militarism
強勢は最初の音節「mi」にあります。/ɪ/ の音は日本語の「イ」よりも口を少し横に引いて短く発音します。「-tar-」の部分は、曖昧母音に近い音で、力を抜いて発音するとより自然になります。最後の「-ism」は、日本語の「イズム」よりも「イズəm」のように、弱く短く発音します。
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軍国主義
軍事力や軍事的価値観を重視する思想・体制のこと。単に軍隊が強いだけでなく、社会全体が軍事的な考え方に染まっている状態を指す。政治、経済、文化などあらゆる面で軍事が優先される。
The old photos showed how militarism once changed the country deeply.
古い写真が、かつてどのように軍国主義がその国を深く変えたかを示していました。
※ この文は、歴史の教科書やドキュメンタリーで「軍国主義」が使われる典型的な場面を描写しています。古い写真を見ることで、過去の出来事がリアルに感じられますね。「changed the country deeply」で、軍国主義が国に大きな影響を与えた様子が伝わります。
Many people gathered to protest against militarism and ask for peace.
多くの人々が軍国主義に抗議し、平和を求めるために集まりました。
※ これは、平和を願う人々が「軍国主義」に反対する場面です。デモや集会のような情景が目に浮かびますね。「protest against 〜(〜に抗議する)」は、何か社会的な問題に反対する際に非常によく使われる表現です。
In those days, militarism was even taught to young students in schools.
当時、軍国主義は学校で若い生徒たちにさえ教えられていました。
※ この例文は、ある時代の社会において「軍国主義」がどのように人々の生活、特に教育に影響を与えていたかを示しています。子供たちが学校で特定の思想を教えられるという、少し切ない情景が伝わります。受動態(was taught)で「〜が教えられていた」という状況を自然に表現しています。
好戦的な姿勢
戦争や武力行使を肯定的に捉える態度。他国への侵略や威嚇を正当化するような考え方を含む。単なる愛国心とは異なり、攻撃的なニュアンスが強い。
Many people worried that the country's growing militarism would lead to conflict.
多くの人々は、その国の増大する好戦的な姿勢が紛争につながることを心配しました。
※ テレビのニュースや新聞で、ある国の軍備増強や強気な発言が報じられ、それを見た一般の人々が「また戦争になるのでは…」と不安を感じている場面です。 「militarism」は、国や政府の「軍事力を重視し、時に武力行使も辞さない姿勢」を表すことが多いです。ここでは「growing(増大する)」という言葉で、その姿勢が強まっている様子が伝わります。
On the news, experts discussed how the government's focus on military spending showed clear militarism.
ニュースで、専門家たちは政府の軍事費への重点が明確な好戦的姿勢を示していると議論しました。
※ テレビのニュース番組で、政治や国際関係の専門家たちが、ある政府が軍事費を大幅に増やしていることについて、真剣な顔で話し合っている場面です。「これは、ただの防衛ではない、もっと攻撃的な姿勢だ」と彼らが分析している様子が目に浮かびます。 「focus on military spending(軍事費への重点)」という具体的な行動が、「militarism」と結びついています。ニュースや討論番組でよく使われる典型的な文脈です。
My history teacher always said that unchecked militarism can destroy peace.
私の歴史の先生は、歯止めのかからない好戦的姿勢は平和を破壊するといつも言っていました。
※ 学校の歴史の授業で、先生が黒板の前に立ち、過去の戦争の教訓を話している場面です。「昔、ある国が軍事力をどんどん強めていったらどうなったか、見てみましょう」と、生徒たちに真剣な表情で語りかけています。 「unchecked(歯止めのかからない)」という言葉が、「militarism」が危険な方向へ進む様子を強調しています。歴史の教訓として語られる際によく使われる表現です。
軍備拡張
自国の軍事力を強化すること。兵器の増産、兵員の増強、軍事予算の増大などを含む。必ずしも侵略目的とは限らないが、周辺国との緊張を高める可能性がある。
In the past, the country's militarism led to a big war.
昔、その国の軍備拡張が大きな戦争につながりました。
※ この例文は、歴史を学ぶ場面や、過去の出来事について話す際に「militarism」が使われる典型的な例です。教科書やドキュメンタリーで、ある国が軍事力をどんどん高めていった結果、戦争が起こってしまったという悲しいストーリーを想像してみてください。この文は、過去の行動(軍備拡張)が、どんな結果(大きな戦争)を引き起こしたかをシンプルに示しています。「led to ~」は「~につながった、~を引き起こした」という意味で、結果を説明する際によく使われます。
Recently, the militarism in that region has worried many people.
最近、その地域における軍備拡張が多くの人々を心配させています。
※ この例文は、今日のニュースを見ているような状況を想像させます。ある地域で軍事力がどんどん強化されているという報道を聞いて、多くの人々が不安を感じている情景です。「militarism」は、国際情勢や安全保障に関するニュースで頻繁に耳にする単語です。人々の感情(worry: 心配する)と結びつけることで、単語が持つ重みや影響力が伝わりやすくなります。「has worried」は「現在完了形」で、「最近の出来事が今も影響を与えている」ことを示します。
Many people hoped that the country would stop militarism and choose peace.
多くの人々が、その国が軍備拡張をやめて平和を選ぶことを望みました。
※ この例文は、平和を願う人々の声や行動を表しています。軍備拡張という考え方や政策に対して、人々がどう反応し、何を望んでいるのかが伝わる場面です。例えば、平和集会で人々が「軍備拡張ではなく平和を!」と訴えているような情景を思い浮かべてみてください。「hope that ~」は「~であることを望む」という、誰かの願いや期待を伝えるときに使う基本的な表現です。ここでは「軍備拡張(militarism)」と「平和(peace)」が対比されており、単語の意味がより鮮明になります。
コロケーション
軍国主義の台頭
※ 軍国主義が勢力を増し、社会や政治において影響力を強める状況を指します。歴史的な文脈でよく用いられ、特定の国や時代における軍事力の拡大、軍事的価値観の重視といった現象を説明する際に使われます。例えば、「第一次世界大戦前のヨーロッパにおける軍国主義の台頭」のように使われます。名詞句として、論文や歴史書などで頻繁に見られます。
軍国主義の根源
※ 軍国主義が生まれる根本的な原因や背景を指します。社会構造、経済状況、政治体制、イデオロギーなど、複数の要因が複雑に絡み合っている場合が多く、「軍国主義の根源を探る」といった研究テーマで用いられます。比喩的に、問題の根本原因を特定しようとする際に使われることもあります。
軍国主義の遺産
※ 過去の軍国主義が社会や文化、政治などに残した影響や痕跡を指します。戦争の記憶、軍事的な施設、国民意識、政策など、目に見えるものから目に見えないものまで含みます。例えば、「戦後の日本社会における軍国主義の遺産」のように使われます。過去の出来事が現在に与える影響を考察する際に重要な概念です。
軍国主義を煽る、助長する
※ 特定の行動や政策、事件などが軍国主義的な傾向を強めることを意味します。例えば、「経済危機が軍国主義を煽る」のように使われます。動詞として使用され、何が軍国主義を加速させるのかを議論する際に用いられます。類似表現として、'fan the flames of militarism' があります。
軍国主義を拒否する、否定する
※ 軍国主義的な思想や政策、体制を明確に拒否する姿勢を示す言葉です。平和主義者や反戦運動家がよく用いる表現で、「軍国主義を拒否する国民の声」のように使われます。政治的な声明や議論において頻繁に登場し、強い反対の意思を表明する際に用いられます。
軍国主義の影響下にある
※ ある国や社会が軍国主義的な思想や体制によって強く支配されている状態を指します。政治、経済、文化など、社会のあらゆる側面が軍事的な影響を受けている状況を表します。例えば、「軍国主義の影響下にある社会」のように使われます。やや文学的な表現で、特定の時代や国を批判的に描写する際に用いられます。
軍国主義の危険性
※ 軍国主義がもたらす負の側面、例えば戦争、人権侵害、経済的破綻などを指します。歴史的な教訓や倫理的な観点から、軍国主義の危険性を警告する際に用いられます。「軍国主義の危険性を訴える」のように使われます。公共の議論や教育の場でよく用いられる表現です。
使用シーン
歴史学、政治学、社会学などの分野の研究論文や学術書で頻繁に使用されます。「〜の台頭」「〜の影響」「〜の起源」といったテーマを扱う際に、客観的な分析や議論の対象として登場します。例:『第二次世界大戦における軍国主義の役割』
ビジネスシーンでは、直接的に「軍国主義」という言葉を使うことは少ないですが、国際情勢や地政学リスクに関する分析レポートなどで、間接的に言及されることがあります。例:『地政学的リスクの高まりは、資源獲得競争を激化させ、結果として軍事的な緊張を高める可能性がある。』
日常会話で「軍国主義」という言葉を使うことは稀ですが、ニュースやドキュメンタリー番組などで国際紛争や歴史的な出来事が取り上げられる際に耳にすることがあります。例:『最近の〇〇国の政策は、軍国主義的な傾向があるのではないかという懸念の声も上がっている。』
関連語
類義語
- bellicism
好戦主義。戦争を肯定的に捉え、紛争解決の手段として推奨する思想や政策を指す。学術的な文脈や政治的な議論で用いられる。 【ニュアンスの違い】「militarism」が軍備増強や軍事力の重視を指すのに対し、「bellicism」はより積極的に戦争を支持する態度を強調する。より攻撃的なニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】「militarism」が必ずしも戦争を望むとは限らないのに対し、「bellicism」は戦争を積極的に是認する点で意味合いが異なる。日本語の「好戦的」に近い。
- jingoism
自国至上主義、排他的愛国心。自国を過大評価し、他国を軽蔑するような態度を指す。大衆扇動的な政治運動やメディアで用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】「militarism」が軍事力に焦点を当てるのに対し、「jingoism」はより広範なナショナリズムの表現であり、軍事的な要素を含むこともある。感情的な高揚を伴うことが多い。 【混同しやすい点】「militarism」が政策や思想を指すのに対し、「jingoism」は態度や感情を指すことが多い。また、「jingoism」はしばしば大衆扇動的な文脈で用いられる。
- militancy
戦闘的であること、または戦闘的な手段を用いること。政治的な目標を達成するために、暴力や破壊行為も辞さない態度を指す。社会運動や労働運動などで用いられる。 【ニュアンスの違い】「militarism」が国家の軍事力に関連するのに対し、「militancy」はより広範な闘争的な態度を指す。必ずしも軍事力とは限らない。 【混同しやすい点】「militarism」が国家の政策や体制を指すのに対し、「militancy」は個人の態度や集団の行動を指すことが多い。また、「militancy」は非国家主体にも適用される。
- hawkishness
タカ派的な姿勢。外交政策において、強硬な手段や軍事力の行使を支持する立場を指す。政治的な議論や報道で用いられる。 【ニュアンスの違い】「militarism」が軍事力の重視という思想を指すのに対し、「hawkishness」は具体的な外交政策における態度を指す。より実践的な意味合いが強い。 【混同しやすい点】「militarism」が抽象的な概念であるのに対し、「hawkishness」は具体的な政策に対する立場を示す。また、「hawkishness」はしばしば「dovishness」(ハト派)と対比される。
- armament
軍備。軍隊を装備するための武器、弾薬、軍需品などを指す。軍事、政治、歴史などの文脈で用いられる。 【ニュアンスの違い】「militarism」が軍事力重視の思想・体制であるのに対し、「armament」は具体的な軍備そのものを指す。より具体的な対象を指す。 【混同しやすい点】「militarism」は抽象的な概念であるのに対し、「armament」は具体的な物資を指す。軍拡競争(arms race)などの文脈で用いられる。
- martialism
武勇主義。武術や軍事を重視する思想。個人の勇敢さや武道の精神を称揚する。歴史的な文脈や武道の世界で用いられる。 【ニュアンスの違い】「militarism」が国家の軍事力に重点を置くのに対し、「martialism」は個人の武勇や武道の精神に重点を置く。倫理的な意味合いを含むことがある。 【混同しやすい点】「militarism」が国家の政策や体制を指すのに対し、「martialism」は個人の価値観や行動規範を指すことが多い。また、「martialism」は武道や武術に関連する文脈で用いられる。
派生語
『好戦的な』『戦闘的な』という意味の形容詞。militarismの『軍事』『軍隊』という概念から派生し、軍事力を行使したがる性質を表す。日常会話では、過激な主張や行動をする人に対して使われることも。学術論文でも、政治運動や社会運動の文脈で用いられる。
- militarize
『軍事化する』という意味の動詞。militarismの概念を動詞化し、ある組織や地域、政策などを軍隊のように変えることを指す。報道記事や政治学の論文などで、国家の政策や社会の変化を説明する際に使われる。
- demilitarize
『非武装化する』という意味の動詞。接頭辞『de-(否定・除去)』がつき、『軍事化』の状態を取り除くことを意味する。紛争後の地域や、国際条約によって軍備を制限された地域などで用いられる。報道や国際政治の議論で頻出。
反意語
- pacifism
『平和主義』という意味。militarismが軍事力による問題解決を重視するのに対し、pacifismはあらゆる暴力や戦争に反対する立場を指す。歴史、政治、倫理の文脈で、思想や運動を表す言葉として使われる。日常会話では、個人の信条や行動原則を表すこともある。
- appeasement
『宥和政策』という意味。militarismへの直接的な対抗を避け、譲歩することで平和を維持しようとする外交政策を指す。特に1930年代の対ドイツ政策を指すことが多い。歴史学や政治学で、国際関係を分析する際に用いられる。ただし、多くの場合、批判的なニュアンスを含む。
語源
「militarism(軍国主義)」は、「military(軍事の)」に「-ism(主義)」が付いた形です。「military」の語源はラテン語の「militaris(軍隊の、兵士の)」に遡ります。さらにその源は「miles(兵士)」という単語です。つまり、militarismは「兵士」や「軍隊」に関わる「主義」や「思想」を表しています。-ismは、政治的、社会的、または芸術的な運動や教義を示す接尾辞として幅広く用いられます。たとえば、「socialism(社会主義)」や「capitalism(資本主義)」などがあります。したがって、militarismは軍事力や軍事的価値観を重視する思想、またはそのような思想に基づく政治体制を指す言葉として理解できます。まるで、かつて武士が政治を主導した時代があった日本のように、軍事的な考え方が社会全体を支配する状態を想像すると、militarismの意味がより鮮明になるでしょう。
暗記法
軍国主義は、単なる軍事偏重にあらず。国家全体を巨大な軍事組織に変え、国民をその部品とする思想だ。19世紀末の欧州で隆盛を極め、社会の隅々まで軍事的価値観が浸透。文学や映画にも影を落とし、『西部戦線異状なし』は戦争の悲惨さを、『1984年』は自由の喪失を描いた。現代にも残滓はあり、ナショナリズムの高揚や安全保障の名の下に個人の自由が制限される。過去の遺物ではなく、常に警戒すべき思想なのだ。
混同しやすい単語
『militarism』と『military』は、スペルと発音が非常に似ており、意味も関連するため混同しやすいです。『military』は形容詞で『軍の』、または名詞で『軍隊』を意味します。一方、『militarism』は名詞で『軍国主義』を意味します。日本人学習者は、文脈に応じて品詞と意味の違いを意識する必要があります。語源的には、どちらもラテン語の『miles(兵士)』に由来しますが、『militarism』はイデオロギーを表す接尾辞『-ism』が付いている点に注意が必要です。
『militarism』と『militant』は、最初の部分が同じで、どちらも紛争や闘争に関連する意味合いを持つため、混同されることがあります。『militant』は形容詞で『好戦的な』、または名詞で『闘士』を意味します。意味は似ていますが、『militarism』は国家の政策やイデオロギーを指すのに対し、『militant』は個人の態度や行動を指すことが多いです。接尾辞『-ant』は『〜する人』や『〜の状態』を表すため、この違いを意識すると区別しやすくなります。
『militarism』と『minimalism』は、どちらも接尾辞『-ism』を持ち、抽象的な概念を表す名詞ですが、意味は全く異なります。『minimalism』は『ミニマリズム』、つまり『最小限主義』を意味します。スペルの一部が似ているため、特に急いで読んでいるときや聞き取りの際に混同しやすいです。接頭辞『mini-』が『小さい』という意味を持つことから連想すると、意味の違いを覚えやすいでしょう。
『militarism』と『patriotism』は、どちらも国家への愛着に関連するイデオロギーを表す名詞であり、接尾辞『-ism』も共通しているため、意味の面で混同されることがあります。『patriotism』は『愛国心』を意味します。ただし、『militarism』は軍事力を重視する思想であるのに対し、『patriotism』は必ずしも軍事力を肯定するものではありません。文脈によっては両者が結びつくこともありますが、概念としては異なることを理解しておく必要があります。語源的には、『patriotism』は『patriot(愛国者)』に由来します。
『martial』は『軍事的な』、『戦争の』という意味の形容詞で、軍事に関連する単語であるため、『militarism』と意味が混同される可能性があります。スペルも似ており、発音も一部共通しています。ただし、『militarism』がイデオロギーを表すのに対し、『martial』は単に軍事的な性質を表すという違いがあります。『martial arts(武道)』という表現で馴染みのある人もいるでしょう。
『militarism』と『malaria』は、スペルの最初の部分が似ており、どちらも外来語であるため、特に注意散漫な状況では視覚的に混同される可能性があります。『malaria』は『マラリア』という病気を意味します。意味は全く異なりますが、綴りの類似性から誤読や誤記が生じやすいです。語源的には、『malaria』はイタリア語の『mal aria(悪い空気)』に由来し、かつてマラリアが悪い空気によって引き起こされると考えられていたことに由来します。
誤用例
日本語の『軍国主義』を直訳して企業戦略に使うと、不適切なニュアンスが生じます。本来『militarism』は、軍事力や軍事的価値観が社会や政治を支配する状態を指す言葉です。企業戦略の文脈では、より中立的な『aggressive expansion strategy(積極的な拡大戦略)』を使う方が適切です。日本人がつい『〜主義』という言葉を安易に当てはめてしまう癖から、このような誤用が生まれることがあります。
ここでの『militarism』は、規律を重んじる厳格な管理スタイルを指していると思われますが、この意味で使うのは不適切です。『militarism』は、軍事的な組織構造や価値観を社会全体に適用しようとする思想や体制を意味します。個人の管理スタイルを表す場合は、『authoritarian(権威主義的な)』や『strict(厳格な)』といった言葉を使う方が適切です。日本人が『軍隊式』という言葉を比喩的に使う感覚で『militarism』を使ってしまうことが原因として考えられます。
『militarism』を学校教育に導入するという考え方は、非常にセンシティブな問題です。この言葉は、歴史的な背景から、戦争や暴力といった負のイメージと強く結びついています。規律を植え付けるという意図を伝えるのであれば、『structured programs(構造化されたプログラム)』や『discipline-focused initiatives(規律重視の取り組み)』といった、より中立的で具体的な表現を使うべきです。日本人が『愛国心』や『道徳心』といった言葉を安易に結びつけてしまう傾向が、この誤用につながる可能性があります。
文化的背景
「軍国主義(militarism)」は、単なる軍事力の重視を超え、国家のあらゆる側面が軍事的な目標達成のために動員される思想と体制を指します。それは、社会の精神構造そのものを軍事的な価値観で染め上げ、平和な時代においても、常に戦争への準備を優先させる独特の文化を形成します。軍国主義は、国家を巨大な軍事組織として捉え、国民一人ひとりをその構成要素として位置づけるため、個人の自由や多様な価値観が抑圧される傾向にあります。
19世紀後半から20世紀初頭にかけてのヨーロッパは、まさに軍国主義が隆盛を極めた時代でした。普仏戦争(1870-1871年)におけるプロイセンの勝利は、軍事力の重要性を改めて認識させ、各国は競って軍備拡張に乗り出しました。この軍拡競争は、相互不信と緊張を高め、第一次世界大戦の遠因となりました。ドイツ、日本、イタリアといった国々では、軍部が政治の中枢を担い、国民生活の隅々にまで軍事的な影響を及ぼしました。学校教育では愛国心と忠誠心が強調され、若者たちは兵士になることを最高の栄誉と考えるように教えられました。社会全体が、軍服を着た英雄を称え、戦争を美化する雰囲気に包まれていたのです。
軍国主義は、文学や映画といった文化作品にも深く影響を与えました。例えば、第一次世界大戦を描いた映画『西部戦線異状なし』は、戦争の悲惨さと軍国主義の欺瞞を痛烈に批判しました。また、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』は、全体主義的な国家が国民を監視し、思想を統制する恐ろしさを描き出し、軍国主義がもたらす自由の喪失を警告しています。これらの作品は、軍国主義が人間の尊厳をいかに踏みにじるかを明らかにし、平和の尊さを訴えかけています。
現代社会においても、軍国主義の残滓は様々な形で存在しています。一部の国では、依然として軍事費が巨額に計上され、ナショナリズムを煽るような言説が繰り返されています。また、テロリズムの脅威を背景に、国家安全保障の名の下に個人の自由が制限される傾向も強まっています。軍国主義は、過去の遺物ではなく、常に私たちを脅かす潜在的な危険として、警戒し続けなければなりません。軍国主義の歴史を学び、その欺瞞性を見抜くことは、平和な社会を築くための重要な一歩となるでしょう。
試験傾向
準1級以上の長文読解で出題される可能性あり。政治・歴史系のテーマで登場しやすい。語彙問題で直接問われることは比較的少ないが、文章の内容理解には必須。関連語(military, armsなど)との区別も重要。
TOEICでは出題頻度は低い。政治・社会問題に関する記事が出題された場合に、読解問題で登場する可能性はある。ただし、ビジネスシーンでの使用頻度は非常に低い。
アカデミックな長文読解で出題される可能性が高い。特に歴史、政治学、社会学などの分野で頻出。文章全体のテーマを理解する上で重要なキーワードとなる。同意語・類義語(aggression, expansionismなど)も覚えておくと役立つ。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性あり。歴史や国際関係をテーマにした文章で登場しやすい。文脈から意味を推測する能力が求められる。関連語句や派生語(militarist, militaristicなど)も合わせて学習しておくと良い。