backlog
第一音節にアクセントがあります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。/ɔː/ は口を丸めて「オー」と長めに発音しますが、日本語の「オ」よりも喉の奥から出すイメージです。最後の 'ɡ' は、しっかり息を止めてから破裂させるように発音すると、よりネイティブに近い発音になります。
未処理案件
本来処理されるべきだが、まだ対応されていない仕事やタスクのリスト。ソフトウェア開発やプロジェクト管理でよく使われる。積み残し、滞留案件といったニュアンスを含む。
My desk is buried under a huge backlog of paperwork.
私の机は大量の未処理書類で埋もれています。
※ 目の前に書類の山が積まれ、ため息をついている様子が目に浮かびますね。「backlog」は、終わらせるべき仕事やタスクが溜まっている状態を表すのに非常によく使われます。「buried under a backlog」で「未処理の山に埋もれている」という、忙しすぎて身動きが取れないような感覚が伝わります。ビジネスシーンで頻繁に聞く表現です。
The customer service team has a large backlog of emails to answer.
カスタマーサービスチームには、返信すべき大量の未処理メールが溜まっています。
※ 問い合わせが殺到し、対応に追われるカスタマーサービスのオフィスが目に浮かびます。この例文のように、組織や部署が抱える「未処理の問い合わせ」や「未対応の案件」にも「backlog」は使われます。「a large backlog」で「大量の未処理案件」という状況を強調しています。「to answer」は「〜すべき」という意味で、まだ対応が終わっていないことを示します。
I need to clear the backlog of chores before the weekend.
週末までに溜まった家事を片付けなければなりません。
※ 散らかった部屋で、週末を気持ちよく過ごすために「よし、やるぞ!」と意気込む、あるいは「ああ、面倒だな」とため息をつく姿が想像できます。「backlog」は、ビジネスだけでなく、家事や個人的なタスクなど、日常生活で「やり残したことの山」を表現する際にも使えます。「clear the backlog」は「未処理案件を片付ける」という決まり文句です。週末に向けて、気持ちよく過ごしたいという気持ちが伝わりますね。
負債
過去の決定や行動の結果として、現在または将来に生じる負担や問題。技術的負債(Technical Debt)のように、将来的な修正が必要な状態を指す場合がある。
He felt stressed because his work backlog was huge after the long holiday.
彼は長い休暇の後、仕事の積み残しが膨大だったので、ストレスを感じていました。
※ この例文では、会社員が休暇明けに大量の未処理の仕事(work backlog)に直面し、ストレスを感じている様子を描写しています。このように「仕事の積み残し」は、backlogの最も典型的な使い方の一つで、多くの人が共感できる状況です。backlogは数えられる名詞として、huge(膨大な)などの形容詞でその量を示せます。
The small shop had a big backlog of orders, so customers had to wait longer.
その小さなお店には大量の注文の積み残しがあったので、お客さんはもっと長く待たなければなりませんでした。
※ 人気のあるお店や工場で、受けた注文に対して製造や発送が追いつかず、未処理の注文が山積している状態(backlog of orders)を表現しています。お客さんが待つことになるという具体的な影響も示されており、backlogがビジネスにおいて重要な問題であることを伝えます。'a big backlog of ~' の形でよく使われます。
She sighed, looking at the big backlog of homework she needed to finish by Monday.
彼女は月曜日までに終わらせなければならない宿題の大量の積み残しを見て、ため息をつきました。
※ 学生が、まだ手をつけていない大量の宿題(backlog of homework)を前にして、うんざりしている情景です。このように、個人が抱える「未処理のタスクや義務」についてもbacklogは使われます。ため息をつく ('sighed') ことで、彼女の気持ちが伝わってきますね。'looking at ~' は「~を見て」という意味です。
後回しにする
意図的に、またはやむを得ず、何かを後の時点まで延期すること。優先順位が低いタスクや、すぐに取り組む必要がない事項に対して使われる。
She often backlogs her work until the very last minute, feeling stressed.
彼女はいつもギリギリまで仕事を後回しにするので、ストレスを感じています。
※ この例文は、締め切りが迫っているのに、つい仕事を後回しにしてしまい、ストレスを感じている女性の姿を描写しています。'backlog' は、このように仕事や学業を「ため込む」ように後回しにする状況で、特によく使われます。'until the very last minute' は「まさに最後の瞬間まで、ギリギリまで」という意味で、切迫した状況を表します。
I always backlog my laundry, so my basket is overflowing with clothes.
いつも洗濯物を後回しにするので、カゴが服であふれています。
※ この例文では、洗濯物が山積みになり、カゴからあふれている状況と、それをため息をつきながら見ている様子が目に浮かびます。'backlog' は、家事や日常の雑用を「ためる」ように後回しにする際にも自然に使われます。'so' は「~なので、結果として~」と原因と結果をつなぐ接続詞で、日常会話で非常によく使われます。
He promised to call back, but he might backlog it because he's so busy.
彼は折り返し電話すると約束しましたが、とても忙しいので後回しにするかもしれません。
※ この例文は、忙しさのために、本来すぐにやるべき大事な連絡を後回しにしてしまう男性の状況を描いています。'backlog' は、このように連絡や約束事など、何かを「保留にする」「先延ばしにする」場合にも使えます。'might' は「~かもしれない」という可能性を表す助動詞で、推測を伝えるときに便利です。
コロケーション
未処理の案件を片付ける、滞っていた作業を終わらせる
※ 文字通り、溜まってしまった(backlog)ものを綺麗にする(clear)という意味です。タスク、プロジェクト、注文など、様々な種類の未処理案件に使えます。ビジネスシーンで頻繁に使われ、進捗状況を報告する際などにも用いられます。類似表現として 'work through a backlog' がありますが、こちらはより時間をかけて着実に処理していくニュアンスがあります。
未処理の問題に対処する、対応が遅れている案件に着手する
※ 'address' は「~に対処する、取り組む」という意味で、backlog と組み合わさることで、放置されていた問題や遅延している案件に積極的に対応していくニュアンスが生まれます。単に片付けるだけでなく、根本的な解決を目指す姿勢を示唆する場合もあります。会議や報告書など、フォーマルな場面でよく使われます。
かなりの量の未処理案件、深刻な滞り
※ 'significant' は「重要な、著しい」という意味で、backlog の規模や深刻さを強調します。単に未処理の案件があるだけでなく、それが無視できないレベルであることを示唆します。プロジェクトの遅延、顧客からの苦情の増加など、問題の深刻さを伝える際に有効です。ビジネスや報道など、客観的な情報伝達が求められる場面でよく使われます。
未処理案件の増加、滞りの拡大
※ 'growing' は「増大している」という意味で、backlog が時間とともに悪化している状況を表します。問題が解決されないまま、どんどん積み重なっている状態を示唆します。早急な対応が必要であることを強調する際に使われます。プロジェクトマネジメントやサプライチェーン管理など、状況の変化に敏感であるべき分野でよく用いられます。
未処理の案件を地道に処理していく、滞っていた作業を一つずつ片付ける
※ 'work through' は「~を乗り越える、地道に進める」という意味で、backlog を着実に処理していくプロセスを表します。困難な状況でも諦めずに努力する姿勢を示唆します。単に 'clear a backlog' よりも、時間と労力をかけて取り組むニュアンスがあります。地道な努力が求められる場面でよく使われます。
未処理案件を減らす、滞りを解消する
※ 'reduce' は「減らす、縮小する」という意味で、backlog の量を減らすことに焦点を当てています。具体的な数値目標と組み合わせて使われることも多く、進捗状況を定量的に示す際に有効です。プロジェクトマネジメントや業務改善など、効率化が求められる場面でよく用いられます。
未処理案件の増加に拍車をかける、滞りを悪化させる
※ 'contribute to' は(良い意味でも悪い意味でも)「~に貢献する、~の一因となる」という意味で、backlog の増加に間接的に関与していることを表します。必ずしも意図的な行為であるとは限らず、状況やシステムの問題が原因である場合もあります。責任の所在を明確にする際に使われることがあります。
使用シーン
研究分野、特に情報科学やプロジェクトマネジメント関連の論文で頻繁に見られます。「未処理のタスクのバックログ」や「未解決の課題のバックログ」といった文脈で使用され、研究の進捗状況や今後の課題を示す際に用いられます。例えば、「本研究では、既存研究のバックログを解消するために新しい手法を提案する」のように使われます。
プロジェクトマネジメント、ソフトウェア開発の現場で非常に頻繁に使われます。タスク管理ツールや会議で「バックログの優先順位付け」「スプリントバックログ」といった言葉が飛び交います。また、顧客対応の遅延や未処理の注文を指す場合にも使用されます。例:「今週はバックログを減らすことに集中しましょう」
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やビジネス関連の話題で耳にすることがあります。例えば、「病院の予約バックログが深刻化している」といったニュース報道や、趣味のプロジェクトでタスクが溜まっている状況を冗談めかして表現する際に使われることがあります。例:「週末は溜まったビデオゲームのバックログを消化するぞ!」
関連語
類義語
- arrears
(通常、複数形で)『未払い金』『滞納金』『遅延』などを意味します。主に金銭的な未払い、または義務の履行の遅延を指すフォーマルな語です。会計、法律、またはビジネスの文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】"backlog"が未処理の仕事や課題の蓄積を指すのに対し、"arrears"は特定の支払いまたは義務が期日を過ぎて未完了であることを強調します。"arrears"はより具体的な状況で使用され、通常は金銭的な意味合いが強いです。 【混同しやすい点】"arrears"は不可算名詞として扱われることが多いですが、特定の文脈では複数形で使用されます。また、"backlog"のように動詞として使用されることはありません。
『蓄積』『累積』を意味し、徐々に物事が集まって増えていく過程を指します。物理的なもの(雪の積もる様子など)から抽象的な概念(知識の蓄積など)まで幅広く使用されます。学術的な文脈でもよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"backlog"が未処理のタスクやプロジェクトの蓄積を指すのに対し、"accumulation"は必ずしもネガティブな意味合いを持ちません。良い意味でも悪い意味でも、単に『増える』という事実に焦点を当てます。 【混同しやすい点】"accumulation"は、必ずしも処理が遅れているというニュアンスを含みません。単に量が増えている状態を表すため、文脈によっては不適切な場合があります。
- pileup
『積み重なり』『玉突き事故』を意味し、主に物理的なものが積み重なっている状態、または事故などで物が連鎖的に積み重なる状況を指します。日常会話やニュース記事などで使用されます。 【ニュアンスの違い】"backlog"が未処理のタスクや仕事の蓄積を指すのに対し、"pileup"は物理的な積み重なりや連鎖的な出来事を強調します。"pileup"は、より視覚的で具体的なイメージを伴います。 【混同しやすい点】"pileup"は、抽象的なタスクや仕事の遅延を指す場合には不適切です。物理的な状況や、それに近い状況でのみ使用できます。
『在庫』『在庫品』を意味し、企業が販売または使用するために保有している商品の総量を指します。会計、サプライチェーン管理、小売業などのビジネス分野で頻繁に使用されます。 【ニュアンスの違い】"backlog"が未処理の注文やタスクの蓄積を指すのに対し、"inventory"は販売または使用可能な状態にある商品の量を指します。"inventory"は、需要を満たすために保持されているものです。 【混同しやすい点】"inventory"は、タスクやプロジェクトなど、物理的な商品以外のものを指す場合には不適切です。また、未処理であるというニュアンスも含まれません。
- bottleneck
『ボトルネック』『隘路(あいろ)』を意味し、プロセスやシステムの中で、進行を妨げる箇所や要因を指します。ビジネス、プロジェクト管理、ITなどの分野でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】"backlog"が未処理のタスクや仕事の蓄積そのものを指すのに対し、"bottleneck"は、その蓄積を引き起こしている原因となる特定の箇所や要因を指します。"bottleneck"は、問題解決の対象となる箇所を特定するために用いられます。 【混同しやすい点】"bottleneck"は、蓄積されたタスクの量そのものを指すのではなく、その原因となる箇所を指す点に注意が必要です。"backlog"の原因を特定する際に"bottleneck"という言葉が使われることがあります。
- logjam
『材木の滞留』『交通渋滞』を意味し、元々は川を流れる材木が詰まって動かなくなる状態を指していました。現在では、比喩的に、進捗が滞っている状況や問題の解決が困難な状況を指すのに用いられます。ビジネスや政治の文脈でも使用されます。 【ニュアンスの違い】"backlog"が未処理のタスクや仕事の蓄積を指すのに対し、"logjam"は、完全に動きが取れなくなっている状態、または解決が非常に困難な状況を強調します。"logjam"は、より深刻な停滞を意味します。 【混同しやすい点】"logjam"は、単に遅れているだけでなく、完全に停滞している状態を表すため、"backlog"よりも深刻な状況で使用されます。また、解決が困難であるというニュアンスが含まれます。
派生語
- backdate
『日付を遡らせる』という意味の動詞。back(後ろへ)とdate(日付)が組み合わさり、過去の日付を適用することを指す。契約書や記録などの日付を実際よりも前に設定する際に使用される。ビジネス文書で頻繁に見られる。
『背景』という意味の名詞。back(後ろ)とground(地面、場所)が組み合わさり、物事の背後にある事情や環境を示す。人物の経歴、事件の背景事情、画像の背景など、幅広い文脈で使用される。日常会話、ビジネス、報道など、あらゆる場面で使われる。
- backstage
『舞台裏』という意味の名詞・副詞。back(後ろ)とstage(舞台)が組み合わさり、文字通り舞台の裏側、つまり公には見えない場所を指す。比喩的に、組織内部の事情や秘密の活動を指すこともある。演劇や音楽業界だけでなく、政治やビジネスの裏側を語る際にも用いられる。
反意語
『優先事項』という意味の名詞。backlogが未処理のタスクの蓄積を意味するのに対し、priorityは最も重要なタスクを指す。プロジェクト管理や日常業務において、backlogにあるタスクの中からpriorityを決定し、順次処理していく。ビジネスシーンで頻繁に使われる。
『進捗』や『促進』を意味する名詞。backlogが停滞している状態を表すのに対し、advancementは物事が前進している状態を示す。プロジェクトのadvancement状況を報告する、技術のadvancementに貢献するなど、様々な文脈で使用される。ビジネスや学術分野でよく用いられる。
『完了』という意味の名詞。backlogが未完了のタスクのリストであるのに対し、completionはタスクが完了した状態を指す。プロジェクトの各タスクのcompletion状況を管理し、全体の進捗を把握する。ビジネス文書や報告書で頻繁に使われる。
語源
"backlog"は、文字通り「後ろに(back)丸太(log)」という意味から来ています。これは、製材所で丸太を貯めておく場所、特に水路を堰き止めて丸太を一時的に溜めておく場所を指していました。そこから転じて、「未処理の仕事が溜まっている状態」や「滞っている案件」といった意味合いを持つようになりました。日本語で例えるなら、「積み残し」や「宿題が山積み」といった状況に近いでしょう。つまり、本来進むべきものが、まるで丸太が水流を堰き止めるように、後ろに溜まってしまっているイメージです。この単語は、具体的な物理的な状況から抽象的な概念へと意味が拡張された好例と言えます。
暗記法
「backlog」は、元々アメリカの木材産業で、川を塞ぐ丸太の滞留を意味しました。それは経済活動の停滞であり、未処理の仕事や遅延したプロジェクトが積み重なった状態を指すように。現代では、ソフトウェア開発における未実装機能のリストを指し、肥大化するとプロジェクトを阻害します。効率性と生産性を求める現代社会において、「backlog」は焦燥感や不安感を象徴する言葉なのです。
混同しやすい単語
『backlog』は通常、一つの単語として使われますが、『black log』と2つの単語で記述されると、意味が大きく変わります。『black log』は文字通り『黒い丸太』を意味し、比喩的な意味合いは通常ありません。スペルは非常に似ていますが、スペースの有無が重要です。日本人学習者は、複合語や連結した単語に注意する必要があります。
『backlog』と『back lock』は、スペルが非常に似ており、特に手書きの場合など、区別がつきにくいことがあります。『back lock』は文字通りには『後ろの錠』や『後退を防ぐためのロック』といった意味になり得ますが、一般的な表現ではありません。文脈によっては意味が通じることもありますが、『backlog』とは全く異なる概念です。日本人学習者は、単語の区切り方と、それが意味に与える影響に注意する必要があります。
『backlog』と『backstroke』は、最初の『back』の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすいことがあります。『backstroke』は水泳の『背泳ぎ』を意味し、水泳の文脈でよく使われます。意味も文脈も全く異なるため、注意が必要です。日本人学習者は、単語の一部が同じでも、全体として異なる単語であることを意識する必要があります。
『backlog』と『backwoods』は、最初の『back』の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすいことがあります。『backwoods』は『奥地』や『未開の地』を意味し、地理的な文脈でよく使われます。意味も文脈も全く異なるため、注意が必要です。日本人学習者は、単語の一部が同じでも、全体として異なる単語であることを意識する必要があります。
『backlog』と『bad dog』は、発音の面でやや類似性があり、特に早口で話された場合など、聞き間違える可能性があります。『bad dog』は文字通り『悪い犬』を意味し、犬のしつけや行動に関する文脈でよく使われます。意味も文脈も全く異なるため、注意が必要です。日本人学習者は、発音の微妙な違いに注意し、文脈から意味を判断する練習をすることが重要です。
『backlog』と『back ground』(background)は、最初の 'back' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすいことがあります。また、カタカナ英語で「バックグラウンド」という言葉がよく使われるため、余計に混同しやすい可能性があります。『background』は『背景』や『経歴』を意味し、様々な文脈で使用されます。意味も文脈も異なるため、注意が必要です。日本人学習者は、単語の一部が同じでも、全体として異なる単語であることを意識する必要があります。また、カタカナ英語に引きずられないように注意が必要です。
誤用例
日本語の『英語学習の遅れ』を直訳するとこのようになりがちですが、backlogは通常、未処理のタスクや仕事の山を指します。抽象的な『学習の遅れ』に使う場合は、in を伴って『We have a backlog in...』の形で表現するのが自然です。また、形容詞も large よりも significant(重要な) や considerable(相当な) がより適切です。背景として、英語では具体的な物事に対してbacklogを使う傾向が強く、抽象的な概念には別の表現を選ぶことが一般的です。
backlogは『未処理の案件の山』というニュアンスが強く、必ずしもネガティブな意味合いを持ちません。一方、この文脈では、政策に対する市民からの『苦情の殺到』というネガティブな状況を表したいので、trigger a wave of(〜の波を引き起こす)のような表現がより適切です。日本語の『バックログ』という言葉が、IT用語としてカタカナで使われることが多く、中立的な意味合いで捉えられがちですが、英語のbacklogは文脈によって使い分ける必要があります。
この誤用は、日本語の『遅れてごめんなさい』を直訳しようとした際に起こりがちです。backlogは名詞であり、謝罪の文脈で直接使うのは不自然です。英語では、遅延の理由や原因を具体的に述べるか、delay(遅延)という言葉を使って謝罪するのが一般的です。例えば、『I apologize for the delay in getting back to you.』(返信が遅れて申し訳ありません)のように表現します。英語では、責任の所在を明確にする文化があり、あいまいな表現を避ける傾向があります。
文化的背景
「backlog」は、文字通りには「溜まった丸太」を意味し、そこから転じて「未処理の仕事の山」「遅延」を象徴する言葉となりました。この言葉が持つイメージは、単なる遅れ以上の、組織や個人の能力を圧迫し、停滞を生み出す重苦しい存在感です。
19世紀のアメリカ、特に木材産業が盛んな地域では、川を丸太を筏のように組んで運搬していました。ところが、川の流れが滞ったり、何らかの障害が発生したりすると、丸太が積み重なり、文字通り「backlog(丸太の滞留)」が発生しました。この状態は、文字通り物理的な障害であり、経済活動の停滞を意味しました。そこから、「backlog」は、物理的な障害だけでなく、未処理の業務、遅延したプロジェクト、積み重なった問題など、組織や個人の活動を妨げるあらゆる「滞留」を指すようになったのです。
「backlog」が持つネガティブなイメージは、単に「遅れている」という事実だけでなく、その遅れが放置され、解決されないまま積み重なっていく状況に対する危機感や不安感に根ざしています。ソフトウェア開発の現場では、「バックログ」は、未実装の機能や修正すべきバグのリストを指しますが、これが肥大化すると、プロジェクトの進行を阻害し、開発チームの士気を低下させる要因となります。そのため、アジャイル開発などの手法では、バックログを適切に管理し、優先順位をつけ、常に整理しておくことが重要視されます。
「backlog」は、現代社会における効率性や生産性への強いこだわりを反映した言葉とも言えます。私たちは、常にタスクをこなし、プロジェクトを完了させ、目標を達成することを求められています。そのため、「backlog」は、私たちの能力の限界、計画の甘さ、あるいは予期せぬ事態によって生じる「滞留」を可視化し、私たちにプレッシャーを与える存在となるのです。この言葉は、単なる業務の遅延を表すだけでなく、現代社会における私たちの焦燥感や不安感を象徴していると言えるでしょう。
試験傾向
この試験での出題頻度は低めですが、準1級以上の長文読解で、IT関連やプロジェクト管理の文脈で稀に出題される可能性があります。名詞としての意味(未処理の仕事、残務)を知っておくと良いでしょう。
Part 7(長文読解)で、プロジェクト管理やタスク管理に関する文脈で登場する可能性があります。「未処理の仕事」や「遅延」といった意味合いで使われ、類義語(e.g., backlog of orders)との言い換え表現を覚えておくと役立ちます。ビジネスシーンでの使用を想定した例文で学習しましょう。
アカデミックな文脈で、研究やプロジェクトにおける未処理の課題やデータの蓄積を指す場合に登場する可能性があります。長文読解で、間接的な意味合いを問われることもあるため、文脈全体を理解することが重要です。名詞としての使用が中心です。
難関大学の長文読解で、専門的なテーマ(経済、ITなど)を扱った文章において、稀に出題される可能性があります。文脈から意味を推測する能力が問われます。複数の意味を持つ単語として、辞書で確認しておきましょう。