sticky
最初の音 /st/ は、日本語の「ス」よりも舌を少し後ろに引いて発音します。母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少しだけ開けて短く発音するのがコツ。最後の /i/ は、口角を左右に引きながら「イ」と発音しますが、日本語の「イ」よりも気持ち短く終わらせましょう。アクセントは最初の音節にあります。
粘着性の
文字通り、ベタベタとくっつく性質を表します。テープや糊など、物理的に何かがくっつきやすい状態を指します。比喩的には、問題や状況がなかなか解決せず、まとわりつくような状態も指します。
My son's fingers got sticky after eating a melted chocolate bar.
息子が溶けたチョコレートバーを食べた後、指がべたべたになりました。
※ この文では、チョコレートを食べた後の子供の指が「べたべたになった」という、誰もが想像しやすい状況を描写しています。「get sticky」は「べたつく状態になる」という変化を表す際によく使われる表現です。
Oh no, the kitchen floor feels really sticky where I spilled the juice.
ああ、ジュースをこぼしたところの台所の床が、すごくべたべたする。
※ ジュースをこぼした後の床という、日常で起こりうる不快な状況です。「feel sticky」は、触ったときの感触が「べたつく」という意味で使われます。五感の中でも特に触覚に訴えかける表現です。
This old tape isn't sticky enough anymore to hold the box closed.
この古いテープはもう箱を閉じておくほど粘着性がありません。
※ ここでは、テープの「粘着性」という性質を直接的に表現しています。「sticky enough」で「十分に粘着性がある」という意味になり、物がくっつく能力を説明する際によく使われます。否定形にすることで、その能力が失われたことを示しています。
厄介な
問題や状況が解決困難で、なかなか終わらない、または忘れられない状態を指します。比喩的な用法で、ネガティブなニュアンスを含みます。例えば、'a sticky situation' は困難な状況を意味します。
I found myself in a really sticky situation at work yesterday, and I didn't know what to do.
昨日、仕事で本当に厄介な状況に陥ってしまい、どうすればいいか分かりませんでした。
※ この例文は、予期せぬ困難な状況に直面し、困惑している個人の感情を表現しています。「sticky situation」は「解決が難しい、厄介な状況」という意味で、個人的な困り事を話す際によく使われる表現です。誰にでも起こりうる、途方に暮れるような瞬間が目に浮かびます。
The company faced a sticky issue about customer privacy that needed careful handling.
その会社は顧客のプライバシーに関する厄介な問題に直面し、慎重な対応が必要でした。
※ ここでは「sticky issue」として、企業が直面する「解決が困難な、デリケートな問題」を描写しています。特に「customer privacy(顧客のプライバシー)」のような敏感な話題は、安易に扱えない「厄介な問題」となりがちです。ビジネスやニュースの文脈でよく耳にする表現です。
Talking about money with family can be a sticky topic for many people.
家族とお金の話をすることは、多くの人にとって厄介な話題になりえます。
※ この例文は、人間関係における「触れにくい、デリケートな話題」としての「sticky topic」を表現しています。家族間でお金の話をすると、感情的な摩擦が生じやすく、多くの人が共感できる「気まずい」状況が目に浮かびます。日常会話で「これはちょっと話しにくいな」と感じるテーマを指すときに使えます。
付箋
裏面に粘着剤がついた小さなメモ用紙。情報伝達や整理に便利であり、オフィスや学習環境で広く使用されています。'sticky note'の略称としても使われます。
To remember important points, I put a bright pink sticky on my textbook page.
大切な点を覚えておくために、私は教科書のページに明るいピンクの付箋を貼りました。
※ この例文は、学生が勉強中に重要な情報を見つけやすくするために付箋を使っている情景を描いています。「put a sticky on...」は、付箋を何かの上に貼る時のとても一般的な言い方です。色を具体的に言うことで、より鮮やかなイメージが湧きますね。
My mom left a yellow sticky on the fridge to remind me about dinner.
お母さんが、夕食について私に思い出させるために、冷蔵庫に黄色い付箋を貼っておいてくれました。
※ 家庭で家族がメッセージを残す場面です。冷蔵庫に付箋を貼って伝言を残すのはよくあることです。「leave a sticky on...」は、「付箋を置いておく」という意味で使われます。誰かに何かを思い出させる(remind)目的で使われることが多いです。
I need to write down a quick note, but I don't have any sticky.
ちょっとしたメモを書き留めたいんだけど、付箋が全然ないや。
※ 急いでメモを取りたいのに、手元に付箋がないことに気づいて少し困っている情景です。「write down a quick note」は「ちょっとしたメモを書き留める」という日常的な表現です。「don't have any sticky」は「付箋が全くない」という状況を表し、付箋が身近な文房具であることが伝わります。
コロケーション
厄介な状況、困難な立場
※ 文字通りには『ベタベタする状況』ですが、比喩的に『抜け出しにくい、解決が難しい状況』を指します。ビジネスシーンや人間関係など、様々な場面で使われます。類似表現に『tricky situation』がありますが、『sticky situation』の方がより深刻で、解決に手間取るニュアンスがあります。例えば、契約上の問題や、気まずい人間関係のもつれなどを指すことが多いです。構文としては "adjective + noun" です。
盗癖、物を盗む傾向
※ 文字通りには『ベタベタした指』ですが、盗んだものが指にくっついている様子を連想させる比喩表現です。子供のいたずらから、大人による窃盗まで、幅広い場面で使われます。直接的に『thief(泥棒)』と言うよりも、婉曲的な表現として用いられます。例えば、お店で万引きをする人に対して使ったりします。構文としては "adjective + noun" です。
困難な状況、苦境
※ クリケット用語に由来する表現で、雨でぬかるんだクリケットのピッチ(wicket)の状態を指します。そこから転じて、『不利な状況』や『難しい問題』を意味するようになりました。特にイギリス英語でよく用いられ、ビジネスシーンや政治的な議論など、フォーマルな場面でも使われます。類似表現に『tough spot』がありますが、『sticky wicket』の方が、より専門的で、抜け出すのが難しいニュアンスがあります。構文としては "adjective + noun" です。
下方硬直的な価格
※ 経済学の用語で、需要が減少しても容易には下がらない価格のことを指します。労働市場における賃金や、一部の製品価格などが該当します。企業が価格を下げると顧客の不満を招いたり、価格競争に巻き込まれたりするのを避けるために、価格を維持しようとする場合に起こります。経済学の論文やニュース記事などで用いられる、専門的な表現です。構文としては "adjective + noun" です。
付箋
※ オフィスや家庭でよく使われる、裏面に接着剤がついた小さなメモ用紙のことです。壁や机などに簡単に貼り付けたり剥がしたりできるのが特徴です。文具店に行けば必ず売っている、非常に一般的なアイテムです。 "Post-it note" は3M社の登録商標ですが、一般名詞として "sticky note" が広く使われています。構文としては "adjective + noun" です。
厄介な状況に陥る
※ "sticky situation"に"get into"という動詞を組み合わせることで、その状態に陥るという動的な状況を表します。友人との間の誤解、仕事でのトラブル、予期せぬ出費など、様々な状況で使用できます。類似表現に"find oneself in a difficult position"がありますが、"get into a sticky situation"の方が口語的で、より日常的なニュアンスがあります。構文としては "verb + preposition + adjective + noun" です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、抽象的な概念や問題が解決困難であることを示す際に用いられます。例えば、社会科学系の論文で「この問題は依然として厄介な(sticky)課題である」のように、解決が難しい状況を表すのに使われます。また、心理学の研究で、特定の行動パターンや思考がなかなか変わらないことを「sticky behavior」と表現することがあります。
ビジネスシーンでは、主にプロジェクトの遅延や交渉の難航など、解決が難しい問題や状況を指す際に使われます。例えば、会議で「この契約条件はまだ厄介な(sticky)問題が残っている」と発言したり、報告書で「売上が伸び悩んでおり、状況が膠着(sticky)している」と記述したりすることが考えられます。付箋の意味で「sticky note」が使われる頻度の方が高いでしょう。
日常会話では、物理的な粘着性よりも、比喩的に「厄介な状況」を指すことが多いです。例えば、「彼、ちょっと厄介な(sticky)状況に巻き込まれているみたいだよ」のように、友人や知人が困難な状況に陥っていることを伝える際に使われることがあります。ただし、一般的にはより直接的な表現(例:trouble, problem)が好まれる傾向があります。
関連語
類義語
『粘着性のある』という意味で、物質そのものの性質を指す場合に使われる。名詞としても形容詞としても使用可能。技術的な文脈や製品の説明でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『sticky』がより一般的な表現であるのに対し、『adhesive』はより専門的でフォーマルな印象を与える。また、単に表面がベタベタしている状態を指す『sticky』とは異なり、『adhesive』は接着剤のように物をくっつける性質があることを意味する。 【混同しやすい点】『adhesive』は物質そのものを指すことが多いのに対し、『sticky』は表面の状態を指すことが多い。例えば、『adhesive tape』は粘着テープだが、『sticky tape』はテープの表面がベタベタしている状態を指す可能性がある。
- tacky
『粘着性がある』という意味だが、しばしば『安っぽい』『趣味が悪い』という意味合いも持つ。フォーマルな場面では避けるべき表現。 【ニュアンスの違い】『sticky』よりもややネガティブなニュアンスを含む場合がある。また、服装や装飾が『けばけばしい』という意味でも使われる。日常会話でよく用いられる。 【混同しやすい点】『tacky』は必ずしも物理的な粘着性を意味するとは限らない。比喩的に『センスがない』という意味で使われることも多い。例えば、『a tacky outfit』は『趣味の悪い服装』という意味になる。
- glutinous
『グルテン質の』『ねばねばした』という意味で、主に食品に対して使われる。科学的な文脈や料理のレシピなどで用いられる。 【ニュアンスの違い】『sticky』が一般的な粘着性を指すのに対し、『glutinous』はグルテンやデンプンに由来する粘着性を指す。例えば、もち米やタピオカなどが『glutinous』である。 【混同しやすい点】『glutinous』は食品以外にはほとんど使われない。『sticky』の方がより広い範囲で使える。例えば、ドアノブがベタベタしている場合は『sticky』を使う。
- viscous
『粘性のある』という意味で、液体や半流動体の性質を表す。科学的な文脈や技術的な説明で用いられる。 【ニュアンスの違い】『sticky』よりも専門的で、液体が流れにくい状態を指す。例えば、蜂蜜やオイルなどが『viscous』である。 【混同しやすい点】『viscous』は主に液体の粘性を示すのに対し、『sticky』は固体や表面の粘着性を示す。『sticky』は比喩的にも使えるが、『viscous』はほとんど比喩的に使われない。
- clingy
『くっつきやすい』という意味だが、人に対して使う場合は『依存心が強い』『ベタベタする』という意味になる。人間関係を表す際に用いられる。 【ニュアンスの違い】『sticky』が物理的な粘着性を指すのに対し、『clingy』は心理的な依存や執着を表す。ネガティブな意味合いで使われることが多い。 【混同しやすい点】『clingy』は人に対して使う場合、相手を不快にさせるニュアンスを含むことがある。例えば、『a clingy girlfriend』は『ベタベタする彼女』という意味になり、相手を束縛するような印象を与える。
- gummed
『糊付けされた』という意味で、過去分詞として使われることが多い。手紙や封筒など、糊で接着されたものを指す。 【ニュアンスの違い】『sticky』が一般的な粘着性を指すのに対し、『gummed』は糊によって接着されている状態を具体的に示す。より限定的な意味合いを持つ。 【混同しやすい点】『gummed』は通常、過去分詞として使われ、名詞を修飾する。例えば、『gummed envelopes』は『糊付けされた封筒』という意味になる。『sticky』のように形容詞として単独で使うことは少ない。
派生語
- stick (動詞)
「くっつく」「貼り付ける」という意味の動詞。名詞の「sticky」が持つ粘着性のある性質から、動作を表すようになった。日常会話で頻繁に使われるほか、比喩的に「固執する」「守る」という意味でも用いられる(例:stick to your principles)。
「くっつくもの」という意味で、「ステッカー」「粘着テープ」などを指す名詞。「stick」に「〜するもの」という意味の接尾辞「-er」が付いた形。日常会話やビジネスシーンで、物理的なラベルや装飾品を指す言葉として使われる。
- stickiness
「粘着性」「粘り気」という意味の名詞。「sticky」に名詞化の接尾辞「-ness」が付いた形。物質的な性質を指すだけでなく、比喩的に「記憶への残りやすさ」「コンテンツの魅力」などを表すマーケティング用語としても用いられる(例:website stickiness)。
「stick」の過去形・過去分詞。文字通り「くっついた」「動けない」という意味の他、「困った状況に陥った」「行き詰まった」という比喩的な意味でも使われる。日常会話で頻出する表現(例:I'm stuck in traffic)。
反意語
- slippery
「滑りやすい」という意味の形容詞。「sticky」がくっつく性質を表すのに対し、「slippery」は表面が滑らかで摩擦が少ない状態を表し、対照的な意味を持つ。物理的な表面の性質だけでなく、比喩的に「信用できない」「捉えどころがない」という意味でも使われる。
「滑らかな」「平らな」という意味の形容詞。「sticky」が表面のざらつきや粘着性を伴うのに対し、「smooth」は引っかかりがなく、抵抗が少ない状態を表す。触覚的な意味だけでなく、「円滑な」「順調な」といった比喩的な意味でも用いられる。
「乾いた」という意味の形容詞。「sticky」が水分や粘性を含んでいる状態を表すのに対し、「dry」は水分がなく、乾燥している状態を表す。物理的な状態だけでなく、「ユーモアがない」「退屈な」といった比喩的な意味でも用いられる。
語源
"Sticky"の語源は、古英語の"stician"(突き刺す、くっつく)に由来します。これはさらにゲルマン祖語の"*stik-anan"(突き刺す、くっつく)に遡ります。つまり、もともとは文字通り「何かを突き刺す」「何かを固定する」といった意味合いを持っていました。そこから、「くっつく」「粘着性がある」という意味に発展し、比喩的に「厄介な」「解決が難しい」状況を表すようにもなりました。日本語で例えるなら、「糊(のり)」や「餅(もち)」のように、くっついて離れないイメージです。現代では、付箋(sticky notes)のように、一時的に貼り付けて剥がせるものも指すようになり、語源の「くっつく」という根本的な意味合いが様々な形で表現されています。
暗記法
「sticky」は単なる「粘着性」ではない。厄介な問題がまとわりつく不快感、忘れられない記憶、盗癖が染み付く様… 一度関わると逃れられない状況を暗示する。広告の世界では、人の心に「粘りつく」情報こそが価値を持つ。それはまるで、ガムのように簡単には剥がせない、記憶と感情の深淵に根ざした文化的なメタファーなのだ。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の「-cky」と「-cky」が紛らわしい。意味は「ずんぐりした、がっしりした」で、体格を表す形容詞。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。日本人学習者は、発音記号を確認し、それぞれの単語を意識的に発音練習すると良い。
「stitchy」は「チクチクする」という意味のスラングで、発音が似ている。特に早口で話されると区別が難しい。スペルも 'sti...' の部分が共通しているため、注意が必要。意味は全く異なるので、文脈から判断することが重要。ちなみに、「stitch」は「縫う」という意味で、語源的には「突き刺す」イメージ。
スペルの一部(sty)が共通しており、視覚的に混同しやすい。また、発音も最初の音が似ているため、聞き間違える可能性がある。「study」は「勉強する」という意味の動詞または「研究」という意味の名詞。日本人学習者は、単語の品詞と意味をセットで覚えることが重要。
発音が非常に似ており、特にネイティブスピーカーが早口で話す場合は聞き分けが難しい。意味は「趣味が悪い、安っぽい」で、形容詞として使われる。スペルも 'sti-' と 'ta-' の違いだけなので、注意が必要。文脈で判断する必要がある。'tacky' は、もともと 'tack'(画鋲)から派生した言葉で、「ベタベタする」という意味合いから「趣味が悪い」という意味になった。
スペルの一部(ste...)が似ており、視覚的に混同しやすい。発音も最初の部分が似ている。「streak」は「筋、縞」という意味の名詞または「連続(記録)」という意味で使われる。「sticky」とは意味が全く異なるため、文脈で判断する必要がある。例えば、「a streak of luck(幸運続き)」のように使われる。
「sticky」と「strictly」は、どちらも副詞として使われることがあり、発音も似ているため、リスニングの際に混同しやすい。「strictly」は「厳密に、厳格に」という意味で、規則やルールを強調する際に使われる。スペルも一部が共通しているため、注意が必要。例えば、「strictly speaking(厳密に言えば)」のように使われる。
誤用例
日本語の『厄介』『扱いにくい』という意味で『sticky』を使うと、文字通り『ベタベタする』という意味合いが強く、不適切です。比喩的に困難さを表す場合は、『thorny(トゲのある)』や『tricky(巧妙で難しい)』などがより適切です。日本人が『sticky』を安易に使う背景には、日本語の『粘り強さ』『しつこさ』といったニュアンスが、問題の解決の難しさと結びつきやすいという言語的な連想があります。英語では問題の困難さを『物理的な粘着性』で表現することは一般的ではありません。
『sticky』を『記憶に残る』『印象的』という意味で使おうとするのは、マーケティング用語の影響を受けた誤用です。ビジネスシーンで『sticky content(人の記憶に残るコンテンツ)』という表現が使われることがありますが、これは専門用語であり、日常会話で使うと不自然に聞こえます。より一般的な表現としては『memorable』や『catchy』が適切です。日本人がこのような誤用をする背景には、カタカナ英語として『スティッキー』という言葉が普及し、その本来の意味を理解せずに、表面的なイメージだけで使ってしまう傾向があります。
『sticky』を『ケチ』という意味で使うのは誤りです。『ケチ』を表す場合は『stingy』や『miserly』が適切です。『sticky』は文字通り『粘着性がある』という意味から派生して、比喩的に『(困難などが)つきまとう』という意味合いを持つことはありますが、『お金に対してケチ』というニュアンスはありません。日本人が『sticky』を誤用する背景には、お金に対する執着を『ベタベタくっついている』というイメージで捉えようとする、直訳的な発想が考えられます。英語ではお金に対する執着は、むしろ『針で刺すように痛い(stingy)』という比喩で表現されます。
文化的背景
「sticky」は、文字通りには「粘着性のある」という意味ですが、文化的な背景においては、単に物理的な性質だけでなく、「忘れられない」「記憶に残る」「厄介な」といった、より抽象的で感情的なニュアンスを帯びることがあります。特に、望ましくない状況や、なかなか解決しない問題に対して使われる場合、その「粘り強さ」は、まるでガムのようにまとわりつく不快感や、逃れられない状況を暗示します。
たとえば、政治的なスキャンダルや、企業における倫理的な問題が発覚した際に、「sticky situation(厄介な状況)」という表現が用いられることがあります。これは、問題が容易には解決せず、関係者全員に影響を及ぼし続ける様子を、粘着性のある物質が周囲に広がるイメージと重ね合わせたものです。また、「sticky fingers(盗癖)」という表現は、文字通りには「粘着性のある指」を意味しますが、実際には窃盗癖のある人を指し、一度盗みを働くと、その行為が「sticky」なものとして、その人物にまとわりつき続けることを示唆します。このように、「sticky」は、一度関わると簡単には抜け出せない、あるいは忘れられない状況や行動を表現する際に、その比喩的な意味合いを強く発揮します。
さらに、「sticky」は、マーケティングや広告の世界でも重要な概念として扱われます。「sticky content」とは、人々の注意を引きつけ、記憶に残りやすく、共有されやすいコンテンツのことを指します。これは、情報が人々の心に「粘りつく」ように、強く印象づけられることを意味します。優れた広告やキャッチーなフレーズは、一度聞いたら忘れられないほど「sticky」であり、消費者の行動を促す力を持つとされます。この意味において、「sticky」は、単なる物理的な特性を超え、心理的な影響力や、情報伝達の効率性を測る指標としても機能していると言えるでしょう。
このように、「sticky」という言葉は、その粘着性という物理的な特性から派生し、忘れられない記憶、厄介な状況、そして効果的なコンテンツといった、多岐にわたる文化的な意味合いを持つに至りました。それは、私たちが何かを「sticky」と表現するとき、単にそれがくっつきやすいというだけでなく、その対象が私たちの心に深く残り、影響を与え続けることを暗示しているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題(短文穴埋め)。長文読解でも文脈理解を問う形で出題される可能性あり。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。2級でも稀に出題される。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。比喩的な意味合いで使われることも多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「粘着性のある」という意味だけでなく、「厄介な」「不快な」という意味も重要。比喩的な用法も押さえておくこと。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)で出題。
- 頻度と級・パート: Part 5ではやや頻度低め。Part 7では契約書やメールなどのビジネス文書で登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンにおける問題、状況で使われることが多い。「扱いにくい問題」といった意味合いで使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「粘着性のある」という意味より、「厄介な」「解決困難な」という意味で出題される可能性が高い。関連語句(例:sticky situation)も覚えておくと有利。
- 出題形式: リーディングセクションで、アカデミックな長文読解問題として出題。
- 頻度と級・パート: 頻度は高くないが、出題される場合は高度な語彙力が求められる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、社会科学、歴史など、アカデミックな内容の文章で登場。「複雑で解決が難しい」といった比喩的な意味合いで使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 字義通りの意味よりも、比喩的な意味合いで使われることが多い。文脈から意味を推測する練習が必要。
- 出題形式: 長文読解問題で、文脈理解を問う形で出題される。
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも稀に出題される。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など、幅広いジャンルの文章で登場。比喩的な意味合いで使われることも多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、「厄介な」「不快な」といった意味も覚えておくこと。文脈から適切な意味を判断する練習が必要。