denial
第2音節にアクセント(ˈ)があります。/aɪ/ は二重母音で、日本語の『アイ』よりも口を大きく開けて発音します。最後の /əl/ は、舌先を上の歯の裏につけて発音する『l』の音と、曖昧母音/ə/が組み合わさった音です。日本語の『ル』とは異なり、母音を強く発音しないように注意しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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否定
事実や真実を認めないこと。自己防衛や現実逃避の心理が働く場合に使われることが多い。例文:in denial(現実を認めない状態で)
Her denial of the mistake surprised everyone in the room.
彼女がその間違いを否定したことに、部屋にいた全員が驚いた。
※ この例文は、誰かが何かを「していない」と主張する『事実の否定』の場面を描いています。「denial of A」で「Aの否定」という、最も基本的で中心的な使い方です。彼女の強い否定が、周りの人々を驚かせた様子が伝わります。
The teacher's denial of his request made him sigh sadly.
先生が彼の要求を却下したので、彼は悲しそうにため息をついた。
※ ここでは、「denial」が『要求や許可の拒否』という意味で使われています。彼が何かをお願いしたけれど、先生に『だめだよ』と断られてしまい、がっかりしている情景が目に浮かびます。「denial of request」は非常によく使われる表現です。
He lived in denial about his health problems for years.
彼は何年もの間、自分の健康問題について現実を認めずに生きていた。
※ この例文は、受け入れたくない事実や問題から目を背ける、という『心理的な否定』の状態を表しています。「live in denial」という形で使われることが多く、「現実を直視しない」「認めようとしない」という意味合いで、非常に自然で典型的な表現です。
拒否
要求や依頼を拒むこと。権利や自由を否定する意味合いも含む。例文:denial of access(立ち入り拒否)
Her parents' denial of her request for a new toy made her sad.
新しいおもちゃを求める彼女の願いが両親に拒否され、彼女は悲しんだ。
※ この例文では、子供が両親に何かを頼んだものの、それが「拒否された」という具体的な状況を描写しています。おもちゃ売り場で、おねだりが通じず、がっかりしている子供の姿が目に浮かびますね。「denial of + 名詞」の形で、「~の拒否」という一般的な使い方を示しています。
His denial of entry to the club was due to his age.
彼がそのクラブへの入場を拒否されたのは、年齢のせいだった。
※ この例文は、公共の場所、特に年齢制限がある場所で「入場を拒否される」という場面を捉えています。クラブの入り口で、身分証を見せたものの、残念ながら中に入れない若者の姿が想像できますね。「denial of entry」は「入場拒否」として非常によく使われる典型的なフレーズです。
The suspect's denial of the crime was very strong.
その容疑者の犯行否定は非常に強かった。
※ この例文では、法廷や警察の尋問といった、よりフォーマルな文脈で「事実や容疑を否定する」という状況を描写しています。自分がやっていないと強く主張する容疑者の声が聞こえてくるようです。「denial of the crime」は、犯罪や不正行為を「否認する」という際に使われる、ニュースなどでも頻繁に耳にする表現です。
否認
罪や関与を否定すること。法的な文脈で使われることが多い。例文:categorically deny the allegations(疑惑を全面的に否認する)
Despite the broken vase, the child's denial was firm.
割れた花瓶があったにもかかわらず、その子の否認は固かった。
※ 子どもが何か悪いことをして、それが明らかでも「やってない!」と頑なに認めない様子が目に浮かびますね。「denial」は、このように証拠があるのに事実を認めない状況でよく使われます。「firm」は「固い、断固とした」という意味で、否認の強さを表します。
The manager listened to his denial of the mistake with a tired look.
部長は、彼が間違いを否認するのを疲れた表情で聞いていた。
※ 会社で誰かが自分のミスを認めない、というよくある状況です。「denial of + 名詞」で「~の否認」という形がよく使われます。ここでは「mistake(間違い)」の否認。部長の「tired look(疲れた表情)」が、その状況の重さを伝えていますね。
Even though he was clearly tired, his denial of needing rest was clear.
彼は明らかに疲れていたのに、休憩が必要だという否認は明らかだった。
※ 自分の状態や問題を認めようとしない時に使う「denial」です。例えば、体調が悪いのに「大丈夫!」と言い張るような場面です。「denial of + 動名詞(-ing)」で「~することの否認」という形も一般的です。ここでは「needing rest(休憩が必要なこと)」を否認しています。
コロケーション
(事実や現実を)否認している状態で
※ 「denial」と最も頻繁に組み合わされる表現の一つです。前置詞「in」と組み合わせることで、心理状態を表します。たとえば、深刻な病気や失恋など、受け入れがたい現実から目を背けている状態を指します。文法的には「be動詞 + in denial」の形でよく用いられ、「He is in denial about his drinking problem.(彼は自分の飲酒問題を否認している)」のように使われます。口語でもビジネスシーンでも頻繁に使われます。
完全な否定、断固とした否定
※ 形容詞「flat」は「平らな」という意味だけでなく、「断固とした」「明確な」という意味も持ちます。「flat denial」は、一切の言い訳や曖昧さを排除した、徹底的な否定を表します。たとえば、犯罪の容疑に対する完全否定などに用いられます。「He issued a flat denial of the allegations.(彼はその申し立てを完全に否定した)」のように使われます。報道や法的な文脈でよく見られます。
否認の状態
※ 「state」は「状態」を意味し、「state of denial」は、ある人が現実を受け入れられず、否認し続けている状態を指します。これは一時的な感情ではなく、より深刻で持続的な心理状態を表すことが多いです。「She remained in a state of denial after the accident.(彼女は事故後、否認の状態が続いた)」のように使われます。心理学的な文脈や、深刻な出来事に関する報道などで使われます。
意図的な否認、故意の無視
※ 「wilful」は「意図的な」「故意の」という意味で、「wilful denial」は、真実を知っていながら、あえてそれを認めようとしない態度を指します。これは単なる無知や勘違いではなく、責任逃れや自己欺瞞の意図が含まれる場合に用いられます。「His wilful denial of the evidence was shocking.(彼の証拠に対する意図的な否認は衝撃的だった)」のように使われます。倫理的な問題や不正行為に関連する文脈でよく見られます。
否認の中で生きる
※ 「live in denial」は、現実の問題や困難から目を背け、それを認めない状態で生活することを意味します。これは一時的な感情ではなく、長期的な生活態度を指します。「They are living in denial about their financial problems.(彼らは経済的な問題について否認の中で生きている)」のように使われます。個人的な問題や社会問題など、幅広い文脈で使用されます。
根深い否認
※ 「deep」は「深い」という意味で、「deep denial」は、表面的な否認ではなく、心の奥底から現実を拒絶している状態を指します。これは、トラウマ的な経験や、自己のアイデンティティに関わる問題に関連することが多いです。「He was in deep denial about his past.(彼は過去について根深い否認の中にいた)」のように使われます。心理学的な文脈や、文学作品などで見られます。
否認を乗り越える、否認の壁を打ち破る
※ 「break through」は「突破する」「乗り越える」という意味で、「break through denial」は、否認の状態から抜け出し、現実を受け入れることを意味します。これは、カウンセリングやセラピーの目標となることが多いです。「It took years to break through her denial.(彼女が否認を乗り越えるには何年もかかった)」のように使われます。心理学的な文脈や、自己啓発に関する文脈で使用されます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、心理学、社会学、医学などの分野において、特定の現象や行動に対する『否定』や『否認』の概念を説明する際に用いられます。例えば、心理学の研究で「患者は自身の病状を否認する傾向がある (The patient tends to be in denial about their condition)」のように使われます。文語的でフォーマルな表現です。
ビジネス文書や会議において、提案や要求が『拒否』された状況を説明する際に使われることがあります。例えば、「提案は予算上の理由で拒否されました (The proposal was denied due to budgetary reasons)」のように、客観的で冷静なトーンで使われます。日常会話よりは、公式な報告書やメールで使われることが多いでしょう。
日常会話では、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、政治的な問題や社会的な問題における『否定』や『否認』について言及される際に使われることがあります。例えば、「政府は汚職疑惑を否定している (The government is in denial about the corruption allegations)」のように、やや硬い表現として使われます。個人的な感情を表すよりは、客観的な事実を伝える文脈で用いられます。
関連語
類義語
要求、提案、信念などを『拒絶』または『却下』することを指します。ビジネスシーンや政治的な文脈でよく用いられ、フォーマルな響きがあります。 【ニュアンスの違い】"Denial"は事実や現実を認めない心理状態を指すのに対し、"rejection"は明確な意思表示を伴う拒否行為を意味します。主語は人または組織であることが多いです。 【混同しやすい点】"Denial"は名詞ですが、"rejection"も名詞であり、動詞形は"reject"です。両方とも不可算名詞として扱われることが多いですが、具体的な拒否の事例を指す場合は可算名詞として使われることもあります。
要求や依頼、提案などを『拒む』行為を指します。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われ、比較的フォーマルな表現です。 【ニュアンスの違い】"Denial"が事実の否定であるのに対し、"refusal"は行動の拒否を意味します。"Refusal"は相手の意向に対する応答として使われることが多く、より直接的な拒否の意思表示を含みます。 【混同しやすい点】"Refusal"は名詞であり、動詞形は"refuse"です。"Denial"と異なり、"refusal"は拒否する対象が明確であることが多いです。例えば、「提案の拒否 (refusal of the offer)」のように使われます。
- disavowal
責任、知識、または関連性などを『否認』または『否定』することを意味します。公式な声明や法的文脈で用いられることが多く、非常にフォーマルな響きがあります。 【ニュアンスの違い】"Denial"が個人的な心理状態を表すのに対し、"disavowal"は公的な場での否定や責任回避を意味します。より強い否定の意思が含まれており、深刻な事態に関連することが多いです。 【混同しやすい点】"Disavowal"は"denial"よりも使用頻度が低く、より限定的な状況で使用されます。また、"disavowal"はしばしば道徳的または倫理的な責任を否定する意味合いを含みます。
言動、事実、または信念などが『矛盾』している状態を指します。論理学、哲学、日常会話など、幅広い分野で使用されます。 【ニュアンスの違い】"Denial"は事実を認めないことですが、"contradiction"は二つの事柄が両立しないことを意味します。"Contradiction"は客観的な矛盾を指し、主観的な否定である"denial"とは異なります。 【混同しやすい点】"Contradiction"は名詞であり、動詞形は"contradict"です。"Denial"は事実の否定ですが、"contradiction"は論理的な矛盾を指すため、文脈によって使い分ける必要があります。
- negation
何かを『否定』すること、または否定的な表現を指します。論理学、数学、言語学などの専門分野で用いられることが多いです。 【ニュアンスの違い】"Denial"が心理的な否定であるのに対し、"negation"はより形式的、論理的な否定を意味します。抽象的な概念や命題の否定に使われることが多く、日常会話ではあまり使われません。 【混同しやすい点】"Negation"は"denial"よりも専門的な文脈で使用されることが多く、日常会話ではより一般的な"denial"や"rejection"が好まれます。また、"negation"は文法的な否定形を指すこともあります。
- repudiation
何かを『拒絶』または『否認』することを意味し、特に義務、責任、または権威などを放棄する際に用いられます。法律、政治、歴史などの文脈で使われ、非常にフォーマルな響きを持ちます。 【ニュアンスの違い】"Denial"が事実の否定であるのに対し、"repudiation"は関係性や責任の断絶を意味します。より強い拒絶の意思表示であり、重大な決断を伴うことが多いです。 【混同しやすい点】"Repudiation"は"denial"よりも強い意味合いを持ち、より公式な場面で使用されます。例えば、契約の破棄や過去の行動の否定などに使われます。
派生語
- deniable
『否定できる』という意味の形容詞。『-able』は『〜できる』という性質を表し、denial(否定)が可能な状態を示します。政治的な文脈や情報セキュリティの分野で、情報や行動の責任を否定できるかどうかを議論する際に用いられます。例えば、『その作戦は政府がdeniableな範囲で行われた』のように使われます。
- denier
『否定する人』という意味の名詞。『-er』は動作主を表す接尾辞で、特定の主張や事実を否定する人を指します。気候変動否定論者(climate change denier)やホロコースト否定論者(Holocaust denier)のように、特定のイデオロギーや歴史的事実の否定者を指す際に使われ、社会的な議論で頻繁に登場します。
- undenied
『否定されていない』という意味の形容詞。『un-』は否定を表す接頭辞で、denied(否定された)の反対の状態を示します。公式声明や報道において、事実や疑惑が否定されていないことを強調する際に用いられます。例えば、『その報道は政府によってundeniedである』のように使われます。
反意語
『肯定』という意味の名詞。denialが拒絶や否定であるのに対し、affirmationは承認や肯定を意味します。心理学や自己啓発の分野で、肯定的な自己暗示や宣言として用いられます。例えば、『毎朝、肯定的なaffirmationを唱える』のように使われます。denialが精神分析における防衛機制として扱われるのに対し、affirmationは心の健康を促進する手段として対比されます。
『承認』『認識』という意味の名詞。denialが事実や責任を否認することであるのに対し、acknowledgmentはそれらを認め、受け入れることを意味します。ビジネスや外交の文脈で、問題や過ちを認める際に用いられます。例えば、『過ちをacknowledgmentし、謝罪する』のように使われます。denialが関係悪化を招く可能性があるのに対し、acknowledgmentは信頼回復の第一歩となります。
『受容』という意味の名詞。denialが拒絶や否定であるのに対し、acceptanceは現実や状況をそのまま受け入れることを意味します。心理学や哲学の文脈で、困難や苦しみを受け入れる際に用いられます。例えば、『状況をacceptanceすることが、心の平和につながる』のように使われます。denialが現実逃避であるのに対し、acceptanceは現実と向き合い、乗り越えるための第一歩となります。
語源
"Denial"は、古フランス語の"denier"(否定する、拒否する)に由来し、さらに遡るとラテン語の"denegare"(完全に否定する)にたどり着きます。この"denegare"は、"de-"(完全に、徹底的に)と"negare"(否定する)という二つの要素から構成されています。"Negare"自体は、インド・ヨーロッパ祖語の語根にまで遡ることができ、その意味は「Noと言う」という根源的な否定の行為を示しています。つまり、"denial"は、単に「否定」するだけでなく、「完全に否定する」という強い意味合いを含んでいると言えます。例えば、日本語の「全否定」という言葉が、通常の否定よりも強い拒絶を表すように、"denial"もまた、徹底的な拒否や否認を表す際に用いられます。
暗記法
「否認」は単なる否定ではない。苦痛な現実から目を背け、心の安定を保つための、人間が持つ根源的な欲求だ。喪失やトラウマに直面した時、人は無意識に現実を拒絶する。文学では、ハムレットが父の死を否認する姿に、その葛藤が見える。社会においては、環境問題などの不都合な真実から目を背ける「集団的否認」が存在する。これは問題解決を遅らせ、社会の分断を招く。「否認」は、個人の心理から社会構造、歴史まで、深く結びついた複雑な概念なのだ。
混同しやすい単語
『denial』と『refusal』は、どちらも「拒否」や「拒絶」という意味を持ちますが、ニュアンスが異なります。『denial』は事実や真実を否定することに重点が置かれるのに対し、『refusal』は要求や提案を拒否することに重点が置かれます。品詞はどちらも名詞です。日本人学習者は、文脈に応じて使い分ける必要があります。語源的には、'denial'は「完全に~しない」という意味合いが強く、'refusal'は「再び~しない」というニュアンスがあります。
『denial』と『canal』は、スペルが似ており、特に語尾の 'al' が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。『canal』は「運河」という意味で、名詞です。意味が全く異なるため、文脈から判断する必要があります。発音も異なります。『denial』は /dɪˈnaɪəl/、『canal』は /kəˈnæl/ です。日本人学習者は、スペルだけでなく、発音も意識して区別する必要があります。
『denial』と『Daniel』は、スペルが似ており、特に最初の 'd', 'n', 'i', 'a' が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。『Daniel』は人名(男性の名前)です。意味が全く異なるため、文脈から判断する必要があります。発音も異なります。『denial』は /dɪˈnaɪəl/、『Daniel』は /ˈdæniəl/ です。文脈から人名だと判断できるようにしましょう。
『denial』と『dynasty』は、どちらも複数の音節を持つ単語であり、また、接頭辞的な 'dy-' の部分が共通しているため、発音とスペルの両面で混同される可能性があります。『dynasty』は「王朝」という意味で、名詞です。意味が全く異なるため、文脈から判断する必要があります。発音も異なります。『denial』は /dɪˈnaɪəl/、『dynasty』は /ˈdaɪnəsti/ です。単語の構造(接頭辞や接尾辞)を意識することで、区別しやすくなります。
『denial』と『genial』は、語尾の '-ial' の部分が共通しているため、スペルと発音の両面で混同される可能性があります。『genial』は「愛想の良い」「親切な」という意味で、形容詞です。意味が全く異なるため、文脈から判断する必要があります。発音も異なります。『denial』は /dɪˈnaɪəl/、『genial』は /ˈdʒiːniəl/ です。接尾辞 '-ial' が形容詞を作ることを知っておくと、区別に役立ちます。
誤用例
日本語の『否定』という言葉のイメージから、物理的な強さや抵抗感を『strong』で表現しがちですが、『denial』が示す心理的な拒絶は、物理的なものではなく、根深く染み付いている状態として捉えるのが自然です。そのため、『entrenched(深く根付いた)』という語を使うことで、より適切に心理状態を表現できます。また、比喩表現を用いる場合は、より一般的で自然なものを選ぶのが良いでしょう。
『be in denial』という表現は、特定の事柄について現実を認めようとしない状態を指します。この構文では、原因や対象を示す前置詞として『for』ではなく『about』を用いるのが一般的です。日本語の『〜について』という表現に引きずられて『for』を選んでしまうミスですが、英語では特定のコロケーション(語の組み合わせ)が強く意識されるため、決まった前置詞を使う必要があります。
『denial』は、ある事実や感情を認めない、受け入れられない状態が続くことを意味します。一時的な驚きや信じられない気持ちを表すには『disbelief』がより適切です。日本語の『否認』という言葉が持つ、より深刻で長期的な心理状態をイメージしすぎると、日常的な悲しみや驚きの場面で不自然な印象を与えてしまうことがあります。また、その後の感情の変化を示すには、『understand』よりも『accept』がより適切です。
文化的背景
「否認(denial)」は、単なる否定を超え、現実から目を背け、心理的な安定を保とうとする人間の根源的な欲求を象徴する言葉です。それは時に自己欺瞞であり、時に生存戦略であり、文化や社会構造と深く結びついて、複雑な意味合いを帯びてきました。
「否認」は、特に喪失やトラウマといった極度の苦痛を伴う状況で、自己防衛機制として働きます。例えば、愛する人の死に直面した際、「まさか、そんなはずはない」と現実を受け入れられない状態は、否認の典型的な例です。文学作品においては、シェイクスピアの『ハムレット』で、ハムレットが父の死と母の再婚という現実に苦悩し、事態を直視することを避けようとする姿に、その葛藤が見られます。また、フロイト心理学の影響を受けた現代文学や映画では、登場人物が無意識のうちに過去のトラウマを否認し、それが行動や人間関係に歪みをもたらす様子が描かれることがあります。このように、「否認」は個人の心理状態だけでなく、物語の展開を左右する重要な要素としても機能します。
社会的な文脈においては、「否認」は集団心理として働くこともあります。例えば、環境問題や社会的不公正といった、社会全体にとって不都合な真実に対して、人々が無関心であったり、問題の深刻さを過小評価したりする現象は、「集団的否認」と呼ばれることがあります。これは、問題解決のために必要な行動を遅らせ、状況を悪化させる要因となります。また、政治的な文脈においては、過去の過ちや不正を認めず、歴史修正主義的な主張を行うことも、「否認」の一つの表れと言えるでしょう。このような集団的否認は、社会の分断を深め、対立を激化させる可能性があります。
「否認」という言葉は、単なる否定という行為を超え、人間の心理、社会構造、そして歴史と深く結びついた、複雑な概念です。その理解は、自己認識を深め、社会的な問題に対する洞察力を高める上で、重要な意味を持つと言えるでしょう。個人レベルでの自己欺瞞から、社会全体を覆う無関心まで、「否認」は様々な形で私たちの生活に影響を与え続けているのです。
試験傾向
準1級で語彙問題として頻出。長文読解で内容理解を問う箇所で使われることも。ライティングで意見を述べる際に使用できると高評価に繋がる。
Part 5, 6, 7で登場する可能性あり。ビジネスの状況で「否定」「拒否」の意味で使われることが多い。類似語との使い分けがポイント。
リーディングセクションで、アカデミックな文章で頻出。「否定」や「拒否」といった意味合いで、議論や研究結果を説明する文脈でよく見られる。ライティングセクションでも使用できる。
難関大学の長文読解で頻出。抽象的な概念を扱う文章でよく見られる。文脈から意味を推測する能力が求められる。和訳問題で「〜を否定すること」のような形で出題されることも。