ethics
第一音節にアクセントがあります。/e/ は日本語の「エ」よりも口を左右に少し開いて発音します。/θ/ は無声音で、舌先を上下の歯で軽く挟んで息を出す音です。「ス」と「シ」の中間のような音を意識しましょう。最後の /s/ は日本語の「ス」よりも息を強く出すイメージです。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
倫理観
社会や組織における善悪の判断基準。個人の行動や意思決定を導く原則となるもの。道徳よりも客観的・体系的な規範を指すことが多い。企業倫理(business ethics)のように使われる。
Even though it was easy, she didn't cheat on the test because of her strong ethics.
簡単にできたとしても、彼女は強い倫理観があったのでテストでずるをしませんでした。
※ この例文では、テスト中に誘惑があっても、正しいことを選ぶ個人の「倫理観」が描かれています。個人の道徳的な基準や信念を指す「ethics」の典型的な使い方です。「strong ethics」で「強い倫理観」と表現されます。
The company decided to recall the product for safety, showing its good ethics.
その会社は安全のために製品を回収することを決め、その高い倫理観を示しました。
※ 企業が利益よりも顧客の安全を優先した場面です。ビジネスや組織が持つべき「倫理観」を表しています。ニュースやビジネスの場面でよく使われます。「good ethics」は「高い倫理観」という意味合いです。
A good doctor always respects patient privacy, which is part of their ethics.
良い医者は常に患者のプライバシーを尊重します。それが彼らの倫理観の一部だからです。
※ 医療従事者のプロフェッショナルな「倫理観」に焦点を当てた例文です。特定の職業や専門分野における行動規範や責任を指す場合にも「ethics」が使われます。「part of their ethics」で「彼らの倫理観の一部」という表現です。
倫理学
倫理的な問題や道徳的判断を研究する学問分野。哲学の一分野であり、善悪の基準や人間の行動原理を探求する。
At university, I decided to take an ethics class because I want to understand more about right and wrong.
大学で、私は善悪についてもっと理解したくて、倫理学の授業を受けることにしました。
※ 【情景が目に浮かぶ!】新学期、大学の掲示板やウェブサイトで授業を探しているあなたが、真剣な顔で「倫理学」の授業を選んでいる場面です。「何が正しくて何が間違っているのか」という、私たちが普段から考えるような疑問を、学問として深く探求したいという気持ちが伝わります。 【ここがポイント!】「take an ethics class」は「倫理学の授業を受ける」という、この単語の最も典型的な使われ方の一つです。大学の科目名としてよく登場します。
Scientists often study ethics to think about the moral issues of new technologies.
科学者たちは、新しい技術の倫理的な問題について考えるためによく倫理学を学びます。
※ 【情景が目に浮かぶ!】白衣を着た科学者たちが、実験室や会議室で、開発中の新しい技術について真剣な表情で話し合っている場面です。「この技術は社会にどんな影響を与えるだろう?」と、未来への責任を考えています。 【ここがポイント!】「ethics」は、科学やビジネス、医療など、特定の専門分野における「倫理的な側面」を考える学問として、よく使われます。「moral issues(倫理的な問題)」は「ethics」と非常に関連の深い言葉です。
My friend is really interested in ethics because he wants to explore big questions about human life.
私の友人は、人間の生き方に関する大きな問いを探求したいので、倫理学にとても興味があります。
※ 【情景が目に浮かぶ!】カフェで、哲学書を片手に目を輝かせながら、人生や社会について熱く語り合う友人の姿が目に浮かびます。「人間はどう生きるべきか」「社会はどうあるべきか」といった、誰もが一度は考えるような根源的な問いに、彼は倫理学を通して答えを見つけようとしています。 【ここがポイント!】「be interested in ethics」は「倫理学に興味がある」という、個人の関心を表す自然な表現です。「big questions about human life」は、倫理学が扱うテーマを平易な言葉で説明しています。
倫理的な
倫理原則に合致していること。または倫理的に問題がある状況を指す。「ethical dilemma(倫理的ジレンマ)」のように使われる。
He felt it was his ethical duty to tell the truth.
彼は、真実を話すことが自分の倫理的な義務だと感じていました。
※ この例文では、主人公が心の中で「これは正しいことだ」と感じ、勇気を出して真実を語る場面が目に浮かびます。「ethical duty」は「倫理的な義務」という意味で、道徳的に正しいと信じる行動や責任を表す、非常によく使われる表現です。個人の行動や判断が「倫理的に正しいか」を考える典型的な場面です。
The company uses ethical methods to make its new products.
その会社は、新しい製品を作るために倫理的な方法を用いています。
※ この例文は、企業が製品を製造する際に、環境や労働者の人権に配慮した「正しいやり方」を選んでいる様子を描いています。「ethical methods(倫理的な方法)」のように、ビジネスや生産活動が道徳的基準に沿っていることを示す文脈で頻繁に使われます。責任ある企業活動について話す際によく耳にする表現です。
Many people think it is not ethical to cheat on tests.
多くの人は、テストでカンニングをするのは倫理的ではないと考えています。
※ この例文では、試験中にカンニングをする行為に対して、「それは道徳的に許されない」と考える人々の視線や心の声が伝わってきます。「it is not ethical to...」は、「~するのは倫理的ではない」という意味で、特定の行動が道徳的に正しいか否かを問う、一般的な規範や常識について話すときに使われる典型的な形です。日常の行動に対して「これはどうなの?」と考える場面で役立ちます。
コロケーション
企業倫理
※ 企業活動における倫理的な行動規範を指します。単に法律を守るだけでなく、社会的な責任を果たし、公正な競争を行うことを含みます。近年、企業の社会的責任(CSR)への関心の高まりとともに、重要視されるようになりました。例えば、環境問題への取り組み、労働者の権利保護、消費者への誠実な対応などが挙げられます。ビジネスシーンで頻繁に使われ、企業の評判やブランドイメージに大きく影響します。
医療倫理
※ 医療行為における倫理的な判断基準を指します。患者の権利、インフォームドコンセント、安楽死、臓器移植など、生命に関わる問題を取り扱うため、非常にデリケートな分野です。医師や医療従事者が倫理的なジレンマに直面した際に、判断の拠り所となります。医療現場だけでなく、医療政策や研究倫理にも関わる重要な概念です。
倫理綱領
※ 組織や職業団体が定める、倫理的な行動規範を明文化したものです。弁護士、医師、会計士などの専門職団体や、企業などが、その構成員が守るべき倫理基準を示すために作成します。違反した場合、懲戒処分や資格停止などの措置が取られることもあります。組織の信頼性を高め、不正行為を防止する役割を果たします。
倫理的ジレンマ
※ 複数の倫理的な価値観が衝突し、どちらを選択しても倫理的に問題がある状況を指します。例えば、個人のプライバシー保護と公共の安全確保、企業の利益追求と環境保護など、相反する価値観の間で葛藤が生じます。倫理的ジレンマに直面した際は、状況を慎重に分析し、関係者の意見を聞きながら、最も倫理的に妥当な解決策を探る必要があります。ビジネス、医療、政治など、様々な分野で起こりうる問題です。
倫理的配慮
※ ある行動や決定を行う際に、倫理的な観点から考慮すべき事項を指します。例えば、研究を行う際には、被験者の人権や安全性を考慮する必要がありますし、製品を開発する際には、環境への影響や消費者の安全性を考慮する必要があります。倫理的配慮は、単に法律を守るだけでなく、社会的な責任を果たし、公正な行動をとることを意味します。特に、新しい技術やビジネスモデルが登場する際には、倫理的配慮が不可欠となります。
倫理観を曲げる、倫理に反する行為をする
※ 自身の倫理的な原則や信念を犠牲にして、不正直な行為や不正な取引を行うことを意味します。金銭的な利益や権力のために、倫理的な判断を誤ってしまう状況を表します。例えば、賄賂を受け取ったり、不正な会計処理を行ったりする行為が該当します。この表現は、強い非難や批判のニュアンスを含んでいます。ビジネスや政治の世界で、倫理的な問題が浮上した際に、よく用いられます。
倫理観の欠如
※ 倫理的な原則や道徳的な価値観が欠けている状態を指します。他者への配慮や公正さ、誠実さなどの倫理的な要素が不足していることを意味します。倫理観の欠如は、不正行為、差別、ハラスメントなどの問題を引き起こす可能性があります。組織や社会全体における倫理観の欠如は、信頼の崩壊や社会秩序の混乱を招く恐れがあります。ニュース記事や社会問題に関する議論でよく見られる表現です。
使用シーン
倫理学、哲学、社会学、法学などの分野で頻繁に使用されます。研究論文では、研究倫理、実験倫理、データ倫理など、具体的な倫理的問題を議論する際に用いられます。講義では、様々な倫理的ジレンマや倫理的判断の基準について解説する際に使用されます。例えば、「この研究は倫理的な観点から問題がある」や「倫理学の講義でカントの義務論を学んだ」といった文脈で使われます。
企業の行動規範、コンプライアンス、CSR(企業の社会的責任)に関する文書や会議でよく使用されます。企業倫理、ビジネス倫理、サプライチェーンにおける倫理問題などが議論される際に登場します。例えば、「当社の倫理綱領を遵守する」や「サプライヤーの選定において倫理的な基準を重視する」といった文脈で使われます。また、内部告発制度やハラスメント防止研修など、倫理的な問題に対する企業の取り組みを説明する際にも用いられます。
日常会話で直接「倫理」という言葉を使うことは少ないですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、政治家の汚職、医療倫理、環境問題など、倫理的な問題が取り上げられる際に間接的に触れることがあります。例えば、「政治家の倫理観が問われる」や「遺伝子編集技術の倫理的な問題が議論されている」といった文脈で使われます。また、SNS上での炎上やフェイクニュースの問題など、インターネット倫理に関する議論も増えています。
関連語
類義語
- morals
個人の行動や信念に基づいた善悪の判断基準。日常生活や個人的な信念体系に関連して使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"ethics"が社会規範や職業倫理など、より体系化された規範を指すのに対し、"morals"は個人の内面的な価値観や良心に基づいた判断基準を意味する。感情的な共感を伴うことが多い。 【混同しやすい点】"ethics"が複数形で使われることが多いのに対し、"morals"は単数形でも使われる。また、"morals"は「道徳的な教訓」といった意味合いでも使われるため、文脈によっては"ethics"との置き換えが不適切になる。
- principles
行動や判断の基盤となる基本的な信念やルール。個人、組織、社会など、様々なレベルで適用される。 【ニュアンスの違い】"ethics"が特定の分野における行動規範を指すのに対し、"principles"はより普遍的で一般的な指針となる。また、"principles"は状況に応じて柔軟に解釈されることがある。 【混同しやすい点】"ethics"は「倫理」という体系的な概念を表すのに対し、"principles"は個々の具体的な「原則」を指す。例えば、"ethical principles"という形で両者を組み合わせることも可能。
- values
個人や集団が重要視する価値観。何を大切に思い、どのような行動を是とするかを示す。 【ニュアンスの違い】"ethics"が行動の正当性を判断するための客観的な基準を提供するのに対し、"values"は主観的な選好や優先順位を示す。価値観は倫理観に影響を与えるが、必ずしも倫理的な行動を保証するものではない。 【混同しやすい点】"ethics"は「倫理」という客観的な概念であるのに対し、"values"は「価値観」という主観的な概念である。異なる個人や集団の間で価値観が異なることは一般的だが、倫理観は共有されることが望ましいとされる。
- virtues
道徳的な卓越性や高潔さ。特定の行動や性格特性が、倫理的に優れているとみなされる場合に用いられる。 【ニュアンスの違い】"ethics"が行動の規範やルールを定めるのに対し、"virtues"は人格的な美徳や道徳的な資質を指す。倫理的な行動は美徳の発露として捉えられる。 【混同しやすい点】"ethics"は行動の基準であるのに対し、"virtues"は人格的な特質である。倫理的な行動をとることは美徳の一つとみなされるが、美徳を持つ人が必ずしも倫理的な行動をとるとは限らない。
- code of conduct
特定の組織や職業における行動規範を明文化したもの。倫理的な行動を促進し、不正行為を防止するために用いられる。 【ニュアンスの違い】"ethics"が倫理的な原則全般を指すのに対し、"code of conduct"は特定の状況における具体的な行動指針を示す。より実践的で具体的な内容を含む。 【混同しやすい点】"ethics"は抽象的な概念であるのに対し、"code of conduct"は具体的な行動規範である。企業倫理(business ethics)を具現化したものが、その企業の行動規範(code of conduct)となる。
社会的に適切であること、礼儀正しさ、上品さ。特にフォーマルな場面や儀式において重要視される。 【ニュアンスの違い】"ethics"が善悪の判断基準に基づいた行動を指すのに対し、"propriety"は社会的な規範や期待に沿った行動を指す。倫理的に正しいことが、必ずしも社会的に適切であるとは限らない。 【混同しやすい点】"ethics"は倫理的な正しさを問題にするのに対し、"propriety"は社会的な適切さを問題にする。例えば、倫理的には正しい告発が、社会的には不適切とみなされる場合もある。
派生語
『倫理的な』という意味の形容詞。ethics(倫理)という名詞に、形容詞を作る接尾辞『-al』が付いた形。倫理にかなっている状態や、倫理に関する事柄を指す。日常会話からビジネス、学術論文まで幅広く使われる。
『倫理的に』という意味の副詞。ethical(倫理的な)という形容詞に、副詞を作る接尾辞『-ly』が付いた形。行動や判断が倫理基準に沿っている様子を表す。ビジネスシーンや報道などで頻繁に用いられる。
- ethicist
『倫理学者』という意味の名詞。ethics(倫理)に、『〜する人』という意味の接尾辞『-ist』が付いた形。倫理を専門的に研究する人、または倫理問題について助言する人を指す。学術的な文脈でよく見られる。
反意語
- immorality
『不道徳』という意味の名詞。接頭辞『im-(否定)』が付き、morality(道徳)の反対概念を表す。ethicsが社会全体の規範を指すのに対し、immoralityは個人の行動や性質が道徳に反することを強調する。学術論文や倫理的な議論で用いられる。
『非倫理的な』という意味の形容詞。接頭辞『un-(否定)』が付き、ethical(倫理的な)の反対概念を示す。主にビジネスや政治、医療などの分野で、倫理基準に違反する行為や状況を指す際に用いられる。
- amoral
『道徳観念がない』という意味の形容詞。接頭辞『a-(無)』が付き、moral(道徳的な)の反対概念を表す。immoralが積極的に道徳に反するのに対し、amoralは道徳的な判断基準を持たない状態を指す。心理学や哲学の文脈で使われることが多い。
語源
「ethics(倫理)」は、ギリシャ語の「ethos(エートス)」に由来します。「ethos」は、元々「住み慣れた場所」「習慣」を意味し、そこから「性格」「気質」「道徳的性格」といった意味へと発展しました。人が習慣的に行う行動や、社会の中で培われる性格が、倫理観の基礎となるという考え方が背景にあります。日本語の「エトス」という言葉も、組織や集団に共通する気風や精神性を指す言葉として使われることがあります。つまり、倫理とは、単なるルールではなく、私たちが日々生活する中で自然と身につけ、大切にしている価値観の集積と言えるでしょう。
暗記法
「ethics」は、古代ギリシャ哲学を源流とする、社会の羅針盤。単なる規則でなく、良心や責任感に基づいた内面的道徳律を指します。医療やビジネスの現場で、個人の葛藤や成長を通して、その重要性が文学作品にも描かれます。時代や文化で解釈が変わり、環境問題や情報技術の発展に伴い、新たな倫理的課題も。AI倫理など、未来に向けて「ethics」の重要性は増すばかりです。
混同しやすい単語
『ethics』とスペルが似ており、発音も /eθ-/ の部分が共通するため混同しやすい。意味は『民族的な』であり、形容詞として使われる。『ethics』は名詞で『倫理』を意味するため、品詞も意味も異なる。日本人学習者は、形容詞と名詞の違いを意識し、文脈から判断する必要がある。
スペルが似ており、特に『ae』の有無で混乱しやすい。発音も似ているが、アクセントの位置が異なる場合がある(イギリス英語とアメリカ英語の違い)。意味は『美学』であり、『ethics』の『倫理学』とは分野が異なる。語源はギリシャ語の『aisthesis(感覚)』で、感覚的な美を扱う学問である。
語尾の '-ics' と '-sis' が似ており、スペルミスしやすい。発音も、アクセントの位置が異なるものの、後半部分の母音は似ている。意味は『論文』または『主張』であり、『ethics』とは全く異なる概念を指す。学術的な文脈でよく使われる単語であり、区別が必要。
語尾の音が似ており、特にカタカナ発音で『アトラス』と発音する場合に混同しやすい。スペルも一部共通している。意味は『地図帳』またはギリシャ神話の巨人の名前であり、『ethics』とは全く関係がない。ただし、地図帳の『atlas』は、ギリシャ神話の巨人が世界を支える姿から名付けられた。
語尾の '-ix' の部分が、発音とスペルの両方で『ethics』の '-ics' と似ているため、混同しやすい。意味は『らせん』であり、DNAの二重らせん構造などで使われる。科学的な文脈で登場することが多く、文脈が全く異なるため、誤用は避けたい。
複数形の 'attics' と『ethics』は、語尾の '-ics' が共通しており、スペルミスしやすい。発音も、アクセントの位置が異なるものの、後半部分は似ている。意味は『屋根裏部屋』であり、複数形である点も異なる。『ethics』は通常、複数形で使われることはない。
誤用例
日本語の『倫理観が低い』を直訳しようとして、安価(cheap)という単語を使ってしまう誤用です。日本語では比喩的に『低い』という表現を使いますが、英語では倫理観の欠如や疑念を表す形容詞(questionable, dubious, laxなど)を使うのが適切です。英語のethicsは、行動規範や道徳的原則を指し、その質を評価する際には、価格のような物質的な尺度ではなく、その正当性や道徳的妥当性に焦点を当てます。背景には、倫理は数値化できない、抽象的な概念であるという考え方があります。
『ethics』は一般的に複数形で使われ、道徳的な原則や価値観の体系を指します。個人が特定の倫理観を持っているか否かを表す場合は、『scruples』(良心) や 『morals』を使う方が適切です。また、日本語の『倫理観がない』は、必ずしも非難の意味合いだけでなく、ドライな成功を語る文脈でも使われますが、英語でethicsの欠如を成功の理由として述べる場合、通常は否定的なニュアンスが強くなります。より中立的な表現にするには、『scruples』を用いるのが良いでしょう。文化的背景として、英語圏では倫理的な行動が重要視される傾向が強く、倫理観の欠如をストレートに成功の要因と結びつける表現は、反感を買う可能性があります。
『ethics』は原則や規範の体系を指すため、『~を持っている』という場合に個人が持つのは倫理観そのものではなく、仕事に対する姿勢や価値観であることが多いです。そのため、ここでは『work ethic』(仕事に対する倫理観、勤勉さ)を使うのが自然です。日本人が『~に対する倫理観』という表現を直訳しようとすると、このような誤りが起こりやすいです。英語では、具体的な行動や態度と結びつけて『work ethic』のように表現することで、より明確に意図を伝えることができます。
文化的背景
「ethics(倫理)」は、社会生活における善悪の判断基準、行動規範を指し、個人や集団の行動を律する根源的な価値観と深く結びついています。古代ギリシャ哲学にその源流をもち、社会秩序の維持、公正な関係の構築、個人の幸福追求といった、人間社会の根幹を支える概念として、時代を超えて重要視されてきました。
「ethics」という言葉は、単なる規則や法律を超えた、より内面的な道徳律を意味することがあります。例えば、医療倫理やビジネス倫理といった言葉が示すように、特定の職業や活動における専門的な規範を指す場合、それは単なる法律遵守を超え、人としての良心や責任感に基づいた行動を求めるものです。文学作品においても、「ethics」は登場人物の葛藤や成長を描く上で重要な役割を果たします。主人公が倫理的なジレンマに直面し、苦悩しながらも正しい選択をしようとする姿は、読者に深い共感と感動を与えます。
「ethics」は、時代や文化によってその解釈が変化する、相対的な概念でもあります。かつては当然とされていた行為が、現代では倫理的に問題視されることも少なくありません。例えば、環境問題に対する意識の高まりから、企業活動における環境倫理が重視されるようになり、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが求められています。また、情報技術の発展に伴い、プライバシー保護や情報セキュリティに関する倫理的な問題も新たに浮上しており、社会全体で議論を深める必要性が高まっています。
「ethics」は、私たちの社会生活における羅針盤のような存在です。倫理的な判断は、常に状況や関係者を考慮し、多角的な視点から検討する必要があります。簡単な答えがない場合も多いですが、倫理的な問題に真摯に向き合い、対話を重ねることで、より良い社会を築いていくことができるでしょう。近年では、AI倫理など、新たなテクノロジーがもたらす倫理的な課題も注目されており、今後ますます「ethics」の重要性は高まっていくと考えられます。
試験傾向
準1級以上で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主に長文読解問題、稀に語彙問題。
2. **頻度と級・パート**: 準1級〜1級レベル。長文読解パート。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、ビジネス、環境問題など、倫理観が問われるアカデミックな内容。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 名詞「倫理、倫理観」の意味を理解し、関連語(ethical, unethical)も合わせて覚える。文章全体の文脈から意味を推測する練習が必要。
TOEIC L&R TEST であれば、出題頻度は高くない。
1. **出題形式**: 主に長文読解問題(Part 7)。
2. **頻度と級・パート**: Part 7で稀に出題される程度。
3. **文脈・例題の特徴**: 企業倫理、コンプライアンス、CSR(企業の社会的責任)など、ビジネス関連の文脈。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: ビジネス倫理に関する知識があると有利。関連語(code of ethics, business ethics)を覚えておくと役立つ。
TOEFL iBT であれば、読解・ライティングで出題される可能性あり。
1. **出題形式**: リーディングセクションの長文読解、ライティングセクションの独立問題。
2. **頻度と級・パート**: リーディング、ライティングセクション。
3. **文脈・例題の特徴**: アカデミックな内容で、哲学、社会学、政治学、科学など、幅広い分野で倫理的な問題が扱われる。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: アカデミックな文章に慣れておくこと。倫理に関する様々な視点や議論を理解しておくことが重要。類義語(morality)との違いを理解しておく。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。
1. **出題形式**: 主に長文読解問題。
2. **頻度と級・パート**: 難関大学の入試問題。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、環境問題、科学技術の倫理など、現代社会における倫理的な課題を扱った文章。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から意味を推測する読解力が必要。筆者の主張を正確に把握し、批判的に考察する力も求められる。関連語句や背景知識を増やしておくことが望ましい。