠いた状態を指す際に用いられる。
- dues
『会費』や『賦課金』を意味する名詞(複数形)。『due』が『支払われるべきもの』という意味合いを持つことから、組織や団体に『当然支払うべきもの』として派生。主に会員制の組織や団体で使われる。
反意語
- undeserved
『当然の報いではない』という意味の形容詞。『deserved(当然の報いを受けるべき)』に否定の接頭辞『un-』がついた形。『due』が肯定的な意味での『当然』を表すのに対し、『undeserved』は否定的な意味で『当然ではない』を表す。例えば、『undeserved praise(不当な称賛)』のように使われる。
『正当化されない』という意味の形容詞。『warranted(正当な理由がある)』に否定の接頭辞『un-』がついた形。『due』が『当然の権利や理由がある』ことを示すのに対し、『unwarranted』は『根拠がなく、正当化できない』ことを示す。学術論文やニュース記事で、批判的な意味合いで使われることが多い。
語源
"due to"は、中英語の"due"に由来し、古フランス語の"deu"(義務、負債)から来ています。さらに遡ると、ラテン語の"debere"(〜を借りている、〜すべきである)にたどり着きます。"debere"は、"de-"(〜から、〜によって)と"habere"(持つ)が組み合わさったもので、「何かを持つことから生じる義務」というニュアンスを含みます。つまり、元々は「負っている状態」を意味し、それが「支払うべき」「予定されている」という意味に発展しました。それが原因を表す用法に転じたのは、「義務を負っている状態」から「〜によって引き起こされた」という因果関係を示す意味合いが加わったためと考えられます。日本語で例えるなら、「〜のせいで」という表現が、元々は責任の所在を示す言葉から、原因を表す言葉へと変化したのと似ています。
暗記法
「due to 〜」は、単なる理由以上の、運命的な響きを帯びることがあります。中世以来、英語圏では出来事を神の意志や運命と結びつけて考え、個人の力では抗えない「定め」として受け入れる文化がありました。現代でも、組織的な問題や社会構造に原因を帰し、責任を曖昧にする際に用いられることがあります。この背景を知ることで、「due to 〜」の奥深いニュアンスが理解できるでしょう。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に会話では区別が難しいことがあります。「due to」は前置詞句ですが、「do」は動詞として使われることがほとんどです。文脈で判断することが重要です。また、強調の助動詞としても使われます。英語の母音は日本語に比べて種類が多く、/uː/と/ʊ/の区別が難しいことが原因の一つです。
発音がほぼ同じであり、文脈によっては非常に紛らわしいです。「due to」が原因や理由を表すのに対し、「dew」は「露(つゆ)」という意味の名詞です。スペルも似ているため、注意が必要です。視覚的な注意だけでなく、意味の違いを意識して、英文全体の意味から判断する必要があります。
発音が似ており、「~もまた」や「~すぎる」という意味で使われます。「due to」とは文法的な役割が全く異なるため、文章の構造を理解していれば区別できます。しかし、発音だけを頼りにしていると混乱する可能性があります。特に口語では注意が必要です。
スペルの一部が似ており、特に「ough」の部分が共通しています。「though」は「~だけれども」という意味の接続詞で、「due to」とは文法的な役割が異なります。発音も異なりますが、スペルの類似性から誤って認識することがあります。書き言葉では区別しやすいですが、読み間違いに注意が必要です。
「to」という部分が共通しており、前置詞である点も共通しています。しかし、「into」は「~の中に」という意味で、移動や変化を表す場合に使われます。「due to」は原因や理由を表すため、意味が大きく異なります。前置詞の用法をしっかり理解することが重要です。
スペルが一部似ており、意味も関連性がないわけではありません。「duty」は「義務」という意味で、「due to」が原因や理由を表すのに対し、「duty」は責任や義務を表します。文脈によっては意味が通じるように感じられることもありますが、正確な意味を理解して使い分ける必要があります。語源的には、「due」は「当然支払われるべき」という意味合いがあり、「duty」にもそのニュアンスが残っています。
誤用例
「due to」は、原因や理由を説明する際に便利ですが、連続して使うと冗長で不自然に聞こえます。特に「but mainly due to」のように強調する場合、よりフォーマルな「attributable to」を使う方が、洗練された印象になります。日本語では「〜が原因だが、主な原因は〜」のように原因を重ねる表現が自然ですが、英語ではより簡潔で直接的な表現が好まれます。また、フォーマルな文脈では「due to」よりも「attributable to」が好まれます。日本語の「〜のせいで」というニュアンスが強く出過ぎるのを避けるためです。
「due to」は口語的な表現であり、ビジネスやフォーマルな文書では「owing to」や「as a result of」を使用する方が適切です。日本人は、学校英語で「due to」を習うため、フォーマルな場面でも使いがちですが、TPOをわきまえる必要があります。また、文頭で「Due to」を使う場合、文法的には後ろに名詞句が続く必要があります。しかし、実際には文全体を修飾するような用法も多く、厳密には誤りとする見方もあります。そのため、文頭ではより明確な「Owing to」を使う方が無難です。日本語の「〜の理由により」を直訳すると「Due to」になりがちですが、より丁寧な表現を心がけましょう。
「due to」は名詞や名詞句を伴いますが、代名詞(him, her, themなど)を直接伴うことは通常ありません。この場合、「彼のせい」ということを伝えたいのであれば、「彼の不注意(negligence)」や「彼の過失(fault)」など、原因となる具体的な名詞に置き換える必要があります。日本語では「彼が原因」のように、人を直接的に原因として表現することがありますが、英語ではより間接的で具体的な原因を示す傾向があります。この背景には、責任の所在を明確にしつつも、個人攻撃を避けるという文化的な配慮があります。また、英語では責任を個人に帰属させる場合でも、その人の行動や状態に焦点を当てることで、より客観的な表現を目指します。
文化的背景
「due to 〜」は、単なる原因や理由を示すだけでなく、何かが起こるのが「当然」であるという、ある種の運命論的なニュアンスを伴うことがあります。この背景には、英語圏の文化に根付いた、責任の所在や因果関係に対する独特の認識が隠されています。
中世の時代から、英語圏の社会では、出来事は神の意志や運命によって左右されると考えられてきました。「due to 〜」の起源を辿ると、この世界観が色濃く反映されていることがわかります。例えば、シェイクスピアの悲劇では、登場人物の不幸はしばしば「fate」(運命)によって引き起こされます。この「fate」こそ、「due to 〜」が持つ、避けられない結果としてのニュアンスを象徴しています。社会構造が流動的でなかった時代には、個人の努力よりも、生まれや身分が人生を大きく左右しました。そのため、良いことも悪いことも、自分の力ではどうしようもない「定め」として受け入れざるを得ない状況が多かったのです。このような背景から、「due to 〜」は、単なる原因だけでなく、抗いがたい力によって引き起こされた結果、という含みを持つようになったと考えられます。
現代においても、「due to 〜」は、責任の所在を曖昧にしたり、組織的な問題や社会的な構造に原因を帰着させたりする際に用いられることがあります。たとえば、企業が不祥事を起こした際に、「due to 不適切な管理体制」と発表することで、個人の責任を回避しようとするようなケースです。政治的な文脈では、「due to グローバル化の進展」のように、社会全体の変化を原因として説明することで、特定の政策の失敗を正当化しようとする場合もあります。このように、「due to 〜」は、個人的な責任を薄め、より大きな力や構造に原因を求めることで、現状を維持しようとする意図が込められている場合があるのです。
「due to 〜」を理解することは、単に文法的な知識を習得するだけでなく、英語圏の文化における責任の所在、運命論的な思考、そして社会的な構造に対する認識を深めることにつながります。この表現を使う際には、その背景にある文化的ニュアンスを意識することで、より適切で洗練されたコミュニケーションが可能になるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題。リーディングパート。
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな文章、ニュース記事、エッセイなど。環境問題、社会問題、科学技術などがテーマ。
- 学習者への注意点・アドバイス: due to + 名詞(句)の形を確実に。because of, owing to, on account of などとの類義語を整理。長文読解では文脈から正確な意味を把握することが重要。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(読解問題)
- 頻度と級・パート: Part 5, 6, 7で頻出。特にビジネス関連の長文読解でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスレター、報告書、Eメール、広告など。原因と結果の関係を示す文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: due to の後に続く名詞(句)を素早く特定する練習を。類義語との使い分け(because of, owing to)も重要。文法知識と語彙力の両方が必要。
- 出題形式: リーディングセクション、ライティングセクション
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションでも使用機会あり。
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな文章(歴史、科学、社会科学など)。原因と結果の論理的な関係を示す文脈で頻繁に使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: because of, owing to, as a result of などの類義語との違いを理解する。フォーマルな文章で好んで使われるため、ライティングでの使用も意識すると良い。
- 出題形式: 長文読解、和訳問題、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文読解で頻出。英作文でも使用できると高評価。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、論説文、物語文など、幅広いジャンルで出題される。社会問題、環境問題、科学技術などがテーマ。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から正確な意味を把握する練習が重要。類義語との使い分けを理解し、英作文で適切に使えるようにする。構文把握力も必要。